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“会社法”等のポイント(68)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第124号/2008/5/1>■
 1.はじめに
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(68)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(51)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 こんにちは。行政書士の津留信康です。

 2003年4月1日の創刊以来、初めて、2ヶ月間もお休みしていましたが、
昨年末からの仕事も一段落し、ようやく普段のペースに戻ることができました。
 今後とも、よろしくお願い申し上げます。

 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(68)」
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★2007/8/15発行の第110号より、
 「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 “会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
 第15回目は、「会社の本店または支店の移転の登記」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

■会社の本店または支店の移転の登記に関する次の1~5の記述のうち、
 正しいものはどれか。
1.他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記をした場合において、
  当該本店移転に係る株主総会の決議の不存在確認の判決が確定したときは、
  新所在地を管轄する登記所において、
  旧所在地を管轄する登記所に対する本店移転の登記の抹消
  を申請しなければならない。
 □正解: ×
 □解説
  本肢前段のような場合には、
  裁判所書記官は、職権で、遅滞なく、会社の本店を管轄する登記所に、
  その登記を嘱託しなければならず(第937条第1項第1号ト(1))、
  本肢後段のような登記を申請する必要はありません(先例)。
  なお、「株主総会の決議の不存在確認の訴え」については、
  会社法第830条第1項を参照のこと。
2.他の登記所の管轄区域内への本店移転の登記を、
  代理人によって申請する場合には、
  旧所在地を管轄する登記所および新所在地を管轄する登記所に対する申請書
  のいずれにも、代理人の権限を証する書面を添付しなければならない。
 □正解: ○
 □解説
  商業登記法第51条第1項前段~第3項および同法第18条を参照のこと。
3.本店を、他の登記所の管轄区域内へ移転した場合において、
  その管轄区域内に当該会社の支店の登記があるときは、
  新所在地を管轄する登記所に対してする本店移転の登記の申請書には、
  本店を移転した旨およびその年月日を記載すれば足りる。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合には、
  その管轄区域内における当該会社の支店の登記の有無にかかわらず、
  本店移転の登記の申請書には、
  設立時の登記と同一の登記事項、会社の成立年月日、
  本店を移転した旨およびその年月日、役員等の就任年月日(株式会社
  を記載しなければなりません(会社法第916条第1号・第911条第3項等、
  商業登記法第53条、商業登記規則第65条第2項)。
4.本店と支店とが異なる登記所の管轄区域内に存する場合において、
  支店を、その登記所の管轄区域内で移転したときは、
  支店の所在地を管轄する登記所においてする支店移転の登記の申請書には、
  取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会設置会社にあっては、
  取締役会の議事録)を添付しなければならない。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合には、
  本店の所在地を管轄する登記所においてする支店移転の登記の申請書には、
  取締役の過半数の一致を証する書面(取締役会設置会社にあっては、
  取締役会議事録)を添付しなければなりません(会社法第348条第1項・第2項、
  商業登記法第46条第1項・第2項)が、
  支店の所在地を管轄する登記所においてする支店移転の登記の申請書には、
  本店の所在地においてした登記を証する書面のみを添付すればよく、
  他の書面の添付は不要です(商業登記法第48条第1項)。
5.支配人を置いた支店を、他の登記所の管轄区域内に移転した場合には、
  本店の所在地を管轄する登記所において、
  支店の移転および支配人を置いた営業所の移転の登記の申請をするとともに、
  支店の旧所在地を管轄する登記所および新所在地を管轄する登記所において、
  それぞれ、支店移転の登記の申請をしなければならない。
 □正解: ○
 □解説
  本肢前段について、会社法第918条・商業登記規則第58条、
  本肢後段について、会社法第931条を、それぞれ参照のこと。

★次号(2008/5/15発行予定の第125号)では、
 「印鑑証明書」について、ご紹介する予定です。

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(51)」
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★2007/8/15発行の第110号より、
 「平成19年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
 第15回目は「転貸賃料債権への物上代位」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

抵当権の設定者から抵当不動産を賃借した賃借人の有する転貸賃料債権
 に対して、抵当権者が物上代位権を行使することの可否については、
 これを肯定する見解と否定する見解がある。
 次の1~5の記述のうち、
 「転貸賃料債権への物上代位を否定する見解」に立って述べたものはどれか。
1.転貸賃料債権も、目的物の価値代替物である点では、
  賃料債権と異なるところはないから、
  賃料債権への物上代位の可否についての判例と同様に扱うべきである。
 □正解: 「肯定する見解」に立って述べたものである。
 □解説
  民法第372条(第304条準用)、
  賃料債権への物上代位の可否についての判例(※最判平成元年10月27日)
  を、それぞれ参照のこと。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25889&hanreiKbn=01
2.民法第304条の「債務者」とは、被担保債権履行について、
  抵当不動産をもって物的責任を負担する者を意味する。
 □正解: 「否定する見解」に立って述べたものである。
 □解説
  本肢の見解においては、民法第304条の「債務者」に、
  抵当不動産の所有者は含まれるが、
  抵当不動産を賃借した賃借人は含まれない。
3.反対の立場の説に対しては、
  「賃借人が抵当権設定者と同視しうる者である場合に
  妥当な結論を導くことができない」という批判が可能である。
 □正解: 「肯定する見解」に立って述べたものである。
 □解説
  本肢の見解(肯定する見解)⇒反対の立場の説(否定する見解)
  なお、本肢および肢4については、
  判例(※最判平成12年4月14日)を参照のこと。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25335&hanreiKbn=01  
4.反対の立場の説に対しては、
  「賃借人が正常な転貸借によって取得し得た利益を奪うことになり、
  妥当でない」という批判が可能である。
 □正解: 「否定する見解」に立って述べたものである。
 □解説
  本肢の見解(否定する見解)⇒反対の立場の説(肯定する見解)
5.抵当不動産の第三取得者が有する賃料債権
  抵当不動産の賃借人が有する転貸賃料債権とで、
  異なる取扱いをすべき理由はない。
 □正解: 「肯定する見解」に立って述べたものである。
 □解説
  肢1の解説を参照のこと。

★次号(2008/5/15発行予定の第125号)では、
 「抵当建物使用者の引渡しの猶予の制度」について、ご紹介する予定です。

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 4.編集後記
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★何かと話題の多い、「裁判員制度(※)」。
 今から約1年後の来年5月21日にスタートすることが、正式に決まりました。
 仕事柄、法律に接する機会も多いため、大いに関心はあるのですが、
 個人事業主である以上、納期の迫った仕事と重なった場合の対処など、
 諸々心配でもあります。
 ※)法務省 http://www.moj.go.jp/SAIBANIN/index.html
   裁判所 http://www.saibanin.courts.go.jp/
■第124号は、いかがでしたか?
 次号(第125号)は、2008/5/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
 □津留行政書士事務所 http://www.n-tsuru.com
 □当事務所へのご連絡は、
  上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(http://www.mag2.com/)」を利用しており、
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