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営業譲渡の譲受人の責任

■Vol.88  2006-10-18 毎週水曜日配信           
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□□■    いまさら聞けない!お金と人と組織のこと 
■■■  ― 経営者、起業準備の方必見です!―
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■■■ 「営業譲渡の譲受人の責任」
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■■■    週刊(毎週水曜日発行)
□□■             http://www.c3-co.com/
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天高く、馬肥ゆる秋。という言葉は有名ですが、秋晴れの空は本当に清々し
く、爽やかです。


先日、会社の研修旅行でフィレンツェに初めて行きました。
幸い天候に恵まれ、フィレンツェでの3日間は、素晴らしい秋晴れでした。

フィレンツェは、小さな街で、歴史ある建物が並ぶ旧市街地は、東京の銀座
くらいの広さしかありません。
去年の社員旅行では、乗馬体験をしましたが、今年の旅行では、馬並みにひ
たすら歩きました。
それでも痩せないのは、馬肥ゆる秋だからでしょうか?


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    「営業譲渡の譲受人の責任」
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弁護士の緒方義行です。

今回は、「営業譲渡の譲受人の責任」についてです。



営業譲渡がなされた場合、「譲渡人の営業から生じた債務について、営業の
譲受人も債権者に対する弁済責任を負うことになるのだろうか」という問題
です。
これについては、第1に、譲受人が譲渡人の商号を続用しているかどうか、
第2に、商号の続用がされてない場合に、譲受人が債務引受の広告を出した
かどうかによって結論が違ってきます。

===================================================================
1 商号の続用がある場合
===================================================================
 営業譲渡がなされても、本来、譲受人による債務引受債務移転の手続が
されない限り、譲受人は当然には譲渡人の債務を承継するものではないはず
です。


しかし、商法は、営業の譲受人が譲渡人の商号を続用する場合には、譲渡人
の営業によって生じた債務について、譲渡人と共に弁済責任を負うと定めて
います。
譲受人が責任を負う場合には、営業譲渡後2年以内に債権者が譲渡人に請求
または請求の予告をしない場合、債権者は譲渡人からの弁済を受けることは
できなくなり、譲受人に対してのみ請求できることになります。
ただし、営業を譲り受けた後、遅滞なく、譲受人が、譲渡人の債務は引き受
けないということを登記すれば責任を免れることができます。また、やはり
遅滞なく、譲渡人と譲受人の双方から第三者に債務を引き受けないと通知し
た場合にも、譲受人は債務を免れることができます。


商号の続用があったと認められるかどうかについては、完全に同一の商号
なければならないというわけではありません。
例えば、会社ではなく「○○洋品店」という商人が「株式会社○○洋品店」
という会社を設立して営業を続けた場合に、商号の続用による営業の譲渡が
あったとした判例があります。

また、「○○合資会社」という合資会社で営業を営んでいたが、「○○株式
会社」という株式会社を設立して営業を譲渡した場合にも商号の続用がある
とした判例があります。
もっとも、この要件を厳格に解釈し、「有限会社 ○○商店」から「合資会
社 新○○商店」へと営業譲渡がされた場合、つまり、会社の種類が異なる
うえに、譲渡人の商号に「新」の文字を付けた場合について、商号の続用が
ないとした最高裁の判例もあります。



さらに、「譲渡人の商号の続用がなされる場合には譲受人は責任を負う」と
いうことを定めた商法の規定が類推適用される場合もあります。

例えば、債務者が債務を免れるために新会社を設立し、その新会社に営業の
現物出資をした場合、新会社が現物出資をした者の商号を続用するときは、
営業譲渡そのものがなされた場合ではありませんが、営業譲渡があった場合
と同様に考えて、譲受人の責任を認めた判例があります。



また、「有限会社○○」から「有限会社△△」へと全く別の商号の会社へと
営業の譲渡がされた場合であっても、同じ屋号を使用して営業を続けた場合
について、商号ではなく屋号の続用であっても、その屋号が商取引において
当事者を特定するに際して重要な機能を担っている場合には、商法がいう
商号を続用する場合」に含まれるとした判例があります。


さらに、ゴルフクラブの営業譲渡を受けた者がゴルフ場の名称を続用する場
合についても、商号の続用ではありませんが、ゴルフ場の名称は営業上使用
され営業の主体を表示する機能を有するとして、やはり類推適用を認めた判
例があります。
もっとも、ゴルフクラブの名称が続用された場合でも、譲渡人と譲受人の商
号に共通点も類似性もなく、営業譲渡の通知や会員証、会費の請求書などの
記載といった具体的事情を考えると債権者は営業主体が変わったことを認識
しうるとして、類推適用を認めず、譲受人に対する請求を退けた判例もあり
ます。

===================================================================
2 商号の続用がない場合
===================================================================
 譲受人が譲渡人の商号を続用しない場合には、譲受人は当然には譲渡人の
営業から生じた債務を承継しません。
しかし、譲受人が債務を引き受ける旨の広告をした場合には、譲渡人の債権
者は譲受人に対して弁済を請求することができます。
どのような場合に債務引受の広告があったといえるかについては、見解が分
かれていて微妙な場合もあります。

債務引受の広告による責任の有無は、債権者がこれを見たかどうかとは関係
ありません。
そして、この場合も、債務引受の広告がなされた後2年以内に、譲渡人の債
権者が譲渡人に請求または請求の予告をしない場合には、商号続用の場合と
同様に、債権者は譲渡人から弁済を受けることはできなくなり、譲受人に対
してのみ請求をすることができることになります。



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      弁護士  緒方 義行
〒102-0082 東京都千代田区一番町25番地
          ダイヤモンドホテル西館7階
          扶桑合同法律事務所
       TEL 03-3515-2251
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