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人活経営でパワーは倍増できる<スピード再生の京樽編>

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          シリーズ「人活経営でパワーは倍増できる!」
  <第212回>[(第18話)京樽のスピード再生を支えた小沼流人身掌握術!]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「人活経営でパワ
ーは倍増できる!」と題して様々な角度から鋭く分析した良質の記事を紹介して
いきます。きっとお役に立てると思います。中小企業の経営者の方、管理者の方、
人事担当者の方に是非ともお読みいただきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「京樽のスピード再生を支えた小沼流人身掌握術!」
1.京樽とは?
2.倒産の夜、妻と向き合って!
3.野村監督の「弱者が勝者になるために」を何度も読み返す!
4.年長者をうまく纏めるコンピテンシーを磨いて!
5.組織を覚醒する触媒役でいい!
【3】今日のポイント

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元気に働いている会社の職場で自社の倒産のニュースを知ったならば、皆さんは
どんな対応を採りますでしょうか。現実に遭遇しなければ分からないというのが
本音でしょうか。

京樽の小沼英雄氏は繁盛店の店長だった東京・竹の塚のレストラン「きょーたる」
で営業中に店に飛び込んできたお客さんに倒産のことを教えてもらい知ったので
す。遅れて本部から無常のFAXが届きました。小沼英雄氏32歳のときでした。


【1】心に刻んでおきたい言葉

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指示が伝わっていない、理解してもらっていないとすれば、自分に問題がある。

       小沼英雄

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【2】メルマガ本論

[(第18話)京樽のスピード再生を支えた小沼流人身掌握術!]


1.京樽とは?

1932年(昭和7年)に京都で割烹店として操業開始、1938年(昭和13年)に
東京に進出しています。そして1954年(昭和29年)に今の京樽に社名変更し
ました。

経営理念は
「『おいしさと健康』を提供する食ビジネスを通じて楽しく豊なパーソナルラ
イフの実現と生活文化の向上に貢献する」です。

田中常泰社長は「食を通じて豊な暮らしを満喫していただくのが当社に課せら
れた使命」と力強く宣言しています。

2005年(平成17年)12月期の売上高は336億円、経常利益7億円、全部で445
店舗を運営しています。


2.倒産の夜、妻と向き合って!

1997年(平成9年)1月19日、「京樽倒産、会社更生法申請」のニュースが
駆け巡りました。

当時小沼氏は、3,000万円のローンを組んでマンションを購入したばかり、そし
て一ヶ月前に長女が生まれたばかりだったのです。

倒産の夜店長仲間と会合を持ち、仲間を鼓舞しました。「自分たち営業ががんば
れば乗り切れる」、「明日から前向きにやるしかないよ」と。

「勤め先が消えてしまうのか」、「給料ががたっと減るんでしょう」。鼓舞した
仲間たちは結局会社を去っていきました。

小沼氏は「会社にずっぽりはまったようなものだから、最後までここでやるよ」。
長女を抱きながら心配そうな顔で見上げる妻にそう話しました。


3.野村監督の「弱者が勝者になるために」を何度も読み返す!

「何でもいいから負け組みを脱するヒントがほしい、人にやる気を出させるコツ
を知りたい」。小沼氏がすがる思いで読んだ一冊の本があります。それは野村監
督が書いた「弱者が勝者になるために」でした。

今はこの本に頼らなくともやっていける。それでも捨てずに本棚にしまってある
そうです。

小沼氏は、専修大学時代はバレー部に所属。試合で劣勢の場面でもいつも明るく
振舞い、ユーモラスな行動でチームの緊張を和らげる役割を担っていました。

人一倍仲間思いの人柄と野村監督の著書が融合して京樽のスピード再生のエンジ
ンになったのです。


4.年長者をうまく纏めるコンピテンシーを磨いて!

2001(平成13年)年に小沼氏にとっての転機が訪れました。レストラン事業部
からテイクアウト事業部へ異動の辞令が出たのです。

売上げの8割を稼ぐのがテイクアウト事業部でしたが、高卒はテイクアウト事業
部、学卒はレスラン事業部に配属される慣わしでしたから異例の人事です。しか
も売上げの8割を稼ぐテイクアウト事業部のプライドは当然高かったのです。

二つの事業部間には大きな壁があったばかりか、各店舗ごとにバラバラのやり方
がまかり通っていましたから高コスト体質で利益は出にくかったのです。

例えばテイクアウト事業部では寿司の製造と販売は店長の勘と経験と度胸でやる
という具合にです。そしてほとんどが小沼氏にとって年長者の集団でした。

そこで小沼氏は、自分自身を「本部と現場(店舗)をつなぐパイプ役」と定義付
けし、「寿司を握る技術は皆さんのほうが上、しかし販売・陳列などの技術は自
信がある。お互い補い合いながらやっていきましょう」と呼びかけました。

異文化の中で生きてきた年長者たちと積極的にコミュニケーションを図ることに
意を注ぎ、「理解してもらうのが僕の仕事」がすっかり口癖になりました。

店舗を巡回しても直ぐに問題点に気づくのですが、びしびし指摘するやり方は採
りません。例えば「あの照明、どう思いますか」というように質問するのです。
「角度がおかしいから直せ」とは言わないのです。人間、どう思うかと聞かれれ
ば、問題に気づけるでしょう。そして素直に受け入れて直すでしょう。

顔を真っ赤にして怒る必要はないのです。「いくら叫んでも実現しなければ意味
がない」と考える小沼氏の温厚な人柄、人格コンピテンシーが共感と支持を得て
いきました。


5.組織を覚醒する触媒役でいい!

「トップが改革を叫ぶ、現場はしらけて動かない」。多くの企業で見られる光景
です。「上からの指示や考え方を円滑に下に浸透させるパイプ役」がいなければ
「殿様火の用心、足軽火の用心」で終わってしまうのです。

小沼氏は、組織を覚醒させる「触媒」です。「黒子」なのです。下の人たちにと
って「大ナタを振るう外科手術ではなく、じわっと効いてくる漢方薬」みたいな
ものなのです。

京樽は昨年9月、ジャスダックへ上場しました。更生手続き終了は2002年(平成
14年)で、当初計画から13年も前倒しした超スピード再生を成し遂げたので
す。その再生のエンジンは触媒約の小沼英雄氏、その人でした。

(今回の参考文献:日経ビジネス2006年2月6日号、他)


【3】今日のまとめ

1.進駐軍が乗り込んで再生する事例は多いが、京樽の例は、プロパーの社員が
  エンジンとなって再生するほうがうまくいくというモデルであること。

2.指示が伝わっていない、理解してもらっていないのは自分に責任があると
  「原因自分説」で考えることが大事であること。

3.「どう思いますか」と質問するやり方は一種のコーチングの手法であり、怒
  鳴り散らして分からせるよりもはるかに将来的な効果や価値が大きいこと。

4.トップが改革を叫んでも現場がしらけて動かなければ何にもならないこと。
  そして「パイプ役」、「触媒役」の存在が必要であること。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp

【4】編集後記

怒鳴って従わせる指示命令の仕方でも部下は動いてくれます。しかしそれは自主
的に、考えて行動するものではありません。

「どう思うか」と質問して考えさせることにより、相手が気づいて行動すること
は自主的となります。

両者の間には将来にわたって天地の開きが出てくることでしょう。「パイプ役」、
「触媒役」というキーワードを心に刻みましょう。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=


次回に続く


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発行責任者:さいたま市中央区上落合8丁目1-20-304
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
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