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企業法務

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秘密保持義務の範囲について。

著者 大名さば さん

最終更新日:2011年10月08日 10:24

こんにちは。
中小企業で総務部に所属している者です。
私の業務の一部に契約書の確認もあります。
その中で、他社との契約における秘密保持義務の範囲等について、
以下の質問があります。

■取引基本契約等に基づく秘密保持義務の範囲について
(当事者)
 ①当社(A社の100%子会社)
 ②A社(当社及びB社の親会社)
 ③B社(A社の100%子会社)
 ④D社(当社の業務委託先であるとともに、B社の業務委託先)
(前提1)
 ・当社はソフトウェア開発を業務としています。
 ・当社は、A社が委託した関係会社間における共通システム(勤怠システム等)を
  開発し、A社に納品しています(著作権等はA社に移転しています)。
 ★B社も共通システムを使用することが決定しましたが、B社の独自業務に対応する  ためのシステム運用が必要となるため、そのシステム運用については、
  B社→D社に委託する予定です。
 ・なお、B社がD社を選択した理由の一つとして、共通システム開発時に
  当社がD社に業務を委託しており、D社は共通システムについて
  多少の知見を有していることがあります。
 ・当社とD社の間には取引基本契約(A社と当社間の取引基本契約と同様の内容)が  存在し、取引基本契約で定める本件業務(主にソフトウェア開発及びそれにかかわ
  る業務)の遂行上受け渡しされる秘密情報について秘密を保持しなければならな
  いと定めています。
 ・なお、本件業務において、当社はD社に対価を支払う、と定めています。
  (対価や本件業務の範囲は、個別契約で定めるとしています。)
(質問)
 ①上記★の契約に基づきD社がB社のシステム運用をすることを前提として、
  そのシステム運用時に共通システムに不明点があり、
  D社が当社に問い合わせをしてきた場合であって、
  当社の回答にA社から受領した秘密情報が存在した場合、
  その秘密情報は、秘密の範囲を脱した状態となり、
  秘密保持義務の対象ではなくなるのでしょうか?
  (なお、上記★契約に関連して当社~D社間には
   問い合わせ受付契約のようなものは存在しません。)
 ②それとも、上記の当社~D社間の取引基本契約に定める
  秘密保持条項が適用されて上記問い合わせの場合の
  秘密情報にも秘密保持義務が課せられるのでしょか?
  (B社のシステム運用に基づく問い合わせは当社~D社間の取引基本契約
   に定める「本件業務」に該当しないようの思いますので、取引基本契約
   秘密保持条項は適用されないと考えいます。
   一方、今までのD社との取引等を勘案して、
   契約関係は何もありませんが、当社は「好意」かつ「無償」で回答するため、
   一般的には取引基本契約の秘密保持条項の適用はある、と主張しても
   問題ないのでしょうか?)
 ③例えば、当社がB社に対して共通システムの情報を提供した場合、
  A社の関係会社グループ全体として、会社法か何かの規定により、
  秘密保持契約は存在しなくても、秘密の範囲を脱したとはみなされないの
  でしょうか?

私としては、B社のシステム運用に基づくD社からの当社への問い合わせ対応
は「本件業務」にも該当しないため、当社~D社間において何らは契約関係が存在しない業務であるため、その業務において受け渡す秘密情報を保護するためには、
別途秘密保持契約を締結しなければ、A社~当社間の契約に基づき受領したA社の秘密情報をD社に開示すべきでないとすべきと考えております。

しかしA社及びその関係会社が共通システムを使用し、B社のような特別の事情から、
他の関係会社も独自に選択したでシステム運用委託先と契約する可能性があります。
そのような事情や今後の関係会社再編、委託先の変更に伴い、
その都度契約を見直すという煩雑さが指摘されており、
②や③に該当する場合は、現行の契約に則って対応しようとの意見も出ています。

秘密情報として守られることを前提として、
できる限り契約変更の煩雑さを軽減できる方法にて対処したいと考えております。
(A社は、ノウハウ等を営業秘密として保護したい、との意向が強く、
 「秘密の範囲を脱した状態」にならないようにしたいと考えております。)


ご存知の方、お手数をお掛けいたしますが、
ご教示くださいますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。

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Re: 秘密保持義務の範囲について。

著者外資社員さん

2011年10月10日 09:26

こんにちは

まず質問に回答します。

(質問)
 ①上記★の契約に基づきD社がB社のシステム運用をすることを前提として、
  そのシステム運用時に共通システムに不明点があり、
  D社が当社に問い合わせをしてきた場合であって、
  当社の回答にA社から受領した秘密情報が存在した場合、
  その秘密情報は、秘密の範囲を脱した状態となり、
  秘密保持義務の対象ではなくなるのでしょうか?
  (なお、上記★契約に関連して当社~D社間には
   問い合わせ受付契約のようなものは存在しません。)

秘密情報としての特約や除外をしない限り秘密保持義務の対象です。


 ②それとも、上記の当社~D社間の取引基本契約に定める
  秘密保持条項が適用されて上記問い合わせの場合の
  秘密情報にも秘密保持義務が課せられるのでしょか?
  (B社のシステム運用に基づく問い合わせは当社~D社間の取引基本契約
   に定める「本件業務」に該当しないようの思いますので、取引基本契約
   秘密保持条項は適用されないと考えいます。
   一方、今までのD社との取引等を勘案して、
   契約関係は何もありませんが、当社は「好意」かつ「無償」で回答するため、
   一般的には取引基本契約の秘密保持条項の適用はある、と主張しても
   問題ないのでしょうか?)


当該情報が、秘密情報かの判断が出来るのは、開示した側だけです。ですから貴社が非該当と言わない限り守秘義務はあります。



 ③例えば、当社がB社に対して共通システムの情報を提供した場合、
  A社の関係会社グループ全体として、会社法か何かの規定により、
  秘密保持契約は存在しなくても、秘密の範囲を脱したとはみなされないの
  でしょうか?

貴社とB社間では、発注側のB社が判断します。
特段の除外がなければ、守秘義務の対象になります。
Gp内で情報を開示できるかの判断は、ここではB社しか出来ません。


私としては、B社のシステム運用に基づくD社からの当社への問い合わせ対応
は「本件業務」にも該当しないため、当社~D社間において何らは契約関係が存在しない業務であるため、その業務において受け渡す秘密情報を保護するためには、
別途秘密保持契約を締結しなければ、A社~当社間の契約に基づき受領したA社の秘密情報をD社に開示すべきでないとすべきと考えております。


理屈の上では、その通りです。


しかしA社及びその関係会社が共通システムを使用し、B社のような特別の事情から、
他の関係会社も独自に選択したでシステム運用委託先と契約する可能性があります。
そのような事情や今後の関係会社再編、委託先の変更に伴い、
その都度契約を見直すという煩雑さが指摘されており、
②や③に該当する場合は、現行の契約に則って対応しようとの意見も出ています。
秘密情報として守られることを前提として、
できる限り契約変更の煩雑さを軽減できる方法にて対処したいと考えております。
(A社は、ノウハウ等を営業秘密として保護したい、との意向が強く、
 「秘密の範囲を脱した状態」にならないようにしたいと考えております。)


それならば守秘情報は、守秘情報のままとして除外せず、
その中でGP企業がシステム納入の為に必要な情報を共有・開示できるとの特約をすれば良いでしょう。
基本的には貴社とB社で、その範囲を明確にして運用を決めましょう。 その上で、必要があれば、D社に対してGP企業向けシステム開発において、情報を流用や開示が出来るようにすれば良いでしょう。

基本としては、守秘情報は守秘情報です。
その上で、特定の情報を、Gp会社間で共有できる、またD社に対しても、その範囲と運用を通知すれば解決できるように思います。

Re: 秘密保持義務の範囲について。

著者大名さばさん

2011年10月10日 10:35

外資社員様

ご回答いただきまして、
誠にありがとうございました。
(私の質問が長文で大変失礼いたしました。)

ご回答の件、参考にさせていただきたいと思います。

ちなみに「秘密情報としての特約や除外をしない限り秘密保持義務の対象」
とのご回答をいただきましたが、私自身の知識・理解不足で大変恐縮ですが、
以下のような考え方でよろしいでしょうか?

 ①例えば、当社とD社の間に全く秘密保持契約が存在しなくても、
  当社からD社に開示する秘密情報に「秘密情報の旨を表示」等した場合、
  当社が秘密であると意思表示した情報であるため、受領したD社に
  その合意がなくても守秘情報として扱われることとなり、
  D社に秘密保持義務が生じる。
  (今回の場合は、少なくとも当社~D社間には取引基本契約が存在しますが。。)
 ②それとも当社とD社は他の業務でも取引関係が成立しているため、
  対会社間における信義則上の付随義務として、D社には秘密保持義務が生じる。

以前、知財講習会に出席した際に、秘密保持義務のない者に秘密情報を開示した場合、
例え、それが一人であっても「秘密の範囲を脱する」旨の説明があり、その点が引っかかっていました。
(その際、開示情報に守秘義務情報の明示の有無については説明がありませんでしたが・・)

後出しみたいな質問で大変申し訳ありませんが、
今後の実務(リスク管理上、漏れがないことを前提として、なるべく手数のかからない
方法で対処していきたい、と考えています。)の参考にさせていただきたく、重ねてご教示いただければ幸いです。

上記①②の理解が全くの見当違いであれば誠に申し訳ありませんが、
何卒よろしくお願い申し上げます。

Re: 秘密保持義務の範囲について。

著者外資社員さん

2011年10月11日 08:56

大名さばさん

追加の回答です。
始めの場合とは異なり、機密保持契約が存在しないという前提ですね。


>
>  ①例えば、当社とD社の間に全く秘密保持契約が存在しなくても、
>   当社からD社に開示する秘密情報に「秘密情報の旨を表示」等した場合、
>   当社が秘密であると意思表示した情報であるため、受領したD社に
>   その合意がなくても守秘情報として扱われることとなり、
>   D社に秘密保持義務が生じる。
>   (今回の場合は、少なくとも当社~D社間には取引基本契約が存在しますが。。)

貴社が機密だといっているのですから、D社には保持義務が発生します。 但し、機密情報の範囲や、取り扱い(利用後返却や廃棄等)は、明確に指示していませんので、D社の善感義務の範囲しか義務はありません。
また、D社が善意で、機密情報の指定に気付かずに取り扱った場合には責任は軽減されます。
貴社側が明確に機密情報である旨を説明していない点も問題だからです。



>  ②それとも当社とD社は他の業務でも取引関係が成立しているため、
>   対会社間における信義則上の付随義務として、D社には秘密保持義務が生じる。

上記と同様で、システム開発を請け負っており、クライアントから来た情報は、普通は機密情報と思うでしょう。
ですから、そうした常識の範囲で判断し対応することが、善感義務として期待されます。
但し、機密情報の範囲や扱いは明示されていませんので、その点は免責されます。



>
> 以前、知財講習会に出席した際に、秘密保持義務のない者に秘密情報を開示した場合、
> 例え、それが一人であっても「秘密の範囲を脱する」旨の説明があり、その点が引っかかっていました。
> (その際、開示情報に守秘義務情報の明示の有無については説明がありませんでしたが・・)
>
この話は、善意の第三者に開示した場合には(例として拾った、メールの誤配信など)その人は機密情報と気付けませんから、機密情報として扱う義務がないということです。
その人が知らずに、開示しようが責任を問えず、その人が持ち主を探すため情報が広げたら情報は開示されてしまいます。

質問①②では、機密保持契約は結ばれていませんが、システム開発の請負をしているのですから、クライアントからの情報は機密情報であるのは自明です。但し、機密の範囲と取り扱いは契約が無く不明確ですから、その点は免責されます。

後者では、機密情報であることを知らないのですから、一切義務がないということです。 機密保持の義務がない人に渡れば、情報の開示制限が期待できないので、いつしか公開情報になってしまうと考えた方が良いでしょう。
機密情報に、機密である旨と所有者・返還の義務を書いていることがありますが(メール等でも)、このようにしてあれば、機密情報であることは明確なので、リスクが減ります。
誤って義務の無い人に渡っても、そこで公開が止まれば公開情報になる危険は下がります。

Re: 秘密保持義務の範囲について。

著者大名さばさん

2011年10月11日 20:04

外資社員様


御礼が遅れて申し訳ございませんでした。

ご教示くださいまして、誠にありがとうございます。
秘密保持契約が存在しなくても受領した側には善管義務の範囲内で守秘義務が課されるとのことですので、その点は安心いたしました。
ただ、機密情報の指定をしていないので、善意の場合には注意が必要なことに留意したいと思います。

ご丁寧なご説明で今後の注意点も明確になりましたので、当社の実務と勘案して、対応を考えたいと思います。感謝申し上げます。

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