◆事例:
就業規則に規定された労組との同意
約款
就業規則を変更する予定ですが、当社の
就業規則には「変更の際には労働組
合の同意を経て行う」との規定があります。
改定の内容が
従業員にやや不利となるものがあるため
労働組合が同意せず、
この条項をたてに、
就業規則の変更は無効であると主張しています。
同意は絶対に必要なのでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
就業規則中に
労働者代表との同意
約款または協議
約款が定められている場合
に、同意または協議を経ないで行われた
就業規則の変更の効力は、基本的には
有効とされます。
就業規則は元来、
使用者の経営権に基づき一方的に制定・変更ができるもの
であり、協議を全くしていない等、明らかに
約款に違反していない限り無効と
はなりません。
■解説----------------------------------------------------------------
基準法第90条1項には、「
就業規則変更の際は
労働組合又は
労働者代表の意
見を聞かねばならない」旨、規定されています。
これをさらに発展させ、
就業規則に上記事例のような条項を規定している例
をよく見かけます。比較的大規模の、しかも
労働組合の強い会社に多くありま
す。
就業規則は、一旦制定された以上一つの法規範として
従業員及び会社はその
拘束を受けるものであり、
就業規則中に組合等の同意・協議を経て改廃すると
規定した以上、会社は同意等を経ずに変更はできない、とする考え方も当然なが
らあります。現に判例は、有効説と無効説が対立していました。
しかし、最高裁(S27.7.4)は、上の回答で述べたとおり有効説に立ち、「就業
規則制定権は
使用者の経営権の作用として一方的に定めうるところである。就
業規則を変更を労使双方の協議で行うことは差し支えないが、
労働協約で定め
たわけではなく、しかも万一協議が不調となった場合の扱いまでは規定されて
おらず、せいぜい労使で協議すべき義務を負担する趣旨までしか認められない」
と判示しています。
ただし留意すべきは、
就業規則の制定の仕方次第では無効となる要素もはら
んでいます。労使双方の協議が整わなかった場合の調整方法や措置まで規定が
なされていると、
就業規則の変更が無効となることもあり得ます。
むやみに詳細に規定しない方がベターとなる一例です。
関連して、これと同じ条項を
労働協約で定めた場合は、どうなるでしょうか。
この場合は、一般的には、協議又は同意を経ずに行われた
就業規則の変更は
無効となると解されています。
就業規則とは異なり、
労働協約は
労働組合と会社が対等の立場で制定するも
のであり、その中での合意である以上、お互いに拘束されるものだからです。
事実、多くの判例も無効説の立場をとっています。
従業員側から言えば、
労働協約中に規定した方が、はるかに強固なものとい
えます。
なお、基準法第90条2項に定める
就業規則変更届に添付する意見書は、あく
までも意見書です。同意書ではありませんので協議や同意まで要求はしていま
せん。「反対である」旨の意見書でも監督署は受け付けてくれます。後々の労
使関係のことを考えれば望ましくないですが。
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◆事例:就業規則に規定された労組との同意約款
就業規則を変更する予定ですが、当社の就業規則には「変更の際には労働組
合の同意を経て行う」との規定があります。
改定の内容が従業員にやや不利となるものがあるため労働組合が同意せず、
この条項をたてに、就業規則の変更は無効であると主張しています。
同意は絶対に必要なのでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
就業規則中に労働者代表との同意約款または協議約款が定められている場合
に、同意または協議を経ないで行われた就業規則の変更の効力は、基本的には
有効とされます。
就業規則は元来、使用者の経営権に基づき一方的に制定・変更ができるもの
であり、協議を全くしていない等、明らかに約款に違反していない限り無効と
はなりません。
■解説----------------------------------------------------------------
基準法第90条1項には、「就業規則変更の際は労働組合又は労働者代表の意
見を聞かねばならない」旨、規定されています。
これをさらに発展させ、就業規則に上記事例のような条項を規定している例
をよく見かけます。比較的大規模の、しかも労働組合の強い会社に多くありま
す。
就業規則は、一旦制定された以上一つの法規範として従業員及び会社はその
拘束を受けるものであり、就業規則中に組合等の同意・協議を経て改廃すると
規定した以上、会社は同意等を経ずに変更はできない、とする考え方も当然なが
らあります。現に判例は、有効説と無効説が対立していました。
しかし、最高裁(S27.7.4)は、上の回答で述べたとおり有効説に立ち、「就業
規則制定権は使用者の経営権の作用として一方的に定めうるところである。就
業規則を変更を労使双方の協議で行うことは差し支えないが、労働協約で定め
たわけではなく、しかも万一協議が不調となった場合の扱いまでは規定されて
おらず、せいぜい労使で協議すべき義務を負担する趣旨までしか認められない」
と判示しています。
ただし留意すべきは、就業規則の制定の仕方次第では無効となる要素もはら
んでいます。労使双方の協議が整わなかった場合の調整方法や措置まで規定が
なされていると、就業規則の変更が無効となることもあり得ます。
むやみに詳細に規定しない方がベターとなる一例です。
関連して、これと同じ条項を労働協約で定めた場合は、どうなるでしょうか。
この場合は、一般的には、協議又は同意を経ずに行われた就業規則の変更は
無効となると解されています。
就業規則とは異なり、労働協約は労働組合と会社が対等の立場で制定するも
のであり、その中での合意である以上、お互いに拘束されるものだからです。
事実、多くの判例も無効説の立場をとっています。
従業員側から言えば、労働協約中に規定した方が、はるかに強固なものとい
えます。
なお、基準法第90条2項に定める就業規則変更届に添付する意見書は、あく
までも意見書です。同意書ではありませんので協議や同意まで要求はしていま
せん。「反対である」旨の意見書でも監督署は受け付けてくれます。後々の労
使関係のことを考えれば望ましくないですが。
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