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経験学習: 「体験」 を 「経験」 に変える 「概念化」

総務の森』コラムをご覧のみなさま


こんにちは! 合同会社5W1Hの高野潤一郎と申します。

本コラムでは、弊社配信の無料ニューズレター第120号(2012年7月
8日配信)で公開した記事の一部をシェア差し上げます。
今回のタイトルに興味をお持ちいただけた方は、是非、お役立てく
ださい。

<以下、抜粋記事となります。その旨、予めご了承くださいませ。
 なお、システム上、本コラムでご紹介できない『図表』などを含
 めた『全文』は、後述のリンク先より、無料で、何の登録手続き
 もなく、ご覧いただけますので、ご安心ください。>

============================================================
(前略)

今回は、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育みた
い人のための『教養醸成の会』(CGG)
http://www.5w1h.co.jp/community/CGG.html」について別の角度か
ら補足しておこうと思います。

(中略)


■能力開発と体験/経験学習

(中略)

図表1:「3タイプの専門的能力開発」に関する比較表

この表から読み取っていただきたいことの1つは、「専門的能力の
開発という切り口」からすると、コンテンツを伝えることに主眼が
置かれた「知識付与型の学習」の貢献度が1割程度とかなり低いと
いうことです。(…「eラーニング」で能力開発を行うには、それ
単体を用いて安心するのではなく、さまざまな工夫が必要となりま
すね。)

こういった背景を基に、人財育成の場面では、デイビッド・コルブ
(David A. Kolb)氏によって提唱された「経験学習モデル」(…
「体験→省察→概念化(仮説の考案)→実践(仮説の検証)」とい
う4段階の学習サイクルを繰り返すというモデル)などのアプロー
チを重視する傾向にあります。

では、専門的能力開発といった場面にも役立つ「経験学習」につい
て、私たちは、どういった理解をしておくことが望ましいのでしょ
う?


■「体験」と「経験」を区別する

上記の、「経験学習モデル」(…「体験→省察→概念化(仮説の考
案)→実践(仮説の検証)」という表現で、私が「体験」と「経験」
を区別して表記していたことにお氣づきでしょうか?

(中略)

------------------------------------------------------------
【 体験 】:自分自身で実際に、見たり、聞いたり、触れたり、嗅
いだり、味わったり、試したりする/したこと。「生々しい直接性」
を伴う。[ コーチングなどに詳しい方向けの補足…「体験」は、主
に、プライマリ・レベルの「五感情報描写」(現地)を指します。]

【 経験 】:体験そのものを指す場合に加え、「体験から得た知識
や技術など」を指す場合がある。体験と比較して、より「一般的で
間接的」。[ コーチングなどに詳しい方向けの補足…「経験」は、
主に、メタ・レベルの「解釈に基づく描写」(地図)を指します。]

[ 合同会社5W1Hによる定義 ]
------------------------------------------------------------

こういった区別は、コーチングの場面だけでなく、(中略)、コン
フリクト・マネジメントや交渉など、「明確なコミュニケーション
が求められる場面」で大きな役割を果たします。

まず、ここまでが「経験学習」の「経験」部分についてのお話です。
次は、「経験学習」の「学習」部分について見て行きましょう。


■「個人」としての学習と
 「組織・コミュニティ・社会」としての学習

本稿の最初の方で、「専門的能力の開発という切り口」という表現
を用いていました。専門的能力と言ったときに、ギネスブックに掲
載されるような「特技」などをイメージされる方がいらっしゃるか
もしれませんが、本稿では、「仕事」を進める上での専門的能力を
指して、あれこれ書いているのだとご理解ください。後の話に関係
してくるので、ここでは、弊社が考える「作業」と「仕事」の区別
についてご紹介します。

------------------------------------------------------------
【 作業 】:事前に、(誰かが)頭で考えた仕事のやり方や進め方
(計画)に従って、たんたんと/順序良く、定型的に身体を働かせ、
おおよそ投資した時間に比例する成果が得られるもの。(単純作業、
肉体労働といった表現が用いられる場合もある。)

【 仕事 】:状況(変化)に依存した意思決定・個性・創造性など
に基づいて、身体や頭を柔軟にand/or緻密に働かせて取り組むもの。
(生計を立てるために行うことを指す場合もある。物理学分野にお
ける定義は省略。)

[ 合同会社5W1Hによる定義 ]
------------------------------------------------------------

…このように考えると、「作業では効率性、仕事では効果性が特に
重視」されそうだと思えないでしょうか? 底上げ教育や製造業で
は、効率性という言葉を「生産性」や「能率」といった表現に変え
て用い、これまで「無駄がないことは良いことだ」という考え方を
浸透させるのに大きな役割を果たしてきました。

では、効率性について一定の水準に達したように見える私たちは、
今後、効果性についてどのような取り組みをしていくことが求めら
れているのでしょうか?


さて、「専門的能力の開発という切り口」から見た、「経験学習」
の「学習」部分についての話に戻りましょう。言い方を替えると、
「仕事を通して、自分/自組織の競争力を高めたり、自分の人間と
しての成長を促進したり、自組織が行う活動の社会へのインパクト
・貢献を増したりするには、どういった経験学習を心がけることが
効果的か」という話です。

「個人」としての経験学習では、「体験→省察→概念化(仮説の考
案)→実践(仮説の検証)」というサイクルを、主に自分1人で回
していきます。多くの場合、個人としての経験学習では、対象への
「興味や情熱」などが学習を進める原動力となります。

もちろん、「数回体験したら、飽きて辞めた」というのを繰り返し
ていては、自己の能力向上は望めません。学習目的に応じて、(複
数のアングルからの)動画撮影・日記・図解を多用した振り返りノ
ート・ベンチマーキング指標等に基づく評価なども活用し、後で
「省察や概念化」が可能なように、「体験を記録」しておくこと、
その記録を元に分析・省察を行うことが求められます。

また、人によっては、こういった取り組みが容易に行えるように、
自己規律(日課の設定、周囲への公言、定期開催の勉強会など半強
制的な学習の場への参加など)を設けることも有効となるかもしれ
ません。

こうして、今まで自分だけでは氣づかなかった根本的な誤りを発見
するための工夫(自分を観察してくれる人物、対話や思索のパート
ナーを得るなど)や、前回とのわずかな違い探しなどといった地道
な取り組みにも楽しみを見い出す工夫を盛り込みつつ、学習サイク
ルを継続的に回していくことが求められます。

これらのポイントを踏まえると、「専門的能力の開発」を目的とし
て、「個人」としての経験学習を進める際の注意点は、「自己満足
に陥らないこと」なのではないでしょうか。

対象に取り組むこと、次から次へと体験を積むこと自体(ただただ
場数を踏むこと)が目的化し、省察を行わないために体系的や分析
や理解を欠くと、効果的な学習は行えません(効率的ですらありま
せん)。

第117号で「静的な知を増やしても、物知りになるだけで、賢くな
れない」といった内容についても書いていましたが、やはり、「支
離滅裂で、理想論ばかりを熱く語る、現実から乖離した多趣味の人」
などで終わらないようにするには、「楽しみや喜びを感じられるよ
うな仕組み」を取り入れつつ「地に足の着いた、現実的な態度での
学び」を重ね、「自分の経験・理解の範囲に閉じこもらず、積極的
に他者の客観的な意見を求めて、軌道修正を図ること」が大切なよ
うに考えています。

(中略)

では、「組織・コミュニティ・社会」としての経験学習については、
どういったことに意識を払っておくのが良いのでしょうか?(…日
本で「コミュニティ」と言うと、「地域共同体」を連想される方も
多いと思いますが、ここでは、「共通の専門的知識・技能や、特定
の取り組みに対する深い関心を持ち、所属組織や各種属性にかかわ
らず、主体的に結びついた人々の集まり」を指しています。) 

「組織・コミュニティ・社会」としての経験学習を効果的なものに
するには、「『組織・コミュニティ・社会』構成員である各『個人』
の経験学習の成果を、いかに『組織・コミュニティ・社会』で共有
・活用していくか」、すなわち、「状況・個人の技能レベル・主観
などに基づいて得られた『体験知』を、どのようにして、より汎用
性の高い『経験知』として共有し、相乗効果を上げることができる
よう活用していくか」について、それぞれの「組織・コミュニティ
・社会」で考えておくことが大切であると、私は考えています。

すなわち、「組織・コミュニティ・社会」としての経験学習を効果
的なものにするには、「個人」としての経験学習の話で注意点とし
て挙げていた「自己満足に陥らない」ようにするための具体的方策
と重なる部分が多いということですね。

では、「個人」としての経験学習と「組織・コミュニティ・社会」
としての経験学習を効果的に行うに当たって、特に意識すべき違い
はないのでしょうか?


■「体験」を「経験」に変える「概念化」

私は、「個人」としての経験学習と「組織・コミュニティ・社会」
としての経験学習を効果的に行うに当たっての違いの内、最も顕著
な違いは、「閉じた体験知」と「開いた経験知」という切り口では
ないかと考えています。

つまり、「個人」としての経験学習に比べ、「組織・コミュニティ
・社会」としての経験学習の方が、「状況・個人の技能レベル・主
観などに基づいて得られた『体験知』を、汎用性の高い『経験知』
として共有・活用する」ことをずっと強く意識しなければならない
ということです。そして、「閉じた体験知」を「開いた経験知」に
変える上で、私が注目しているのが「概念化」(※)なのです。

------------------------------------------------------------
※概念化

体験知を、言葉や図などを用いて表現することで経験知に変換し、
伝達・共有・蓄積・加工などができるようにすること。複数の個別
具体的な事柄の共通点を取り上げ、対象となる事柄とは、概ねこう
いうものだと説明できるようにすること。

コンピューターを用いた例で言えば、個々のファイル内容を見るだ
けではなく、同じ事柄に関するファイルをまとめて1つのフォルダ
として見たり、さらにフォルダ間の関係(ディレクトリ構成)を俯
瞰的に把握したりした上で、他の事柄との共通点や相違点あるいは
因果関係や相関関係について考えることや、フォルダやファイルの
分類法をまったく新しいものに変えることなどを、概念化スキルが
あると称します。

ハーバード大学のロバート・カッツ教授は、マネジャーに求められ
る3つの能力として、専門的スキル・対人関係スキル・概念化スキ
ルを提唱しました。コーチングの場面では、クライアントはコンテ
ンツの専門家であり、対象領域における専門的スキルはすでに習得
していると見なし、コーチはヒトや組織の変化プロセスの専門家と
して、対人関係スキル・概念化スキルの部分に関して支援を行いま
す。
------------------------------------------------------------

(中略)

図表1「3タイプの専門的能力開発」に関する比較表に戻って考え
てみましょう。

これまでの話を踏まえ、私は、「3タイプの専門的能力開発」のど
れか1つだけに取り組むのではなく、次のように3つすべてを組み
合わせることが、「経験学習」を本当に効果的なものにする上で、
大切ではないかと考えるようになりました。

------------------------------------------------------------
●「現場での実地教育訓練(OJT)」で「体験知」を獲得すること

●「相互コミュニケーションによる学習」を通して「概念化」を行
 い、「体験知」を「経験知」に変換すること…概念化を行う過程
 で、学習内容が再体系化されて自分自身の理解も深まるし、記憶
 も新たになるし、相手とのやり取りを通じて新たなアイディアも
 浮かびやすくなる

●一見、支離滅裂にも見えるさまざまな学習内容(…「点」情報)
 を、「研修」といった「体系化された知識」を通して関連付け
 (…「点」情報を、有機的に結びつけ、「線」や「面」や「立体」
 のように展開し)たり、体験知と比較・分析して新たな仮説を考
 案したりすること、そして、現場で新たな仮説の有効性を検証す
 ること

[ 合同会社5W1H作成 ]
------------------------------------------------------------
 図表2:「3タイプの専門的能力開発」と
     「閉じた体験知→概念化→開かれた経験知」


このように見てくると、弊社が提供しているコンテンツやサービス
では、総合診断と問題の再設定を重視する合同会社5W1H流 「
コーチング学習プログラム」 や「リーダーシップ開発コーチング」
をはじめ、多くのものに、上記3つのアプローチが盛り込まれてい
ることに氣がつきます。象徴的な一例として、本稿の冒頭で取り上
げていた、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育み
たい人のための『教養醸成の会』(CGG)」について見てみましょう。

日本各地で数多くの「読書会」や「勉強会」などが開催されていま
すが、「事前学習」(…自身の視点からの読書「体験」および「内
省」)→「当日学習」(…参加者どうしで話し合い「経験知」と「
新たな体験知」を獲得)→「事後学習」(…学習レポートの作成に
よる「概念化」「経験知を踏まえた内省」、学習レポート提出によ
る「経験知の伝達・共有」「学習仲間への貢献」)をすべて盛り込
んだ集まりというのは、数少ないのではないでしょうか。

(中略)

あなたは、「これも、それも、あれも知っている。だけど、自分で
は何もできない」という人にならないため、「支離滅裂で、理想論
ばかりを熱く語る、現実から乖離した多趣味の人」にならないため、
「経験学習」の効果性を高めるために、「体験」を「経験」に変え
る「概念化」に取り組んでいらっしゃいますか?

弊社では、「経験学習」のアプローチを取り入れたさまざまな学習
機会(…私のように意志の弱い人間でも、定期的な経験学習を進め
やすい仕組み)も設けていますので、興味をお持ちの方は、
こちら→ http://www.5w1h.co.jp/event.html
から、「今後の開催イベント一覧」を確認なさってみてください♪


さて今回は、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力を育
みたい人のための『教養醸成の会』(CGG)」について、別の角度
から補足するということで話を始め、デイビッド・コルブ氏の「経
験学習モデル」の話、弊社による「体験」「経験」「作業」「仕事」
の定義の話、「仕事を通して、自分/自組織の競争力を高めたり、
自分の人間としての成長を促進したり、自組織が行う活動の社会へ
のインパクト・貢献を増したりするには、どういった経験学習を心
がけることが効果的か」という話をご紹介してきました。

(後略)
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冒頭でご案内差し上げましたように、本記事の『全文』は、下記
よりご覧いただけます。上記抜粋記事をご覧になった上で、詳細
についてお知りになりたい方は、是非ご活用くださいませ。


●ニューズレター第120号
 経験学習:「体験」を「経験」に変える「概念化」
 → http://5w1h.hatenablog.jp/entry/120(ブログ版)  
 → http://www.5w1h.co.jp/newsletter/no120.pdf(PDF版)
===========================================================
出典を明記していただき、『著作権法』で認められる『引用』の
範囲を超えなければ、許可なしで部分引用可能です。
また、内容を改変せず、元のままの形(あるいは上記リンク先)
であれば、お知り合いなどに転送していただいて構いません。
===========================================================


以上、何か少しでも、『総務の森』コラムをご覧のみなさまの
お役に立てることがあれば幸いです。

お忙しいところ、目を通していただき、ありがとうございました!

               高野潤一郎@合同会社5W1H

P.S.1

記事に出ていた、「視座を高め、視野を広げ、視点を適切に選ぶ力
を育みたい人のための『教養醸成の会』」の詳細は、こちら↓から
ご確認いただけます。
http://www.5w1h.co.jp/community/CGG.html


P.S.2

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ただけたようでしたら、下記もご覧になってみてください。

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 「自律共栄の納得人世」の実現に向け、
 「人財と組織の育成を支援」する 合同会社5W1H

         代表 高野 潤一郎 [ 博士(先端科学技術) ]

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