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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第110号/2007/8/15>■
1.はじめに
2.「
会社法務編/中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(54)」
3.「市
民法務編/ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(37)」
4.編集後記
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1.はじめに
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残暑お見舞い申し上げます。
行政書士の津留信康です。
立秋も過ぎ、暦の上では秋なのですが、
宮崎では、相変わらず、蒸し暑い“真夏の日々”が続いています。
皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか?
また、
お盆休みを利用して、帰省等をされた方も多いと思いますが、
しばし日常生活を忘れ、リフレッシュできましたでしょうか?
ちなみに、私は、普段と変わらぬ“通常業務の毎日”です・・・。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「
会社法務編―中小企業・
ベンチャー経営者&
起業予定者のための“
会社法”等のポイント(54)」
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★本号より、「平成19年度
司法書士試験問題」の解説を通じて、
“
会社法”等に関する理解を深めていただきますが、
第1回目は、「会社の設立」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■会社の設立に関する次の1~5の記述のうち、
株式会社および
合同会社のいずれにも当てはまるものはどれか。
なお、「設立手続きの遂行者」とは、
株式会社にあっては「発起人」を、
合同会社にあっては「社員になろうとする者」を、それぞれ指すものとし、
また、
定款は、書面により作成されるものとする。
1.会社を設立するには、
設立手続きの遂行者が、
定款を作成し、その全員がこれに署名し、
または、記名押印しなければならない。
□正解:
株式会社および
合同会社のいずれにも、当てはまる。
□解説
株式会社については、
会社法第26条第1項を、
合同会社については、同法第575条第1項を、それぞれ参照のこと。
2.
定款には、
成立後の会社の
資本金の額に関する事項を記載しなければならない。
□正解:
株式会社および
合同会社のいずれにも、当てはまらない。
□解説
株式会社については、
会社法第27条を、
合同会社については、同法第576条第1項を、それぞれ参照のこと。
3.設立手続きの遂行者は、会社の成立までの間、
定款を、
設立手続きの遂行者が定めた場所に備え置かなければならない。
□正解:
株式会社についてのみ、当てはまる。
□解説
株式会社については、
会社法第31条第1項を参照のこと。
一方、
合同会社については、
同法上、設問肢のような規定は定められていません。
4.会社の設立に際して、金銭以外の財産を出資する者がある場合には、
定款に、当該財産を記載しなければならない。
□正解:
株式会社および
合同会社のいずれにも、当てはまる。
□解説
株式会社については、
会社法第28条第1号を、
合同会社については、同法第576条第1項第6号を、それぞれ参照のこと。
5.出資に係る金銭の払込みは、
設立手続きの遂行者が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、
しなければならない。
□正解:
株式会社についてのみ、当てはまる。
□解説
株式会社については、
会社法第34条第2項・第63条第1項を参照のこと。
一方、
合同会社については、
同法上、設問肢のような規定は定められていません(同法第578条)。
★次号(2007/9/1発行予定の第111号)では、
「
株式会社の株式」について、ご紹介する予定です。
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3.「市
民法務編―ビジネスに役立つ“
民法”の基礎(37)」
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★本号より、「平成19年度を中心とする
司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただきますが、
第1回目は、「制限行為能力者制度」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■制限行為能力者制度に関する次の1~5の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、記述中の「取消し」は、すべて行為能力の制限による取消しのこととする。
1.
未成年者が買主としてした高価な絵画の
売買契約を取り消した場合において、
その絵画が、取消し前に天災により滅失していたときは、
当該
未成年者は、売主から代金の返還を受けることができるが、
絵画の代金相当額を、
不当利得として売主に返還する必要はない。
□正解: ○
□解説
取消し後の
売買契約は、
初めから無効であったものとみなされます(
民法第121条本文)が、
制限行為能力者(本肢の場合、
未成年者)は、
その行為によって現に利益を受けている限度において、
返還義務を負います(同法同条但書)ので、
当該絵画が取消し前に天災により滅失している以上、
当該
未成年者は、その代金相当額を、
不当利得として売主に返還する必要はありません。
2.成年被
後見人が締結した
契約を、その成年
後見人が取り消すには、
その行為を知った時から5年以内にする必要があるが、
意思無能力を根拠とする無効であれば、
その行為を知った時から5年を過ぎても主張することができる。
□正解: ○
□解説
前段については、
民法第124条第2項・第126条を参照のこと。
また、意思無能力を根拠とする無効の主張について、
その
消滅時効に関する規定は、
民法上にありません。
3.被
保佐人が売主としてした不動産の
売買契約を取り消したが、
その取消し前に、目的不動産が買主から善意の第三者に転売されていれば、
被
保佐人は、取消しを、当該第三者に対抗することができない。
□正解: ×
□解説
制限行為能力者(本肢の場合、被
保佐人)のなした
売買契約
の取消し前に利害関係を有するに至った第三者に対しては、
その取消しを、第三者の
善意・悪意を問わず、
登記なくして対抗することができます。
4.成年被
後見人が高価な絵画を購入するには、
その成年
後見人の同意を得なければならず、
同意を得ずにされた
売買契約は、取り消すことができる。
□正解: ×
□解説
成年被
後見人は、一定の場合、
自己のなした
法律行為を取り消すことができ(
民法第9条本文)、
設問肢のような場合、成年
後見人の同意の有無に関係なく、
取り消すことができます。
5.成年被
後見人が
契約を締結するにあたって、
成年
後見に関する
登記記録がない旨を証する
登記事項証明書を偽造して、
相手方に交付していた場合には、
相手方がその偽造を知りつつ
契約を締結していたとしても、
その成年
後見人は、当該
契約を取り消すことができない。
□正解: ×
□解説
制限行為能力者(本肢の場合、成年被
後見人)が、
行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、
その行為を取り消すことができません(
民法第21条)が、
相手方がそのことを知りつつ
契約をしていたときには、
同条の規定は適用されません。
★次号(2007/9/1発行予定の第111号)では、
「虚偽表示」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★検定試験ブームの昨今、巷には、様々な「○○検定」が溢れているようですが、
個人的には、次のようなものに注目しています。
1.ニュース時事能力検定(
http://www.newskentei.jp/index.cgi)
2.日本語検定(
http://www.nihongokentei.jp/index.html)
各Webサイト上には、模擬問題も掲載されていますので、
ご興味のある方は、チャレンジしてみてくださいね。
また、何か興味深い「○○検定」をご存知の方がいらっしゃいましたら、
是非お知らせください。
■第110号は、いかがでしたか?
次号(第111号)は、2007/9/1発行予定です。
■編集責任者:
行政書士 津留信康
□津留
行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(
http://www.mag2.com/)」を利用しており、
購読の解除は、「
http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。
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■行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第110号/2007/8/15>■
1.はじめに
2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(54)」
3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(37)」
4.編集後記
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1.はじめに
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残暑お見舞い申し上げます。行政書士の津留信康です。
立秋も過ぎ、暦の上では秋なのですが、
宮崎では、相変わらず、蒸し暑い“真夏の日々”が続いています。
皆様のお住まいの地域ではいかがでしょうか?
また、お盆休みを利用して、帰省等をされた方も多いと思いますが、
しばし日常生活を忘れ、リフレッシュできましたでしょうか?
ちなみに、私は、普段と変わらぬ“通常業務の毎日”です・・・。
それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。
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2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
起業予定者のための“会社法”等のポイント(54)」
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★本号より、「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
“会社法”等に関する理解を深めていただきますが、
第1回目は、「会社の設立」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■会社の設立に関する次の1~5の記述のうち、
株式会社および合同会社のいずれにも当てはまるものはどれか。
なお、「設立手続きの遂行者」とは、株式会社にあっては「発起人」を、
合同会社にあっては「社員になろうとする者」を、それぞれ指すものとし、
また、定款は、書面により作成されるものとする。
1.会社を設立するには、
設立手続きの遂行者が、定款を作成し、その全員がこれに署名し、
または、記名押印しなければならない。
□正解: 株式会社および合同会社のいずれにも、当てはまる。
□解説
株式会社については、会社法第26条第1項を、
合同会社については、同法第575条第1項を、それぞれ参照のこと。
2.定款には、
成立後の会社の資本金の額に関する事項を記載しなければならない。
□正解: 株式会社および合同会社のいずれにも、当てはまらない。
□解説
株式会社については、会社法第27条を、
合同会社については、同法第576条第1項を、それぞれ参照のこと。
3.設立手続きの遂行者は、会社の成立までの間、定款を、
設立手続きの遂行者が定めた場所に備え置かなければならない。
□正解: 株式会社についてのみ、当てはまる。
□解説
株式会社については、会社法第31条第1項を参照のこと。
一方、合同会社については、
同法上、設問肢のような規定は定められていません。
4.会社の設立に際して、金銭以外の財産を出資する者がある場合には、
定款に、当該財産を記載しなければならない。
□正解: 株式会社および合同会社のいずれにも、当てはまる。
□解説
株式会社については、会社法第28条第1号を、
合同会社については、同法第576条第1項第6号を、それぞれ参照のこと。
5.出資に係る金銭の払込みは、
設立手続きの遂行者が定めた銀行等の払込みの取扱いの場所において、
しなければならない。
□正解: 株式会社についてのみ、当てはまる。
□解説
株式会社については、会社法第34条第2項・第63条第1項を参照のこと。
一方、合同会社については、
同法上、設問肢のような規定は定められていません(同法第578条)。
★次号(2007/9/1発行予定の第111号)では、
「株式会社の株式」について、ご紹介する予定です。
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3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(37)」
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★本号より、「平成19年度を中心とする司法書士試験問題」の解説を通じて、
民法各編についての理解を深めていただきますが、
第1回目は、「制限行為能力者制度」に関する問題です。
※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
ご了承ください。
■制限行為能力者制度に関する次の1~5の記述のうち、正しいものはどれか。
なお、記述中の「取消し」は、すべて行為能力の制限による取消しのこととする。
1.未成年者が買主としてした高価な絵画の売買契約を取り消した場合において、
その絵画が、取消し前に天災により滅失していたときは、
当該未成年者は、売主から代金の返還を受けることができるが、
絵画の代金相当額を、不当利得として売主に返還する必要はない。
□正解: ○
□解説
取消し後の売買契約は、
初めから無効であったものとみなされます(民法第121条本文)が、
制限行為能力者(本肢の場合、未成年者)は、
その行為によって現に利益を受けている限度において、
返還義務を負います(同法同条但書)ので、
当該絵画が取消し前に天災により滅失している以上、
当該未成年者は、その代金相当額を、
不当利得として売主に返還する必要はありません。
2.成年被後見人が締結した契約を、その成年後見人が取り消すには、
その行為を知った時から5年以内にする必要があるが、
意思無能力を根拠とする無効であれば、
その行為を知った時から5年を過ぎても主張することができる。
□正解: ○
□解説
前段については、民法第124条第2項・第126条を参照のこと。
また、意思無能力を根拠とする無効の主張について、
その消滅時効に関する規定は、民法上にありません。
3.被保佐人が売主としてした不動産の売買契約を取り消したが、
その取消し前に、目的不動産が買主から善意の第三者に転売されていれば、
被保佐人は、取消しを、当該第三者に対抗することができない。
□正解: ×
□解説
制限行為能力者(本肢の場合、被保佐人)のなした売買契約
の取消し前に利害関係を有するに至った第三者に対しては、
その取消しを、第三者の善意・悪意を問わず、
登記なくして対抗することができます。
4.成年被後見人が高価な絵画を購入するには、
その成年後見人の同意を得なければならず、
同意を得ずにされた売買契約は、取り消すことができる。
□正解: ×
□解説
成年被後見人は、一定の場合、
自己のなした法律行為を取り消すことができ(民法第9条本文)、
設問肢のような場合、成年後見人の同意の有無に関係なく、
取り消すことができます。
5.成年被後見人が契約を締結するにあたって、
成年後見に関する登記記録がない旨を証する登記事項証明書を偽造して、
相手方に交付していた場合には、
相手方がその偽造を知りつつ契約を締結していたとしても、
その成年後見人は、当該契約を取り消すことができない。
□正解: ×
□解説
制限行為能力者(本肢の場合、成年被後見人)が、
行為能力者であることを信じさせるために詐術を用いたときは、
その行為を取り消すことができません(民法第21条)が、
相手方がそのことを知りつつ契約をしていたときには、
同条の規定は適用されません。
★次号(2007/9/1発行予定の第111号)では、
「虚偽表示」について、ご紹介する予定です。
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4.編集後記
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★検定試験ブームの昨今、巷には、様々な「○○検定」が溢れているようですが、
個人的には、次のようなものに注目しています。
1.ニュース時事能力検定(
http://www.newskentei.jp/index.cgi)
2.日本語検定(
http://www.nihongokentei.jp/index.html)
各Webサイト上には、模擬問題も掲載されていますので、
ご興味のある方は、チャレンジしてみてくださいね。
また、何か興味深い「○○検定」をご存知の方がいらっしゃいましたら、
是非お知らせください。
■第110号は、いかがでしたか?
次号(第111号)は、2007/9/1発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
□津留行政書士事務所
http://www.n-tsuru.com
□ご連絡専用アドレス
n-tsuru@mbr.nifty.com
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