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<第227回>新商品開発に賭ける中小企業経営者の苦闘!

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         シリーズ「人活経営でパワーは倍増できる!」

<第227回>[(第33話)季節パートを切らないために新商品開発に
                        賭ける中小企業経営者の苦闘!]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「人活経営でパワ
ーは倍増できる!」と題して様々な角度から鋭く分析した良質の記事を紹介して
いきます。きっとお役に立てると思います。中小企業の経営者の方、管理者の方、
人事担当者の方に是非ともお読みいただきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「季節パートを切らないために新商品開発に賭ける
                         中小企業経営者の苦闘!」
1.宮城製粉とは?
2.倒産、そして取引先に助けられて!
3.季節パートが余る、何とかしなければ!
4.豆乳デザートで新市場を開拓!
5.取引先が情報源、社員と一緒に新商品開発!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

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人手が足りなければ手っ取り早くパートを大量採用、要らなくなれば直ぐ解雇と
いう会社は多いです。つまり、パート、フリーター、アルバイトは雇用調整の安
全弁なのです。

今回紹介する宮城製粉は、夏場に採用したパートを冬場も維持したい、冬場に増
員したパートに夏場も働き続けてもらいたい。

次々開発する季節商品をヒットさせ、社業の発展と雇用の維持に情熱を燃やす地
方の中小企業経営者の苦闘を紹介します。経営者の人格コンピテンシーがよく現
れています。


【1】心に刻んでおきたい言葉

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豆乳花を発売する前に亡くなった父親に、この成長を見せてやりたかった。

         後藤浩一

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【2】メルマガ本論

[(第33話)季節パートを切らないために新商品開発に賭ける中小企業経営者の苦闘!]


1.宮城製粉とは?

母体は1993年(平成5年)2月に倒産した後藤清商店でした。

後藤清商店は東京に本社を置き、よもぎや柏の葉、切り餅を製造しながら、あず
きや砂糖など和菓子の原料を和菓子メーカーに卸していました。

宮城製粉の設立は1993年(平成5年)4月。本社工場は宮城県角田市にあります。
近隣に二つの工場を構えています。資本金は3,000万円で売上高は約23億円、
社員数は95人です。和菓子材料の販売のほか、餅、和菓子、洋菓子を製造販
売しています。


2.倒産、そして取引先に助けられて!

1989年(平成元年)、切り餅を生産していた宮城工場が火災で焼失し、1991年
(平成3年)には納入先が倒産し、代金の6,000万円が焦げ付きました。

工場は建て直したのですが、年商8億円の会社にとって大きな負担となり、資
金繰りが悪化、4億円近い負債を抱えて和議を申請しまのです。

倒産時後藤清商店はよもぎの供給では国内最大手でした。よもぎの市場規模は
年間1,200トン。そのうち400トン、30%を問屋経由で和菓子メーカーや大手
製パン会社に供給していました。

取引の半分以上を占めていた名古屋のホクト商事の北川副社長「よもぎの供給
が止まるのを何としても避けたかった」と当時を振り返っています。

他の債権者からも事業の継続を求める声が多かったのです。柏、桜の葉は中国
産が急増していましたが、よもぎは国内産が強かったのです。

阿武隈高地一帯のよもぎは、海から山にかけて広く自生しており収穫期が長く
色や風味がよいのです。

収穫期の人員確保は難しいのですが、先代から地元の人たちを大切にしてきた
社風が功を奏し農家の人たちが協力してくれるのです。

よもぎ事業の継続に当たり、新会社の社長として当時32歳の後藤浩一氏に白
羽の矢が立ちました。

資産は何も残っていませんでしたが、工場や設備を差し押さえていた債権者か
ら借用して生産開始にこぎつけました。

よもぎ生産が終わる冬場に人手は余ります。ところが再スタートから半年経っ
た1993(平成5年)年は冷害による米の不作。このときタイ米を輸入し切り餅
を生産したところ、これが大当たり。再建は軌道に乗り始めました。


3.季節パートが余る、何とかしなければ!

冬場の切り餅がヒット商品となり、パートを増員しましたが、今度は夏場に人
員が余ってしまいます。そこで夏場の商品として100円あんみつを開発して販
売したところこれがまたまたヒットしました。

当時あんみつは200円~250円のものが売れ筋でしたが、当社は夏場の余剰人員
を切らないことが目的ですのでツーペイでよいと考えていました。しかし、低
価格が受けて売れたのでした。2001(平成3年)年3月期の売上高は10億円
弱まで伸びたのです。

ヒット商品が出るとコンペティターが真似をして競争が激化します。そこで新
たに夏用のデザートを投入しましたが三匹目のドジョウはいませんでした。


4.豆乳デザートで新市場を開拓!

危機感を感じた後藤社長はレトルト食品の生産設備を思い切って導入。これを
使って開発したのが2003年(平成5年)発売の「豆乳花」です。

全く新しい市場を開拓したことは画期的でした。ローソンのバイヤーからも絶
賛されています。女性客の多いナチュラルローソンでは一店舗当たり50個売
れればヒット商品ですが、豆乳花は週に600個という売れ行きでした。ブームは
少し下火になりましたが今なお安定した売れ行きを維持しています。

価格は210円。店内で目を引く大きな容器、レトルトパックされているため二ヶ
月以上日持ちする点もヒットの秘密と言われています。

直近の売上高は約23億円。あんみつの売り上げは低下しましたが、豆乳花の売
上げが2年で16倍に増えたことが大きく貢献しました。


5.取引先が情報源、社員と一緒に新商品開発!

取引先は単なる取引先ではありません。後藤社長はことあるごとに「今、何が売
れているのか」と情報を集めて、ヒントにするのです。

「東京のアジア料理店で豆乳を使ったデザートがはやっている」と聞きつけたの
が豆乳花を開発したきっかけでした。豆乳はゼラチンではなく葛で固めることに
こだわります。容器は大きめのカップ。大きいため店頭で目立つのです。

工場には小さなキッチンがあり、若い女性社員たちと次々試作品を作り、ヒット
商品を狙っています。

顧客を訪問するのは営業活動ですが、情報収集とマーケティングの舞台でもある
のです。

(今回の参考文献:読売新聞2006年7月3日号、他)


【3】今日のまとめ

1.地域の人たちを大事にする風土が、地元の人たちの協力を得られる源泉であ
  ること。

2.良好な人間関係を維持しておけばいざというとき、取引先などの支援者が得
  られること。

3.パートを切らないためにヒット商品の開発に情熱を燃やす後藤社長の手腕に
  は感動させられること。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp


【4】編集後記

豆乳ブームもあって一方では牛乳の需要が大きく落ち込んでいます。

ヒット商品を生むことは難しいことですが、取引先などから情報を収集し、それ
らをヒントにマーケティングを展開することは中小企業にとって有効です。

そのためにも取引先との良好な人間関係の維持、人脈作りが重要な要素になりま
す。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=



次回に続く


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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
こちらから http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/

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