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常識破りで身体障害者をリハビリする作業療法士の人間力!

     ◆◆コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆

    <第224回>できる人のコンピテンシーをベンチマークする!

==■「常識破りで身体障害者をリハビリする作業療法士の人間力!」■==

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人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れと
なり、成果に結び付けられない人が実に多いのです。

「できる人のコンピテンシーをベンチマークする!」と題して事例を解説していき
ます。

コンピテンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・
管理者・社員の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非
ともお読みいただきたいと思います。

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<今回のメニュー>
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【1】作業療法士、藤原茂氏の不本意な半生!
【2】施設を立ち上げて臼田喜久江という患者に気付かされたこと!
【3】前よりももっと輝く人生を!
【4】編集後記

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山口県に「夢みずうみ村」という介護施設がある。一日100人ほどがリハビリのた
め通ってくる。脳梗塞などで半身不随になった人が多い。

この施設に藤原茂さんという作業療法士がいる。この施設は藤原氏が53歳のとき立
ち上げたものだ。

何からかにまで他のリハビリ施設とは違う。毎日のように見学者が来る。見学者を2
時間ほどかけて案内し、説明するのはリハビリでかなり回復した患者が担当する。名
刺も用意してもらい元気溌剌だ。

この施設はバリアだらけに設計されている。つまり「バリアアリー」だ。坂、階段、
段差があっちこっちにある。それでいて手すりはない。だからこそこの施設では心し
て動かなければならない。

朝、施設に来たら自分でやりたいメニューを選んで一日のスケジュールを作る。カジ
ノがある。勝った、負けたが楽しい。勝てばこの施設でだけ使える「Yume」とい
う単位のお金がもらえる。サービスを受けるときこのお金を使う仕組みだ。花札もカ
ラオケも料理もできる。施設でのメニューは100以上も用意されているから飽きな
い。プールに入ってゆっくりリハビリする人もいる。患者からはもちろん家族からも
絶大な信頼を得ている作業療法士はほかにはいないだろうと思われる。

そこで、今回は作業療法士藤原茂氏のリハビリ患者に接する「人間力」に迫ってみる。



【1】作業療法士、藤原茂氏の不本意な半生!

作業療法士とはどんな職業なのだろうか。広辞苑によれば「精神病者や身体障害者な
どを治療する場合に、作業によって自発性と社会性を高めるようにする治療」とある。

藤原氏は大学卒業後養護施設で働いていた。医師になりたくて30代で医学部を受験
したが願いは叶わず山口の病院で働き始めた。一日90人ものリハビリを担当し、患
者たちから信頼されるようになった。そして40代半ばには自ら施設を立ち上げたい
と思うようになった。

そんなある日、ある患者から「藤原さんの福祉じゃないのよ」と言われて我に返った。
リハビリを手助けする中で患者のためのリハビリであることを忘れる場面があったこ
とを藤原氏は反省した。



【2】施設を立ち上げて臼田喜久江という患者に気付かされたこと!

自ら施設を立ち上げたいと思ってから早10年、53歳のとき山口市の郊外に「夢み
ずうみ村」を立ち上げた。そのとき臼田喜久江さんという半身不随の患者と出会った。
彼女の表情はいつも暗く、藤原氏の顔を見るたびに「死にたい、死にたい」を連発す
る有様だった。彼女をどんなリハビリメニューで蘇らせようかと思い悩んでいたとき、
半身不随で料理ができないので半身不随でも上手に料理をする方法を教えてほしいと
いう相談が舞い込んだ。

藤原氏は早速、臼田さんに料理教室の先生をやってみないかと誘った。臼田さんは片
手で上手に野菜を切ることができる。まな板の上に野菜を載せ、野菜を固定するため
に例えば鍋のふたなどを重石の代りに利用するのである。

エプロンを身に付けた臼田さんは患者ではなく健常者になりきって先生役を務めるの
である。そのときの表情は明るく輝いている。人の役に立つってすばらしいことだ。



【3】前よりももっと輝く人生を!

藤原氏は、体が不自由だからこそ人生は輝き、そして心が動けば体が動くことを臼井
さんから気付かされたのである。

夢は膨らむばかりだ。なるほど、当施設の送迎用のワゴン車には大きな文字で「夢み
ずうみ村」と書いてある。そうだ、バリアだらけにしよう。施設内には坂道がある。
「人生の坂道」と名づけた。階段もある。「青春の階段」と名づけた。掲示物は頭や
顔にぶつかる高さに吊るしてある。ぶつかりたくないと心が動けば首を曲げて通るか
しゃがんで通る。このような動作全てがリハビリにつながっていくわけだ。

勝負事で「勝った、負けた」は感情の起伏が激しくなる。リハビリにはうってつけだ。
そしてリハビリが人生を面白くしてくれるのだ。

この施設に通う人は要介護度のランクがどんどん低くなるという。本人のためにも家
族のためにも万歳だ。藤原氏の「人間力」なるコンピテンシーには頭が下がる。すば
らしい。



【4】編集後記

藤原茂氏のコンピテンシーはジャンルに分けて当てはめることができない。「人間力」
なるコンピテンシーと曖昧に表現するしかない。通常のリハビリ施設の常識では考え
られないユニークさ。そして通ってくる患者たちが皆生き生きしていてまるで障害者
になったことを楽しんでいるようにさえ見える。

<この記事は平成21年11月放送のNHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」を
 参考にしています。>



次回に続く


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