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テレビ台の形態と不正競争防止法

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第136号 2014-11-25
(旧 石下雅樹法律・特許事務所)

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弊所取扱分野紹介(契約書作成・契約書チェック・英文契約
http://www.ishioroshi.com/btob/jisseki_keiyakub.html
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http://www.ishioroshi.com/btob/jisseki_honyakub.htm
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1 今回の判例 テレビ台の形態と不正競争防止法
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大阪地裁平成25年9月19日判決

 A社は、特徴的な機能を持つテレビ台を製造販売していました。
その特徴とは、上下に重ねる2つの箱の水平方向の位置関係を変え
ることによって、様々な形態に変更できるというものでした。

 商品の写真(判決文から引用)は、以下からご覧ください。
 http://www.ishioroshi.com/biz/topic/topic2014-11-25/

 そして、A社はB社に対し、B社の商品の形態がA社の商品の形
態に類似するなどとして、製造・販売等の差止などを請求しました。



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2 裁判所の判断
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 裁判所は、以下の各点を含む事情を総合考慮して、請求を棄却し
ました。

● A社の商品は、特徴的な機能を有するものの、その形態が機能
に基づくものであり、平成22年1月までには、既に、他社のテレ
ビ台が同様の機能に基づく形態上の特徴を有していたことを考える
と、形態自体によって特別顕著性を取得していると考えるのは困難
である。

● A社商品の販売実績、広告宣伝の状況、購買状況等を考えても
A社商品の形態が、「商品等表示性」を獲得するに足りるだけの周
知性を獲得していると認めることはできない。

● 以上から、B社商品とA社商品の形態が類似しているか否かに
かかわらず、A社の請求には理由がない。



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3 解説
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(1)商品デザインの保護と不正競争防止法

 自社の商品が第三者によって模倣されたり、第三者が自社商品と
非常によく似た形態の商品を製造販売するといったケースが考えら
れます。この場合、商道徳上は別として、法律上、当然に違法とな
るというわけではありませんが、不正競争防止法によって違法とさ
れることがあります。

 不正競争防止法が他人の商品の形態と類似の商品の製造販売を規
制する場合とは、大きく分けると次の2つです。

a)「混同惹起行為規制(不正競争防止法2条1項1号)」
b)「商品形態模倣行為(同上2条3号)」

 本件で問題となったのは、前者です。以下前者について簡単に解
説します。


(2)商品デザインの保護と混同惹起規制行為

 不正競争防止法2条1項1号は、「他人の商品等表示として需要
者の間で広く認識されているものと同一・類似の商品等表示を使用
し、他人の商品または営業と混同を生じさせる行為」を不正競争行
為として禁止しています。

 この規定から分かるように、単に他人の商品と似ているというだ
けで、商品の製造販売が規制されるものではなく、商品の形態が非
常に特徴的で、需要者(この商品の取引に関わる人々)が、この特
徴的な形態を見ると、特定の会社の商品であると分かる程度に知ら
れていること(周知性)が必要となります。


(3)商品形態の決定と企業戦略

 以上のとおり、不正競争防止法による商品形態の保護には一定の
要件が必要ですので、重要な商品形態の保護を考えるのであれば、
意匠登録が望ましいといえます。もっとも、意匠登録にも、一定の
要件(新規性、創作非容易性等)がありますから登録ができないケ
ースもあります。

 そして、不正競争防止法2条1項1号による商品形態の保護を検
討するにあたって1つのハードルとなるのは「周知性」の立証です
。そしてそのためには、普段の証拠の収集と保存が大きくものをい
います。

 この点、自社製品について、周知性についての主な立証手段とし
ては以下のようなものがあります(以下は例示です)。

 ● 販売期間・販売数量・販売地域の資料
 ● 売上高の資料
 ● 市場シェアの資料
 ● 他社製品の形態についての資料
 ● 販売店数・インターネットサイト数・閲覧量等
 ● 新聞・雑誌・書籍・テレビ・ラジオ・イベント・インターネッ
  トにおける当該製品が取り上げられた事実・資料(多ければ多
  いほどよい)
 ● 広告宣伝費の金額、宣伝・広告の地域・量・内容に関する資
  料(多ければ多いほどよい)
 ● 需要者に対するアンケート調査

 以上のような資料は、紛争が生じてから収集できるものもあるか
もしれませんが、そうではないものもあるでしょう。そのため、い
ざ紛争が生じたときの立証手段に窮し、受けられるべき保護が受け
られなくなる、といった事態が生じるかもしれません。

 この点、普段の業務過程で生じる資料を保存しておくことが、ま
た、関連部署間の連携をスムーズにして資料を活用しやすくするこ
とが、そのような事態をできる限り防ぎ、自社の正当な利益の保護
につながることになるかもしれません。



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4 弊所ウェブサイト紹介~不正競争防止法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した不正競争防止法については

  http://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/fukyouhou/index/

において解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。



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本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。

ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛

メールでお申出ください。
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【編集発行】
弁護士法人クラフトマン (旧 石下雅樹法律・特許事務所)

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〒221-0835 横浜市神奈川区鶴屋町3-32-14 新港ビル4階
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弊所取扱分野紹介(リーガルリサーチ・法律調査)
http://www.ishioroshi.com/btob/jisseki_legalresearchb.html

顧問弁護士契約顧問料)についての詳細
http://www.ishioroshi.com/btob/komon_feeb.html

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