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コラムの泉

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登録第6172884号

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□■□【真似とは言わせない!ネーミングのツボ】□■□
■□                     
□                       12月17号
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 弁理士 深澤です。

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★このメルマガの目的♪
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 このメルマガでは、商標の審判・裁判事例等を通して、

○どんな商標が類似といわれたのか
○識別力のある商標とはどんなものなのか

 といったことから、ネーミングを考える際のツボを明らかにして
いきます。

(配信中止はこちらまでhttp://www.mag2.com/m/0000241197.html)

 それでは、今週も始めます。

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★今回の事例♪
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 今回取り上げるのは、

○登録第6172884号:

 青色の太線による「Nitto」の文字(ただし、その構成中の
「i」の文字の上方にある「・」は、赤色。以下同じ。)を右に
やや傾けて表してなるものと、その下方に、灰色の細線による
「Innovation for Customers」の文字
であって、上記「Nitto」の文字に比して小さく表してなる
ものを配してなる構成

 指定商品・役務は、第6,7,17,19,20,26,28類
の各商品です。


 ところが、この商標は、

 登録第4885142号商標

 4枚の羽根を有する羽根車様の図形の右方に、黒色の太線により
表された「NI」の文字及び右端を時計回りにほぼ円状に丸めた
横線であって、それを起点とする2本の鉛直線を付加した図形とを
組み合わせてなるものと、それと全体の幅が揃うように小さく表さ
れた「NITTO KOHKI CO.,LTD.」の文字とを上下
に配してなる構成


 と類似する、とされて一旦は登録が認められませんでした。


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★判断の分かれ目♪
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 そこで、登録が認められないのはおかしい、として拒絶査定不服
の審判(不服2018-007560)が請求されました。

 では、審判でどんなやりとりがあったか紹介します。

 まず、この商標の「Nitto」の文字と「Innovation 
for Customers」の文字とは、

「それぞれの態様及び配置によれば、視覚上、分離して看取、把握
されるものといえる。」

 また、

「当該「Nitto」の文字部分についてみれば、上記のような
彩色等はされているものの、「Nitto」の文字を表してなる
ものとの認識を大きく超えるほどの特徴を備えたものとはいい難く、
当該文字自体が特定の意味を有する既成の語として知られている
ともいい難い。」

 さらに、

「「Innovation for Customers」の文字
部分は、全体として、平易な英語からなるものであって、「顧客の
ための革新」ほどの意味合いを想起させるものであり、その意味
合いから企業の理念や経営方針等を表したものとして理解され得る
ものである。」

 加えて、

「構成全体から生じる「ニットーイノベーションフォーカスタマーズ」
の称呼は、冗長というべきものである。」

 そうすると、

「これに接する取引者、需要者は、本願商標の構成中、「Nitto」
の文字と「Innovation for Customers」
の文字とを分離し、両文字のうち、上方に配置され、かつ、
顕著に表された「Nitto」の文字に、より着目するとみるのが
相当である。」

 してみれば、

「その構成中の「Nitto」の文字部分が強く支配的な印象を
与えるものといえるから、当該文字部分を引用商標と比較して、
商標の類否を判断することが許されるというべきである。」

 したがって、

「その構成全体をもって、「ニットーイノベーションフォーカスタ
マーズ」の称呼を生じ、特定の観念を生じないものであるほか、
その構成中の「Nitto」の文字部分に相応する「ニットー」の
称呼を生じ、特定の観念を生じないものである。」

 一方、引用商標は、

「その構成中、当該羽根車様の図形は、特定の称呼及び観念を生じる
ことのないものといえる一方、当該「NITTO KOHKI 
CO.,LTD.」の文字部分は、その全体をもって会社名を英語
表記したものと認識されるものである。」

 また、

「当該文字部分の上方に位置するものは、その全体の構成態様に
照らし、文字と図形との一体的な組合せとして看取、理解される
ものとみるのが相当であるから、それ自体から特定の称呼及び観念
が生じるとはいい難い。」

 そうすると、

「文字と図形とを結合してなるものであり、その構成中の「NITTO
 KOHKI CO.,LTD.」の文字部分から、「ニットー
コーキカンパニーリミテッド」又は「ニットーコーキ」の称呼及び
「ニットーコーキという会社」といった観念を生じるものの、それ
以外から特定の称呼及び観念を生じないというべきである。」

 そこで、両者を比較すると、

「図形の有無や構成文字において明らかな差異があるから、外観上、
相紛れるおそれはない。」

 また、

本願商標から生じる「ニットーイノベーションフォーカスタマーズ」
又は「ニットー」の称呼と引用商標から生じる「ニットーコーキ
カンパニーリミテッド」又は「ニットーコーキ」の称呼とを比較
すると、両称呼は、いずれの比較においても、その音構成及び音数
において顕著な差異があるから、両商標は、称呼上、相紛れるおそ
れはない。」

 さらに、

本願商標は特定の観念を生じないものであるに対し、引用商標
「ニットーコーキという会社」という観念を生じるものであるから、
商標は、観念上、相紛れるおそれはない。」

 したがって、

「その外観、称呼及び観念のいずれの点においても相紛れるおそれ
のないものであるから、非類似の商標である。」

 とされました。

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★事例からわかったネーミングのツボ♪
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 今回は、商標の一部が文字か図形か解釈の違いによる商標の類否
が問題となりました。

 商標の一部を図案化した場合、それを文字とみるか図形とみるか
商標の識別性が変わります。

 図形と言い切ることが真似とは言わせないツボになります。 

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 お役に立ちましたでしょうか?

 今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

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真似とは言わせない!ネーミングのツボ(毎週火曜日発行)

ご質問・ご感想お待ちしております!

  編集・発行 深澤 潔
  http://brand-service.biz/

 各種商品・サービスのネーミング、会社ロゴ等の商標登録関連
を扱っております
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