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経営テクノ研究所
2012年5月7日 第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之
http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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<目次>
◆第22回:利益処分
◆円高対策:海外進出の検討
◆編集後記
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◆第22回:利益処分
企業財務の本来的な活動の一つとして、利益処分をあげることができます。
利益処分は、大きく社外分配と社内留保とに分けられます。
さらに社外分配は、期末
配当と
役員賞与とに区分され、社内留保は積立金
(
法定準備金・別途積立金)と繰越利
益金しに区分されます。
獲得された利益が、大部分社外に分配されているときには、現在の
株主お
よび経営者に利益を与えることになりますが、これが大部分社内に保留され
ているときには、利益が企業内において再投資され将来の企業の成長に役立
つことができます。
配当率とは、株式に分配された
配当金の基本
資本金に対する比率をいい、
分配率とは、社内分配、すなわち
配当金および
役員賞与金の
会計が純利益に
占める比率を意味します。
さらに、保有率とは、社内留保、つまり積立金および繰越金の合計が純利
益に対して占める比率を意味します。したがって、当然、分配率と保有率と
の合計は100となります。
最近における産業平均の
配当率は9.7%、分配率は55%、そして保有
率は45%程度です。これと比較するために自動車産業をとってみると、配
当率は11.4%、分配率は48%、保有率は52%程度です。
自動車産業が、低い分配率であるにもかかわらず高い
配当率を示している
のは、
資本金に対して高い利益をあげているからに他なりません。
この利益処分について、英紙ガーディアンが「企業利益の最大化を追求す
るアップル社より、市場を開拓するために社員の
賃金を上げたフォードを見
習え」と指摘しています。
グローバル時代の典型的な
ビジネスモデルとして、先進国は製品設計とマ
ーケティングに徹して、生産は低
賃金の中国などに移す、というものです。
アップル社の場合、組み立て労働コスト7.10を含む総生産コストは、
178.45ドル、販売コスト630ドルなので、純利益は451.55ド
ルとなり、純利益率は71.7%となります。
これを米国生産にした場合、組み立て労働コスト165.67を含む総生
産コストは、337.02ドル、販売コスト630ドルなので、純利益は
292.98ドルドルとなりますが、それでも純利益率は46.5%獲得す
ることができて、数十万人の
雇用創出が可能になると述べています。
アップル社における企業利益の最大化は、社外分配(
株主大口投資家や役
員)を潤わせただけだった、と言っています。
経営にとって最も大切なものは何か、私は、常に経営思想とか、あるいは
経営の信念であると答えています。
では、経営思想という場合に何がポイントになるかといえば、それは経営
の目的をどのように考えるかに絞られてくると思います。
利益を追求するのか、あるいは社会的な責任を果たすことなのか、また、
ドラッカーなどが言っているように、顧客や市場を作り出すということなの
か、いろいろな考え方があると思いますが、私は、決して一つの目的ではな
くて、たくさんの目的があってよいと思います。
そのたくさんの目的の中でも、最も重要なものは何か、それは、企業の各
メンバーの人間性、個性が最高度に発揮させられるような企業を作っていく
ことではないかと私は思っています。
どんなに物的に豊かな社会であっても、人間性が抑圧されるような社会で
は人間の幸福はありません。
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◆円高対策:海外進出の検討……8.1%
今回の海外進出の検討が円高対策の最後になります。
経済のグローバル化が進むと、企業は自らが生き残るために、製造業が海
外へ生産拠点を移転する動きが増えてきています。
経済産業省によれば、企業の観点から見たメリットとして、現地国への直
接投資の
収益が増加する、ということです。これを所得収支といいますが、
この所得収支の黒字の増加が、経常収支黒字の増加につながり、対外純
資産
の増加につながることを挙げています。
一方、企業の観点から見たデメリットとしては、企業の海外進出に伴う国
内産業の空洞化による国内生産の低下、
雇用の減少(所得格差)を挙げてい
ます。
そして、さらに、国内の競合企業との闘いだけでなく、全世界の競合企業
との競争になるため、より過酷な状況になると、通商白書で言っています。
また、現地での商習慣、社会制度、労働法などの違い、多文化の顧客への
対応など、これまでにない違った分野が出てくることも指摘しています。
これらのことを、よくよく勘案して海外進出を行わないと、中国における
ユニクロの販売不振、アップル社の中国工場で起きた自殺など、いろいろな
問題が発生するようになります。
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◆編集後記
ニーチェは、「結婚とは長い会話」であるといっています。以心伝心の時
代は終わって、会話によるコミュニケーションがなくなると、結婚生活は長
続きしないようになりました。
芥川龍之介は、短編集「羅生門」を出したときに、その扉裏に白隠禅師の
二行の詩句を書き入れたそうです。
君看隻眼色(君看ズヤ隻眼ノ色)
不語似無愁(語ラザレバ愁無キニ似タリ)
目は、澄んだ目、潤んだ目、物欲しそうなめ、疑い深い目、冷たい目、あ
たたかい目などと言われるように、だいたいのことは推察することができます。
昔から「目は心の窓」「目は口ほどものをいい」と、言いますが、今の妻
の目からは、何も推察することはできません。目を開いても、ある一点を
じいっと見つめたままです。その目からは、何も感じとることはできません。
ニーチェは、「結婚とは長い会話」であるといっていますが、今の私には、
「以心伝心」でもよいのです。目で推測できるような状況にでもなってくれ
れぱと、毎日、念願しています。
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舘 義之のポジション
人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
人事・IE、VE・マーケティングの3輪で企業体質改善の仕組みを構築
して、厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援し
ます。
舘 義之への問い合わせ
study@agate.plala.or.jp
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2012年5月7日 第1・3週月曜日発行
発行人:舘 義之
http://www9.plala.or.jp/keiei-techno/
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★★経営のパートナー★★経営学で企業を再生する
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◆第22回:利益処分
◆円高対策:海外進出の検討
◆編集後記
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◆第22回:利益処分
企業財務の本来的な活動の一つとして、利益処分をあげることができます。
利益処分は、大きく社外分配と社内留保とに分けられます。
さらに社外分配は、期末配当と役員賞与とに区分され、社内留保は積立金
(法定準備金・別途積立金)と繰越利益金しに区分されます。
獲得された利益が、大部分社外に分配されているときには、現在の株主お
よび経営者に利益を与えることになりますが、これが大部分社内に保留され
ているときには、利益が企業内において再投資され将来の企業の成長に役立
つことができます。
配当率とは、株式に分配された配当金の基本資本金に対する比率をいい、
分配率とは、社内分配、すなわち配当金および役員賞与金の会計が純利益に
占める比率を意味します。
さらに、保有率とは、社内留保、つまり積立金および繰越金の合計が純利
益に対して占める比率を意味します。したがって、当然、分配率と保有率と
の合計は100となります。
最近における産業平均の配当率は9.7%、分配率は55%、そして保有
率は45%程度です。これと比較するために自動車産業をとってみると、配
当率は11.4%、分配率は48%、保有率は52%程度です。
自動車産業が、低い分配率であるにもかかわらず高い配当率を示している
のは、資本金に対して高い利益をあげているからに他なりません。
この利益処分について、英紙ガーディアンが「企業利益の最大化を追求す
るアップル社より、市場を開拓するために社員の賃金を上げたフォードを見
習え」と指摘しています。
グローバル時代の典型的なビジネスモデルとして、先進国は製品設計とマ
ーケティングに徹して、生産は低賃金の中国などに移す、というものです。
アップル社の場合、組み立て労働コスト7.10を含む総生産コストは、
178.45ドル、販売コスト630ドルなので、純利益は451.55ド
ルとなり、純利益率は71.7%となります。
これを米国生産にした場合、組み立て労働コスト165.67を含む総生
産コストは、337.02ドル、販売コスト630ドルなので、純利益は
292.98ドルドルとなりますが、それでも純利益率は46.5%獲得す
ることができて、数十万人の雇用創出が可能になると述べています。
アップル社における企業利益の最大化は、社外分配(株主大口投資家や役
員)を潤わせただけだった、と言っています。
経営にとって最も大切なものは何か、私は、常に経営思想とか、あるいは
経営の信念であると答えています。
では、経営思想という場合に何がポイントになるかといえば、それは経営
の目的をどのように考えるかに絞られてくると思います。
利益を追求するのか、あるいは社会的な責任を果たすことなのか、また、
ドラッカーなどが言っているように、顧客や市場を作り出すということなの
か、いろいろな考え方があると思いますが、私は、決して一つの目的ではな
くて、たくさんの目的があってよいと思います。
そのたくさんの目的の中でも、最も重要なものは何か、それは、企業の各
メンバーの人間性、個性が最高度に発揮させられるような企業を作っていく
ことではないかと私は思っています。
どんなに物的に豊かな社会であっても、人間性が抑圧されるような社会で
は人間の幸福はありません。
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◆円高対策:海外進出の検討……8.1%
今回の海外進出の検討が円高対策の最後になります。
経済のグローバル化が進むと、企業は自らが生き残るために、製造業が海
外へ生産拠点を移転する動きが増えてきています。
経済産業省によれば、企業の観点から見たメリットとして、現地国への直
接投資の収益が増加する、ということです。これを所得収支といいますが、
この所得収支の黒字の増加が、経常収支黒字の増加につながり、対外純資産
の増加につながることを挙げています。
一方、企業の観点から見たデメリットとしては、企業の海外進出に伴う国
内産業の空洞化による国内生産の低下、雇用の減少(所得格差)を挙げてい
ます。
そして、さらに、国内の競合企業との闘いだけでなく、全世界の競合企業
との競争になるため、より過酷な状況になると、通商白書で言っています。
また、現地での商習慣、社会制度、労働法などの違い、多文化の顧客への
対応など、これまでにない違った分野が出てくることも指摘しています。
これらのことを、よくよく勘案して海外進出を行わないと、中国における
ユニクロの販売不振、アップル社の中国工場で起きた自殺など、いろいろな
問題が発生するようになります。
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◆編集後記
ニーチェは、「結婚とは長い会話」であるといっています。以心伝心の時
代は終わって、会話によるコミュニケーションがなくなると、結婚生活は長
続きしないようになりました。
芥川龍之介は、短編集「羅生門」を出したときに、その扉裏に白隠禅師の
二行の詩句を書き入れたそうです。
君看隻眼色(君看ズヤ隻眼ノ色)
不語似無愁(語ラザレバ愁無キニ似タリ)
目は、澄んだ目、潤んだ目、物欲しそうなめ、疑い深い目、冷たい目、あ
たたかい目などと言われるように、だいたいのことは推察することができます。
昔から「目は心の窓」「目は口ほどものをいい」と、言いますが、今の妻
の目からは、何も推察することはできません。目を開いても、ある一点を
じいっと見つめたままです。その目からは、何も感じとることはできません。
ニーチェは、「結婚とは長い会話」であるといっていますが、今の私には、
「以心伝心」でもよいのです。目で推測できるような状況にでもなってくれ
れぱと、毎日、念願しています。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
舘 義之のポジション
人事・IE・VE・マーケティングコンサルタント
人事・IE、VE・マーケティングの3輪で企業体質改善の仕組みを構築
して、厳しい経営環境の中で勝ち残っていく会社にすることを第一に支援し
ます。
舘 義之への問い合わせ
study@agate.plala.or.jp
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