災害発生でいつも通り出社できない!イレギュラー発生時の対応に関するお悩み
夏は台風、冬は雪、といったように、近年の異常気象により突然の休業を余儀なくされる日が増えています。地震などの自然災害も頻発しており、企業としては防災対策や労働規則の見直しが求められているでしょう。こうした災害時、有給休暇や振替休日の扱いについて、社員は疑問や不安が生じやすいです。
本記事では、災害時のイレギュラー対応に関するお悩みを取り上げました。ぜひご一読ください。
1. 有休予定日が台風で休業になった!有休は消化したまま?
質問日:2024年8月29日
◆1. 質問内容(全文)
もともと有休申請・振替休日予定だった日が台風でお休みになりました。
① 休業日の場合
② 休業ではない(会社は開いている)が、安全配慮の観点からお休みを勧めた場合。これで休んだ他の職員は特別休暇として有休は消化されない。有休申請していた人、振替休日予定だった人、それぞれどのような扱いになるでしょうか?
よろしくお願いいたします。
◆1. 総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
御社の就業規則の詳細が分かりませんので、一般的な処理のお話です。
仕事をする義務のある日(所定労働日)を基本と考えてみてください。
①休業日=出勤しなくてもいい日、そもそも、有給にする必要がありませんし、休日に休日を当てることはできないので、処理に困ります。
②休業ではない=所定労働日
会社が労働を免除してあげるので休んでいい=仕事をしていないので基本無給
有給休暇や振り替え休日以外の人は「会社が働いたものとみなす」なら出勤扱いとして処理。有給休暇も振替休日も、そのまま有効。
●回答②
(前略)
①の場合は、休業日(会社がこの日はお休みとあらかじめ決めた日)に有給休暇や代休、振替休日を設定することはできませんので、そもそも考える必要がありません。
もし、現実にあったことなら会社側から承認を取り消す必要があります。②の場合は有給休暇や振替休日を取得したことになります。感情的には引っ掛かりがありますが、法律ではそのように運用してかまわないことになっています。
ただし、会社側が有給休暇の取り下げや振替休日の再設定を特例で事後に認めることは法律違反ではありません。
当社では就業規則に臨時休業の場合の措置として、当人の申請があれば取り下げ及び再設定を認める旨記載があります。会社が休業しなかった場合はできないことになっています。(後略)
●回答③
①
休業日としたのであれば、労働日ではありませんので、有給休暇を取得することはできないです。
労働日でないため振替休日の対象となる労働日としての入れ替えは成立しないことになります。なお台風により設備の損傷があるとか公共交通機関の運休によるいかなる方法でも出社できないという状況でないのであれば、休業手当の支払いが必要になります。
②
お休みを勧めた結果、労働者本人が出勤しないのであれば欠勤として扱うことで支障ないです。その方に特別休暇として、欠勤の扱いをしないことも支障ありません。
休業していないのですから、有給休暇申請をされているのであれば有給休暇の日として扱うことでよいでしょう。
休日を入れ替えた結果休日になっている日であれば、その方はそもそも休日になっているはずです。
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総務の森<相談の広場>『有休や振替休日予定日が台風でお休みになったら』
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2. 災害により通勤方法を変更。交通費は請求できる?
質問日:2022年1月7日
◆2. 質問内容(一部抜粋)
(前略)
当社は車通勤、バイク通勤が多い職場です。
前日降った雪で路面が氷り、通常自転車通勤のところ電車バスで職場まで来たパートさんに電車賃を請求されました。
実際、電車に変更して出社した職員は多いと思います。
どのように対応すればよいでしょうか?
◆2. 総務の森に寄せられた返信はこちら
●回答①
(前略)
貴社の交通費の支給規定による、というお返事になります。
1回あたりの交通費を定額で雇用契約しているのであれば、上限はその額までとしても支障はありません。
実費支給という契約で、従業員が選択した方法で支払いという契約であれば、実費支給になるでしょうね。
月にいくらという契約であれば、その額の支払いという契約になります。
公共交通機関が不通の場合に、別途交通費を支給するのかどうかも、貴社の規定によります。
なので、貴社の規定に従って対応していただたくことになるでしょう。
●回答②
(前略)
現状の支給方法が不明なので何ともですが風雨の出勤はどうされているのでしょうか。
風雨や強風でも自転車通勤されているのでしょうか。
天候不良による公共交通利用は今までも発生したと思いますが特段の請求がなければ今回の雪天候でも同様の対応になろうかと考えます。
経験則では定期代支給の職員に天候不良による通勤用具変更時の請求を支払っている事業所は見聞していません。
事業所の規定の確認も必要でしょう。(後略)
●回答③
当社の例ですが、天候や公共交通機関の事故が原因で通勤経路を変更する場合の費用は本社人事労務の交通費(年間予算に組み入れている)で対応しています。規定上は交通費支出の例外規定適用で部長決裁案件となっています。
運用ですが、ニュース等で発生の事実はわかるので、掲示やメールで交通機関を変更したものは申し出るように連絡しています。合理的なルートであれば証票は不要で清算はwebシステムを使っており、科目細目は指定があります。ご参考まで。
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総務の森<相談の広場>『雪の日の通勤経路変更による手当について』
【関連記事】災害発生に備えて防災マニュアルを作ろう!
2024年1月1日、石川県能登半島で最大震度7の揺れを観測する大地震が発生しました。日本が自然災害の非常に多い国であることは、議論の余地はないでしょう。災害が起きたときに備え、企業は社員の安全を守りなおかつ事業を続けていくために、しっかりとした防災マニュアルをつくっておくことが大切です。しかし、企業の規模・業種・所在地などによって、マニュアルの記載事項は変わります。下記記事では、自社に合った防災マニュアルの作成方法について解説するので、ぜひ参考にしてください。
>詳しくはこちら
経営ノウハウの泉『企業における防災マニュアルの作成方法。記載すべき内容や作成時のポイントまで解説』
最後に〜相談の広場ご紹介〜
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