◆事例:年休取得日に呼び出し
製造設備が突然故障し、
有給休暇取得中の
従業員を緊急に呼び出して修復に
当たってもらいました。作業は2時間ほどで済み、終了後は帰宅させましたが、
この日の休暇の取り扱いはどのようにすべきでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
有給休暇取得日に一部でも就業した時間があった場合、その日は休暇を与え
たことになりません。従って休暇を取り消し、別な日に改めて休暇を取得して
もらうことになります。
■解説----------------------------------------------------------------
有給休暇の取得中に、緊急の用件でどうしても勤務を要請しなければならな
くなることがあります。特に製造業やシステム関係の業種に多く発生しがちで
す。大企業では複数の担当者をおくことが多いので問題は少ないですが、中規
模以下の企業では「余人を以って代え難い」
従業員が多く、マシントラブル一
つで事業がストップしてしまいます。
このように、一旦付与した休暇の当日になって、休暇を取得中の
従業員を呼
び出せるかという問題について、休暇を取得した日は労働義務はないため、会
社都合によって呼び出すことはできないと解されています。
なお、
時季変更権の行使で逃げられるとの解釈もあるようですが、事前に行
使する必要があり、少なくとも一旦認めた休暇の開始後には認められません。
基準法上は
従業員が「やだ」と言ったら無理強いすることはできないのです。
ただ、
従業員の同意があれば話は別です。実際のところは渋々出社して、最
小限の作業をすることが多いのですが、後にしこりを残さないようにしておく
ことが肝要です。稀にしか発生しないのならともかく、しょっちゅう呼び出し
があるような職場だと、不満がつのりトラブルのタネになるので、発生を防ぐ
手立てを考えるべきです。結果として発生してしまっても、会社が防止しよう
とする真摯な姿勢を見せるだけでも
従業員の意識はだいぶ異なってきます。
いずれにしても、休暇付与日に事実上出勤となった場合は、当日は休暇を付
与したことにはなりません。休暇は、原則として
暦日による「労働日」単位で
与えなければならず、一部でも労働があれば、その日は労働日単位の
休暇とは
ならないからです。この場合は、別に一日の休暇を与えなければなりません。
なお、通常、当初に付与した休暇はこれを取り消すこととなりますが、実際
に就労した時間に対応する
賃金は何らかの形で支払う必要があります。
具体的には、
賃金規程を含む
就業規則の定め方にもより、一概には決められ
ません。しかも、このケースまで想定した
就業規則はよほどの会社でないと存
在せず、判断に苦しむところです。
基本的には、休暇を取り消せばその日は就労義務が復元すると考えられます
が、原因が会社の都合であるということで、少なくとも
従業員が不利にならな
いような措置を行うことが重要です。
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製造設備が突然故障し、有給休暇取得中の従業員を緊急に呼び出して修復に
当たってもらいました。作業は2時間ほどで済み、終了後は帰宅させましたが、
この日の休暇の取り扱いはどのようにすべきでしょうか。
◇回答----------------------------------------------------------------
有給休暇取得日に一部でも就業した時間があった場合、その日は休暇を与え
たことになりません。従って休暇を取り消し、別な日に改めて休暇を取得して
もらうことになります。
■解説----------------------------------------------------------------
有給休暇の取得中に、緊急の用件でどうしても勤務を要請しなければならな
くなることがあります。特に製造業やシステム関係の業種に多く発生しがちで
す。大企業では複数の担当者をおくことが多いので問題は少ないですが、中規
模以下の企業では「余人を以って代え難い」従業員が多く、マシントラブル一
つで事業がストップしてしまいます。
このように、一旦付与した休暇の当日になって、休暇を取得中の従業員を呼
び出せるかという問題について、休暇を取得した日は労働義務はないため、会
社都合によって呼び出すことはできないと解されています。
なお、時季変更権の行使で逃げられるとの解釈もあるようですが、事前に行
使する必要があり、少なくとも一旦認めた休暇の開始後には認められません。
基準法上は従業員が「やだ」と言ったら無理強いすることはできないのです。
ただ、従業員の同意があれば話は別です。実際のところは渋々出社して、最
小限の作業をすることが多いのですが、後にしこりを残さないようにしておく
ことが肝要です。稀にしか発生しないのならともかく、しょっちゅう呼び出し
があるような職場だと、不満がつのりトラブルのタネになるので、発生を防ぐ
手立てを考えるべきです。結果として発生してしまっても、会社が防止しよう
とする真摯な姿勢を見せるだけでも従業員の意識はだいぶ異なってきます。
いずれにしても、休暇付与日に事実上出勤となった場合は、当日は休暇を付
与したことにはなりません。休暇は、原則として暦日による「労働日」単位で
与えなければならず、一部でも労働があれば、その日は労働日単位の休暇とは
ならないからです。この場合は、別に一日の休暇を与えなければなりません。
なお、通常、当初に付与した休暇はこれを取り消すこととなりますが、実際
に就労した時間に対応する賃金は何らかの形で支払う必要があります。
具体的には、賃金規程を含む就業規則の定め方にもより、一概には決められ
ません。しかも、このケースまで想定した就業規則はよほどの会社でないと存
在せず、判断に苦しむところです。
基本的には、休暇を取り消せばその日は就労義務が復元すると考えられます
が、原因が会社の都合であるということで、少なくとも従業員が不利にならな
いような措置を行うことが重要です。
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