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地方発、品質世界一以外は販売しないマニーの開発力!

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       シリーズ「優れた経営者のコンピテンシーを学ぶ!」

<第323回>[(第21話)「地方発、品質世界一以外は販売しないマニーの開発力!」

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「優れた経営者の
コンピテンシーを学ぶ!」と題して様々な角度から鋭く分析した記事を紹介して
いきます。中小企業の経営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読
みいただきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論
1.地元では有名なのに謎の会社!
2.利益率40%、13期連続増収増益!
3.当社がやってはいけない五カ条!
【3】今日のまとめ
【4】編集後記

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手術の現場で絶大な信頼を勝ち得ている縫合針や眼科ナイフを製造販売している
「マニー株式会社」という中小企業が宇都宮市郊外にある。

国内を例に取れば手術針のシェアは90%、眼科ナイフのシェアは60%、歯科
根幹治療器具のシェアは90%を確保している。後から参入してシェアを奪って
きた結果だ。

足利赤十字病院の望月吉彦医師は27年のベテラン心臓外科医だ。「マニーの縫
合針は思うところに針が入って針が出て行く。針の切れ味が抜群にいい」と絶賛
する。

聖隷浜松病院の眼科医、尾花明医師は「3年前にマニーの眼科ナイフを試したら
切れ味が良かったので切り替えた」と高く評価する。その一方で南青山アイクリ
ニック東京の眼科医、井手武医師は眼球にナイフが入るときの切れ味は大事だが
「プチュッ」という抵抗感覚が欲しいと微妙な要求をする。このような微妙な要
求にも応えるのがマニー流だ。

目指すは品質世界一。ラオスに検査専門の工場があり、厳しい検査をする。何し
ろ東南アジアの人たちは視力がいい。少しの欠点も見逃さない。だからわざわざ
ラオスに検査専門工場を立ち上げた。

今回は「マニー株式会社」の松谷寛司会長の品質世界一の「商品開発力」なるコ
ンピテンシーに迫ってみる。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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世界中に品質世界一のものだけを供給したい。当社が世界一でないなら他社製品
を流通させるのが世のためだ。

                           松谷貫司

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【2】メルマガ本論

[(第21話)地方発、品質世界一以外は販売しないマニーの開発力!]

1.地元では有名なのに謎の会社!

栃木県宇都宮市郊外にマニー株式会社の本社工場がある。テレビ東京の取材陣が
地元の人にインタビューしたところ「世界にも商品を出している会社だね」、
「わが栃木県が誇れる世界的企業だよ」などと答えてくれる。その一方で「マニ
ーさんねぇ、何をやっているか全然分からないなあ」という答えも返ってくる。

世界中に商品を出している会社だから「松谷製作所」では現地の人は言いにくい。
短く「マニー」と命名したのだそうだ。

前述の足利赤十字病院の心臓外科医である望月医師は一回の心臓手術でおおよそ
100本の縫合針を使うという。我々一般人が購入する針ではないため、地元で知
名度はあるのに謎の会社になってしまっている。しかし知る人ぞ知る超優良企業
なのである。


2.利益率40%、13期連続増収増益!

縫合針も眼科ナイフも歯科根幹治療器具も原材料は全て針金。針金を切断して切
削したり研磨してり、曲げたりして製品に仕上げる。ハイテク設備は導入されて
いるようには見えないがほとんど松谷会長が考案した極秘の製造設備で加工して
いる様子だ。例えば切断した針金を束ねて機械に掛ければ数秒~数十秒で先端が
加工されるというわけだ。針先やナイフの切れ味に関する品質は世界一。当社に
は「世界一か否か会議」というのがある。他社製品と機能や性能を比較検討し世
界一と判定されたもの以外は販売しないことを徹底している。これがマニーの社
員の開発力なるコンピテンシーを磨かせる仕組みだ。

全ての社員に世界一が義務付けられているからみんな必死だ。粘り強く寝ても覚
めてもアイディアを絞る。「世界一論文」を書いて審査に合格しなければ昇給も
昇格もないという。やりがいがあるから社員が成長し結果として会社が成長する
というわけだ。

製品売価に対する材料費比率はたったの1%で営業利益は38~40%確保して
いる。センサーのキーエンスという会社の50%には及ばないが任天堂の30%
のはるか上を行く。

大量生産ならもっと合理化することができるが同じ手術目的の縫合針でも医師に
よって好みが違うからいきおい品種は増えてしまう。頭の先から足の先まで人体
の表面と内部に使う縫合針が医師の好みによって細分化される。商品のアイテム
管理だけでも大変な仕事量になる。そんな中での営業利益率38~40%は優秀
だ。それにもかかわらず決して価格が高いわけではない。例えば一番安い手術針
は一袋2本入りで200円だから1本100円だ。


3.当社がやってはいけない五カ条!

松谷貫司会長は二代目。父正雄氏が創業者だ。父から「縫合針以外に売上げの柱
を作りたいが何かないか」と言われて手術用のメスを思いついた。莫大な設備投
資をし、試作品を作ったが競合他社に勝つことができず大損をこいて終わった。
勝てなかった相手はかみそりメーカーだったのである。針金の技術しかなかった
のに鉄板に手を出したことが失敗の原因だった。

そこでマニーでは二度と同じ失敗をしないために「やってはいけない五カ条」を
確立した。

□ 医療機器以外はやらない。
□ 保有技術のない製品はやらない。
□ 世界一の品質以外は目指さない。
□ ニッチ市場(世界1,000億円以下)以外はやらない。
□ 世界中に販売できるもの以外はやらない。

何をやるかを決めるよりも何をやらないかを決めておくほうが理解しやすいし守
られやすいと松谷会長は言う。



【3】今日のまとめ

1.マニーでは世界中に世界一の品質の製品だけを供給するというミッションを持
  っていること。

2.例えば医師から切れ味抜群の評価をもらえるような縫合針や眼科ナイフを開発
  し、世界中に販売していること。

3.松谷会長が開発した極秘設備が威力を発揮しているからマニーの技術やノウハ
  ウはガードされていること。

4.他社製品を徹底的に研究し勝てる製品、世界一になれる製品であることを検証
  し、生産販売すること。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp



【4】編集後記

眼科ナイフの刃先は平べったくなっていて一見鉄板で加工したように見えるが実は
針金から加工している。保有技術のない製品であるメスに手を出して失敗したが、
針金から作るナイフではシェアを60%も占めるまでに成長した。得意分野で勝負
することが勝ちにつながり社会貢献にもなると松谷会長は強調する。

このマニーのやってはならない五カ条の発想は大いに参考になる。

<この記事はテレビ東京の2010年1月放送の「カンブリア宮殿」も参考にしています。>

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=


次回に続く。

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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
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