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ひき逃げ犯検挙に向け納得しきるまでやり続ける池森昭氏の忍耐力

     ◆◆コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆

    <第250回>被害者や遺族の無念さを胸に闘う交通鑑識!

==■「ひき逃げ犯検挙に向け納得しきるまでやり続ける池森昭氏の忍耐力」■==

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人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れとなり、
成果に結び付けられない人が実に多いのです。

仕事のできる人とできない人の決定的な違いは「行動特性の差」に現れます。コンピテ
ンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・管理者・社員
の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非ともお読みいただ
きたいと思います。

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<今回のメニュー>
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【1】事故現場には、必ず何かが残る!
【2】先入観を一切持たない!
【3】納得しきるまでやり続け、犯人を追い詰める忍耐力!
【4】編集後記

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2010年11月15日、NHKプロフェッショナル 仕事の流儀で、群馬県警前橋警察署
で働く交通鑑識池森昭氏の活躍ぶりが紹介された。池森氏は28年間、交通鑑識を専門
に行い、3年前には全国の警察で卓越した技能や知識を持つと認められ広域技能指導官
に認定された。これまで2,500件以上もの交通事故の現場に携わり、最近5年間のひき
逃げ犯検挙率は100%だ。

ひとたび事故の連絡が入れば部下を引き連れ、チームで現場へ急行だ。地べたにはいつ
くばり採取した車両の破片を分析し事故車の車種や製造年月を割り出す。捜査員を中心
に「車あたり(疑わしい車を探し回る)」をやってもらい事故車を特定して犯人を検挙
するのだ。

池森氏は「ないものから見つける」という強い信念を持って仕事に執念を燃やす。被害
者や遺族の無念さを思うと諦めることは絶対にできないのだ。普段は優しいおじさんだ
が事件が起こると表情が一変する。制服を着ると気が引き締まると池森氏は言う。

逃げた車が残したブレーキ痕と小さな破片、被害者の衣服についていた生地痕からどん
な風に衝突したのかを予測する。池森氏の仕事の流儀は先入観を持たずに「素直に見る」
ことから犯人を追い詰めていくのだ。

そこで、今回はひき逃げ犯を絶対に逃がさない交通鑑識池森昭氏の「素直さ」、「忍耐
力」なるコンピテンシーの重要さに迫ってみる。



【1】事故現場には、必ず何かが残る!

交通事故が起こった現場に立ち、どのように事故が起こったのかを明らかにすることが
池森チームの仕事だ。ブレーキ痕、ガードレールや路面の破損、そして残された車の部
品の破片や塗膜片など、現場で発見したあらゆるものから事故状況を推定していく。

ひき逃げ事故の捜査において重要な手掛かりとなるのが落ちていた部品の一部や塗膜片
だ。例えば塗膜片を斜めにカットすると塗装の3層構造が見える。莫大な車種・製造年
から一致するものを探し出す。気の遠くなるような作業だ。

池森氏の出した鑑識結果により、100人を超える捜査員が一斉に動く。そのため、間違
った捜査方針を決して出すことはできない。このときの池森氏の仕事の流儀は「納得し
きるまでやり続ける」という行動特性だ。

鑑識はどんなに調べ尽くしても100%間違いないと言い切ることはできない仕事だ。し
かし全てのことを納得しきるまでやったと言う自負があるからこそ、重大な責任を負う
ことができると池森氏は言う。被害者や遺族のために、決して諦めるわけにはいかない
のだ。



【2】先入観を一切持たない!

事故現場に立つ池森氏は「素直に見る」という行動特性を発揮する。先入観を一切持た
ず、常にまっさらな気持ちを持って証拠をたどっていくことで確実に事故の瞬間に起き
たことに迫っていくのだ。「起きたことを逆巻きにしていく作業」と池森氏は言う。

そのために池森氏が最も大切にする道具がピンセットだ。現場に残された証拠品を扱う
ため、証拠品の大きさ、硬さなどに応じて太さや材質の違う3種類のピンセットを使い
分ける。週に一回は顕微鏡でピンセットの先を見ながら研いで手入れを行う。ピンセッ
トは自分の指と同じ役目をするものだからだ。

赤外線照射機もよく使う道具だ。被害者の衣服に赤外線をあて、肉眼では見えない線を
見るための道具だ。衝突により潰れた繊維や微細な引っかき傷を見つけ出し、衝突時の
状況を推定するのに役立つ。これを生地痕と呼んでいる。

業務用のパワーのある掃除機も使う。水も砂も一緒にあらゆるゴミを吸い取り、先を削
った割り箸で一粒一粒より分けながら重要な証拠品が紛れていないか、調べるのに役立
つ。

証拠集めと特定のために泥臭いと思われる道具が威力を発揮するのだ。



【3】納得しきるまでやり続け、犯人を追い詰める忍耐力!

鑑識作業の途中で何度も結論を求める電話が掛かってくる。だが、池森氏は「まだ答え
は出せない。待ってほしいと」と答える。納得するまで答えは出さないことにしている
のだ。被害者や遺族のためにもうかつな答えは出せないのだ。

ある夜、鑑識チームに出動要請があった。捜査開始から6時間後、塗膜片を見つけた。
上塗り、中塗り、下塗りから車種と製造年月を特定した。結論まで3日も要してしまっ
た。

捜査員は一斉に「車あたり」をやる。2時間後疑わしい車が見つかったと連絡が入った。
車発見現場には池森氏が特定した車種の車があった。そして衝突の痕跡を見るなり「間
違いないですよ」と池森氏の声が響く。車の持ち主はあっさりひき逃げを自供した。

這いつくばった先に真実があったのだ。「素直に見る」、そしてひき逃げ犯を絶対に逃
がさないという「忍耐力」が過去5年間ひき逃げ犯検挙率100%を実現する原動力にな
っている。



【4】編集後記

人身事故ともなると圧倒的にひき逃げが多い。飲酒運転、無免許運転、その他違反行為
が発覚するのを恐れてとっさに逃げてしまうのだろうか。

良心の呵責に耐えかねて出頭してくるひき逃げ犯もいるが捕まるまで逃げ続ける犯人も
多い。そして「何かにぶつかったような気はしたがまさか人間だとは思わなかった」な
どと言い訳する。

池森氏とそのチームのメンバーの「素直さ」と「忍耐力」なるコンピテンシーは企業の
ビジネスマンもベンチマークすべきである。



次回に続く

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        彩愛コンサルピア代表 下山明央

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