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法人の収入か、個人の収入か

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会計事務所職員のちょっとしたメルマガ No.140

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こんにちは。



税務調査等により法人の代表者又はその他役員従業員の個人口座に収入が判明した場合、当該収入をその個人の収入ではなく、法人の収入と認定するケースがあります。




本件売上除外に係る取引は専務取締役個人に帰属するものではなく請求人に帰属するものであるとした事例
裁決事例集 No.22 - 97頁

 原処分庁が請求人の売上除外であると認定した取引は、
[1]その販売先がいずれも請求人の得意先であることが認められ、その売上代金の大部分は専務取締役の個人預金に入金されているが、同人はその取引に係る所得について確定申告をしないこと、
[2]当該取引の一部について請求人の正規の納品書、請求書領収書が使用されていること、
[3]当該取引の一部は倉庫会社に保管されている請求人の在庫商品を販売したものであること、
[4]当該取引が専務取締役の個人取引であることを裏付けるに足りる証拠資料がないこと

から、専務取締役個人に帰属するものではなく、請求人に帰属するものと認定するのが相当である。

昭和56年7月24日裁決



本件売上除外に係る取引は請求人の取締役営業部長個人に帰属するものではなく請求人に帰属するものであるとした事例
裁決事例集 No.30 - 84頁

 本件取引差額について、請求人は取締役営業部長個人に帰属すると主張するが、
[1]当該取締役が請求人から仕入れ、売上げの一切の業務を任されて取引したものであること、
[2]売上代金の一部を架空名義で請求し、通常は手形払いであるに対し、現金又は小切手払いで受領したものであること、
[3]当該取締役の個人口座に入金されてはいるが、請求人の取引先に対する裏口銭、接待費用等に充てられていると認められること
等から、当該取締役個人に帰属するものではなく、請求人に帰属するものと認定するのが相当である。
 

昭和60年9月30日裁決





一方で、課税庁側が上記のような役員従業員に係る収入を法人の売上除外取引と認定したものの、裁決により覆ったケースも以下の通りあります。




請求人の代表者名義等の普通預金口座に入金されている小切手等の一部については、売上除外による入金であると認定できず、また、債権償却特別勘定の対象としている約束手形等は請求人の債権とは認定できないとした事例
裁決事例集 No.46 - 98頁

 原処分庁は、請求人の代表者及び従業員の個人名義の普通預金口座に預け入れた小切手約束手形及び現金は、
すべて請求人が売上を除外したものであると主張するが、
[1]約束手形の一部については、振出人がAから融資を受けた際、Aに対し振り出したこと及び当該融資の資金を請求人が出したこと等が認められ、
[2]また、小切手の一部については、振出人がBに対し貸付けのために振り出した小切手であり、振出人は請求人と取引がないこと及びBは行方不明であること
等が認められることから請求人の売上金額であると認定することはできない。(債権償却特別勘定に係る内容は省略)
 

平成5年12月27日裁決




請求人の従業員が貯蔵品を売却したことによる収益は、取引を行った従業員の地位・権限などを総合考慮すれば、請求人の売上げとはいえないことから、 請求人には帰属しないとした事例
裁決事例集 No.78 - 327頁

 原処分庁は、請求人の元課長が、請求人の印刷用紙を売却した取引(以下「本件紙取引」という。)は、請求人の事業の一環として行われたものと認められるから、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げである旨主張する。
 しかしながら、
・元課長は、経営に従事する立場にはなく、また、本件紙取引の対象となった印刷用紙の払出しの指示を出す業務を行ってはいたものの、印刷用紙の保管及び管理に関する業務を遂行する職務及び権限を請求人から与えられておらず、印刷用紙を自己の判断で売却する権限を有していなかったこと、
・本件紙取引は、元課長が、請求人から窃取した印刷用紙を、実在しない名義を使用して売却したものであること、
・請求人は、印刷の請負及び製本紙器の製作等を目的とし、印刷用紙の販売を目的としていない上、本件各事業年度において、請求人が印刷用紙を他に販売した事実はなく、外注先に対し有償で支給した事実もなかったこと、
・本件紙取引の相手方は、本件紙取引が請求人との取引であるとは認識していなかったことがそれぞれ認められるところ、
以上のことを総合考慮すれば、本件紙取引に係る収益は、請求人の売上げとはいえないから、原処分は取り消すのが相当である。

平成21年9月9日裁決


http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0102020100.html




これらの判断材料の重要な点として、当該取引を行った個人が法人に係る当該取引に関連する権限をどれだけ有していたか、又は当該取引が法人に係る取引にどれだけ関連しているかなどが挙げられます。


法人の故意か、個人の故意かのいずれの場合も、仮装・隠蔽を理由として重加算税が課される可能性が高いケースといえます。







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