相談の広場
最終更新日:2013年01月18日 09:53
事業承継のスキームを模索している中小企業の総務担当者です。
1 自社株評価を行ってもらいましたが、過去からの利益の蓄積により一株あたりの株価は相当に高い価格になっております。
2 発行済み株式はオーナー経営者が所有しております。
3 発行済み株式数は220株ですが、うち210株を無議決権株式の金庫株とし、金庫株取得資金については会社が公的融資を受け、オーナー夫婦に株式売却代金を支払うスキームを考えております。
4 残り10株については、従業員出身の現社長(現在:持株なし、オーナー夫婦との縁戚関係もなし)が議決権株式として取得し、支配権も取得するという計画です。
5 金庫株の制度を利用し、本来多額の資金を必要とする支配権の取得が現社長からすれば少額の資金で可能となるスキームなのですが、取得する側の社長には贈与税等の負担が生じる可能性はないでしょうか?
ご教示いただけるよう、よろしくお願いいたします。
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買収や事業承継に関わってきておりますが、このスキームは行なったことがありません、
専門家が考えられたスキームではありませんか?その際の注意点は如何でしたか?
自己株式(金庫株)として存在し続ければ(これを含めた1株当たりの評価が変わらないとも考えられて)良いのでしょうが、消却処分した場合には、これが跳ね上がります。
それを前提とした実質株式の譲渡と見做された場合には課税対象となるかも知れませんね、あくまでも可能性の問題ですが。
金庫株のまま相当期間継続させたとしても捉え方によっては・・・・も税務署の判断ではありますが。。。
課税対象にはなりますが、蓄積した剰余金を配当として、あるいは役員退職慰労金として現経営者に吐き出して株式の評価額を落とす(現経営者にも支払いが行なわれる)方法を私は選択したことがありますけど。
種類株式を利用した事業承継策はいろいろ考えられます。
上記のスキームを見る限りにおいては、やはり課税リスクがゼロではなさそうに感じられます。残余10株の譲渡対価を全体株式価値の10/220にて計算し、100%の経営権取得を想定してるからだと思われます。
ところで、事業承継を含むM&A取引全般においては、経営権取得に係る割り増し対価(「コントロールプレミアム」ともいいます)の概念を考慮した譲渡対価の取り決める必要があります。そうでない場合には、税務上の低廉譲渡ないし受贈益等の概念に抵触し、何らかの課税関係が生じる可能性があります。
従って、上記スキームを前提とするならば、金庫株は消却を行わないこと(例えば、現社長による買取優先権があることが望ましい)、少なくとも10株分についても、適切なプレミアムが付された価額で取引すること、などの配慮が必要でしょう。
仮に上記スキーム以外の取引を想定するならば、例えば、
①オーナー持分の普通株式を償還型の配当優先株といった種類株式に変更
②①と併せて、現社長が新株割当てにより新たに普通株式の交付を受ける
③最終的にオーナー持分優先株は、いずれかの時期に償還(現金交付)する
など、株主-株主間取引ではなく、株主-会社間取引を利用する方が、価値算定上の経済合理性を説明する上で、より矛盾が生じない取引が可能になるでしょう。
いずれにしましても、事業承継、自社株対策というのは、半分は税務の話でありますが、残りの半分はバリュエーション(株価評価)の話でもあります。従いまして、特に現状の株式価値が相当高額となるようなケースにおいては、より慎重に様々なシナリオを想定し、各種対策を図ることをお勧めします。
*詳細取引の内容は分りませんので、本コメントは参考としてお取り扱いください。
長谷川公認会計士事務所
公認会計士 長谷川臣介
http://www.haats.co.jp/
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