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新株予約権の消滅と消却について

著者 法務見習い さん

最終更新日:2008年02月14日 16:50

新株予約権の消滅と消却について教えて頂けますでしょうか。

具体的には保有者から新株予約権放棄の意思表示にもとづき
消滅の手続きを行う予定です。(退職等により当然に消滅するケースではありません。)
新株予約権引受契約では、本新株予約権の全部または一部を放棄する旨を申し出たとき、新株予約権を行使する権利を喪失するとの規定があります。
一方、別の条項には、「新株予約権者が、本新株予約権の全部または一部を放棄する旨を申し出たとき本新株予約権を無償で取得することができる。」と規定されています。
この場合、会社が無償取得し、その後、自己新株予約権の消却としなければならないのか、
もしくは、保有者からの放棄の意思表示を受けて、単に消滅として処理できるのかが分かりません。実務上は、後者のほうが簡便だと思うのですが。

ご教示頂ければ幸いです。
よろしくお願いいたします。

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Re: 新株予約権の消滅と消却について

こんにちは。

当社でも昨年新株予約権の消却をしましたので、分かる範囲でお答えします。

新株予約権の放棄につきましては以下の2とおりの手続きが考えられます。
会社法第287条による消滅の方法
②取得条項による取得後会社法第276条により消却する方法

ただし、①によると、放棄者が出る度に変更登記をしなければならず(即時消滅
となるため)事務手続が煩雑になります。
この点、②の方法をとると、一定期間、自己新株予約権をためた上で、まとめて
取締役会における自己新株予約権の消却決議をすることにより、同時に消却でき
ますので、登記手続も簡便です。

ですので、当社では②の方法を使いましたが、退職者の失権分や放棄書面を提出
したものなどが混在していた状態でしたので、明確にするため取締役会で1号議
案として「新株予約権の取得の件」として、放棄および失権した新株予約件を会
社が取得し、2号議案で「保有自己新株予約権の消却の件」として、同日取得・
消却をし、変更登記もすぐに行いました。

以上、ご参考にしていただければ幸いです。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

著者法務見習いさん

2008年02月15日 15:11

いつもお世話になります。
ご回答ありがとうございました。

放棄された新株予約権は必ずしも会社が取得しなければならないということではないのですね。

今回、一定期日にまとめて経営陣から放棄の意思表示の書面を取り付けられる予定で、消滅登記も一度にでき、そこでま煩雑ではなくなると考えているのですが、この場合、特に取締役会での決議は不要で、報告で足りますでしょうか?

追加の質問となり恐縮ですが、教えて頂けると助かります。
よろしくお願いいたします。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

こんにちは。

会社法278条に基づく消滅については、取締役会決議を必要としないと認識しております。

御社の新株予約権の取得条項については「・・取得できる。」という表記のため、
会社が取得せず、そのまま消滅させることもできるはずです。

ですので、ご認識のとおり消滅の場合は取締役会の決議は不要と思います。
経緯や結果を残すため、報告事項にすれば十分と思います。(これも法的には不要ですよね)

消滅の日から2週間以内に登記が必要となりますのでお気をつけください。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

著者法務見習いさん

2008年02月15日 17:49

早速のお返事ありがとうございました。
大変よく分かりました。
助かりました!!

Re: 新株予約権の消滅と消却について

著者ぽっぽ290さん

2009年07月22日 12:15

始めまして。
いつも参考にさせて頂いております。

出来ましたらご教示願いたいのですが、
1、第1号議案(「新株予約権の取得の件」)は、
会社法274条の規定に基づく一部取得の決議ではなく、
(取得事由が発生した時点で当該新株予約権を取得していたが)取得があった事実を明確にするために念のため決議した
ということで宜しいでしょうか。
2、新株予約権者に対する会社法275条4項の通知はいつ行われたのでしょう。

宜しくお願いいたします。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

ぽっぽ290さん

はじめまして、スゥスゥと申します。
出張のため、返信が遅くなり申し訳ありません。

お問い合わせの件ですが、当社の場合は以下のとおり対応いたしました。

1.「新株予約権取得の件」
当社の「新株予約権割当契約書」の定めに従い、会社法274条の規定に基づき取締役会決議日にて
取得したものです。

2.法275条4項の通知時期
商法下で割当をされた新株予約権については、会社が取得すると判断したときに、会社法下で割当
られた予約権については、失権したときに通知をしています。

新株予約権割当契約の内容にもかかってくるため、御社とは対応が異なるかもしれません。

以上、ご参考になれば幸いです。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

著者ぽっぽ290さん

2009年07月27日 21:47

スゥスゥさん

ご丁寧な解説有難うございます。ここまで詳しく実例をご説明頂いているケースが他にございませんので、大変参考になります。また、整理に時間を要し、お礼が遅れてすみません。重ねてで恐縮なのですが、

当社が会社法の下で発行した新株予約権は、募集事項において、①従業員が自己都合退職した場合は、新株予約権を行使できない。②但し、取締役会が行使することを認めたときはこの限りでない。③行使条件に該当しなくなった新株予約権は、会社が無償取得することができると定めていますが、
いまさらながら、この規定の仕方が、①に該当すれば③により当然に会社が当該新株予約権を取得すると考えるのか、それとも、①に該当しても、②の規定により、取締役会が承認すれば自己都合退職であっても新株予約権を行使できる可能性があるので、行使を認めない決議(つまり会社が取得することの決議)を行った時点で、①が確定し、③により会社が当該新株予約権すると考えるのか、どちらが妥当なのか判断に困っている次第です。

貴社の場合は、割当契約の定めに従い、会社法274条の規定に基づく取得決議を行われたとのことですが、この場合、同条3項の規定に基づく通知と、会社法275条4項の規定に基づく通知は、どのように行われたのでしょうか(取締役会決議をもって取得するので、取得決議を行ったときに取得事由が生じ、この時点で274条3項の通知及び275条4項の通知を一緒に行われたのでしょうか)。

何度もすみませんが、ご教示頂ければ幸甚です。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

ぽっぽ290さん、こんにちは。

当社の募集事項(契約の内容)も概ね御社と同様の取得条項がついております。
そのため、社員退職後の新株予約権トラブルを回避するため、退職時には「自分が保有する新株予約権退職日に放棄する旨」の誓約書(定型)の提出を求めています。
これは、「書面による放棄を申し出た新株予約権は何人もこれを行使できない」という別規定があるため、この放棄申出により、当該予約権の失権が確定されるからです。

この誓約書の提出を受け、退職日の翌日に、「貴殿が放棄された新株予約権は、将来当社が取得することになります」という旨の通知(法275条4項)を行っています。

この段階では、当該新株予約権は失権しておりますが、会社としては取得および消却決議をしておりませんので、登記の必要はありません。

ある程度失権した新株予約権がたまった時点(半年とか1年くらいのスパン)で取締役会にてまとめて取得決議と自己新株予約権の消却決議を行い、その際に法274条3項の通知をします。

直接のご回答にはならず申し訳ありませんが、当社も御社同様に取り扱いに悩むことが想定されたため、社員退職時のテクニックとして、上記方法を採用しています。

簡単には上記の手順としていますが、ご参考にしていただければ幸いです。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

著者ぽっぽ290さん

2009年07月28日 12:32

スゥスゥさん

重ねてのご丁寧なご教示深謝いたします。
とても参考になりました。

当社も割当契約書に、
要項の規定によるほか、本新株予約権者は、次の各項の一に該当した場合、直ちに本新株予約権を喪失するとの規定があり、「書面により本新株予約権の全部または一部を放棄する旨を申し出たとき」が項目の一つにに挙げられています。

貴社が行われている流れは次ようになるかと思います。
1、退職時に権利放棄の誓約書を提出して貰うことで、
法236条1項7号イに該当させる(この時点で当該新株予約権者の失権は確定するが、同条1項7号ハの定めがあるので、会社が法274条1項に基づく取得決議をするまでは、当該予約権が宙に浮いた状態となる)
2、当人に「貴殿が放棄された新株予約権は、将来当社が取得することになります」を通知することで、法275条4項の規定を充足
3、失権した新株予約権を取得(法274条)及び償却(法276条)する取締役会決議
4、対象者へ「取得した旨」を通知することで、法274条3項の規定を充足
5、償却の登記

ご教示頂いたことを参考に当社でもフローを確立したいと思います。(新株予約権を一度宙に浮かせれば、自己新株予約権として会社が保有する期間が殆どないので、会計処理的にも好都合な気がします)

(クドくて申し訳ないのですが)最後に1つだけ、疑問が残りました。
法275条1項の規定に基づき、法236条1項7号ハの定めがある場合は、会社が新株予約権を取得する日は、法236条1項7号イに該当した日と、274条3項の通知をした日から2週間を経過した日の、いずれか遅い日となるので、上記3で決議する償却日は、上記4の通知の日から2週間以上後の日に設定されているのでしょうか(登記手続上は、法276条の決議の議事録しか添付書類にならないので、上記2および4の通知有無や償却時期は問題にならないようですが)。

Re: 新株予約権の消滅と消却について

著者ぽっぽ290さん

2009年12月09日 09:04

> スゥスゥさん
>
> 重ねてのご丁寧なご教示深謝いたします。
> とても参考になりました。
>
> 当社も割当契約書に、
> 要項の規定によるほか、本新株予約権者は、次の各項の一に該当した場合、直ちに本新株予約権を喪失するとの規定があり、「書面により本新株予約権の全部または一部を放棄する旨を申し出たとき」が項目の一つにに挙げられています。
>
> 貴社が行われている流れは次ようになるかと思います。
> 1、退職時に権利放棄の誓約書を提出して貰うことで、
> 法236条1項7号イに該当させる(この時点で当該新株予約権者の失権は確定するが、同条1項7号ハの定めがあるので、会社が法274条1項に基づく取得決議をするまでは、当該予約権が宙に浮いた状態となる)
> 2、当人に「貴殿が放棄された新株予約権は、将来当社が取得することになります」を通知することで、法275条4項の規定を充足
> 3、失権した新株予約権を取得(法274条)及び償却(法276条)する取締役会決議
> 4、対象者へ「取得した旨」を通知することで、法274条3項の規定を充足
> 5、償却の登記
>
> ご教示頂いたことを参考に当社でもフローを確立したいと思います。(新株予約権を一度宙に浮かせれば、自己新株予約権として会社が保有する期間が殆どないので、会計処理的にも好都合な気がします)
>
> (クドくて申し訳ないのですが)最後に1つだけ、疑問が残りました。
> 法275条1項の規定に基づき、法236条1項7号ハの定めがある場合は、会社が新株予約権を取得する日は、法236条1項7号イに該当した日と、274条3項の通知をした日から2週間を経過した日の、いずれか遅い日となるので、上記3で決議する償却日は、上記4の通知の日から2週間以上後の日に設定されているのでしょうか(登記手続上は、法276条の決議の議事録しか添付書類にならないので、上記2および4の通知有無や償却時期は問題にならないようですが)。

自己RESです。
新株予約権の発行要項に遡り検討した結果、
当該新株予約権の行使条件及び取得に関する規定(従業員が自己都合退職したときは、予約権を行使できない。新株予約権者が、新株予約権を行使する条件に該当しなくなった場合、当社は当該新株予約権を無償で取得することができる。)は、会社法236条7項イ(一定の事由が生じた日に当該株式会社がその新株予約権を取得する旨)及び同条7項ロ(当該株式会社が別に定める日が到来することをもってイの事由とする)の組み合わせであると整理しました。
つまり、新株予約権者が新株予約権の行使する条件に該当しなくなった場合、取締役会が別に定める日をもって取得事由とするという立て付けです。従い、従業員が自己都合退職した場合、当該従業員新株予約権は行使条件に該当しなくなったが、直ちに会社が取得することにはならず、
取締役会が別に定める日をもって取得する旨の決議を行い、
当該別に定める日が到来してはじめて取得事由が発生し、
当該従業員が有する新株予約権を取得する流れになります。
よって、取得及び償却の手続は、
1、法273条1項に基づく、行使条件に該当しなくなった予約権の取得日決定取締役会決議
2、法273条2項に基づく、取得対象となった予約権者への取得日通知
3、法276条に基づく、取得した予約権の消却取締役会決議
という流れになり、1と3を別々に決議するのは面倒なので、法275条1項に基づく取得の効力発生期間後の日(法253条2項の規定から到達主義と判断して、なか15日+今回は日程に余裕があったので数日を空けた日)を取得日及び消却日として、1回の取締役会において、1号議案で上記1を取得の件(内容は取得日決定)として決議、2号議案で、上記2を消却の件(取得日に、取得した予約権を消却する)として決議し、取締役会決議日に、取得対象となった新株予約権者へ上記2の通知を行うこととしました。

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