■Vol.381(通算620)/2015-1-26号:毎週月曜日配信
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労務・法務の知恵袋
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■■■ 【
取締役職務執行代行者の権限】
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http://www.c3-c.jp
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取締役職務執行代行者の権限
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取締役職務執行代行者の権限はどのようなものでしょうか。
代表取締役の職務執行代行者は
株主総会を
招集することはできる
のでしょうか。
=========================================================
●
取締役の地位を争う訴訟
=========================================================
取締役の地位を争う訴訟としては以下のようなものがあります。
・
取締役の選任決議の不存在・無効確認の訴え(830条)
・
取締役の選任決議の取消しの訴え(831条)
・
取締役解任の訴え(854条)
=========================================================
● 職務執行停止・職務代行者選任の仮処分
=========================================================
上記のような
取締役の地位を争う訴えが提起されても、当該取
締役の地位に直ちに影響があるわけではありません。
しかし、その
取締役にそのまま職務の執行を継続させることは
適切でない場合、
取締役の職務執行停止・職務代行者選任の仮
処分が提起されることがあります。
これは、民事保全法上の仮の地位を定める仮処分(民事保全法
23条2項)であり、
取締役の地位(権利関係)について争う
本案訴訟の管轄裁判所は、保全の必要性が認められる場合、当
事者の申立てに基づき、会社・
取締役の双方を
債務者として、
仮処分により
取締役の職務執行を停止し、さらにその職務を代
行する者(職務代行者)を選任することができます。
職務代行者には弁護士が選任されるのが通例であり、
取締役の
職務執行停止・職務代行者選任の仮処分は、裁判所書記官によ
り嘱託
登記されます(
会社法917条1号、民事保全法56条)。
=========================================================
● 職務代行者の権限
=========================================================
この仮処分によって裁判所から選任された職務代行者の権限に
ついては、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会
社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なけれ
ばならない(352条1項)とされています。
仮処分命令に別段の定めもないにもかかわらず、裁判所の許可
を得ずして、
株式会社の常務に属しない行為をした場合、その
行為は職務代行者の権限を超えて無効とされていますが(35
2条2項本文)、この職務代行者が権限を超えて行為した場合、
会社は、善意の第三者に対しては責任を免れません(352条
2項ただし書)。
会社の常務とは、会社事業の通常の経過にともなう業務をいい、
募集株式の発行等・事業譲渡・
定款変更や、
取締役解任を目的
とする
臨時株主総会の招集は常務に属しないと解されます。
取締役会設置会社の
取締役会において会社の常務でない事項に
ついて決議がなされる場合、
取締役の職務代行者は
取締役会で
議決権を行使するについて裁判所の許可を要することになりま
す。
しかも、その決議に基づいて業務執行をなすべき者が代表取締
役職務代行者であれば、その
代表取締役職務代行者は当該業務
執行をなすについても裁判所の許可を要することになります。
=========================================================
●
株主総会の
招集
=========================================================
代表取締役の職務代行者が
株主総会を
招集するために裁判所の
許可を要するか否かも、その
株主総会の
招集が会社の常務に属
するか否かによります。
株主総会の
招集が会社の常務に属するか否かについては、学説
上の対立があります。
第1説 定時総会の
招集は常務であるが臨時総会の
招集は常務
ではないとする説
第2説 会議の目的の如何によるとする説
両説を考慮すると、
臨時株主総会は定時総会以外に必要のある
場合に
招集されるものですので、形式的外形的に見て会社の常
務に属せず、裁判所の許可を要すると考えられますが、定時総
会であっても、会社の常務に属しない事項である
取締役の解任、
募集株式の発行、事業譲渡、
定款の変更等を決議内容に加えた
ときは、その
招集には裁判所の許可を要すると解すべきです。
【裁判例】
* 従前の有限会社において職務代行者が臨時社員総会を
招集
することは会社の常務といえない。
(最判昭39・5・21民集18・4・608)
*
取締役の解任を目的とする
臨時株主総会の招集は常務に当
たらない。
(最判昭和50・6・27民集29巻6号879頁[
少数株主の請求
に基づく場合であっても常務ではない])
(弁護士 緒方義行
http://www.fuso-godo.jp/)
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会計だけでは解決しないさまざまの
ことを、「人」の問題として考えています。
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あるかもしれません。
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株式会社C Cubeコンサルティング
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● 取締役の地位を争う訴訟
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取締役の地位を争う訴訟としては以下のようなものがあります。
・取締役の選任決議の不存在・無効確認の訴え(830条)
・取締役の選任決議の取消しの訴え(831条)
・取締役解任の訴え(854条)
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● 職務執行停止・職務代行者選任の仮処分
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上記のような取締役の地位を争う訴えが提起されても、当該取
締役の地位に直ちに影響があるわけではありません。
しかし、その取締役にそのまま職務の執行を継続させることは
適切でない場合、取締役の職務執行停止・職務代行者選任の仮
処分が提起されることがあります。
これは、民事保全法上の仮の地位を定める仮処分(民事保全法
23条2項)であり、取締役の地位(権利関係)について争う
本案訴訟の管轄裁判所は、保全の必要性が認められる場合、当
事者の申立てに基づき、会社・取締役の双方を債務者として、
仮処分により取締役の職務執行を停止し、さらにその職務を代
行する者(職務代行者)を選任することができます。
職務代行者には弁護士が選任されるのが通例であり、取締役の
職務執行停止・職務代行者選任の仮処分は、裁判所書記官によ
り嘱託登記されます(会社法917条1号、民事保全法56条)。
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● 職務代行者の権限
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この仮処分によって裁判所から選任された職務代行者の権限に
ついては、仮処分命令に別段の定めがある場合を除き、株式会
社の常務に属しない行為をするには、裁判所の許可を得なけれ
ばならない(352条1項)とされています。
仮処分命令に別段の定めもないにもかかわらず、裁判所の許可
を得ずして、株式会社の常務に属しない行為をした場合、その
行為は職務代行者の権限を超えて無効とされていますが(35
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ついて決議がなされる場合、取締役の職務代行者は取締役会で
議決権を行使するについて裁判所の許可を要することになりま
す。
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● 株主総会の招集
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代表取締役の職務代行者が株主総会を招集するために裁判所の
許可を要するか否かも、その株主総会の招集が会社の常務に属
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第1説 定時総会の招集は常務であるが臨時総会の招集は常務
ではないとする説
第2説 会議の目的の如何によるとする説
両説を考慮すると、臨時株主総会は定時総会以外に必要のある
場合に招集されるものですので、形式的外形的に見て会社の常
務に属せず、裁判所の許可を要すると考えられますが、定時総
会であっても、会社の常務に属しない事項である取締役の解任、
募集株式の発行、事業譲渡、定款の変更等を決議内容に加えた
ときは、その招集には裁判所の許可を要すると解すべきです。
【裁判例】
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* 取締役の解任を目的とする臨時株主総会の招集は常務に当
たらない。
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に基づく場合であっても常務ではない])
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