◆◆
コンピテンシーを磨けば仕事のできる人になれる◆◆
<第257回>中途
採用、企業はこんな人がほしい<その6>!
==■「企業は組織連携力のある人がほしい!」■==
===================================
人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れと
なり、成果に結び付けられない人が実に多いのです。
仕事のできる人とできない人の決定的な違いは「行動特性の差」に現れます。コン
ピテンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・管理
者・社員の皆様、そして求職中の
離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非とも
お読みいただきたいと思います。
===================================
<今回のメニュー>
=================================
【1】同一の危機感、共通の価値観を共有する!
【2】部分最適では勝てない!
【3】全体最適を目指すには組織連携力が起爆剤!
【4】編集後記
=================================
ある機械加工部品のメーカーに経営相談で伺ったときのことだ。社長はとても温厚
な人で怒鳴ったり叱ったりすることはめったにないと傍らで工場長が言った。100
人規模の会社だが製造部は四つの課に分かれていた。
マシニングセンターで異型の部品を加工する製造一課、NC自動旋機で軸物部品を
加工する製造二課、ターレットパンチプレスやNCベンダーで板金・プレス部品を
加工する製造三課に別れている。ほかに品質管理課も製造部に属しており、検査業
務とクレーム処理などを担当しており、品質管理課長がいる。
今、製造二課がとても忙しく、連日残業しているがそれでも追いつけず、
休日出勤
までやっている。製造二課の製品を検査する品質管理課の一部の社員も同様の状況
にある。
ところが製造一課と製造三課ははっきり言って暇で、毎日定刻に退社している。製
造二課の社員は疲れきっているのに人の異動がままならないと言う。
「工場長命令で製造一課と製造三課から数人を製造二課に異動させ、ピークを乗り
切ればいいじゃないですか」と申し上げてみた。
そうしたところ製造一課と製造三課の課長は「扱える設備が異なるから異動しても
直ぐに戦力にならない。それにうちが忙しくなったとき、一旦出した人を戻しても
らえないからおいそれと人を出せない」と抵抗すると言うのだ。
もっともらしい言い分だが、要するに自分の課の顔が立つことだけを考えている
「部分最適」に終始しているわけだ。工場長が命令しても受け入れて人を出そうと
しない。社長は温厚な性格が災いしてか、社長命令で
人事異動もできない。つまり
会社全体のパフォーマンスを最大化することができないわけだ。
でも、実際このような状況にある会社や職場は多い。だから多くの企業では「組織
連携力」なる
コンピテンシーに長けた管理職がほしいのだ。
【1】同一の危機感、共通の価値観を共有する!
企業の不祥事が発覚するたびに企業体質や風土が問題として採り挙げられる。不祥
事を起こす企業や落ち目の企業は上から下まで「同一の危機感」など持っていない。
同様に上から下まで「共通の価値観」というものを持っていない。一人ひとりがみ
んなバラバラで自分の主張が一番大切だと思っている。
再建中の日本航空を見ていればよく分かるだろう。
顧客がなぜ離反してしまったのか。顧客はなぜ日本航空を選択してくれないのか。
機長を束ねる総責任者である部長も客室乗務員を束ねる総責任者である部長も営業
部門が悪いと本気で思っていた。つまり、上から下まで「同一の危機感」がないの
だ。
そのうえ、これらの部長たちは「赤字とはどんな意味があるのか、
無配とはどんな
意味があるのか」さえも関心がなかったと吐露していた。
稲盛会長が幹部を集めた研修で経営のいろはから叩き込もうとしている様子をテレ
ビのカメラは捕らえていた。破綻する会社には破綻する明確な理由があるというこ
とだ。(テレビ東京:ガイアの夜明けより)
ユニチャームの高原社長は「社員の多様性は尊重されるべきだが、会社と価値観を
共有できない人は去ってもらったほうがいいでしょう」とはっきり言っておられた
が、正にその通りだ。
【2】部分最適では勝てない!
日本の省庁はご承知の通り縦割りだ。一つの事案が複数の省庁にまたがり、それぞ
れに既得権がある。事業仕分けをやって改善や廃止を促しただけでは解決しない。
看板を掛け替えて継続されてしまうからだ。
破綻した会社や落ち目の会社も大方組織が縦割りで、基本的な考えは「部分最適」
だ。自分の部や課の顔が立つことが最優先される。会社全体のパフォーマンスを最
大化することを考えている人は皆無に近い。
例えばこんな例が最近あった。東北関東大震災後プロ野球はセパ両リーグで異なる
結論を出して開幕に向けて突き進もうとした。パリーグは被災者のこと、節電のこ
と、国民感情のことなどを勘案して開催日を4月12日に遅らせ、当面ナイトゲー
ムはしないと決めた。
一方、セリーグはある一球団のゴリ押しもあって商業主義に固執した内容に基づき、
開幕日もほんの数日だけ遅らせ、東京ドームではナイトゲームをすることを決めて
開幕を迎えようとした。これではフアンに見放されて負け犬になるだけではないか
と思う。政府の圧力もあり、仕方なく開幕日をパリーグに合せ、4月中の東京ドー
ム開催を中止した。
セリーグは自分さえよければという「部分最適」であり、パリーグは「全体最適」
で臨もうとした。正に子供と大人ほどの見識の違いである。
【3】全体最適を目指すには組織連携力が起爆剤!
流通のもっとも優れたシステムはSCM(Supply Chain Management)と言われて
いる。川下の小売が売れ行きと在庫状況を勘案して卸しに若干サバ読んで
注文書
を切る。卸は小売からの受注状況を見て若干サバ読んでメーカーに
注文書を切る。
メーカーは卸からの受注状況を見て若干サバ読んで生産計画を立て、製造する。
その結果小売にも卸にもメーカーにも在庫の山ができてロスとなる。しかもいち
いち
注文書を切る手間ははっきり言ってムダである。SCMでは店舗の売れ行き
状況や在庫の状況をリアルタイムで卸やメーカーが画面上で見える状態にする。
卸は小売で欠品が生じないタイミングで補充納入する。メーカーは卸に欠品が生
じないタイミングで補充生産して納入する。
企業間同士でいろいろ企業秘密もあり問題はあるが、全ての供給連鎖の中でムダ
が生じないようにするシステムとして発展中だ。流通の「全体最適」の例である。
このような考えに立てば同一企業内でのことだから組織連携を図り、「全体最適」
に持っていくことは可能なはずだ。
冒頭に紹介した機械加工部品メーカーの例で言えば
□ 多能工化の推進
どの機械もオペレーションできるように多能工化を推進しておくことだ。そうす
れば他の職場に異動になっても直ぐに戦力になれる。
□ 各課、各職場は定員制から非定員制にする
職場は非定員制にすることだ。なまじ定員制にしておくから「部分最適」に走り
たくなる。非定員制だからその日の繁閑に応じて工員を自由にシフトできるわけ
だ。
あとは会社全体のパフォーマンスの最大化を常に考えるように管理職や幹部を徹
底的に教育訓練することだ。社内に適切な人財がいなければ「組織連携力」に秀
でた人財を外部から
採用しなければならない。
【4】編集後記
バブル崩壊後多くの企業は
成果主義に走った。それも正しい
成果主義ではなく
「個人のノルマ主義」と誤解して導入した企業が多かった。社員は一様に自分の
成果を挙げることに汲々とし、同僚がライバルになった。
仕事のできる人や将来有望な若手から辞めていく結果にもなった。とても組織連
携構築どころではなくなったのである。いま再びチームで成果を挙げることが見
直されつつある。そんな中、「組織連携力」なる
コンピテンシーに長けた管理職
は喉から手が出るほどほしい。
「組織連携力」に自信のある人の出番なのである。
次回に続く
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
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彩愛コンサルピア代表 下山明央
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<第257回>中途採用、企業はこんな人がほしい<その6>!
==■「企業は組織連携力のある人がほしい!」■==
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人は誰でも能力を保有しています。しかし、せっかくの保有能力が宝の持ち腐れと
なり、成果に結び付けられない人が実に多いのです。
仕事のできる人とできない人の決定的な違いは「行動特性の差」に現れます。コン
ピテンシーを磨けば誰でも仕事のできる人に自己変革できます。経営トップ・管理
者・社員の皆様、そして求職中の離職者の方や就職を目指す学生さんにも是非とも
お読みいただきたいと思います。
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<今回のメニュー>
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【1】同一の危機感、共通の価値観を共有する!
【2】部分最適では勝てない!
【3】全体最適を目指すには組織連携力が起爆剤!
【4】編集後記
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ある機械加工部品のメーカーに経営相談で伺ったときのことだ。社長はとても温厚
な人で怒鳴ったり叱ったりすることはめったにないと傍らで工場長が言った。100
人規模の会社だが製造部は四つの課に分かれていた。
マシニングセンターで異型の部品を加工する製造一課、NC自動旋機で軸物部品を
加工する製造二課、ターレットパンチプレスやNCベンダーで板金・プレス部品を
加工する製造三課に別れている。ほかに品質管理課も製造部に属しており、検査業
務とクレーム処理などを担当しており、品質管理課長がいる。
今、製造二課がとても忙しく、連日残業しているがそれでも追いつけず、休日出勤
までやっている。製造二課の製品を検査する品質管理課の一部の社員も同様の状況
にある。
ところが製造一課と製造三課ははっきり言って暇で、毎日定刻に退社している。製
造二課の社員は疲れきっているのに人の異動がままならないと言う。
「工場長命令で製造一課と製造三課から数人を製造二課に異動させ、ピークを乗り
切ればいいじゃないですか」と申し上げてみた。
そうしたところ製造一課と製造三課の課長は「扱える設備が異なるから異動しても
直ぐに戦力にならない。それにうちが忙しくなったとき、一旦出した人を戻しても
らえないからおいそれと人を出せない」と抵抗すると言うのだ。
もっともらしい言い分だが、要するに自分の課の顔が立つことだけを考えている
「部分最適」に終始しているわけだ。工場長が命令しても受け入れて人を出そうと
しない。社長は温厚な性格が災いしてか、社長命令で人事異動もできない。つまり
会社全体のパフォーマンスを最大化することができないわけだ。
でも、実際このような状況にある会社や職場は多い。だから多くの企業では「組織
連携力」なるコンピテンシーに長けた管理職がほしいのだ。
【1】同一の危機感、共通の価値観を共有する!
企業の不祥事が発覚するたびに企業体質や風土が問題として採り挙げられる。不祥
事を起こす企業や落ち目の企業は上から下まで「同一の危機感」など持っていない。
同様に上から下まで「共通の価値観」というものを持っていない。一人ひとりがみ
んなバラバラで自分の主張が一番大切だと思っている。
再建中の日本航空を見ていればよく分かるだろう。
顧客がなぜ離反してしまったのか。顧客はなぜ日本航空を選択してくれないのか。
機長を束ねる総責任者である部長も客室乗務員を束ねる総責任者である部長も営業
部門が悪いと本気で思っていた。つまり、上から下まで「同一の危機感」がないの
だ。
そのうえ、これらの部長たちは「赤字とはどんな意味があるのか、無配とはどんな
意味があるのか」さえも関心がなかったと吐露していた。
稲盛会長が幹部を集めた研修で経営のいろはから叩き込もうとしている様子をテレ
ビのカメラは捕らえていた。破綻する会社には破綻する明確な理由があるというこ
とだ。(テレビ東京:ガイアの夜明けより)
ユニチャームの高原社長は「社員の多様性は尊重されるべきだが、会社と価値観を
共有できない人は去ってもらったほうがいいでしょう」とはっきり言っておられた
が、正にその通りだ。
【2】部分最適では勝てない!
日本の省庁はご承知の通り縦割りだ。一つの事案が複数の省庁にまたがり、それぞ
れに既得権がある。事業仕分けをやって改善や廃止を促しただけでは解決しない。
看板を掛け替えて継続されてしまうからだ。
破綻した会社や落ち目の会社も大方組織が縦割りで、基本的な考えは「部分最適」
だ。自分の部や課の顔が立つことが最優先される。会社全体のパフォーマンスを最
大化することを考えている人は皆無に近い。
例えばこんな例が最近あった。東北関東大震災後プロ野球はセパ両リーグで異なる
結論を出して開幕に向けて突き進もうとした。パリーグは被災者のこと、節電のこ
と、国民感情のことなどを勘案して開催日を4月12日に遅らせ、当面ナイトゲー
ムはしないと決めた。
一方、セリーグはある一球団のゴリ押しもあって商業主義に固執した内容に基づき、
開幕日もほんの数日だけ遅らせ、東京ドームではナイトゲームをすることを決めて
開幕を迎えようとした。これではフアンに見放されて負け犬になるだけではないか
と思う。政府の圧力もあり、仕方なく開幕日をパリーグに合せ、4月中の東京ドー
ム開催を中止した。
セリーグは自分さえよければという「部分最適」であり、パリーグは「全体最適」
で臨もうとした。正に子供と大人ほどの見識の違いである。
【3】全体最適を目指すには組織連携力が起爆剤!
流通のもっとも優れたシステムはSCM(Supply Chain Management)と言われて
いる。川下の小売が売れ行きと在庫状況を勘案して卸しに若干サバ読んで注文書
を切る。卸は小売からの受注状況を見て若干サバ読んでメーカーに注文書を切る。
メーカーは卸からの受注状況を見て若干サバ読んで生産計画を立て、製造する。
その結果小売にも卸にもメーカーにも在庫の山ができてロスとなる。しかもいち
いち注文書を切る手間ははっきり言ってムダである。SCMでは店舗の売れ行き
状況や在庫の状況をリアルタイムで卸やメーカーが画面上で見える状態にする。
卸は小売で欠品が生じないタイミングで補充納入する。メーカーは卸に欠品が生
じないタイミングで補充生産して納入する。
企業間同士でいろいろ企業秘密もあり問題はあるが、全ての供給連鎖の中でムダ
が生じないようにするシステムとして発展中だ。流通の「全体最適」の例である。
このような考えに立てば同一企業内でのことだから組織連携を図り、「全体最適」
に持っていくことは可能なはずだ。
冒頭に紹介した機械加工部品メーカーの例で言えば
□ 多能工化の推進
どの機械もオペレーションできるように多能工化を推進しておくことだ。そうす
れば他の職場に異動になっても直ぐに戦力になれる。
□ 各課、各職場は定員制から非定員制にする
職場は非定員制にすることだ。なまじ定員制にしておくから「部分最適」に走り
たくなる。非定員制だからその日の繁閑に応じて工員を自由にシフトできるわけ
だ。
あとは会社全体のパフォーマンスの最大化を常に考えるように管理職や幹部を徹
底的に教育訓練することだ。社内に適切な人財がいなければ「組織連携力」に秀
でた人財を外部から採用しなければならない。
【4】編集後記
バブル崩壊後多くの企業は成果主義に走った。それも正しい成果主義ではなく
「個人のノルマ主義」と誤解して導入した企業が多かった。社員は一様に自分の
成果を挙げることに汲々とし、同僚がライバルになった。
仕事のできる人や将来有望な若手から辞めていく結果にもなった。とても組織連
携構築どころではなくなったのである。いま再びチームで成果を挙げることが見
直されつつある。そんな中、「組織連携力」なるコンピテンシーに長けた管理職
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