こんにちは。社会保険労務士の田中です。
「 給与計算の『勘所』 」では、給与計算で直面する、
さまざまなイレギュラー事態への、対処方法をお伝えしていきます。
日々のお仕事のご参考にして頂ければ幸いです。
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今回は、賞与の支給月に退職した従業員がいる場合に、
社会保険料の控除で注意すべき点をお伝えします。
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給与と同様に賞与からも社会保険料を控除します。
しかし、賞与が支給された月に退職した場合は控除しません。
より正確に表現すると、
『社会保険の資格喪失月に支給された賞与からは、社会保険料を控除しない。』ということです。
分かりにくいので例を挙げて説明します。
例えば、ある会社では、12月20日の賞与支給にむけて、
現在、担当者が賞与計算をしているとします。
さて、同社のAさんは、12月30日に退職する予定です。
この場合、資格喪失日は12月31日、資格喪失月は12月となります。
したがって、資格喪失月に賞与をもらうことになるので、社会保険料は控除しません。
同じくBさんは、12月31日に退職する予定です。
この場合、資格喪失日は1月1日、資格喪失月は1月となります。
Bさんは、賞与をもらう月が資格喪失月ではないので、社会保険料は控除します。
AさんとBさんは、退職日に1日しか差がないにもかかわらず、賞与から控除する社会保険料の取り扱いが異なります。
この事を日本年金機構ではHPで次のように説明しています。
分かりやすい表現なのでご紹介します。
『退職月に支給する賞与は、月末に退職する場合を除き、保険料控除の対象となりません。』
さて、もしもAさんの賞与から誤って、社会保険料を控除してしまったらどうすれば良いでしょう。
この場合は控除した社会保険料を現金で返さずに、必ず給与データに反映させて下さい。
反映させないと正しく年末調整ができません。
具体的には、まだ最後の給与支払がある場合はその給与において、
控除項目にある社会保険料の欄に、返した金額をマイナス入力してください。
(控除項目でマイナスをたてるので、本人への差引支給額は増えます。)
もしも給与支払がない場合は、給与計算ソフトの年末調整機能などで別途に入力してください。
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従業員にとって大事な給与です。ミスのない給与計算をしましょう。
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社会保険労務士 田中事務所 田中理文
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