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世界が認める呼吸器外科医、伊達洋至氏の仕事の流儀!

     ◆◆コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆

  <第246回>患者との絆を最高のメスにする呼吸器外科医の適時決断力!

   ==■「世界が認める呼吸器外科医、伊達洋至氏の仕事の流儀」■==

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人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れとな
り、成果に結び付けられない人が実に多いのです。

仕事のできる人とできない人の決定的な違いは「行動特性の差」に現れます。コンピ
テンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・管理者・
社員の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非ともお読み
いただきたいと思います。

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<今回のメニュー>
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【1】いつでも「手術は恐ろしい」!
【2】絆を最高のメスに!
【3】プロフェッショナルとは他の人ができない技術を持った人!
【4】編集後記

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平成22年10月18日放送のNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」に世界が認
める呼吸器外科医、伊達洋至(だてひろし)医師(51歳)が登場した。京都大学医
学部付属病院に勤務している。伊達医師は25人のメンバーを率いるリーダーである。

若いときアメリカに留学し肺の移植技術を極めた。伊達医師は、進行肺がんや肺移植
の手術を三千例近く手掛けてきたが、その成績は世界的にも飛びぬけている。伊達医
師の元には他の病院で手術は難しいと告げられた患者が多くやってくる。わらをも掴
む思いでやってくる患者が多いのだ。

伊達医師は毎日時間を見つけては病室を訪問し、気さくに朗らかな笑顔で接し、患者
の心をほぐしていく。患者や家族の気持ちが前を向くことが病と戦う上で大切だから
だ。

1998年10月28日、肺移植を日本で初めて成功させたのが伊達医師である。24歳
の女性の肺がだんだん固くなっていき酸素を取り込めなくなる難病だ。手術の朝、こ
の患者の様態が急変し手術が危ぶまれた。だが、伊達医師は手術決行を決意した。ス
タッフたちと冷静に声を掛け合いながら7時間に及ぶ手術を成功させた。もし失敗し
ていれば「日本での肺移植はまだ無理」とマスコミナ叩かれたに違いない。厳しい決
断だった。

ドナーの提供者が現れず15歳の少女を社会に戻すことができなかった「忘れること
のできない少女との別れ」が伊達医師にいつも力を与えてくれていると信じている。

そこで、今回は呼吸器外科医、伊達洋至医師の「適時決断力」なるコンピテンシー
重要さに迫ってみる。



【1】いつでも「手術は恐ろしい」!

三千例以上もの手術の経験を持つ伊達医師だが、「手術はいつも恐ろしい」と思って
いる。世界に認められた名医でありながらおごる気持ちは全くない。出勤前の儀式が
伊達医師の心を冷静にしてくれる。ジョギングとお寺への参拝だ。ジョギングは汗を
流して集中力を呼び戻すことに役立つ。また参拝してじっと手を合わせてお祈りする
ことが心を静かにしてくれ自分を戒めてくれるのだ。

手術の前夜、ガーゼを使って縫合のトレーニングをする。患者へのストレスを少しで
も軽減するため、短時間で確実に肺動脈の縫合を成功させなければならない。縫合次
第で血液が漏れたり、肺動脈が細くなったりするからこの技術は生命線だ。

大きな手術の前にはスタッフと連れ立って行けつけのカレー店へ行く。皆でカツカレ
ーを食べる。「手術に勝つ」という思いを乗せて皆で食べるのだという。

これら、いくつかの儀式が伊達医師とスタッフ一同のモチベーションを高め、チーム
ワーク力を発揮する原動力になっているのだ。



【2】絆を最高のメスに!

伊達医師は患者や家族の「生きたい、治りたい」という強い思いに触れるたびに、元
気にして世の中に帰してあげたいと強く思う。患者や家族の「生きたい、直りたい」
という強い思いがメスに乗り移って我々医師の力を引き出してくれると信じている。

例えば、29歳の女性の患者。やはり肺が硬くなっていき、やがて呼吸ができなくな
る難病だ。肺の提供者は母と叔母。二人の提供者の肺の機能も低下する。しかも患者
への移植成功率は80%、つまり20%は失敗のリスクがあることも説明した。患者
も家族も「先生を信じてお任せする」と悲痛な思いで懇願した。

その晩、家族が集まり楽しい食事会。そこに現れた伊達医師は、「数ヵ月後にまた楽
しい食事会ができますから」とにこやかに話した。

手術当日、患者に優しく話しかけ「眠っている間に終わりますから心配しないでくだ
さい」とまたもにこやかに話しかけ、握手をして手術室へ向かった。7時間半に及ぶ
手術は見事に成功した。今彼女は元気になって世の中に帰った。「息が苦しくないか
ら何でもできそう」と張り切っている。



【3】プロフェッショナルとは他の人ができない技術を持った人!

「弱点は何ですか」の問いに「弱点ですか。いっぱいありますよ。情にもろいところ
かな。悲しい映画を見れば涙を流しますしね」。

「プロフェッショナルとは」の問いに「自分がプロフェッショナルかどうかは分から
ないですが、イメージとしては努力をしてですね、他の人に真似のできないような技
術を持った人、と思います」と言ってくれた。

心臓と肺をつなぐ肺動脈は極めて薄く、破れやすい。正確に縫わないと大出血につな
がる難しい血管だ。伊達医師はその縫合を通常の半分の時間でやってのける。針を持
ち替えるタイミングを工夫しているのだ。糸は一般の医師が使うものよりも一回り細
い。糸を通した穴から血液が漏れるのを防ぐためだ。縫い目の間隔も血管の状態に応
じて0.5ミリ単位のわずかな違いにこだわる。正に他人が真似のできない技術を持って
いるのだ。



【4】編集後記

手術では手術前、手術中、手術後にそれぞれ決断する場面があるのだという。6歳の
少女に母親から提供された2分の1の肺を移植するとき、大きすぎて少女の肺のあるス
ペースに入らない可能性が50%あった。その場合、もう片方の肺を除去する案も選択肢
として掲げ、手術に入った。

案の定、入りきらなかった。スペースが狭いだけでなく、心臓が肥大していた影響も
あったためだ。だが、皮膚だけ縫い合わせて様子を見ようと決断した。一晩経ったら
心臓が縮み、片方の肺は除去せずに済んだ。肋骨を元に戻す手術をして少女を助ける
ことができた。

伊達医師は、技術だけでなく「適時決断力」なるコンピテンシーの達人でもあるのだ。



次回に続く
次回は、「勝てるステージを求めて人生流転、オーナーシェフの挑戦志向!」を解説
します。

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