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【経営者必見】ダイバーシティ経営とは?中小企業で推進するメリットや実現方法も解説

2023.02.24

先日、奈良県主催のデジタルメッセというイベントで中小企業でのDX推進方法や、女性の雇用活性化についてお話してまいりました。筆者としては地方創生の大目的はあくまでもGDP(国内総生産)向上と考えております。そして、現在思うように所得を上げられていない方々が稼げるようになる取り組みこそGDP向上につながると信じております。ゆえに筆者は、思うように就業機会の得られない子育て中の女性や障がいを持たれている方々の所得向上策を、常に提唱しているのです。

ありがたいことに、この時にお会いした社会活動家の方から「ダイバーシティ経営の実現に向けて大変素晴らしい講演でした」とのお褒めの言葉をかけていただきました。実は筆者としてはダイバーシティ経営という概念をとくに意識したことはなかったのですが、確かにダイバーシティ経営の目指すところと重なる点が多いと感じました。その様なご縁もありましたので、今回はダイバーシティ経営についてご紹介したいと思います。


ダイバーシティ経営とは

経済産業省の定義によりますと、以下のように説明されています。

ダイバーシティ経営とは❝多様な人材を活かし、その能力が最大限発揮できる機会を提供することで、イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営❞

❝多様な人材❞とは、性別、年齢、人種や国籍、障がいの有無、性的指向、宗教・信条、価値観などの多様性だけでなく、キャリアや経験、働き方などの多様性も含みます。❝能力❞には、多様な人材それぞれの持つ潜在的な能力や特性なども含みます。❝イノベーションを生み出し、価値創造につなげている経営❞とは、組織内の個々の人材がその特性を活かし、いきいきと働くことのできる環境を整えることによって、自由な発想が生まれ、生産性を向上し、自社の競争力強化につながる、といった一連の流れを生み出しうる経営のことです。

【参考】ダイバーシティ経営の推進 / 経済産業省

ダイバーシティ経営を目指す意義

なぜ今ダイバーシティ経営が求められるのかについては、経済産業省の記事に大変よくまとめられており、大きな要点は以下になります。

①多様化する顧客ニーズを的確に捉え、新たな収益機会を取り込むためのイノベーションを生み出すこと
②急激な環境変化に柔軟かつ能動的に対応し、リスクをビジネス上の機会として捉え機動的に対処すること
③国内外の投資家からも、❝持続可能性❞(サステナビリティ)のある投資先として信頼されることなど

【参考】価値創造のためのダイバーシティ経営に向けて / 経済産業省

少し一足飛び感があるので、一つひとつ噛み砕いていきましょう。それぞれを具体的にお話しすると、①は、進みつつある社会変化も踏まえて社会的に❝いろんな人が普通にいる❞状態を企業の中にも上手に反映させることで、市場のニーズを社内からも自然と感じられるようにする。②は、個々人の事情/制約を踏まえて協働できる環境整備を常態として進めておくと、コロナ禍のように❝これまでのやり方❞が通じなくなるような場合に備えておくことにもなるし、働き方を柔軟に進化させることがうまくできる組織になれる。③は、そんな企業は市場の変化にも不測の事態への対応にも長けているので、安心して投資できる企業としての評価を得やすい、ということです。

一般的に、筆者も含めて人間は、できるだけ快適な場所に留まりたいという思考に偏りがちですが、組織内が安住の地として快適であったとしても、市場や事業環境は時代の流れを止めて待ってはくれません。常に社会の変化やニーズにアンテナを張りつつ、外部に対して遅れを取らないような価値観や文化を社内に醸成することを心がけていただきたいです。

この論点については以前の記事でもご紹介したテーマですので、詳細は以下の記事をご確認ください。

【もっと詳しく】10年前と変わっていないのは危険!? 「ビジネスモデルの変革」はどんな企業に必要か

ダイバーシティ経営を実現する方法

では、どんな取り組みをどの様に進めたらよいのかについて解説していきます。これも経産省の資料によくまとめられているものをまずご紹介します。この資料では取り組みの骨子としての❝三拍子❞が提唱されています。

①経営者の取り組み
②人事管理制度の整備
③現場管理職の取り組み

【参考】~3拍子で取り組む!~ 多様な人材の活躍を実現するために 多様な人材の活躍を実現するために / 経済産業省

①経営者・③現場管理職の取り組みについて

まず①で提唱されるように経営者自ら、多様な人達が一緒に働く環境をつくることの意義と事業価値を明示した上で、その事業理念・計画をしっかり社内に浸透させる必要があります。これは心理的安全を含んだ就業環境の実現という点においては、管理職までの取り組みでは不十分です。多様な価値観や生活環境を受容できないような雰囲気を社内に残置したままでは、有給休暇制度は存在しても周りの無言の圧力で有給休暇を思うように取得するのがストレスになる、といった状況が放置されることになってしまいかねません。

筆者は①と③は密接に連携すべきと感じています。その背景は以前の記事でもご紹介いたしましたので以下をご参照ください。

【意識改革についてもっと詳しく】経営者の意識が変わるだけじゃダメ。従業員の意識改革を成功させるポイント4つ

ダイバーシティ経営を実現することで期待される効果として人材不足に対する解決策の一つということがしばしば論じられますが、そういった取り組みの一つひとつが事業の継続性や価値向上に貢献し、そして従業員みんなに対するメリットにつながるというところまで丁寧に示す必要があります。

②人事管理制度の整備

②の論点については、以前に以下の記事にてご紹介しました。こちらの記事を執筆したきっかけはコロナ禍という状況においての検討でしたが、そもそもの議論として企業の人材活用のあり方について踏み込んだ記事となっています。❝自社ではリモートワーク・テレワークは無理❞という発言が思考停止・思考硬直のサインだとお考えください。必ず何か手を打てる領域はあります。一方で手を打つことがすぐには難しい領域もありますが、それは❝現時点では❞に過ぎません。時期は必ず来ますのでその好機を逃さない考え方が日常から求められます。詳細は以下をご参照ください。

【コロナ禍の中小企業の経営課題について詳しく】リモートワークの弊害をどう乗り越える?コロナ禍で露呈した中小企業の経営課題

DXなどの事業の改革・革新は必ずしも大きな資金や特殊な人材を必要とするものではありません。常日頃の意識と地道な積み重ねが最も肝要です。変化はビッグバンのようには起きないということを念頭に日々の改善を積み重ねていただきたく思います。❝うちではDXなんて無理だよ❞というご意見も多く伺う場面を思い起こしながら、以下の記事もご紹介いたしましたので、ご参照ください。

【中小企業のDX推進に関してもっと詳しく】「IT人材がいない、採用も難しい」中小企業が低コストでDXを進めるためには

企業の規模とダイバーシティ経営

先日とある女性経営者が「自ら女性を雇用する際は躊躇してしまう現実がある」という意図の発言をSNSでされて注目されていました。これは決して思想や価値観としておっしゃったものではなく、資金や環境面が厳しい企業にとっては、余裕を持った人員計画を踏まえた運営が難しいということを訴えたのだろうと拝察します。余裕がない企業にとっては、福利厚生を充実させるためのハードルも少なからずあり、ましてや環境整備を伴ったダイバーシティ計画などは、現時点では実現可能な施策としては考えられないということがご主張だったのだろうなと考えます。もちろん、事業継続が前提で経営者は日々の事業運営に取り組んでおられますから、そのような気持ちになってしまうことは想像に難くありません。

自社のフェーズを切り分けて考える

ここで大切なのは、このような考えが是か非かという問題ではありません。

創業した企業が事業として安定するまではそれなりの年月を必要とする場合がほとんどです。安定期までたどり着いた企業についてはしっかりと将来を見据えて社内環境の整備に取り組んでいただきたい。ですが、まだその余力が伴っていない段階の事業では環境整備に全力を傾ける余裕は無く、どうしても必要最低限にとどまってしまうことが現実では多いです。新しいビジネスを興していくためにはこういった創業期、そして変遷期も必要です。

ここをしっかりと切り分ける必要があると筆者は考えております。創業の理念に共感して道を拓くための事業フェーズと、事業を安定させ事業規模を拡大させた上で、就業の場としての環境整備を行うことができるフェーズとでは、別の性質の組織だと考えねばなりません。

【こちらもおすすめ】創業期、成長期、成熟期…中小企業の成長ステージ別!よくある課題と解決方法

よりよい会社を作っていくためには

一つだけ忌避しなければならないのは、ある程度稼げる段階になったところで経営者が安心してしまい、社内の改革が利益配分面にとどまり、さらなる改革に挑まなくなってしまうことです。社会に存在を必要とされる企業になるには、まさに先述したダイバーシティ経営を目指す意義についても貪欲に達成してもらいたいと考えます。経営を担う責務として、さらなる事業の安定と拡大を目指しながら魅力的な働く場所を創出し続けていただきたいと考えます。

【こちらもおすすめ】人材不足時代「従業員の心身の健康」が最重要?ウェルビーイング経営のすすめ

*EKAKI, Graphs, saki, マハロ, jessie / PIXTA(ピクスタ)

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