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キャッチフレーズの法的保護

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ビジネスに直結する実践的判例・法律・知的財産情報
弁護士法人クラフトマン 第153号 2015-07-07

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1 今回の判例     キャッチフレーズの法的保護
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東京地裁平成27年3月20日判決

 英会話教材を販売するA社は、同じく英会話教材を販売するB社
に対し、A社が販売する教材に関するキャッチフレーズが盗用され
たとして、差止請求損害賠償請求をしました。

 A社が盗用と主張するキャッチフレーズは、「音楽を聞くように
英語を聞き流すだけ 英語がどんどん好きになる」といったフレーズ
を含む数個のフレーズでした。



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2 裁判所の判断
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 裁判所は、以下のとおり判断し、差止請求損害賠償請求のいず
れも否定しました。なお、A社は民法不法行為も主張しましたが、
今回は省略します。

● 「音楽を聞くように英語を聞き流すだけ 英語がどんどん好き
になる」というキャッチフレーズは、平凡かつありふれた表現であ
るから、著作物とは認められず、著作権法で保護されるものではな
い。

● 商品等表示として不正競争防止法上保護されるためには、長期
間にわたる使用や広告、宣伝等によって、当該キャッチフレーズが
特定人の営業を表示するものとして需要者の間に広く認識され、自
他識別・出所表示機能を獲得するに至っていることが必要である。

● この点、「音楽を聞くように英語を聞き流すだけ 英語がどんど
ん好きになる」というキャッチフレーズは、A社の広告の見出しの
中でキャッチフレーズの一つとして使われているにすぎず、需要者
は「スピードラーニング」という商品名をもって他の同種商品と識
別しているから、当該キャッチフレーズがA社の営業を表示するも
のとして需要者の間に広く認識され、自他識別・出所表示機能を獲
得するに至っているとはいえない。



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3 解説
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(1)キャッチフレーズの法的保護

 企業が自社やサービスのイメージを表すためにキャッチフレーズ
を打ち出し、宣伝に使用することは多いと思います。せっかく考え
たキャッチフレーズを競業他社に真似されたくないと考えるのは当
然です。では、キャッチフレーズは法律上何らかの手段で保護され
るのでしょうか。

 この点、今回の事例でも結論的に著作権法、不正競争防止法とも
否定されたことからも分かるように、良いか悪いかはともかく、一
つの現実として、キャッチフレーズは法的に保護されにくいもので
ある、という点は頭に入れておく必要があるように思います。それ
は、多くのキャッチフレーズが、商品やサービスの宣伝のためにそ
の特徴を短く表現しようとするものであり、表現そのものに著作物
といえるほどの「創作性」が認められることが少ないためです。

 もっとも、だからといって、他社のキャッチフレーズを安易にそ
のまま模倣してよいというわけではなく、こうしたことは避けるべ
きかと思います。というのは、裁判所は、厳密な意味では著作権や
他の特定の権利で保護されないような場合も、社会通念上許容でき
ないような「フリーライド」(他者の知的成果物へのただ乗り)に
ついては、民法上の「不法行為」として違法と判断することがある
からです。

 この点、キャッチフレーズではありませんが、新聞社・通信社が
「Yahoo」に有料配信している記事の「見出し」を無断利用し「一行
ニュース」として配信していたケースで、裁判所が不法行為と判断
した例があります。本稿において過去に取り上げましたので、ご参
照ください。
  参考 http://www.ishioroshi.com/biz/topic/topic171010/



(2)商標による保護の可能性

 他方、一部のキャッチフレーズについては、商標として出願・登
録できる可能性があり、この場合、他社の当該キャッチフレーズの
使用について、商標権侵害を主張できる可能性もあります(ただし
使用方法によります)。

 もっとも、商標の場合、いわゆる記述的商標(商品やサービスの
内容や品質など一定の状態を普通の方法で記述する商標)が、原則
として商標登録を受けることができない、とされていることを考え
ると、キャッチフレーズの商標登録についてもハードルが低いわけ
ではありませんが、検討の価値はあると考えられます。

 例えばこの点、以下の商標は、キャッチフレーズ的な商標の登録
例といえるかもしれません。

  「元気ハツラツ」(商標第4882442号)
  「Inspire The Next」(商標第4574995号等)
  「The Power of Dreams」(商標第4599911号)
  「子供達に日々希望と感謝の祈りを」(商標第3332419号)
  「お口の恋人」(商標第2080086号)

 それで、あるキャッチフレーズが、商品又はサービスとの関係で
単なる販促活動に用いられるためのフレーズにとどまらず、他社と
の区別が可能な識別力のある「印」として認識されるような独特の
個性あるフレーズなら、商標登録による保護を考えてもよいかもし
れません。


 
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4 弊所ウェブサイト紹介~商標法・著作権法 ポイント解説
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企
業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した商標法や著作権法については

商標法 www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/shouhyou/index/
著作権法 www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/chosakuken/index/

において解説しています。必要に応じてぜひご活用ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイト
において解説に加えることを希望される項目がありましたら、メー
ルでご一報くだされば幸いです。

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本稿の無断複製、転載はご遠慮ください。

ただし、本稿の内容を社内研修用資料等に使用したいといったお申
出については、弊所を出典として明示するなどの条件で、原則とし
て無償でお受けしています。この場合、遠慮なく下記のアドレス宛、
メールでお申出ください。
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【編集発行】
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代表弁護士・弁理士 石下雅樹

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パシフィックマークス新宿サウスゲート 9階
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mailto:info@ishioroshi.com

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