相談の広場
労働災害における使用者による休業補償義務(労災保険の傷病(補償)年金との関係)について、質問です。
労働基準法第76条第1項で、労働災害における使用者による休業補償義務が規定されています。
また、労働基準法第84条第1項で、労働者災害補償保険法に基づいて労働基準法上の災害補償に相当する給付が行われる場合には、使用者は補償の責を免れる旨規定されています。
通常、労働災害で休業補償を行う場合、休業4日目以降は労災保険の休業(補償)給付を受給することで、使用者は休業補償義務を免除されます。
ところが、労災保険では、療養開始後1年6か月経過後に一定の条件(未治癒、障害の程度が傷病等級に該当)に該当する場合は、傷病(補償)年金が支給され、休業(補償)給付が支給されなくなります。
傷病(補償)年金の受給者が休業する場合、傷病(補償)年金は労働基準法第76条第1項に規定する休業補償に相当する給付に該当する、つまり使用者は休業補償義務を免除されると考えてよいのでしょうか?
傷病(補償)年金は、休業が条件になっていませんので、休業していなくても受給できる場合があり、その点で休業(補償)給付とは性質が異なるため、休業補償では無いと考えることができます。
しかし、傷病(補償)年金が支給される場合に休業(補償)給付が支給されないこと、及び支給額も休業(補償)給付と同等以上であることから、傷病(補償)年金は休業補償の意味合いを含むとも考えられます。
また、傷病(補償)年金を受給していても、休業補償ではないので使用者に休業補償義務があるとした場合、二重取りのように思えます。
法令上、傷病(補償)年金と使用者による休業補償義務の関係が明示されたものが見つかりませんので、使用者の休業補償義務は免除されるのか、御教示いただけますよう、よろしくお願いいたします。(できれば、根拠となる法令・通知等もお願いいたします。)
スポンサーリンク
悩んでおられるポイントは「傷病(補償)年金は休業補償を含むのかどうか」ですね。
既にご自分の質問中に①「傷病(補償)年金は、休業が条件になっていませんので、休業していなくても受給できる場合があり、その点で休業(補償)給付とは性質が異なるため、休業補償では無いと考えることができます。」とあり、一方②「傷病(補償)年金の受給者が休業する場合、傷病(補償)年金は労働基準法第76条第1項に規定する休業補償に相当する給付に該当する、つまり使用者は休業補償義務を免除されると考えてよいのでしょうか?」とも書かれています。
傷病補償年金にせよ障害補償年金にせよ、等級により給付基礎日額の何日分という年金が給付されます。傷病補償年金は更に療養補償給付が加わります。①にある休業補償ではないとすれば、この年金支給は何に対しての年金支給だと思われるのでしょうか。補償給付にはそれぞれの意義があります。ここを調べれば理解できるのではないでしょうか。先の回答に療養補償給付を持ち出したのは、この意味を言いたかったのです。
村の長老様
再度御回答いただき、ありがとうございます。
なるほど、労基法の「休業補償」、労災保険の「休業補償給付」の他、健康保険の「傷病手当金」、雇用保険の「育児休業給付金」等もそうですが、その目的は「労働者の生活を保障する」ことですよね。
労災保険の「傷病補償年金」は、休業こそ要件になっていませんが、就労できたとしても就労に大きな制限がある状態であるので、傷病等級に該当する「労働者の生活を保障する」目的で支給されるものと考えられます。
「傷病補償年金」受給者が休業している場合は、休業中の「労働者の生活を保障する」目的で支給されていると考えれば、労基法の「休業補償」に相当する給付と考えられます。
法令に明示された支給の「要件」から考えていたので、どうしても判断できませんでしたが、条文に明示されていない制度の前提条件・目的から考えれば良かったのですね。やっと納得できました。
丁寧に説明していただき、ありがとうございました。
どのカテゴリーに投稿しますか?
選択してください
1~5
(5件中)
お知らせ
2024.4.22
2023.11.1
2023.9.1
スポンサーリンク
スポンサーリンク
[2022.7.24]
[2019.11.12]
[2018.10.10]