札幌市豊平区の
税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
「
役員給与の変更は要注意!」というお話です。
A社の
代表取締役あべ氏は子会社B社の
代表取締役も兼任しています。A社の
決算期は6月末、B社の
決算期は8月末です。
最近、A社の業績は上向き、B社の業績は下向きです。そこで、あべ氏は今回
決算が終わったA社の
役員給与を8月から毎月50万円引上げることにし、その代わりB社では
役員給与の全額50万円を引下げ、0円にしようとしました。あべ氏は両社合わせた合計受給額に影響が出ないように、B社の引下げをA社の引上げ時期と同じである8月に行う積りでした。
さて、この場合、
法人税法上、
役員給与の変更はどのように取り扱われるのでしょうか。両社ともそのまま
損金として認められるのか。それとも
損金不算入とされる部分が出てくるのでしょうか?もし、
損金不算入部分が出てくると
法人税等の納付額の増大を招く恐れがあります。
法人税では平成18年に
役員給与の各種規定が大幅に改定され、
損金算入に厳しい要件が付けられました。ことに定期同額給与という概念が導入され、この規定が本事例に甚大なる影響を与えます。一般の会社では定期同額給与に該当しない
役員給与は
損金不算入とされることとなったのです。 (
法人税法34①一)(
法人税法施行令69①)
損金算入が認められる「定期同額給与」とみなされる改定は、以下の3つの場合に限定されます。
1 通常改定・・・期首から原則として3か月以内に行う改定です。
2
随時改定事由による改定・・・
役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更、その他やむを得ない事情による改定です。
3 業績悪化改定事由による改定・・・経営状況の著しい悪化(その他これに類する理由)による改定です。
すなわち、以上のいずれかにも該当しない改定は定期同額給与とみなされませんから
損金不算入とされる部分が出てくることになります。
まず、A社について見てみましょう。
A社の
決算期は6月末、
役員給与の改定が8月ですので、この改定は毎年行われる「通常改定」に該当します。すなわち、期首から原則として3か月以内に行う改定です。このため、改定を
株主総会や
取締役会などの正式な機関で決議したならば、引上げ後の
役員給与の全額が
法人税法上でも
損金と認められます。この場合には、なぜ改定するのかと言う「改定理由」は必要ではありません。議事録を作成し、しっかりと保存しておけばそれで良いことになります。
これに対し、B社の場合はどのような取り扱いになるのでしょうか。
B社の
決算期は8月末です。前年の9月から今年の7月までの
役員給与は毎月50万円でここまで11か月分の550万円が
会計上、
役員報酬とされています。しかし、今年の8月分は改定により0円とされることになります。
1 この改定はA社のような「通常改定」に該当するものではありません。
2
随時改定事由による改定にも該当しません。
役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更を伴うものではありませんし、
役員の病気などによるその他やむを得ない事情による改定にも該当しないためです。
3 業績悪化改定事由による改定にも該当しません。経営状況の著しい悪化(その他これに類する理由)とは倒産の危機に瀕するような状況における改定を想定しており、単に業績が悪化し、赤字であると言うだけではこの要件に該当しないと言うのが税務官庁の考えのようです。(注1)
このようにB社の
役員給与の減額は定期同額給与とみなされないことにより、
損金不算入部分が出てきます。
では、
損金不算入額は幾らとされるのでしょうか。
改定前の定期給与(50万円)のうち改定後の金額(0円)を超える部分(50万円)で今期支給した金額が
損金不算入とされますので、なんと、これまで11か月間支給してきた550万円全額が
損金不算入とされることになります。B社の業績がいくら下向きになってきたとはいえ、これにより
所得金額は黒字となり百万円ほどが税金に持って行かれることになります。
これでは、無駄な税金(
法人税等)を支払うために、あえて
役員給与を改定したようなものです。幸いに今回のケースは事前に対処できたので良かったのですが、このままノーチェックで行われていたら大変なことになっていました。
役員報酬は金額も多く、否認されると多額の税金を追徴されます。経営者や経理の方は毎年行われる税法改正に十分に注意を払いましょう。また、「税法の改正特集の小冊子」やパンフレット類は1つのバインダーに綴じて保存し、いつでも確認できるようにしておくと良いですね。改正内容についてよく分からない点があれば、当事務所までご遠慮なくご相談下さい。
その他の『ちょっとためになる情報』は、次のサイトの「お知らせ」と「ブログ」でどうぞ!!
http://www.ksc-kaikei.com/
See you next !
(注1)
国税庁「
役員給与に関するQ&A」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf
*****************************************************************
『ズバリ節税99 一問一答』 好評無料進呈中!!
『予約制 30分無料相談』 実施中!!
独立開業を検討の方 開業前に経営者として十分に理解し、決定しておかねばならない項目がたくさんあります。当事務所では、豊富な経験を基に、これらの相談に対し、各ポイントを解説しながら、あなたと一緒に、親身になって考え、検討し、より良いアドバイスをさせて頂きます。今まで、モヤモヤしていたものが、徐々に解消していくことを実感できるでしょう。
既に開業中の方へ 毎月の巡回監査、節税や税務調査対策などの「税務対策」としっかりした「経理制度の確立」を通して、貴社の『健全な繁栄』を支援します!迅速、正確な
社会保険、
労働保険もお任せ下さい。貴社の身近な相談相手としてどうぞ!!
札幌市豊平区
税理士 溝江 諭 KSC
会計事務所
http://www.ksc-kaikei.com/
札幌学院大学 客員教授 溝江 諭
税務会計論担当
*****************************************************************
札幌市豊平区の 税理士 溝江諭(みぞえさとし) です。
「役員給与の変更は要注意!」というお話です。
A社の代表取締役あべ氏は子会社B社の代表取締役も兼任しています。A社の決算期は6月末、B社の決算期は8月末です。
最近、A社の業績は上向き、B社の業績は下向きです。そこで、あべ氏は今回決算が終わったA社の役員給与を8月から毎月50万円引上げることにし、その代わりB社では役員給与の全額50万円を引下げ、0円にしようとしました。あべ氏は両社合わせた合計受給額に影響が出ないように、B社の引下げをA社の引上げ時期と同じである8月に行う積りでした。
さて、この場合、法人税法上、役員給与の変更はどのように取り扱われるのでしょうか。両社ともそのまま損金として認められるのか。それとも損金不算入とされる部分が出てくるのでしょうか?もし、損金不算入部分が出てくると法人税等の納付額の増大を招く恐れがあります。
法人税では平成18年に役員給与の各種規定が大幅に改定され、損金算入に厳しい要件が付けられました。ことに定期同額給与という概念が導入され、この規定が本事例に甚大なる影響を与えます。一般の会社では定期同額給与に該当しない役員給与は損金不算入とされることとなったのです。 (法人税法34①一)(法人税法施行令69①)
損金算入が認められる「定期同額給与」とみなされる改定は、以下の3つの場合に限定されます。
1 通常改定・・・期首から原則として3か月以内に行う改定です。
2 随時改定事由による改定・・・役員の職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更、その他やむを得ない事情による改定です。
3 業績悪化改定事由による改定・・・経営状況の著しい悪化(その他これに類する理由)による改定です。
すなわち、以上のいずれかにも該当しない改定は定期同額給与とみなされませんから損金不算入とされる部分が出てくることになります。
まず、A社について見てみましょう。
A社の決算期は6月末、役員給与の改定が8月ですので、この改定は毎年行われる「通常改定」に該当します。すなわち、期首から原則として3か月以内に行う改定です。このため、改定を株主総会や取締役会などの正式な機関で決議したならば、引上げ後の役員給与の全額が法人税法上でも損金と認められます。この場合には、なぜ改定するのかと言う「改定理由」は必要ではありません。議事録を作成し、しっかりと保存しておけばそれで良いことになります。
これに対し、B社の場合はどのような取り扱いになるのでしょうか。
B社の決算期は8月末です。前年の9月から今年の7月までの役員給与は毎月50万円でここまで11か月分の550万円が会計上、役員報酬とされています。しかし、今年の8月分は改定により0円とされることになります。
1 この改定はA社のような「通常改定」に該当するものではありません。
2 随時改定事由による改定にも該当しません。役員の職制上の地位の変更や職務内容の重大な変更を伴うものではありませんし、役員の病気などによるその他やむを得ない事情による改定にも該当しないためです。
3 業績悪化改定事由による改定にも該当しません。経営状況の著しい悪化(その他これに類する理由)とは倒産の危機に瀕するような状況における改定を想定しており、単に業績が悪化し、赤字であると言うだけではこの要件に該当しないと言うのが税務官庁の考えのようです。(注1)
このようにB社の役員給与の減額は定期同額給与とみなされないことにより、損金不算入部分が出てきます。
では、損金不算入額は幾らとされるのでしょうか。
改定前の定期給与(50万円)のうち改定後の金額(0円)を超える部分(50万円)で今期支給した金額が損金不算入とされますので、なんと、これまで11か月間支給してきた550万円全額が損金不算入とされることになります。B社の業績がいくら下向きになってきたとはいえ、これにより所得金額は黒字となり百万円ほどが税金に持って行かれることになります。
これでは、無駄な税金(法人税等)を支払うために、あえて役員給与を改定したようなものです。幸いに今回のケースは事前に対処できたので良かったのですが、このままノーチェックで行われていたら大変なことになっていました。
役員報酬は金額も多く、否認されると多額の税金を追徴されます。経営者や経理の方は毎年行われる税法改正に十分に注意を払いましょう。また、「税法の改正特集の小冊子」やパンフレット類は1つのバインダーに綴じて保存し、いつでも確認できるようにしておくと良いですね。改正内容についてよく分からない点があれば、当事務所までご遠慮なくご相談下さい。
その他の『ちょっとためになる情報』は、次のサイトの「お知らせ」と「ブログ」でどうぞ!!
http://www.ksc-kaikei.com/
See you next !
(注1)国税庁「役員給与に関するQ&A」
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf
*****************************************************************
『ズバリ節税99 一問一答』 好評無料進呈中!!
『予約制 30分無料相談』 実施中!!
独立開業を検討の方 開業前に経営者として十分に理解し、決定しておかねばならない項目がたくさんあります。当事務所では、豊富な経験を基に、これらの相談に対し、各ポイントを解説しながら、あなたと一緒に、親身になって考え、検討し、より良いアドバイスをさせて頂きます。今まで、モヤモヤしていたものが、徐々に解消していくことを実感できるでしょう。
既に開業中の方へ 毎月の巡回監査、節税や税務調査対策などの「税務対策」としっかりした「経理制度の確立」を通して、貴社の『健全な繁栄』を支援します!迅速、正確な社会保険、労働保険もお任せ下さい。貴社の身近な相談相手としてどうぞ!!
札幌市豊平区 税理士 溝江 諭 KSC会計事務所
http://www.ksc-kaikei.com/
札幌学院大学 客員教授 溝江 諭 税務会計論担当
*****************************************************************