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企業法務

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一方的な土地賃貸借契約の解約

著者 インパスターレ さん

最終更新日:2009年08月13日 19:11

工場建物の土地を賃借しているケースです。現在、会社の経営状況が困窮しており、場合により事業譲渡も視野に入れて、支援者側との協議なども進んでおります。(現時点では、協議中であり、決定はしていません) 今回、地権者から、債権回収及び土地の使用に係る件で、問合せを受けております。
1.契約上、年払いで有るが、仮に破産となった場合、未回収が発生するため、既に7月までの賃料を一度、清算して欲しいの要請。 また、今後は、月払いをして欲しいの追加要請。
2.第三者の使用(事業譲渡した場合など)が前提であることから、現契約を解約したい要請。(7月末日の時点で、経営者より、事業譲渡をすることが説明されたことから)
尚、「事業譲渡」については、現時点でも支援者が白紙である。

1.については、支払い方の問題であり、協議する考えであります。
2.については、実際に事業譲渡となった場合はともかく、未だ白紙の段階(現在、協議中)であることから、本契約を一方的に解約することは契約に対し、反論したい考えであります。 また、第8条の4項より、「契約終了については、甲乙相互に一年の猶予期限を設けるものとする」とすることから、7月末日の時点で、「事業譲渡する方向である」の情報だけで第5条を行使することは契約に対し、反論したい考えであります。 このような対応で、地権者への回答と考えておりますが、「土地賃貸借契約」に関するアドバイスいただけますでしょうか。
追伸)近隣の慣習なのでしょうか。地価が年々下がる中、随時値上げが要求される土地風習であります。

=現在 締結している「土地賃貸借契約書」 (転記)=
賃貸人「甲」とし、賃借人「乙」として、当事者間において、次のとおり土地賃貸借契約を締結した。
第1条 甲は、後記記載の土地(以下「本件土地」という。)を乙に賃貸し、乙は、これを借り受け、賃料を支払うことを約す。
第2条 乙は、本件土地上に、後記記載の建物(以下「本件建物」という。)を建築し、所有することができる。
第3条 この契約の期間は、平成20年1月1日から、満参年とする。尚、賃貸借契約期間終了後更新することが出来るが、その際、甲から提示する賃料につき甲乙双方が合意することを条件とする。
第4条 乙は、この契約書調印と同時に、一坪あたり、金参千円の割合による権利金を、甲に対して支払うものとする。 2.地代は、年額○万円とし、賃料を、乙は甲に対し、十二月末日までに甲の指定する場所へ持参して支払う。 3.乙が、第一項の金員を支払わず、又、前項の賃料を、遅滞したときは、甲は、何らの催告なくして、この契約を解除することができる。
第5条 乙は、事前の甲の書面による承諾なくして、この契約により取得した本件土地賃借権を第三者に譲渡し又は本件土地を第三者に使用させてはならない。 2.乙は、事前の甲の書面による承諾なしに、賃借地の価値を減ずる様な工事をしてはならない。 3.乙が、第一項及び前項の定めに違反したときは、甲は、何らの催告なくしてこの契約を解除することができる。
第6条 天災地変、公用徴収等、甲及び乙いずれの責にも帰することができない事由により、本件土地が使用できなくなったときは、この契約は、失効するものとする。 2.前項の場合は、甲乙相互に、損害賠償の請求をしない。
第7条 乙が、本件土地を利用するについては、近隣との協調を保ち、他に、騒音、排気ガス等により、迷惑をかけないようにしなければならない。 2.乙が、前項の定めに違反したときは、甲は、何らの催告なくしてこの契約を解除することができる。
第8条 この契約が終了し、更新されないときは、乙は、直ちに、建造物の撤去並びに土地を原形に復した上、これを甲に返還しなければならない。 2.乙が、前項本文の義務を履行しないときは、甲は、乙の費用において、本件土地を原形に復することができる。 3.乙が、契約終了後、なお本件土地を使用するか、占有を解かないときは、その日数に対し、第4条第2項に定める賃料の倍額に相当する損害金を、甲に対し、支払わなければならない。 4.契約の終了については、甲乙相互に一年の猶予期限を設けるものとする。
第9条 甲及び乙は、誠実に、この契約履行するものとし、この契約に定めのない事項の生じたときや、
この契約各条項の解釈につき疑義を生じたときは、相互に、誠意をもって協議解決する。
上記の通り合意したので、本書二通を作成し、署名押印の上、各自一通を保管する。
以下、甲乙 押印欄。

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Re: 一方的な土地賃貸借契約の解約

著者外資社員さん

2009年08月14日 10:33

こんにちは
法人賃貸契約における、借り手側の立場での解約の正当性についての質問と解釈し回答します。

1.第三者への権利譲渡
契約の文面を拝見した所、事業譲渡の予定があるからと言って、現時点でそれを根拠に違反だという解釈にはずいぶんと無理があります。

2.経営状況の判断
多くの契約では、契約の(無条件)破棄の条件を定めます。
一般的には「破産、不渡り、犯罪行為、信用の毀損」などです。 もし、賃貸契約にそうした規定がないのならば、書き込みの範囲では該当する事項が無いと思いますが、如何でしょうか?

3.リスク分担の考え方
賃貸のリスクは、貸し手のみではなく、借り手にもあります。 法人契約では、最低でも6カ月以上の敷金が通常で、家主が倒産し競売になれば、敷金が戻らないリスクがあります。 そうした点では、借り手も貸し手も同様にリスクを負っていて、それを担保するのが上記2の解約条項です。

今回 その条項がないことでは、双方がリスクを負っています。 たまたま、借り手が不安な状況で、該当する条項がないことで、無理やり拡大解釈をしているようにも思えます。

4.法人が変わる場合の賃貸契約の継承
基本的には、家賃を払っている借り手を強制的に追い出すことはできません。 法人が吸収、合併した場合でも、賃貸契約は存続されるとの判例が出ています。

事業売却となれば、再契約となりますが、それまでは契約は存続すると思います。もちろん家主側には必要な情報を入れるのは信用の面で重要ですが、契約破棄理由となれば もっと根本的な条件が必要と思います。
ですから、書き込みの範囲では、あまり不利な状態ではないと思います。

Re: 一方的な土地賃貸借契約の解約

著者インパスターレさん

2009年08月14日 11:02

著者 外資社員 様

的確な回答戴き、大変ありがとうございます。
参考になりました。
週明けに、地権者と再度、協議をする考えです。

ちなみに、この地権者は、弊社の従業員でもあり、非常に複雑な関係で
あります。
今回は、会社の経営状況など、従業員に周知説明をし、現在の方向性について話し合った直後に、今後は地権者として権利主張をしてきました。 工場は田舎であって、周囲は、民家に囲まれてます。
また、工場用地の土地は別の地権者からもお借りしている都合上、
本来であれば、みな同一の条件で説明及び対応も行うべきとも
考えております。
従業員であり且つ地権者であるが故に、事前に知りえた情報を持って、今回のように交渉してきた経緯があります。

いずれにせよ、双方協議の上として話し合いを続けて行くしか方法は
無いと考えておりますので、 ご回答くださった内容を元に、進めたいと思います。

ありがとうございます。

Re: 一方的な土地賃貸借契約の解約

著者外資社員さん

2009年08月14日 12:14

インパスターレさん


> ちなみに、この地権者は、弊社の従業員でもあり、
なるほど、何故会社の状況を知りえたか不思議に思っていましたが、そのような理由ですか。

個人の判断はグレーですが、未公開の会社業績や予定は守秘情報ですから、それを他の地権者に話すことは守秘義務違反であることは言っておいた方が良いかもしれません。
貴社から、適切な時点で話される予定があるならば、個人の開示情報では誤解される危険がありますので、尚更と思います。

基本は、すでに書いた通り、賃貸契約の解約条項と思います。 それに該当することがない限り安心できるように思えます。 解約条項があっても、破産、不渡りなど明確に判断出来る事項でない場合には、契約解除には第三者でも納得できるような明白な状況が必要と思います。
そのように判断されたら如何でしょうか。

Re: 一方的な土地賃貸借契約の解約

著者インパスターレさん

2009年08月14日 12:41

外資社員 様

拝受致しました。
前段のアドバイスに沿って、交渉進めてみます。

追伸)
以前から、被害者的意識(私は地権者だが、それに似合った対応がない)を持たれているようで、 直近でも、現行の約4倍の地代値上げの要求など、土地を貸さなければ工場操業できないだろう の一点張りで、足元見ながらの交渉になっているのが現実です。

アドバイス 参考になりました、
ありがとうございます。

Re: 一方的な土地賃貸借契約の解約

著者外資社員さん

2009年08月14日 13:39

>以前から、被害者的意識(私は地権者だが、それに似合った対応がない)を持たれているようで、 直近でも、現行の約4倍の地代値上げの要求など、土地を貸さなければ工場操業できないだろう の一点張りで、足元見ながらの交渉になっているのが現実です。

賃貸には仲介はいないのでしょうか?
仲介がいたのならば、それ以外の直接交渉はしないのも対応方法と思います。 仲介は、世間相場も、賃貸契約の重さも判っていますので、無体な要求には説明をするでしょう。

>約4倍の地代値上げの要求など
世間一般の相場では、現在は借り手相場です。
借り手が多い人気の土地ならば、地権者が強気になるのも判りますが、その点は如何でしょうか?

人気の土地だろうが、現在の借り手が出て、募集をし、新たな借り手が出てくるまでは、収入はありません。
そうした見えない費用を判っていないのならば、単なる世間知らずでしょう。

賃貸契約では、家賃を払い契約の義務を果たす限り、借り手の権利は借地借家法で守られています。
従業員でならば、就業時間中には、交渉は出来ないはずです。 従業員であることと、地権者であることは別人格ですから、その点の区別を付けてもらった方が良いでしょう。

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