◆事例:男子だけに支給する
扶養手当
当社では
扶養手当を支給していますが、対象は男子社員に限るとしています。
ところが、関係者からこのままでは男女差別になると言われました。共働き女
子社員の多くは夫の方が収入が多く、会社としては
扶養手当を支払うのは釈然
としません。
◇回答----------------------------------------------------------------
性別により支給額が異なったり、支給の有無が分かれるような取り扱いは性
差別とされ無効です。
扶養手当の趣旨を「
主たる生計維持者への
補助」と明確
にすれば、
世帯主に支給することにより、多くの場合実質的に男子社員を対象
とすることができます。
■解説----------------------------------------------------------------
扶養手当や
家族手当等、名称は種々ありますが、これらの手当を支給してい
る会社は多数あります。しかも古い
賃金規程には「男子のみに支給する」と堂
々と書かれているケースもザラにあるようです。大昔、監督署に届け出た時は
うるさくなかったので残ったままになっているのでしょう。もし今、踏み込ま
れたら一発でアウト。早急に修正しましょう。
いまどき
扶養手当なんて時代
錯誤の感じもしますが、そもそもの起源は炭坑
にあったようです。炭坑
労働者(当然男子)に
扶養手当を支給することによっ
て、その子息も将来炭鉱
労働者になってもらう期待があったものと思われます。
扶養手当の額も子供の性別によって上下することも。家族に「炭坑が私たち家
族のためにお手当を付けてくれている」と恩を感じさせることも狙いだったの
でしょう。今じゃ「ケッ!、これぽっちかよ」と逆に反感買う材料になりかね
ませんが。
能力主義や現在の潮流である
成果主義からすると不要な手当です。家族の多
い少ないは本人の勝手。家族が多い社員が多くの仕事をこなしたり会社に貢献
する保障はどこにもありません。もちろんマクロ的視点から見れば、家族(子
供)が多い方が将来の経済発展は望めるのでしょうが、一会社がどうのこうの
言える問題ではありません。第一、右肩上がりは過去の話ですし。
扶養手当等は本来ならば本給等に取り込んで解消していくべき
賃金ですが、
過去のしがらみもあり、どうしても継続するなら、少なくとも性差別とならな
い方法で支給する必要があります。「男子のみ」との表現は問題ありです。
一番お手軽な方法は、支給対象者を「
世帯主」にすることです。名称も「世
帯手当」等に変更するとわかりやすいかも知れません。実質的には男子社員が
対象となりますが、必ずしも男女差別とはなりません。
会社が、これら手当受給者を
世帯主に限定し、
世帯主を「一家の生計の主た
る担い手」とする解釈運用は合理性を有する(東京地裁H1.1.26他)との判断も
あります。但し、住民票上の
世帯主と同じとは限りません。あくまでも生計の
担い手が判断となるようです。これらについては
賃金規程等に趣旨を明確にし
ておけばベストです。
なお、もしバリバリのキャリアウーマンがいて、亭主の収入を上回っている
ような場合は、
扶養手当の支給が必要となることもあります。男子のみという
考え方は過去の物とした方が良いでしょうね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【メルマガ】
労務に効く薬
⇒
http://blog.mag2.com/m/log/0000102365
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ 投稿記事の著作権は、記事の執筆者に帰属します。無断で転載・複製・頒布することを深く禁じます。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用される際には、専門機関に問い合わせるなど十分な確認をなさってから実践するようにしてください。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用されたことによる損害等の保証は一切負いかねますので予めご了承願います。
◆事例:男子だけに支給する扶養手当
当社では扶養手当を支給していますが、対象は男子社員に限るとしています。
ところが、関係者からこのままでは男女差別になると言われました。共働き女
子社員の多くは夫の方が収入が多く、会社としては扶養手当を支払うのは釈然
としません。
◇回答----------------------------------------------------------------
性別により支給額が異なったり、支給の有無が分かれるような取り扱いは性
差別とされ無効です。扶養手当の趣旨を「主たる生計維持者への補助」と明確
にすれば、世帯主に支給することにより、多くの場合実質的に男子社員を対象
とすることができます。
■解説----------------------------------------------------------------
扶養手当や家族手当等、名称は種々ありますが、これらの手当を支給してい
る会社は多数あります。しかも古い賃金規程には「男子のみに支給する」と堂
々と書かれているケースもザラにあるようです。大昔、監督署に届け出た時は
うるさくなかったので残ったままになっているのでしょう。もし今、踏み込ま
れたら一発でアウト。早急に修正しましょう。
いまどき扶養手当なんて時代錯誤の感じもしますが、そもそもの起源は炭坑
にあったようです。炭坑労働者(当然男子)に扶養手当を支給することによっ
て、その子息も将来炭鉱労働者になってもらう期待があったものと思われます。
扶養手当の額も子供の性別によって上下することも。家族に「炭坑が私たち家
族のためにお手当を付けてくれている」と恩を感じさせることも狙いだったの
でしょう。今じゃ「ケッ!、これぽっちかよ」と逆に反感買う材料になりかね
ませんが。
能力主義や現在の潮流である成果主義からすると不要な手当です。家族の多
い少ないは本人の勝手。家族が多い社員が多くの仕事をこなしたり会社に貢献
する保障はどこにもありません。もちろんマクロ的視点から見れば、家族(子
供)が多い方が将来の経済発展は望めるのでしょうが、一会社がどうのこうの
言える問題ではありません。第一、右肩上がりは過去の話ですし。
扶養手当等は本来ならば本給等に取り込んで解消していくべき賃金ですが、
過去のしがらみもあり、どうしても継続するなら、少なくとも性差別とならな
い方法で支給する必要があります。「男子のみ」との表現は問題ありです。
一番お手軽な方法は、支給対象者を「世帯主」にすることです。名称も「世
帯手当」等に変更するとわかりやすいかも知れません。実質的には男子社員が
対象となりますが、必ずしも男女差別とはなりません。
会社が、これら手当受給者を世帯主に限定し、世帯主を「一家の生計の主た
る担い手」とする解釈運用は合理性を有する(東京地裁H1.1.26他)との判断も
あります。但し、住民票上の世帯主と同じとは限りません。あくまでも生計の
担い手が判断となるようです。これらについては賃金規程等に趣旨を明確にし
ておけばベストです。
なお、もしバリバリのキャリアウーマンがいて、亭主の収入を上回っている
ような場合は、扶養手当の支給が必要となることもあります。男子のみという
考え方は過去の物とした方が良いでしょうね。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【メルマガ】 労務に効く薬
⇒
http://blog.mag2.com/m/log/0000102365
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
▼ 投稿記事の著作権は、記事の執筆者に帰属します。無断で転載・複製・頒布することを深く禁じます。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用される際には、専門機関に問い合わせるなど十分な確認をなさってから実践するようにしてください。
▼ 当サイトの全てのコンテンツ(コンテンツ内に投稿された情報を含む)・リンク先の情報をご利用されたことによる損害等の保証は一切負いかねますので予めご了承願います。