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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』 発行部数:26,016部
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こんにちは!『ビジプロ通信』ナビゲーターの安部です。
大分久しぶりの配信となってしまいました。(^^;
楽しみにお待ちいただいていた方がいらっしゃいましたら、
大変申し訳ございませんでした。
メルマガを配信できない間にも、いろいろなことがございましたので
重要な出来事をここでまとめてご報告させていただきますね。
9月11日には、林修先生の『林先生が驚く初耳学!』に出演しました!
ファーストフードに設置されている痩せて見える鏡に対して、
マーケティングの視点からコメントしました。
テレビ番組に出演した際の模様はこちらでご確認いただけます。
http://ameblo.jp/mbasolution/entry-12199523519.html
また、9月22日には16冊目の書籍『マンガでやさしくわかる
ブルー・オーシャン戦略』が出版されました。
久しぶりに書店回りをしたのですが、多くの書店で目立つところに
陳列いただきかなり売れ行きも好調のようです。
ご興味がある方は是非ともアマゾンでお買い求めいただけると嬉しいです。
こんな書籍です(^^)⇒
http://amzn.to/2eElcH8
最後になりましたが、11月5日発売の『Goods Press』12月号に登場しています。
『ヒット商品に見る“赤色”の秘密』という企画です。
こちらもまだ書店やコンビニで発売されているはずなので
お立ち寄りの際は是非とも手に取ってお確かめ下さいね!
2ページにわたる特集記事です↓
http://ameblo.jp/mbasolution/entry-12217431077.html
まだまだ次の本の執筆などもあり、いろいろと忙しい日々を過ごしています。
ただ、極力クオリティの高いメルマガをお届けしたいという気持ちだけは
強く持っていますので今後も変わらずご愛読いただければ幸いです。
それでは、久しぶりのメルマガも張り切ってお届けしていきます!(^^)v
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【最新刊『マンガでやさしくわかるブルー・オーシャン戦略』プレゼント!】
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前回は申し込みが予想を上回る数に上ったので急遽3冊から30冊に増やして
いただきました。
今回も応募状況によっては、当選冊数が増えるかもしれないので、
奮ってご応募いただけると嬉しいです!
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■ 1日3分で身につけるMBA講座
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さて、今回の『1日3分で身につけるMBA講座』は、11月8日に大規模な値下げに
踏み切ったミスタードーナツを取り上げます。
果たして、値下げの背景には何があるのか?
そして、値下げ戦略は正解なのか?・・・
是非とも、あなたもミスタードーナツの経営者の視点で戦略を
考えてみて下さいね!
■ ミスタードーナツが大幅な値下げを実施!
ミスタードーナツが、11月8日からおよそ8割にあたる商品を値下げしました。
たとえば、人気商品であるポン・デ・リングはそれまで130円だったものが
100円に・・・
実に23%もの大幅な値下げになります。
ミスタードーナツは、今回の値下げにより、これまで月に1回程度
実施していた100円セールを廃止し、いつ行っても手軽に買える価格で、
集客、そして結果としての売り上げアップを図る戦略に舵を切ったのです。
■ なぜ、ミスタードーナツは100円セールを廃止するのか?
これまで、販売戦略で重要な役割を果たしてきた『100円セール』ですが、
ミスタードーナツは、なぜ今後『100円セール』を実施しないという
決断を下したのでしょうか?
その背景には、顧客は「100円セール以外はドーナツが高く感じる」という
不満をもらしていて、セール以外の日に足が遠のく一因になっていたという
事実が挙げられます。
たとえば、せっかくドーナツを買った次の日から、同じものが100円で
売られ始めると、顧客はやはり損をしたような気分になります。
このような経験をすれば、次からは100円セール以外の日は購入するのを
控えようと思うことは当然のことといえるでしょう。
結果として、ミスタードーナツは、100円セールをしない限りは、売り上げを
アップすることは難しくなるという悩ましい状況に陥ってしまっていたのです。
このような顧客行動は“アンカリング効果”と呼ばれ、同じ商品であれば
最安値が顧客の購買基準に設定され、それを上回る価格の場合、
余程の緊急な必要性が起こらない限りは購買に結びつかなくなります。
つまり、セールは短期的な売り上げアップに貢献するというメリットがある
反面、一旦行ってしまうと、やり続けなければ消費を刺激することは
できなくなるというデメリットもあるというわけです。
このようなセールのメリットとデメリットを天秤にかけた結果、デメリットの
方が大きいという結論に至り、100円セール廃止を決定したのでしょう。
今後、ミスタードーナツが展開するのは、いつ行っても安いというイメージを
顧客に植え付けて来店頻度を高め、売上アップを図る戦略です。
これはEDLP(Every Day Low Price)と呼ばれる価格戦略で、アメリカでは
ウォルマートが取り入れて、大きな成功を収めたことでも有名です。
ミスタードーナツも、8割もの商品の値下げに踏み切り、毎日割安感を感じて
もらうことによって、減少傾向にある売り上げに歯止めをかけたいところ
なのでしょう。
■ ミスタードーナツが苦戦する真の原因はどこにあるのか?
これまで高級路線でドーナツ市場をほぼ独占してきたミスタードーナツですが、
ここにきて低価格路線に舵を切った背景には何があるのでしょうか?
多くの方は、セブンイレブンを始めとしたコンビニがドーナツに
力を入れ始めたからではないかとお思いかもしれません。
確かに、コンビニのドーナツが、ドーナツ市場を侵食していることは
確かでしょう。
ただ、あのセブンイレブンでさえ、ドーナツ市場で売り上げを伸ばすのに
苦戦していることは間違いありません。
その証拠として、最近ではこの11月に新たな商品を投入するなど
頻繁に
リニューアルを行い、試行
錯誤していることが挙げられます。
うまくいっていれば、このように頻繁にテコ入れを行わなくてもいいはずです。
恐らく、ミスタードーナツが苦戦する真の原因はドーナツ市場自体の縮小に
あるのではないでしょうか。
ドーナツのメインターゲットといえば、ファミリー層や女性層です。
少子高齢化により、ファミリー層は減少していますし、健康志向の高まりに
よってカロリーの高いドーナツは女性にも敬遠される傾向にあります。
このようにメインターゲットの購買意欲の減退により、市場規模の縮小が
顕著になってきているのです。
同じドーナツチェーンでは、かつて行列の絶えなかったクリスピー・クリーム・
ドーナツなども、一時期全国に64店舗を展開して急成長を遂げましたが、最近
では閉店が相次ぎ、現在では46店舗まで急速に規模を縮小してきています。
つまり、ドーナツ業界は、世の中のトレンドに逆行していて、
苦戦するのは自然の流れといっても過言ではないのです。
■ ミスタードーナツは果たして値下げで成功するのか?
現状、ミスタードーナツを展開するダスキンの業績は、
飲食部門が大きく足を引っ張っています。
10月31日に発表された2017年3月期の第2四半期の
決算内容は、
売上高が1.7%減の811億円、本業の儲けを示す
営業利益は6.2%減の25億円と
伸び悩みが鮮明になっています。
特にミスタードーナツを主力とする飲食部門に限って見れば、
売上高は前年同期比8.3%減の203億円、営業損益に至っては赤字幅が拡大し、
6億円近い損失を計上しているのです。
このような危機的な状況を脱するために、ミスタードーナツでは、
値下げを武器に来店客を増やして売上アップを図ることにより、
損益分岐点を大幅に超えて黒字化を目指していく戦略に舵を切りました。
恐らく値下げをすれば、購買単価は下がるかもしれませんが、当初は思惑通り
に顧客数がアップして、最終的な売り上げの向上が見込めるでしょう。
ただ、心配な要素は、これまで値下げで成功し続けた企業はほとんどいない
という事実です。
飲食関連企業でいえば、マクドナルドや吉野家はデフレの勝ち組と
称されましたが、値下げにより“安物”のイメージが定着して、
値上げ局面で大きく顧客を失うことにつながりました。
また、最近では同じようにデフレの勝ち組だったユニクロも値上げで失敗し、
業績に暗雲が立ち込めています。
これら低価格で成功し、その後苦戦する企業の過去に学ぶならば、
一旦値下げすると、もう値上げすることは難しく、値下げ直後に
一時的な成功を収めるかもしれませんが、将来的にはさらに難しい
経営の舵取りが求められることは想像に難くないでしょう。
売り上げが伸び悩むから値下げして需要を刺激しようという戦略は
あまりに短絡的です。
本来であれば、既存製品の売り上げが頭打ちになった時には、イノベーション
によって新たな需要を創造することが理想ですが、ミスタードーナツは新製品
開発でいろいろとチャレンジしたものの手詰まりとなったということ
なのでしょうか。
いずれにしろ、すでに賽は投げられました。
ミスタードーナツが、先達と異なるどのような次の一手を繰り出すのか
注目していきましょう。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◎ 1日3分で身につけるMBA講座番外編:
【私がもしミスタードーナツの経営者だったら・・・】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
さてさて、ここからは私がもし経営者だったらどのような戦略を取るかという
私見を述べていきましょう。
もし、私がミスタードーナツの経営者であれば、値下げは行いません。
前にも述べたように値下げによって長い間成功し続けた企業はないからです。
たとえば、長崎ちゃんぽんのリンガーハットは、かつてマクドナルドの経営者
をトップに迎えた際に、マクドナルドで成功を収めていたクーポン戦略を
導入して短期的な成功を収めました。
ところが、クーポンを使えばちゃんぽんが1杯350円というあまりの安売りに、
『ちゃんぽん=安物』というイメージが定着し、顧客の足が遠のいて
売り上げはやがて急落。
大幅な赤字に転落して、経営危機を迎えることになるのです。
この危機に際して、急遽再登板した創業者は、ちゃんぽんの安売りをやめ、
国産野菜にこだわった価値を追求する路線に180度方向転換します。
ただ、価値を追求すれば値上げを避けて通ることができません。
他の
役員はデフレ経済下の大幅な値上げに猛反対します。
ところが、蓋を開けてみれば、お客様が国産野菜のたっぷり入った
ちゃんぽんを求めてお店は大盛況。
リンガーハットは、このようにして安売りの追求ではなく、
価値の訴求によって、危機的な状況を脱出することができたのです。
この成功に見習えば、ミスタードーナツも価格よりも製品価値の向上に
努めるのがセオリーといえるでしょう。
たとえば、カロリーを気にしなくて済む健康志向のドーナツを開発したり、
ちょっとだけ食べたいという需要に応えるために一つ30円から50円の小さな
ドーナツをバリエーションに加えたりすることもできるでしょう。
また、ドーナツ市場は縮小しているのですから、流れに逆行するのではなく、
不採算店は閉鎖して、適正な規模での事業展開にこだわれば、
大幅な値下げをしてまで無理に販売する必要もなくなります。
ダスキンにとってミスタードーナツは事業ポートフォリオの一事業です。
経営資源を衰退事業に割き続けると、いずれ本業もおかしくなる可能性も
否定できません。
やはり、衰退事業から成長事業へとうまく経営資源をシフトしていくことが
重要になってくるのではないでしょうか。
+--------------------------------------------------------------------+
さて、あなただったら、どのような戦略でミスタードーナツを立て直し、
ダスキンとしての成長を指向していくでしょうか?
よろしかったら、以下のサイトからあなたのご意見を聞かせていただけると
嬉しいです!
https://questant.jp/q/OJYVFQQ8
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■ 編集後記:
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昨日のアメリカの大統領選、事前の予想を覆してトランプ氏が
当選しましたね。
イギリスのEU離脱もそうですが、
資本主義の行き詰まりでどの国も
国民の不満が最高潮に達し、変化を求めている表れでしょうか?
恐らく今後は世界レベルで大きな環境変化に見舞われるのではないでしょうか。
なかなか先の読めない環境に突入しそうですが、我々は変化の荒波に
翻弄されることなく、うまく乗り切っていきたいものですね。(^^;
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最後までお読みいただきましてありがとうございました。 m(_ _)m
今回のメルマガはいかがだったでしょうか?
ご意見やご要望があれば下記のフォームからお気軽にお寄せ下さいね!
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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』(ビジプロ通信)
編集長: 安部 徹也
発行元:
株式会社 MBA Solution - The Best Solution for Your Business! -
〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-12-1渋谷マークシティW22階
URL :
http://www.mbasolution.com
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果たして、値下げの背景には何があるのか?
そして、値下げ戦略は正解なのか?・・・
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考えてみて下さいね!
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ミスタードーナツが、11月8日からおよそ8割にあたる商品を値下げしました。
たとえば、人気商品であるポン・デ・リングはそれまで130円だったものが
100円に・・・
実に23%もの大幅な値下げになります。
ミスタードーナツは、今回の値下げにより、これまで月に1回程度
実施していた100円セールを廃止し、いつ行っても手軽に買える価格で、
集客、そして結果としての売り上げアップを図る戦略に舵を切ったのです。
■ なぜ、ミスタードーナツは100円セールを廃止するのか?
これまで、販売戦略で重要な役割を果たしてきた『100円セール』ですが、
ミスタードーナツは、なぜ今後『100円セール』を実施しないという
決断を下したのでしょうか?
その背景には、顧客は「100円セール以外はドーナツが高く感じる」という
不満をもらしていて、セール以外の日に足が遠のく一因になっていたという
事実が挙げられます。
たとえば、せっかくドーナツを買った次の日から、同じものが100円で
売られ始めると、顧客はやはり損をしたような気分になります。
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控えようと思うことは当然のことといえるでしょう。
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アップすることは難しくなるという悩ましい状況に陥ってしまっていたのです。
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余程の緊急な必要性が起こらない限りは購買に結びつかなくなります。
つまり、セールは短期的な売り上げアップに貢献するというメリットがある
反面、一旦行ってしまうと、やり続けなければ消費を刺激することは
できなくなるというデメリットもあるというわけです。
このようなセールのメリットとデメリットを天秤にかけた結果、デメリットの
方が大きいという結論に至り、100円セール廃止を決定したのでしょう。
今後、ミスタードーナツが展開するのは、いつ行っても安いというイメージを
顧客に植え付けて来店頻度を高め、売上アップを図る戦略です。
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ウォルマートが取り入れて、大きな成功を収めたことでも有名です。
ミスタードーナツも、8割もの商品の値下げに踏み切り、毎日割安感を感じて
もらうことによって、減少傾向にある売り上げに歯止めをかけたいところ
なのでしょう。
■ ミスタードーナツが苦戦する真の原因はどこにあるのか?
これまで高級路線でドーナツ市場をほぼ独占してきたミスタードーナツですが、
ここにきて低価格路線に舵を切った背景には何があるのでしょうか?
多くの方は、セブンイレブンを始めとしたコンビニがドーナツに
力を入れ始めたからではないかとお思いかもしれません。
確かに、コンビニのドーナツが、ドーナツ市場を侵食していることは
確かでしょう。
ただ、あのセブンイレブンでさえ、ドーナツ市場で売り上げを伸ばすのに
苦戦していることは間違いありません。
その証拠として、最近ではこの11月に新たな商品を投入するなど
頻繁にリニューアルを行い、試行錯誤していることが挙げられます。
うまくいっていれば、このように頻繁にテコ入れを行わなくてもいいはずです。
恐らく、ミスタードーナツが苦戦する真の原因はドーナツ市場自体の縮小に
あるのではないでしょうか。
ドーナツのメインターゲットといえば、ファミリー層や女性層です。
少子高齢化により、ファミリー層は減少していますし、健康志向の高まりに
よってカロリーの高いドーナツは女性にも敬遠される傾向にあります。
このようにメインターゲットの購買意欲の減退により、市場規模の縮小が
顕著になってきているのです。
同じドーナツチェーンでは、かつて行列の絶えなかったクリスピー・クリーム・
ドーナツなども、一時期全国に64店舗を展開して急成長を遂げましたが、最近
では閉店が相次ぎ、現在では46店舗まで急速に規模を縮小してきています。
つまり、ドーナツ業界は、世の中のトレンドに逆行していて、
苦戦するのは自然の流れといっても過言ではないのです。
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現状、ミスタードーナツを展開するダスキンの業績は、
飲食部門が大きく足を引っ張っています。
10月31日に発表された2017年3月期の第2四半期の決算内容は、
売上高が1.7%減の811億円、本業の儲けを示す営業利益は6.2%減の25億円と
伸び悩みが鮮明になっています。
特にミスタードーナツを主力とする飲食部門に限って見れば、
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6億円近い損失を計上しているのです。
このような危機的な状況を脱するために、ミスタードーナツでは、
値下げを武器に来店客を増やして売上アップを図ることにより、
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ただ、心配な要素は、これまで値下げで成功し続けた企業はほとんどいない
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称されましたが、値下げにより“安物”のイメージが定着して、
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これら低価格で成功し、その後苦戦する企業の過去に学ぶならば、
一旦値下げすると、もう値上げすることは難しく、値下げ直後に
一時的な成功を収めるかもしれませんが、将来的にはさらに難しい
経営の舵取りが求められることは想像に難くないでしょう。
売り上げが伸び悩むから値下げして需要を刺激しようという戦略は
あまりに短絡的です。
本来であれば、既存製品の売り上げが頭打ちになった時には、イノベーション
によって新たな需要を創造することが理想ですが、ミスタードーナツは新製品
開発でいろいろとチャレンジしたものの手詰まりとなったということ
なのでしょうか。
いずれにしろ、すでに賽は投げられました。
ミスタードーナツが、先達と異なるどのような次の一手を繰り出すのか
注目していきましょう。
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◎ 1日3分で身につけるMBA講座番外編:
【私がもしミスタードーナツの経営者だったら・・・】
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さてさて、ここからは私がもし経営者だったらどのような戦略を取るかという
私見を述べていきましょう。
もし、私がミスタードーナツの経営者であれば、値下げは行いません。
前にも述べたように値下げによって長い間成功し続けた企業はないからです。
たとえば、長崎ちゃんぽんのリンガーハットは、かつてマクドナルドの経営者
をトップに迎えた際に、マクドナルドで成功を収めていたクーポン戦略を
導入して短期的な成功を収めました。
ところが、クーポンを使えばちゃんぽんが1杯350円というあまりの安売りに、
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この危機に際して、急遽再登板した創業者は、ちゃんぽんの安売りをやめ、
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ただ、価値を追求すれば値上げを避けて通ることができません。
他の役員はデフレ経済下の大幅な値上げに猛反対します。
ところが、蓋を開けてみれば、お客様が国産野菜のたっぷり入った
ちゃんぽんを求めてお店は大盛況。
リンガーハットは、このようにして安売りの追求ではなく、
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この成功に見習えば、ミスタードーナツも価格よりも製品価値の向上に
努めるのがセオリーといえるでしょう。
たとえば、カロリーを気にしなくて済む健康志向のドーナツを開発したり、
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大幅な値下げをしてまで無理に販売する必要もなくなります。
ダスキンにとってミスタードーナツは事業ポートフォリオの一事業です。
経営資源を衰退事業に割き続けると、いずれ本業もおかしくなる可能性も
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■ 編集後記:
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昨日のアメリカの大統領選、事前の予想を覆してトランプ氏が
当選しましたね。
イギリスのEU離脱もそうですが、資本主義の行き詰まりでどの国も
国民の不満が最高潮に達し、変化を求めている表れでしょうか?
恐らく今後は世界レベルで大きな環境変化に見舞われるのではないでしょうか。
なかなか先の読めない環境に突入しそうですが、我々は変化の荒波に
翻弄されることなく、うまく乗り切っていきたいものですね。(^^;
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最後までお読みいただきましてありがとうございました。 m(_ _)m
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『ビジネスマン必読!1日3分で身につけるMBA講座』(ビジプロ通信)
編集長: 安部 徹也
発行元:
株式会社 MBA Solution - The Best Solution for Your Business! -
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URL :
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