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★★★ 新・
行政書士試験 一発合格! Vol. ’08-04 ★★★
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行政書士試験まで1カ月を切りました。最後の追い込みに大変お忙しい日々を送っていら
っしゃることと思いますか。
高校入試、大学入試等と同様に、この
行政書士試験でも最後の「直前の追い込み」が大事
になります。この時期には、いうまでもなく復習を中心とした実戦感覚の養成がポイント
です。
このとき、他の科目や領域との「横」比較を再確認して下さい。意外に忘れていた事項が
あったり、区分が曖昧になっている箇所が見出されたりします。これに一つ一つ丁寧に取
り組むことによって、自信をもって試験に臨むことができ、また、試験問題にも余裕をも
って取り組むことができるようになります。
▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲▲▽▲
▽
▲ 仁 義 な き 戦 い
▽
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■■■ 最高裁判例 ■■■
昨年ですが、欠陥住宅に関する
瑕疵担保責任と
不法行為について、注目すべき最高裁判決
がありましたので、ご紹介します。
●● 最高裁判例「
損害賠償請求事件」(平成19年7月6日民集61巻5号1769頁)
【裁判要旨】
建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、
契約関係に
ない居住者を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、当該建物に建物として
の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、これを怠ったた
めに建築された建物に上記安全性を損なう
瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体
又は財産が侵害された場合には、設計者等は、
不法行為の成立を主張する者が上記
瑕疵の
存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限
り、これによって生じた損害について
不法行為による賠償責任を負う。
【理由】
建物は、そこに居住する者、そこで働く者、そこを訪問する者等の様々な者によって利用
されるとともに、当該建物の周辺には他の建物や道路等が存在しているから、建物は、こ
れらの建物利用者や隣人、通行人等(以下、併せて「居住者等」という。)の生命、身体
又は財産を危険にさらすことがないような安全性を備えていなければならず、このような
安全性は、建物としての基本的な安全性というべきである。そうすると、建物の建築に携
わる設計者、施工者及び工事監理者(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建
物の建築に当たり、
契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての
基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当で
ある。
そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的
な安全性を損なう
瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場
合には、設計・施工者等は、
不法行為の成立を主張する者が上記
瑕疵の存在を知りながら
これを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生
じた損害について
不法行為による賠償責任を負うというべきである。居住者等が当該建物
の建築主からその譲渡を受けた者であっても異なるところはない。
★★
安全配慮義務の内容はどのようなものがあるでしょうか。また、どのような最高裁
判例があるでしょうか。
●
民法
(売主の
瑕疵担保責任)
第五百七十条 売買の目的物に隠れた
瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。
ただし、強制
競売の場合は、この限りでない。
(
地上権等がある場合等における売主の
担保責任)
第五百六十六条 売買の目的物が
地上権、永小作権、地役権、
留置権又は
質権の目的で
ある場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために
契約をした目的を達すること
ができないときは、買主は、
契約の解除をすることができる。この場合において、
契約の
解除をすることができないときは、
損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなか
った場合及びその不動産について
登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、
契約の解除又は
損害賠償の請求は、買主が事実を知った時
から1年以内にしなければならない。
(
不法行為による
損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者
は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(
不法行為による
損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条
不法行為による
損害賠償の請求権は、被害者又はその
法定代理人が損
害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、
時効によって消滅する。
不法行為
の時から20年を経過したときも、同様とする。
〔ポイント〕
1.
瑕疵担保責任は、
売買契約の当事者間で生じる責任を問うものであるため、欠陥住宅
の買主は、直接の
契約関係にない欠陥住宅の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者
の責任を追及することはできません(これまでは、
瑕疵担保責任で売主の責任を追及する
のが一般的でした。)。一方、
不法行為は、
契約関係にあるかどうかは問われず、不特定
多数の被害者がある場合にも適用されます。ただし、
不法行為の場合には、欠陥と損害と
の因果関係の立証を被害者が証明しなければなりません。
2.責任を追及することができる期間(
時効)にも差があります。
瑕疵担保責任の場合に
は、買主が事実(
瑕疵)を知った時から1年以内(除斥期間とされています。)、または
、住宅の引渡しを受けてから10年とされています。一方、
不法行為の場合には、被害者が
損害及び加害者を知った時から3年間、また、
不法行為の時から20年とされています。
■ 関係判例 ■
●● 最高裁判例「
損害賠償請求事件」(平成4年10月20日民集第46巻7号1129頁)
【裁判要旨】
一
民法五六六条三項にいう1年の期間は、除斥期間である。
二
瑕疵担保による
損害賠償請求権を保存するには、右請求権の除斥期間内に、売主の担
保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもつて足り、裁判上の権利行使をするま
での必要はない。
★★
時効と除斥期間の区分、
時効の効力や中断事由は大丈夫でしょうか。
●● 最高裁判例「
損害賠償請求事件」(平成4年10月20日民集第46巻7号1129頁)
【裁判要旨】
契約の要素に
錯誤があって無効であるときは、
民法第570条の
瑕疵担保の規定の適用は排
除される。
★★
錯誤、心裡留保、虚偽表示の区分や主要判例は大丈夫でしょうか。
●● 最高裁判例「
手付金返還請求事件」(昭和41年4月14日民集第20巻4号649頁)
【裁判要旨】
買主が原判示規模の居宅の敷地として使用する目的を表示して買い受けた土地の約8割の
部分が都市計画街路の境域内に存するため、たとえ買主が右居宅を建築しても、早晩、都
市計画事業の実施により、その全部または一部を撤去しなければならない場合において、
右計画街路の公示が、
売買契約成立の10数年以前に、告示の形式でなされたものであるた
め、買主において買受土地中の前記部分が右計画街路の境域内に存することを知らなかつ
たことについて過失があるといえないときは、売買の目的物に隠れた
瑕疵があると解する
のが相当である。
■■■ お願い ■■■
ご意見、アドバイス、ご批判その他何でも結構です。
e-mail@ohta-shoshi.com まで、ど
うぞお寄せください。
また、質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただ
し、多少時間を要する場合があります。
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行政書士試験 一発合格!
発行者:
行政書士 太田誠 東京都
行政書士会所属(府中支部)
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になります。この時期には、いうまでもなく復習を中心とした実戦感覚の養成がポイント
です。
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り組むことによって、自信をもって試験に臨むことができ、また、試験問題にも余裕をも
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■■■ 最高裁判例 ■■■
昨年ですが、欠陥住宅に関する瑕疵担保責任と不法行為について、注目すべき最高裁判決
がありましたので、ご紹介します。
●● 最高裁判例「損害賠償請求事件」(平成19年7月6日民集61巻5号1769頁)
【裁判要旨】
建物の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者は、建物の建築に当たり、契約関係に
ない居住者を含む建物利用者、隣人、通行人等に対する関係でも、当該建物に建物として
の基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負い、これを怠ったた
めに建築された建物に上記安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体
又は財産が侵害された場合には、設計者等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の
存在を知りながらこれを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限
り、これによって生じた損害について不法行為による賠償責任を負う。
【理由】
建物は、そこに居住する者、そこで働く者、そこを訪問する者等の様々な者によって利用
されるとともに、当該建物の周辺には他の建物や道路等が存在しているから、建物は、こ
れらの建物利用者や隣人、通行人等(以下、併せて「居住者等」という。)の生命、身体
又は財産を危険にさらすことがないような安全性を備えていなければならず、このような
安全性は、建物としての基本的な安全性というべきである。そうすると、建物の建築に携
わる設計者、施工者及び工事監理者(以下、併せて「設計・施工者等」という。)は、建
物の建築に当たり、契約関係にない居住者等に対する関係でも、当該建物に建物としての
基本的な安全性が欠けることがないように配慮すべき注意義務を負うと解するのが相当で
ある。
そして、設計・施工者等がこの義務を怠ったために建築された建物に建物としての基本的
な安全性を損なう瑕疵があり、それにより居住者等の生命、身体又は財産が侵害された場
合には、設計・施工者等は、不法行為の成立を主張する者が上記瑕疵の存在を知りながら
これを前提として当該建物を買い受けていたなど特段の事情がない限り、これによって生
じた損害について不法行為による賠償責任を負うというべきである。居住者等が当該建物
の建築主からその譲渡を受けた者であっても異なるところはない。
★★ 安全配慮義務の内容はどのようなものがあるでしょうか。また、どのような最高裁
判例があるでしょうか。
●民法
(売主の瑕疵担保責任)
第五百七十条 売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。
ただし、強制競売の場合は、この限りでない。
(地上権等がある場合等における売主の担保責任)
第五百六十六条 売買の目的物が地上権、永小作権、地役権、留置権又は質権の目的で
ある場合において、買主がこれを知らず、かつ、そのために契約をした目的を達すること
ができないときは、買主は、契約の解除をすることができる。この場合において、契約の
解除をすることができないときは、損害賠償の請求のみをすることができる。
2 前項の規定は、売買の目的である不動産のために存すると称した地役権が存しなか
った場合及びその不動産について登記をした賃貸借があった場合について準用する。
3 前二項の場合において、契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知った時
から1年以内にしなければならない。
(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者
は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損
害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為
の時から20年を経過したときも、同様とする。
〔ポイント〕
1.瑕疵担保責任は、売買契約の当事者間で生じる責任を問うものであるため、欠陥住宅
の買主は、直接の契約関係にない欠陥住宅の建築に携わる設計者、施工者及び工事監理者
の責任を追及することはできません(これまでは、瑕疵担保責任で売主の責任を追及する
のが一般的でした。)。一方、不法行為は、契約関係にあるかどうかは問われず、不特定
多数の被害者がある場合にも適用されます。ただし、不法行為の場合には、欠陥と損害と
の因果関係の立証を被害者が証明しなければなりません。
2.責任を追及することができる期間(時効)にも差があります。瑕疵担保責任の場合に
は、買主が事実(瑕疵)を知った時から1年以内(除斥期間とされています。)、または
、住宅の引渡しを受けてから10年とされています。一方、不法行為の場合には、被害者が
損害及び加害者を知った時から3年間、また、不法行為の時から20年とされています。
■ 関係判例 ■
●● 最高裁判例「損害賠償請求事件」(平成4年10月20日民集第46巻7号1129頁)
【裁判要旨】
一 民法五六六条三項にいう1年の期間は、除斥期間である。
二 瑕疵担保による損害賠償請求権を保存するには、右請求権の除斥期間内に、売主の担
保責任を問う意思を裁判外で明確に告げることをもつて足り、裁判上の権利行使をするま
での必要はない。
★★時効と除斥期間の区分、時効の効力や中断事由は大丈夫でしょうか。
●● 最高裁判例「損害賠償請求事件」(平成4年10月20日民集第46巻7号1129頁)
【裁判要旨】
契約の要素に錯誤があって無効であるときは、民法第570条の瑕疵担保の規定の適用は排
除される。
★★ 錯誤、心裡留保、虚偽表示の区分や主要判例は大丈夫でしょうか。
●● 最高裁判例「手付金返還請求事件」(昭和41年4月14日民集第20巻4号649頁)
【裁判要旨】
買主が原判示規模の居宅の敷地として使用する目的を表示して買い受けた土地の約8割の
部分が都市計画街路の境域内に存するため、たとえ買主が右居宅を建築しても、早晩、都
市計画事業の実施により、その全部または一部を撤去しなければならない場合において、
右計画街路の公示が、売買契約成立の10数年以前に、告示の形式でなされたものであるた
め、買主において買受土地中の前記部分が右計画街路の境域内に存することを知らなかつ
たことについて過失があるといえないときは、売買の目的物に隠れた瑕疵があると解する
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発行者:行政書士 太田誠 東京都行政書士会所属(府中支部)
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