
中小企業でも取り入れられる「出向」の条件や労務管理に関するお悩み
「『出向』は大企業だけの話、自社には関係ない」と考えている方もいるかもしれませんが、中小企業でも出向を取り入れることは可能です。
実際、それは経営の選択肢の一つとして考えられます。
ただし、会社ごとに異なる勤務体系や規則があり、普通の人事異動とは手続きが異なるため、導入しても対応方法や取り扱いの考え方について悩むことがあるかもしれません。
今回は、出向対応に関する悩みをまとめました。出向を行っている企業や出向に興味がある企業の皆さん、ぜひご一読ください。
1.他社へ在籍出向となった場合、賃金や休日はどう扱ったらいい?
質問日:2024年2月1日
◆質問内容(一部抜粋)
(前略)
他社へ在籍出向となった場合のことです・・・。
①出向条件は対象部署(出向者以外)への開示は必要ないでしょうか?
(経営陣が開示する必要がないと言っていますが、行く可能性がある人は不安とのこと)
②出向期間は月単位ですが、在籍会社カレンダーが休日、出向先が出勤日の場合、
休日出勤?通常出勤?
そのことについては出向条件に定める(条件のルール化)必要はありますか?
出向先のほうが年間休日数が少ないため
③出向先が稼働日設定だが一斉年休取得日、出向者は有給休暇取得することになるのでしょうか?有給休暇がない場合は欠勤?休業補償(60%)となるのでしょうか?
◆総務の森に寄せられた返信はこちら
回答①
(前略)
1.
本人には条件などの連絡は必要ですが、本人以外に雇用契約の内容を開示する必要性はないでしょう。2.
> 出向先のほうが年間休日数が少ないため出向先と相談になるでしょうが、貴社の休日に勤務することになりますから、その労働に対して出勤した相応分の賃金の支払いは必要でしょう。
3.
締結されている労使協定の内容によるでしょうし、有給休暇の管理をどちらの会社が行うのかにもよるでしょう。貴社が有給休暇の管理を行うのであれば、休業手当を支払うか、その日は貴社で労働するなどの考え方があるでしょう。
出向先が管理するのであれば、労使協定に記載があるかなと思います。
回答②
まず、出向そのものをさせられるのかどうか?
1.就業規則に「出向を命じることがある(できる)」(包括同意)
2.就業規則に記載がないので、出向予定者に同意を得てから行う(個別同意)出向元と出向先で勤務時間等、労働条件が違っている場合には「出向条件を決めて覚書や協定書」を作成する。
ある程度の企業規模だと、毎月社内通達等で人事異動内容を公表するはずなので、入社、退職、休職、出向などは全社的に知ることになります。
今の会社は規模が小さいので、社内通達は殆どしていませんが…そんな感じか…出向なので、出向先の指示に従って勤務するわけですが、休みの問題で休業補償の60%になったという経験はなかったですね。どちらの会社が負担するにしても、労働者に渡るのはあくまでも100%でした。
出向元と出向先の力関係で、労働条件は若干変わってきますが、出向に当たっては、出向する労働者にとって不利益が被らないように休み等は調整するのが一般的だと思っています(調整できない部分は出向元か出向先の負担で対応。出向はあくまでも会社都合なので、労働者には迷惑をかけないということになりますよね)
>相談元やほかの返信はこちら
総務の森<相談の広場>『出向について』
2.短期出向している社員が短期で在籍会社へ戻る、この時の契約はどうしたらいい?
質問日:2022年8月29日
◆質問内容(一部抜粋)
(前略)
A社からグループ会社のB社へ出向している社員(以下「出向者」)がいます。
その出向者が、製造応援でA社へ1ヶ月半短期出向しています。
原則的には1度出向解除を行うのが正しいようですが、既に出向応援に
行っている様です。
通常「短期出向契約」を締結し、給与や社会保険等の詳細及び人件費を明記しています。
しかし、今回の場合は、出向者の原籍会社に出向の為、「短期出向契約」を締結するのもおかしな話なのかと思っております。
「短期出向契約」以外に何か残せる書面はないでしょうか。また、人件費ですが職掌で日額が決まっています。
ネットでみると出向者の出向期間分の給与及び交通費などを出向先に請求という
やり方が多いようですが、当社は日額×出向日数を出向先に請求しています。
このやり方も特に問題はないのでしょうか。(後略)
◆総務の森に寄せられた返信はこちら
回答①
お話のケースは、精密製品、販売会社などでは起きる現象でしょう。
例えば、A社’(親会社)計画立案、販売など。
B社(子会社)計画立案により、製造がメインとします。
A社の社員が計画立案から製造に関する管理監督責任を負い出向したとして、出向状態のままB社から販売先に製品の設置か稼働に至るまで出向などをさせることもあります。
ただほとんどが、原則A社からの指示命令などで行うことが多いでしょう。
ただ、この場合は出向ではなく派遣ともみなすことがおおいとおもいます。やはり一つには、出向者の労務管理責任などが問題となりますから、考えとしては、A社との協議の上新たな命令が必要だと思います。
(後略)
回答①への返信
おはようございます。
ご回答有難うございます。
職種によってはよくある話なのですね。
その場合も都度短期出向契約書を作成する必要があるとなると大変ですね。(後略)
>詳しくはこちら
総務の森<相談の広場>『出向者の短期出向について』
『出向』の基本的なポイントを押さえる!「出向による従業員シェア」手順や注意点とは?
出向は、グループ会社や関係会社がある一定規模の企業では行われているものの、そうではない中小企業ではあまりなじみがないものと思われます。しかし、そのメリットは幅広く、中小企業の経営者の方にもぜひ知っておいてほしい経営の選択肢の一つでもあります。
“出向”の手順と注意点について解説いたします。最後にマッチング支援の情報も掲載していますので参考にしてください。
詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『休業中の従業員に活躍の場を!中小企業が注目したい「出向による従業員シェア」の手順と注意点』
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