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★★★ 新・
行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-37 ★★★
【レジュメ編】 地方自治法(その1)
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■■■ 地方自治法 ■■■
■■■
個人情報保護法の施行状況 ■■■
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■■■ 地方自治法 ■■■
■■ 地方自治法の基礎
■ 基本的要素
(1)住民自治:地方公共団体の事務処理を中央政府の指揮命令によらず、当該地域の
住民の意思と責任で実施するという原則。
(*)地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方
公共団体の住民が、直接これを選挙する(憲法93条2項)。
→ 間接民主制、代表民主制による住民自治を保障。
(2)団体自治:国家の中で、国家から独立した団体が存在し、当該団体がその事務を
自己の意思と責任で処理すること。
(*)地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を
有し、法律の範囲内で条例を制定することができる(憲法94条)。
→ 団体自治が確保されて、住民自治が成立する。
(3)団体自治の根拠:制度的保障理論
(ア)地方自治制度は、憲法によって保障されている(法律ではない。)。
→ 憲法を改正しなければ、地方自治制度を廃止することはできない(憲法を改正すれ
ば、廃止は可能。)。
(イ)法律により、地方自治制度の内容を制限することはできない。
→ 憲法上の保障であるため、その内容を制限することは違憲になる。
■ 憲法の規定
(1)基本原則:地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基い
て、法律でこれを定める(94条)。
・「地方自治の本旨」:住民自治と団体自治のこと。
(2)議会:地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会
を設置する(93条1項)。
(3)選挙:地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、そ
の地方公共団体の住民が、直接これを選挙する(93条2項)。
(4)権能:地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する
権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる(94条)。
・「法律の範囲内で条例を制定」:地方公共団体には条例制定権があるが、法律に違反
することはできない(条例制定権の限界)。
■■ 構成要素
■ 区域:普通地方公共団体の区域は、従来の区域による(5条1項)。
・「従来の区域」:地方自治法施行時(日本国憲法施行の日〔昭和22年5月3日〕、地方
自治法附則1条)の区域
(1)
境界紛争(9条)
(ア)市町村の
境界に関する争論については、都道府県知事は、議会の議決を経た関係
市町村の申請に基づき、これを
調停に付することができる。
→ 「
調停に付することができる」のであって、付すことは法的義務ではない。
→ 「市町村の
境界」についてのみ規定するのは、「都道府県は、市町村を包括する」
(5条2項)ためである。
(イ)
調停により市町村の
境界が確定しないとき、又は議会の議決を経たすべての関係
市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、都道府県知事は、関係市町村の
境界について裁定することができる。
(ウ)
調停又は裁定により市町村の
境界が確定したときは、都道府県知事は、直ちにそ
の旨を
総務大臣に届け出なければならない。
(エ)
総務大臣の告示により、関係市町村の
境界についての効力が生ずる。
(オ)都道府県知事の裁定に不服があるときは、関係市町村は、裁定書の交付を受けた
日から30日以内に裁判所に出訴することができる。
→ 最初から出訴することはできず、二次的にできるに過ぎない。
■ 住民:市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府
県の住民とする(10条1項)。
・住民には
自然人および
法人が含まれる。ただし、「日本国民たる普通地方公共団体の
住民」(11条、12条、13条)については
自然人のみを意味する。また、住民について
の要件はない(
国籍、年齢、行為能力等は一切問われない。)。
●● 最高裁判例「選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消」(民集第
49巻2号639頁)
【裁判要旨】
日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした
地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、憲法一五条一項、九三条二項に違
反しない。
【理由】
国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が
我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条
二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するも
のと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団
体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
我が国に在留する外国人のうちでも
永住者等であってその居住する区域の地方公共団体
と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に
密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもっ
て、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずること
は、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右の
ような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような
措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
■
法人格:地方公共団体は、
法人とする(2条1項)。
■■ 普通地方公共団体(1条の3)
■ 地方公共団体:普通地方公共団体と特別地方公共団体
(1)普通地方公共団体:都道府県と市町村
(2)特別地方公共団体:特別区、地方公共団体の組合、財産区と地方開発事業団
■ 市町村
(1)市の要件(8条1項)
・人口5万以上を有すること。
・当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の
6割以上であること。
・商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全
人口の6割以上であること。
・当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えているこ
と。
★ 市町村の
合併の特例等に関する法律では、市になるための要件について特例が認め
られている(例えば、人口は3万人以上)(7条1項)。
★ 「市町村の
合併の特例等に関する法律」の概要については、以下のURLを参照のこ
と。
http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/040309_3_01.html
(2)町の要件(8条2項)
・当該都道府県の条例で定める町としての要件を具えていること。
(3)町村を市にする手続(8条3項)
(ア)議会の議決を経た関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会
の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を
総務大臣に届け出なければならない。
(イ)都道府県知事は、あらかじめ
総務大臣に協議し、その同意を得なければならな
い。
(ウ)届出を受理したときは、
総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを
国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
(エ)町村を市とする処分は、告示により効力を生ずる。
(*)過疎化の進行により、市を町村にする場合も、町村を市にする場合と同様の手続
を経ることが必要である。
(4)市と町村の実質的差異
(ア)議会の議員定数に差がある。
第九十一条 市町村の議会の議員の定数は、条例で定める。
2 市町村の議会の議員の定数は、次の各号に掲げる市町村の区分に応じ、当該各号
に定める数を超えない範囲内で定めなければならない。
一 人口二千未満の町村 十二人
二 人口二千以上五千未満の町村 十四人
三 人口五千以上一万未満の町村 十八人
四 人口一万以上二万未満の町村 二十二人
五 人口五万未満の市及び人口二万以上の町村 二十六人
六 人口五万以上十万未満の市 三十人
七 人口十万以上二十万未満の市 三十四人
八 人口二十万以上三十万未満の市 三十八人
九 人口三十万以上五十万未満の市 四十六人
十 人口五十万以上九十万未満の市 五十六人
十一 人口九十万以上の市 人口五十万を超える数が四十万を増すごとに八人を五十
六人に加えた数(その数が九十六人を超える場合にあつては、九十六人)
(イ)事務局を置かない市議会には書記長を置かなければならないが、町村議会では書
記長を置かないことができる(138条4項)。
(ウ)市町村には収入役を一人置かなければならない。ただし、(a)政令で定める市
(人口10万未満の市)および(b)町村は、それぞれ条例で収入役を置かず、市
町村長または助役にその事務を兼掌させることができる(168条2項但書)。
(エ)監査委員の定数は、一般の市にあっては条例の定めるところにより3人または2
人(政令で定める市にあっては4人)だが、町村にあっては2人とされている
(195条2項)。
(オ)市は郡の区域外とされている。郡の区域内において市の設置があったとき、また
は郡の区域の
境界にわたって市町村の変更があったときは、郡の区域も、また自
ら変更される(259条2項)。
(カ)市については、指定都市・中核市・特例市という特別の制度がある。
(キ)町村にあって市にない特別の制度として、町村総会がある(現在、町村総会の実
例はない。)。
第九十四条 町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権
を有する者の総会を設けることができる。
■ 市制度の特例
【1】政令指定都市
第二百五十二条の十九 政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」とい
う。)は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところ
により処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定
めるところにより、処理することができる。
一 児童福祉に関する事務
二 民生委員に関する事務
三 身体障害者の福祉に関する事務(以下省略)
2 指定都市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めると
ころにより都道府県知事若しくは都道府県の
委員会の許可、認可、承認その他これらに
類する処分を要し、又はその事務の処理について都道府県知事若しくは都道府県の委員
会の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命令を受けるものとさ
れている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところにより、これらの許
可、認可等の処分を要せず、若しくはこれらの指示その他の命令に関する法令の規定を
適用せず、又は都道府県知事若しくは都道府県の
委員会の許可、認可等の処分若しくは
指示その他の命令に代えて、各大臣の許可、認可等の処分を要するものとし、若しくは
各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。
(ア)政令指定都市:大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市、北九州市、札幌
市、川崎市、福岡市、広島市、仙台市、千葉市、さいたま市(13市)。
→ 政令で指定されるが、中核市や特例市も政令で指定される。
(イ)特例
(a)事務配分の特例(252条の19第1項):都道府県やその機関が処理すること
とされている事務のうち一部が指定都市その他の機関の事務となる。
(b)監督の特例(252条の19第2項):市が処理する事務について都道府県知事
等の認許可や命令についての定めがある場合、指定都市については、認許可を不
要としたり、知事の命令に関する法令を適用しないこととしている。
(c)組織上の特例:区の設置
第二百五十二条の二十 指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条
例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張
所を置くものとする。
・指定都市の区は、東京都23区のような特別区とは異なり、
法人格はなく、市の行政
事務処理の便宜のために設けられる行政区にとどまる。
→
国家賠償法に基づく
損害賠償は、指定都市の区長の
不法行為の場合には当該指定都
市に対して行うが、特別区の区長の場合には特別区に対して行うことになる。
【2】中核市
(1)1994年の地方自治法改正で、指定都市に次ぐ地域拠点の市として設けられた。地
域の中心となる地方大都市の権限を強化し、住民に身近な行政を充実させようと
いう意図によるものである。
(2)中核市:平成18年4月現在、宇都宮市、新潟市、富山市等36市が指定されてい
る。なお、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/taisyo.htmlを参照のこと。
(3)中核市の権能
第二百五十二条の二十二 中核市(次条に掲げる要件を備えた市であつて政令で指定す
るものをいう。以下同じ。)は、第二百五十二条の十九第一項の規定により指定都市が
処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理すること
が中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが
適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理す
ることができる。
2 中核市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めるとこ
ろにより都道府県知事の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命
令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところ
により、これらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事
の指示その他の命令に代えて、各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。
→ 政令指定都市との比較については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html
を参照のこと。
(4)中核市の要件
第二百五十二条の二十三 中核市となるべき市が備えなければならない要件は、次のと
おりとする。
一 人口三十万以上を有すること。
二 当該市の人口が五十万未満の場合にあつては、面積(国土地理院において公表した
最近の当該市の面積をいう。)百平方キロメートル以上を有すること。
(5)中核市の指定に係る手続
第二百五十二条の二十四
総務大臣は、第二百五十二条の二十二第一項の中核市の指定
に係る政令の立案をしようとするときは、関係市からの申出に基づき、これを行うもの
とする。
2 前項の規定による申出をしようとするときは、関係市は、あらかじめ、当該市の議
会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。
3 前項の同意については、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
→ 中核市となる手続については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html を参
照のこと。
【3】特例市
(1)1999年、地方分権一括法により設けられた制度であり、行政需要が高く、事務処
理に必要な専門知識等を具備した組織を整備しうると思われる市に対して都道府
県の権限の委譲を推進する観点から、人口20万人以上の市につき、当該市からの
申出に基づき、政令で指定することによって、中核市が処理することができる事
務のうち、特例市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定
めるものを、政令で定めるところにより、処理するものとする制度である。
→ 特例市の概要については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html を参照の
こと。
第二百五十二条の二十六の三 政令で指定する人口二十万以上の市(以下「特例市」と
いう。)は、第二百五十二条の二十二第一項の規定により中核市が処理することができ
る事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが特例市が処理する
ことに比して効率的な事務その他の特例市において処理することが適当でない事務以外
の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
2 特例市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めるとこ
ろにより都道府県知事の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命
令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところ
により、これらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事
の指示その他の命令に代えて、各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。
(2)平成17年10月現在、盛岡市、小田原市等39市が指定されている。
なお、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/t_taisyo.htmlを参照のこと。
→ 特例市となる手続については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html を参
照のこと。
■ 市町村と都道府県の関係
(1)都道府県(2条5項):市町村を包括する広域の地方公共団体として、広域にわ
たるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において
一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとす
る。
(2)市町村(2条3項):基礎的な地方公共団体として、都道府県が処理するものと
されているものを除き、一般的に、地域における事務等を処理するものとする。
ただし、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと
認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理す
ることができる。
■■■
個人情報保護法の施行状況 ■■■
平成17年度
個人情報の保護に関する法律施行状況の概要が内閣府から公表されていま
す。詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/17-sekou.pdf
■■■ お願い ■■■
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと
e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。
質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。
■■■ 編集後記 ■■■
今回から地方自治法の予定です(今回を含めて、4回程度を予定しています。)。地方
自治法のポイントは、無理してまで地方自治法では高得点を目指さないこと、そして、
分野を絞り込み、狙った分野からの出題であった場合には確実に得点できるようにして
おくこと(ヤマをかけることとは異なります。)です。
この地方自治法の取組み方や力の入れ方は、その条文数と
行政書士試験での予想出題数
のマトリクスから判断することになりますが、憲法や行政法と比べると、明らかに効率
が悪いことに気付かれていることと思います。しかしながら、それなりの出題数も見込
まれますので、重要分野に限って集中して取組むことをお勧めします。このレジュメ
も、その方針で作成しています。
繰り返しになりますが、読者の皆様にとって、暑い燃える夏であることを祈念していま
す。
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マガジンタイトル:新・
行政書士試験 一発合格!
発行者:
行政書士 太田誠 東京都
行政書士会所属(府中支部)
発行者Web:
http://www.ohta-shoshi.com
発行者メールアドレス:
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発行協力「まぐまぐ」:
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★★★ 新・行政書士試験 一発合格! Vol. ’06-37 ★★★
【レジュメ編】 地方自治法(その1)
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■■■ 地方自治法 ■■■
■■■ 個人情報保護法の施行状況 ■■■
■■■ お願い ■■■
■■■ 編集後記 ■■■
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■■■ 地方自治法 ■■■
■■ 地方自治法の基礎
■ 基本的要素
(1)住民自治:地方公共団体の事務処理を中央政府の指揮命令によらず、当該地域の
住民の意思と責任で実施するという原則。
(*)地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方
公共団体の住民が、直接これを選挙する(憲法93条2項)。
→ 間接民主制、代表民主制による住民自治を保障。
(2)団体自治:国家の中で、国家から独立した団体が存在し、当該団体がその事務を
自己の意思と責任で処理すること。
(*)地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を
有し、法律の範囲内で条例を制定することができる(憲法94条)。
→ 団体自治が確保されて、住民自治が成立する。
(3)団体自治の根拠:制度的保障理論
(ア)地方自治制度は、憲法によって保障されている(法律ではない。)。
→ 憲法を改正しなければ、地方自治制度を廃止することはできない(憲法を改正すれ
ば、廃止は可能。)。
(イ)法律により、地方自治制度の内容を制限することはできない。
→ 憲法上の保障であるため、その内容を制限することは違憲になる。
■ 憲法の規定
(1)基本原則:地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基い
て、法律でこれを定める(94条)。
・「地方自治の本旨」:住民自治と団体自治のこと。
(2)議会:地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会
を設置する(93条1項)。
(3)選挙:地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、そ
の地方公共団体の住民が、直接これを選挙する(93条2項)。
(4)権能:地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する
権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる(94条)。
・「法律の範囲内で条例を制定」:地方公共団体には条例制定権があるが、法律に違反
することはできない(条例制定権の限界)。
■■ 構成要素
■ 区域:普通地方公共団体の区域は、従来の区域による(5条1項)。
・「従来の区域」:地方自治法施行時(日本国憲法施行の日〔昭和22年5月3日〕、地方
自治法附則1条)の区域
(1)境界紛争(9条)
(ア)市町村の境界に関する争論については、都道府県知事は、議会の議決を経た関係
市町村の申請に基づき、これを調停に付することができる。
→ 「調停に付することができる」のであって、付すことは法的義務ではない。
→ 「市町村の境界」についてのみ規定するのは、「都道府県は、市町村を包括する」
(5条2項)ためである。
(イ)調停により市町村の境界が確定しないとき、又は議会の議決を経たすべての関係
市町村から裁定を求める旨の申請があるときは、都道府県知事は、関係市町村の
境界について裁定することができる。
(ウ)調停又は裁定により市町村の境界が確定したときは、都道府県知事は、直ちにそ
の旨を総務大臣に届け出なければならない。
(エ)総務大臣の告示により、関係市町村の境界についての効力が生ずる。
(オ)都道府県知事の裁定に不服があるときは、関係市町村は、裁定書の交付を受けた
日から30日以内に裁判所に出訴することができる。
→ 最初から出訴することはできず、二次的にできるに過ぎない。
■ 住民:市町村の区域内に住所を有する者は、当該市町村及びこれを包括する都道府
県の住民とする(10条1項)。
・住民には自然人および法人が含まれる。ただし、「日本国民たる普通地方公共団体の
住民」(11条、12条、13条)については自然人のみを意味する。また、住民について
の要件はない(国籍、年齢、行為能力等は一切問われない。)。
●● 最高裁判例「選挙人名簿不登録処分に対する異議の申出却下決定取消」(民集第
49巻2号639頁)
【裁判要旨】
日本国民たる住民に限り地方公共団体の議会の議員及び長の選挙権を有するものとした
地方自治法一一条、一八条、公職選挙法九条二項は、憲法一五条一項、九三条二項に違
反しない。
【理由】
国民主権の原理及びこれに基づく憲法一五条一項の規定の趣旨に鑑み、地方公共団体が
我が国の統治機構の不可欠の要素を成すものであることをも併せ考えると、憲法九三条
二項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するも
のと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団
体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない。
我が国に在留する外国人のうちでも永住者等であってその居住する区域の地方公共団体
と特段に緊密な関係を持つに至ったと認められるものについて、その意思を日常生活に
密接な関連を有する地方公共団体の公共的事務の処理に反映させるべく、法律をもっ
て、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講ずること
は、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右の
ような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような
措置を講じないからといって違憲の問題を生ずるものではない。
■ 法人格:地方公共団体は、法人とする(2条1項)。
■■ 普通地方公共団体(1条の3)
■ 地方公共団体:普通地方公共団体と特別地方公共団体
(1)普通地方公共団体:都道府県と市町村
(2)特別地方公共団体:特別区、地方公共団体の組合、財産区と地方開発事業団
■ 市町村
(1)市の要件(8条1項)
・人口5万以上を有すること。
・当該普通地方公共団体の中心の市街地を形成している区域内に在る戸数が、全戸数の
6割以上であること。
・商工業その他の都市的業態に従事する者及びその者と同一世帯に属する者の数が、全
人口の6割以上であること。
・当該都道府県の条例で定める都市的施設その他の都市としての要件を具えているこ
と。
★ 市町村の合併の特例等に関する法律では、市になるための要件について特例が認め
られている(例えば、人口は3万人以上)(7条1項)。
★ 「市町村の合併の特例等に関する法律」の概要については、以下のURLを参照のこ
と。
http://www.soumu.go.jp/kyoutsuu/syokan/040309_3_01.html
(2)町の要件(8条2項)
・当該都道府県の条例で定める町としての要件を具えていること。
(3)町村を市にする手続(8条3項)
(ア)議会の議決を経た関係市町村の申請に基き、都道府県知事が当該都道府県の議会
の議決を経てこれを定め、直ちにその旨を総務大臣に届け出なければならない。
(イ)都道府県知事は、あらかじめ総務大臣に協議し、その同意を得なければならな
い。
(ウ)届出を受理したときは、総務大臣は、直ちにその旨を告示するとともに、これを
国の関係行政機関の長に通知しなければならない。
(エ)町村を市とする処分は、告示により効力を生ずる。
(*)過疎化の進行により、市を町村にする場合も、町村を市にする場合と同様の手続
を経ることが必要である。
(4)市と町村の実質的差異
(ア)議会の議員定数に差がある。
第九十一条 市町村の議会の議員の定数は、条例で定める。
2 市町村の議会の議員の定数は、次の各号に掲げる市町村の区分に応じ、当該各号
に定める数を超えない範囲内で定めなければならない。
一 人口二千未満の町村 十二人
二 人口二千以上五千未満の町村 十四人
三 人口五千以上一万未満の町村 十八人
四 人口一万以上二万未満の町村 二十二人
五 人口五万未満の市及び人口二万以上の町村 二十六人
六 人口五万以上十万未満の市 三十人
七 人口十万以上二十万未満の市 三十四人
八 人口二十万以上三十万未満の市 三十八人
九 人口三十万以上五十万未満の市 四十六人
十 人口五十万以上九十万未満の市 五十六人
十一 人口九十万以上の市 人口五十万を超える数が四十万を増すごとに八人を五十
六人に加えた数(その数が九十六人を超える場合にあつては、九十六人)
(イ)事務局を置かない市議会には書記長を置かなければならないが、町村議会では書
記長を置かないことができる(138条4項)。
(ウ)市町村には収入役を一人置かなければならない。ただし、(a)政令で定める市
(人口10万未満の市)および(b)町村は、それぞれ条例で収入役を置かず、市
町村長または助役にその事務を兼掌させることができる(168条2項但書)。
(エ)監査委員の定数は、一般の市にあっては条例の定めるところにより3人または2
人(政令で定める市にあっては4人)だが、町村にあっては2人とされている
(195条2項)。
(オ)市は郡の区域外とされている。郡の区域内において市の設置があったとき、また
は郡の区域の境界にわたって市町村の変更があったときは、郡の区域も、また自
ら変更される(259条2項)。
(カ)市については、指定都市・中核市・特例市という特別の制度がある。
(キ)町村にあって市にない特別の制度として、町村総会がある(現在、町村総会の実
例はない。)。
第九十四条 町村は、条例で、第八十九条の規定にかかわらず、議会を置かず、選挙権
を有する者の総会を設けることができる。
■ 市制度の特例
【1】政令指定都市
第二百五十二条の十九 政令で指定する人口五十万以上の市(以下「指定都市」とい
う。)は、次に掲げる事務のうち都道府県が法律又はこれに基づく政令の定めるところ
により処理することとされているものの全部又は一部で政令で定めるものを、政令で定
めるところにより、処理することができる。
一 児童福祉に関する事務
二 民生委員に関する事務
三 身体障害者の福祉に関する事務(以下省略)
2 指定都市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めると
ころにより都道府県知事若しくは都道府県の委員会の許可、認可、承認その他これらに
類する処分を要し、又はその事務の処理について都道府県知事若しくは都道府県の委員
会の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命令を受けるものとさ
れている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところにより、これらの許
可、認可等の処分を要せず、若しくはこれらの指示その他の命令に関する法令の規定を
適用せず、又は都道府県知事若しくは都道府県の委員会の許可、認可等の処分若しくは
指示その他の命令に代えて、各大臣の許可、認可等の処分を要するものとし、若しくは
各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。
(ア)政令指定都市:大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市、北九州市、札幌
市、川崎市、福岡市、広島市、仙台市、千葉市、さいたま市(13市)。
→ 政令で指定されるが、中核市や特例市も政令で指定される。
(イ)特例
(a)事務配分の特例(252条の19第1項):都道府県やその機関が処理すること
とされている事務のうち一部が指定都市その他の機関の事務となる。
(b)監督の特例(252条の19第2項):市が処理する事務について都道府県知事
等の認許可や命令についての定めがある場合、指定都市については、認許可を不
要としたり、知事の命令に関する法令を適用しないこととしている。
(c)組織上の特例:区の設置
第二百五十二条の二十 指定都市は、市長の権限に属する事務を分掌させるため、条
例で、その区域を分けて区を設け、区の事務所又は必要があると認めるときはその出張
所を置くものとする。
・指定都市の区は、東京都23区のような特別区とは異なり、法人格はなく、市の行政
事務処理の便宜のために設けられる行政区にとどまる。
→ 国家賠償法に基づく損害賠償は、指定都市の区長の不法行為の場合には当該指定都
市に対して行うが、特別区の区長の場合には特別区に対して行うことになる。
【2】中核市
(1)1994年の地方自治法改正で、指定都市に次ぐ地域拠点の市として設けられた。地
域の中心となる地方大都市の権限を強化し、住民に身近な行政を充実させようと
いう意図によるものである。
(2)中核市:平成18年4月現在、宇都宮市、新潟市、富山市等36市が指定されてい
る。なお、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/taisyo.htmlを参照のこと。
(3)中核市の権能
第二百五十二条の二十二 中核市(次条に掲げる要件を備えた市であつて政令で指定す
るものをいう。以下同じ。)は、第二百五十二条の十九第一項の規定により指定都市が
処理することができる事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理すること
が中核市が処理することに比して効率的な事務その他の中核市において処理することが
適当でない事務以外の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理す
ることができる。
2 中核市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めるとこ
ろにより都道府県知事の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命
令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところ
により、これらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事
の指示その他の命令に代えて、各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。
→ 政令指定都市との比較については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html
を参照のこと。
(4)中核市の要件
第二百五十二条の二十三 中核市となるべき市が備えなければならない要件は、次のと
おりとする。
一 人口三十万以上を有すること。
二 当該市の人口が五十万未満の場合にあつては、面積(国土地理院において公表した
最近の当該市の面積をいう。)百平方キロメートル以上を有すること。
(5)中核市の指定に係る手続
第二百五十二条の二十四 総務大臣は、第二百五十二条の二十二第一項の中核市の指定
に係る政令の立案をしようとするときは、関係市からの申出に基づき、これを行うもの
とする。
2 前項の規定による申出をしようとするときは、関係市は、あらかじめ、当該市の議
会の議決を経て、都道府県の同意を得なければならない。
3 前項の同意については、当該都道府県の議会の議決を経なければならない。
→ 中核市となる手続については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html を参
照のこと。
【3】特例市
(1)1999年、地方分権一括法により設けられた制度であり、行政需要が高く、事務処
理に必要な専門知識等を具備した組織を整備しうると思われる市に対して都道府
県の権限の委譲を推進する観点から、人口20万人以上の市につき、当該市からの
申出に基づき、政令で指定することによって、中核市が処理することができる事
務のうち、特例市において処理することが適当でない事務以外の事務で政令で定
めるものを、政令で定めるところにより、処理するものとする制度である。
→ 特例市の概要については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html を参照の
こと。
第二百五十二条の二十六の三 政令で指定する人口二十万以上の市(以下「特例市」と
いう。)は、第二百五十二条の二十二第一項の規定により中核市が処理することができ
る事務のうち、都道府県がその区域にわたり一体的に処理することが特例市が処理する
ことに比して効率的な事務その他の特例市において処理することが適当でない事務以外
の事務で政令で定めるものを、政令で定めるところにより、処理することができる。
2 特例市がその事務を処理するに当たつて、法律又はこれに基づく政令の定めるとこ
ろにより都道府県知事の改善、停止、制限、禁止その他これらに類する指示その他の命
令を受けるものとされている事項で政令で定めるものについては、政令の定めるところ
により、これらの指示その他の命令に関する法令の規定を適用せず、又は都道府県知事
の指示その他の命令に代えて、各大臣の指示その他の命令を受けるものとする。
(2)平成17年10月現在、盛岡市、小田原市等39市が指定されている。
なお、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/t_taisyo.htmlを参照のこと。
→ 特例市となる手続については、
http://www.soumu.go.jp/cyukaku/index.html を参
照のこと。
■ 市町村と都道府県の関係
(1)都道府県(2条5項):市町村を包括する広域の地方公共団体として、広域にわ
たるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において
一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとす
る。
(2)市町村(2条3項):基礎的な地方公共団体として、都道府県が処理するものと
されているものを除き、一般的に、地域における事務等を処理するものとする。
ただし、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと
認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理す
ることができる。
■■■ 個人情報保護法の施行状況 ■■■
平成17年度個人情報の保護に関する法律施行状況の概要が内閣府から公表されていま
す。詳しくは以下のURLをご覧ください。
http://www5.cao.go.jp/seikatsu/kojin/17-sekou.pdf
■■■ お願い ■■■
継続して発刊するためには読者の皆様のご支援が何よりの活力になります。ご意見、ア
ドバイス、ご批判その他何でも結構です。内容、頻度、対象の追加や変更等について
も、どうぞ何なりと
e-mail@ohta-shoshi.com までお寄せください。
質問は、このメールマガジンの趣旨の範囲内のものであれば、大歓迎です。ただし、多
少時間を要する場合があります。
■■■ 編集後記 ■■■
今回から地方自治法の予定です(今回を含めて、4回程度を予定しています。)。地方
自治法のポイントは、無理してまで地方自治法では高得点を目指さないこと、そして、
分野を絞り込み、狙った分野からの出題であった場合には確実に得点できるようにして
おくこと(ヤマをかけることとは異なります。)です。
この地方自治法の取組み方や力の入れ方は、その条文数と行政書士試験での予想出題数
のマトリクスから判断することになりますが、憲法や行政法と比べると、明らかに効率
が悪いことに気付かれていることと思います。しかしながら、それなりの出題数も見込
まれますので、重要分野に限って集中して取組むことをお勧めします。このレジュメ
も、その方針で作成しています。
繰り返しになりますが、読者の皆様にとって、暑い燃える夏であることを祈念していま
す。
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マガジンタイトル:新・行政書士試験 一発合格!
発行者:行政書士 太田誠 東京都行政書士会所属(府中支部)
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