2026年4月27日号 (no. 1235)
3分労働ぷちコラム バックナンバーはこちら
(
https://www.soumunomori.com/profile/uid-20903/)
退職日の2週間前は有給休暇を使えない?
退職までに
年次有給休暇を消化できない問題。
■
退職日までの余裕は、心の余裕
退職する時に、
年次有給休暇が残っている場合は、
退職日までの間に消化できるように、勤務スケジュールを決めます。
例えば、有給休暇が10日残っているとすれば、
少なくとも
退職日から遡って10日はそれを消化するために必要ですから、
その予定を織り込んで業務の引き継ぎをできるようにしておきます。
仮に、月末に
退職するとして、
1ヶ月前までに
退職すると伝えているならば、
残り1ヶ月の間で業務の引き継ぎ、有給休暇が残った分を消化できるように勤務シフトを作ります。
1ヶ月あると、有給休暇が10日ならば、
業務の引き継ぎに20日ほど使えますよね。
もし、
退職日から2週間前の段階で
退職を伝えたとすると、
10日の
年次有給休暇を使った場合、
引き継ぎに使える日数は4日ですから、
これで引き継ぎができるならばいいですけれども、
できない場合は困ります。
なので、お互いにスケジュールを調整できる余裕が必要なんですね。
■
退職日から遡って2週間は就労しなければいけない。ならば、有給休暇は使えない?
退職日から遡って2週間は就労しなければいけないという
就業規則の定めがあった場合、
その期間に有給休暇を消化して
退職することはできないのかと思えてしまいます。
民法627条にある
雇用の規定を参考にして
就業規則の中身を決めたのでしょうが、
第627条
『当事者が
雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、
雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する』
つまり、
退職するならば、
短くても2週間前に伝えると、
雇用契約を終了できるという内容。
雇用の終了時期について定めたものであって、
退職日から遡って2週間は必ず働くようにという規定ではないのですね。
ですから、
「
退職日から遡って2週間は就労しなければいけない」
と書いてしまうと、
退職日前に
年次有給休暇を消化することを阻んでいることになりますから、
踏み込みすぎた
就業規則の内容です。
さらに、傷病手当金を、資格喪失後も継続給付で受け取る場合は、
退職日の2週間前までさかのぼって就労できるかというと、
労務不能で傷病手当金が支給されるものですし、
退職日までの2週間を出勤できるとは考えにくい。
さらに、
退職日に出勤すると、
傷病手当金を資格喪失後に受給できなくなりますから、
この点でも上記の
就業規則の内容は合わないものです。
資格喪失後の支給について(傷病手当金)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html#heading-3
■人の気持ちとして納得できる、受け入れられる内容かどうか
「
退職日までに誠実に引継ぎを行う義務を負う」
「業務に著しい支障を与えた場合は懲戒の対象となり得る」
「
退職日は原則として申し出から2週間以上後とする」
就業規則に書くならば、このような内容が妥当なところです。
業務の引継ぎは確かに大切ですから外せないところですけれども、
退職する人の気持ちから考えると、
年次有給休暇の消化や資格喪失後の給付との折り合いをつけるには、
ある程度、幅のある解釈ができるような
就業規則にしておきます。
一方的に有利な内容だと、感情で反発を招きますし、
退職する最後で、お互いに悪印象が残ります。
感情との兼合いでうまくいくかどうか、ここが工夫のしどころ。
■
退職日まで余裕があると、引き継ぎと有給休暇消化を済ませられる
退職するときは、余裕を持って、
おそらく1ヶ月前ぐらいには伝えるのでは。
退職の2週間前だとバタバタするのは予想できますから。
退職の意思を伝えた後、
退職日までのスケジュールを協議して決める。
1か月あれば、十分に余裕があるのでは。
ですが、
退職することを伝えた後、
退職日までの余裕があまりない場合、
有給休暇の消化をしてしまうと、出勤できる日はほとんどなく、
業務の引き継ぎが十分にできなくなってしまいます。
有給休暇を取得する時は、
時期を指定する時季指定権が労働者側にあります。
しかし、
退職日まで日数がないとなると、
使用者側からは時季変更権を行使できなくなります。
有給休暇のスケジュールを動かす余地が少ないですから。
このようなアンバランスな関係になってしまうので、
退職する時は1ヶ月前ぐらいに伝えないと、
有給休暇が残って使えなくなったり、
業務の引き継ぎが不十分な状態になってしまって、
場合によっては懲戒処分を行うなんてことにもなります。
■人からの評価は最初と最後が肝心
退職者本人にとっても、会社にとっても、
都合の悪い結果になりますから、
退職する時は1ヶ月ぐらい前に伝えましょう。
引き継ぎと
退職時の
年次有給休暇の問題は、
スケジュールでの余裕の無さが原因です。
『
退職日までに
年次有給休暇を消化できるよう、勤務スケジュールを調整するものとする』
このような文言を
就業規則に入れてもいいです。
意外と、こういったことを書いていないものなんですよ。
就業規則って。
効果があるのに。
退職に関連する項目が
就業規則にあるはずですから。
具体的に何日前とか日数を書くのではなく、
きちんと
退職までに有給休暇を消化できるようにします、
と
就業規則に記載しておく。
これでも効果はあります。
人の気持ちが動くような内容だと、
就業規則は使えます。
就業規則に書いたことはコミットメントですから。
人と人が接する場面で最初と最後は大事ですからね。
最後でゴタゴタしてしまうと、
嫌な職場だった、嫌な社員だった、
みたいなお互いに悪い印象が残ります。
お互いに良い気分で
退職日を迎えられるように、
スケジュールには余裕を持って進めていきましょう。
スケジュールの余裕は、心の余裕ですよ。
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┃Copyright(c) あやめ社労士事務所 All rights reserved
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退職日の2週間前は有給休暇を使えない? 退職までに年次有給休暇を消化できない問題。
■退職日までの余裕は、心の余裕
退職する時に、年次有給休暇が残っている場合は、
退職日までの間に消化できるように、勤務スケジュールを決めます。
例えば、有給休暇が10日残っているとすれば、
少なくとも退職日から遡って10日はそれを消化するために必要ですから、
その予定を織り込んで業務の引き継ぎをできるようにしておきます。
仮に、月末に退職するとして、
1ヶ月前までに退職すると伝えているならば、
残り1ヶ月の間で業務の引き継ぎ、有給休暇が残った分を消化できるように勤務シフトを作ります。
1ヶ月あると、有給休暇が10日ならば、
業務の引き継ぎに20日ほど使えますよね。
もし、退職日から2週間前の段階で退職を伝えたとすると、
10日の年次有給休暇を使った場合、
引き継ぎに使える日数は4日ですから、
これで引き継ぎができるならばいいですけれども、
できない場合は困ります。
なので、お互いにスケジュールを調整できる余裕が必要なんですね。
■退職日から遡って2週間は就労しなければいけない。ならば、有給休暇は使えない?
退職日から遡って2週間は就労しなければいけないという就業規則の定めがあった場合、
その期間に有給休暇を消化して退職することはできないのかと思えてしまいます。
民法627条にある雇用の規定を参考にして就業規則の中身を決めたのでしょうが、
第627条
『当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する』
つまり、退職するならば、
短くても2週間前に伝えると、
雇用契約を終了できるという内容。
雇用の終了時期について定めたものであって、
退職日から遡って2週間は必ず働くようにという規定ではないのですね。
ですから、
「退職日から遡って2週間は就労しなければいけない」
と書いてしまうと、
退職日前に年次有給休暇を消化することを阻んでいることになりますから、
踏み込みすぎた就業規則の内容です。
さらに、傷病手当金を、資格喪失後も継続給付で受け取る場合は、
退職日の2週間前までさかのぼって就労できるかというと、
労務不能で傷病手当金が支給されるものですし、
退職日までの2週間を出勤できるとは考えにくい。
さらに、退職日に出勤すると、
傷病手当金を資格喪失後に受給できなくなりますから、
この点でも上記の就業規則の内容は合わないものです。
資格喪失後の支給について(傷病手当金)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/benefit/injury_and_sickness_allowance/index.html#heading-3
■人の気持ちとして納得できる、受け入れられる内容かどうか
「退職日までに誠実に引継ぎを行う義務を負う」
「業務に著しい支障を与えた場合は懲戒の対象となり得る」
「退職日は原則として申し出から2週間以上後とする」
就業規則に書くならば、このような内容が妥当なところです。
業務の引継ぎは確かに大切ですから外せないところですけれども、
退職する人の気持ちから考えると、
年次有給休暇の消化や資格喪失後の給付との折り合いをつけるには、
ある程度、幅のある解釈ができるような就業規則にしておきます。
一方的に有利な内容だと、感情で反発を招きますし、退職する最後で、お互いに悪印象が残ります。
感情との兼合いでうまくいくかどうか、ここが工夫のしどころ。
■退職日まで余裕があると、引き継ぎと有給休暇消化を済ませられる
退職するときは、余裕を持って、
おそらく1ヶ月前ぐらいには伝えるのでは。
退職の2週間前だとバタバタするのは予想できますから。
退職の意思を伝えた後、退職日までのスケジュールを協議して決める。
1か月あれば、十分に余裕があるのでは。
ですが、退職することを伝えた後、
退職日までの余裕があまりない場合、
有給休暇の消化をしてしまうと、出勤できる日はほとんどなく、
業務の引き継ぎが十分にできなくなってしまいます。
有給休暇を取得する時は、
時期を指定する時季指定権が労働者側にあります。
しかし、退職日まで日数がないとなると、
使用者側からは時季変更権を行使できなくなります。
有給休暇のスケジュールを動かす余地が少ないですから。
このようなアンバランスな関係になってしまうので、
退職する時は1ヶ月前ぐらいに伝えないと、
有給休暇が残って使えなくなったり、
業務の引き継ぎが不十分な状態になってしまって、
場合によっては懲戒処分を行うなんてことにもなります。
■人からの評価は最初と最後が肝心
退職者本人にとっても、会社にとっても、
都合の悪い結果になりますから、
退職する時は1ヶ月ぐらい前に伝えましょう。
引き継ぎと退職時の年次有給休暇の問題は、
スケジュールでの余裕の無さが原因です。
『退職日までに年次有給休暇を消化できるよう、勤務スケジュールを調整するものとする』
このような文言を就業規則に入れてもいいです。
意外と、こういったことを書いていないものなんですよ。就業規則って。
効果があるのに。
退職に関連する項目が就業規則にあるはずですから。
具体的に何日前とか日数を書くのではなく、
きちんと退職までに有給休暇を消化できるようにします、
と就業規則に記載しておく。
これでも効果はあります。
人の気持ちが動くような内容だと、
就業規則は使えます。
就業規則に書いたことはコミットメントですから。
人と人が接する場面で最初と最後は大事ですからね。
最後でゴタゴタしてしまうと、
嫌な職場だった、嫌な社員だった、
みたいなお互いに悪い印象が残ります。
お互いに良い気分で退職日を迎えられるように、
スケジュールには余裕を持って進めていきましょう。
スケジュールの余裕は、心の余裕ですよ。
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