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会社法のポイント(19)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第75号/2006/3/1>■
 1.はじめに
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(19)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法の基礎”(2)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 皆様、こんにちは。行政書士の津留信康です。
 読者の方々の中にも、ご覧になった方は多いと思いますが、
2003年2月スタートの「最低資本金規制の特例制度」を活用して、同年8月、
資本金250万で創業した「比較.com株式会社」さん(※)が、早ければ今月中にも、
東商マザーズに上場する見通しとのことです(2006/2/15の日本経済新聞より)。
 設立後、同社は、2004年12月の増資で、1,000万の最低資本金規制をクリア、
現在の資本金は2,300万とのことですが、
今回上場が実現すれば、特例制度導入以来“初”となるだけに、
大いに注目しておきたいところです(☆編集後記に続く・・・)。
  ※)同社HP(沿革) http://www2.hikaku.com/info/company/history.html
 
 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

★本号に限らず、当メルマガに対するご意見・ご感想・ご要望等がございましたら、
 今後の誌面作りの参考とさせていただきますので、
 ブログ「徒然なるままに・・・」(※)に、コメントをお寄せください!!
  ※) http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/post_75fb.html
★当事務所への「業務のご相談・ご依頼」は、
 事務所HP( http://www.n-tsuru.com )のメールリンクから、お願い致します。

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(19)」
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★本号では、前号に続き、
 『会社法(全8編/全979条)―「第2編 株式会社」』から、
 「第2章 株式(全10節)
  ―第4節 株式会社による自己の株式の取得&第5節 株式の併合等」
 の概要について、ご紹介いたします。
  ■第4節 株式会社による自己の株式の取得(第155条~第179条)
   □第1款 総則<新設>
    株式会社は、一定の場合(同上第1号~第13号)に限り、
    当該株式会社の株式を取得することができます(第155条)。
   □第2款 株主との合意による取得
    1.株式会社が、株主との合意により、
      当該株式会社の株式を有償で取得するには、あらかじめ、
     「株主総会普通決議(現行商法第210条第1項が、定時総会での決議
     を要求しているのに対し、会社法では、臨時総会でもよいとされた)」
     によって、一定の事項を定めなければなりません(第156条第1項)。
      また、実際に、株式会社が株式を取得しようとするときは、
     その都度、一定の事項を定めた上で(第157条第1項)、
     株主に対し、通知しなければなりません(第158条第1項)。
    2.特定の株主から有償で取得する場合、株主総会の決議は「特別決議
     であることを要します(第160条第1項、第309条第2項第2号)。
    3.市場取引等による株式の取得(第165条)
   □第3款 取得請求権付株式および取得条項付株式の取得
    1.取得請求権付株式(第2条第18号/株式会社が、
     その発行する全部または一部の株式の内容として、
     株主が、当該株式会社に対して、
     当該株式の取得を請求することができる旨の定めを設けている場合
     における当該株式)の株主は、原則として、株式会社に対して、
     その取得を請求することができます(第166条第1項本文)。
    2.取得条項付株式とは、
     「株式会社が、その発行する全部または一部の株式の内容として、
     当該株式会社が、一定の事由が生じたことを条件として、
     当該株式を取得することができる旨の定めを設けている場合
     における当該株式」のことです(第2条第19号)。
   □第4款 全部取得条項付種類株式の取得<新設>
    全部取得条項付種類株式を発行した種類株式発行会社は、
    株主総会の決議によって、全部取得条項付種類株式の全部を
    取得することができる(第171条第1項)。
   □第5款 相続人等に対する売渡しの請求<新設>
    株式会社は、相続その他の一般承継により、
    当該株式会社の株式(譲渡制限株式限定)を取得した者に対し、
    当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を、
    定款で定めることができます(第174条)。
   □第6款 株式の消却
    現行商法における、2つの株式消却制度、
    自己株式の消却(第212条)および強制消却(第213条)は、
    会社法では、「自己株式の消却」のみに統一されました(第178条)。
  ■第5節 株式の併合等(第180条~第187条)
   □第1款 株式の併合
     株式会社が、株式の併合をする際には、その都度、株主総会において、
    一定の事項を決議する(第180条第2項)と同時に、取締役は、
    株式の併合の必要性について、説明しなければなりません(同条第3項)。
     なお、現行商法第214条第1項と同様に、上記の株主総会の決議は、
    「特別決議」であることを要します(第309条第2項第4号)。
   □第2款 株式の分割
    株式会社が、株式の分割をする際には、その都度、
    株主総会取締役会設置会社の場合は、取締役会)において、
    一定の事項を決議しなければなりません(第183条第2項)。
   □第3款 株式無償割当て<新設>
    株式会社が、株主に対して、株式無償割当て(新たな払込みをさせないで、
    当該株式会社の株式の割当てをすること)をする際には、
    その都度、定款に別段の定めがある場合を除き、
    株主総会取締役会設置会社の場合は、取締役会)において、
    一定の事項を定めなければなりません(第186条第1項・第3項)。

★『「神話高千穂トロッコ鉄道」設立への道―株式会社の“募集設立”事例』
 ☆現在、「走れトロッコ列車準備室(※1)」では、
  第3セクターとしての経営存続を断念した「TR高千穂鉄道(※2)」
  の受け皿会社として、本年4/1の「神話高千穂トロッコ鉄道」の設立へ向けて、
  準備を進めています。
   当メルマガでは、ブログ「徒然なるままに・・・」と連携して、
  実例を基に、「株式会社の“募集設立”の流れ」について、ご紹介しています。
   ※1) http://www.takachiho-kanko.jp/cgi/imgboard.cgi
   ※2) http://www.t-railway.co.jp/
 ■Step1―会社のアウトラインの検討
       http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/post_2057.html
          ▼
 ■Step2―発起人会の開催
       http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/step2_add4_1.html
          ▼
 ■Step3―定款の作成・認証
       http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/01/step3_b93e.html
          ▼
 ■Step4―「発起人による株式の引受け・払込み」
       &「設立時発行株式引受人の募集・申込み・割当て・払込み」
       http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2006/02/step4_47e2.html

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法の基礎”(2)」
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★本号では、「民法第1編 総則(全7章)」から、
 「第2章 人(全5節)」の概要について、ご紹介します。
 ■第1節 権利能力(第3条)
  私権の享有について、第1項で、その開始時期(出生)、
  第2項で、外国人の場合について、それぞれ規定されています。
 ■第2節 行為能力
  □制限行為能力者の保護
   1.未成年者(第4条~第6条)
     未成年者が法律行為をするには、
    単に権利を得、または義務を免れる場合を除いて、
    法定代理人の同意を得なければならず(第5条第1項)、
    それに反する法律行為は、取り消すことができます(同条第2項)。
     また、一種または数種の営業を許された未成年者は、
    その営業に関しては、成年者と同一の行為能力を有します(第6条第1項)。
     なお、未成年者については、
    「民法親族編―第4章 親権&第5章 後見」の規定も、ご確認ください。
   2.成年被後見人・被保佐人・被補助人(第7条~第19条)
    任意後見契約を含む「成年後見制度」全般に関しては、
    「民法親族編―第5章 後見」の規定&「法務省民事局HP(※)」を、
    ご確認ください。※) http://www.moj.go.jp/MINJI/minji17.html
  □制限行為能力者の相手方の保護(第20条・第21条)
 ■第3節 住所(第22条~第24条)
  住所・居所・仮住所の各定義について、規定されています。
 ■第4節 不在者の財産の管理および失踪の宣告
  □不在者の財産管理
   従来の住所または居所を去った者(不在者)が、
   その財産の管理人(管理人)を「置かなかった場合」(第25条)、
   「置いた場合」(第26条~第29条)の各財産管理について、
   規定されています。
  □失踪宣告
   不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、
   利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができ(第30条第1項)、
   失踪の宣告を受けた者は、
   その期間満了時に死亡したものとみなされる(第31条)ため、
   配偶者への再婚の機会の付与、相続の開始による財産関係の確定など、
   身分関係の安定において、重要な意味を持つ規定です。
 ■第5節 同時死亡の推定
  第32条の2には、「数人の者が死亡した場合において、そのうちの1人が、
  他の者の死亡後になお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は、
  同時に死亡したものと推定する」と規定されており、
  「相続人の確定手続き」において、重要な意味を持つ規定です。

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 4.編集後記
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■第75号は、いかがでしたか?
  ところで、「最低資本金規制の特例制度」スタート以来、
 「少額の資本で会社を設立したい!」とのご相談は数多く寄せられていましたが、
 会社法において、最低資本金規制が撤廃される旨が明らかになってからは、
 ますます、同様のご相談が増えてきたような気がします。
  その多くは、前述の「比較.com株式会社」さんほどではないにせよ、
 「創業後の順調な事業発展を予感させる、堅実なビジネスプランをお持ちの方々」
 だったのですが、残念ながら、中には、そうでない方々もいらっしゃいました。
 手順にさえ従えば、会社を設立すること自体、比較的簡単なことですが、
 肝心なのは、「いかに事業を育て、会社を発展させていくか」ということです。
 「とりあえず会社を立ち上げてから・・・」と安易に考えるのは禁物、
 根拠に基づいた、余程の確信がなければ、まずは、
 「個人事業者として創業する、早計に会社を辞めずに十分研究する」といった、
 慎重な姿勢が求められるのでは?と思っています。
■次号(第76号)の発行予定⇒2006/3/15
■編集責任者:行政書士 津留信康 http://www.n-tsuru.com
■発行システムは、「まぐまぐ」 http://www.mag2.com/ を利用しています。
■購読の解除は、 http://www.mag2.com/m/0000106995.html からできます。
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