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“会社法”等のポイント(79)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第135号/2008/11/1>■
 1.はじめに
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(79)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(62)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 こんにちは。行政書士の津留信康です。

 先月の宅建に続き、今月9日の行政書士試験と、
「秋の国家試験シーズン(※)」は、いよいよ佳境を迎えることになります。
行政書士受験生の皆さん、最後まであきらめずに頑張ってください!!
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_246a_1.html

 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

★無料総合法律相談会in明治学院大学・白金祭2008★
 11/3(祝月)、わが母校・明治学院大学にて、
「無料総合法律相談会」が開催されますので、どうぞご利用ください。
 詳しくは、こちら(※)をご覧ください。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/10/in2008-da99.html

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(79)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 “会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
 第5回は、「反対株主の株式買取請求」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

■反対株主の株式買取請求に関する次の記述のうち、
 誤っているものはどれか(午前―第31問)。
1.株式買取請求をすることができる期間は、
  会社法上、14日間の場合と20日間の場合とがある。
 □正解: ×
 □解説
  株式買取請求をすることができる期間は、会社法上、
  一律に20日間です(116条5項、469条5項、785条5項、797条5項、806条5項)。
2.種類株式発行会社が消滅会社となる吸収合併をする場合において、
  種類株主総会の決議を必要とするときは、
  株主総会種類株主総会の双方で議決権を行使することができる株主は、
  株式買取請求をするためには、
  そのいずれか一方で反対の議決権を行使すれば足りる。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合において、株式買取請求をするためには、
  株主総会種類株主総会の双方に先立って、
  吸収合併に反対する旨を消滅会社に対し通知し、かつ、
  株主総会種類株主総会の双方において、
  吸収合併に反対しなければなりません(会社法785条2項1号イ)。
3.株式会社が株式の分割をする場合において、
  株式買取請求をすることが認められるときがある。
 □正解: ○
 □解説
  会社法116条1項3号イの場合において、
  反対株主は、株式買取請求をすることが認められます。
4.株式の内容として譲渡制限の定めを設ける定款の変更をする際の
  株式買取請求に係る株式の価格の決定について、
  当該定款の変更の効力発生日から30日以内に、
  株主と会社との間に協議が調わない場合において、
  当該効力発生日から60日以内に、
  裁判所に対する価格の決定の申立てがないときは、
  その期間の満了後は、
  当該株主は、いつでも、当該株式買取請求を撤回することができる。
 □正解: ○
 □解説
  会社法116条6項および117条第1項~3項を参照のこと。
5.株式買取請求に係る株式の買取りは、
  合併の消滅会社、株式交換完全子会社および株式移転完全子会社
  の株主による株式買取請求の場合を除き、
  当該株式の代金の支払の時に、その効力を生ずる。
 □正解: ○
 □解説
  本肢前段につき、会社法786条5項・807条5項、
  本肢後段につき、117条5項を参照のこと。

★次号(2008/11/15発行予定の第136号)では、
 「株式会社の成立後の株式の発行」について、ご紹介する予定です。

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(62)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
 第5回目は「婚姻における法律関係」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

■A男とB女について婚姻の届出がされている場合に関する次の記述のうち、
 判例の趣旨に照らし、誤っているものはどれか(午前―第21問)。
1.未成年者であるB女の父母がいずれも婚姻に同意していなかった場合でも、
  B女の父は、A男とB女の婚姻を取り消すことができない。
 □正解: ○
 □解説
  未成年者の婚姻において、
  父母の同意を欠く婚姻届は受理されません(民法737条1項・740条)が、
  これらの規定違反は、婚姻の取消事由には該当しません(同法744条1項)。
  つまり、本肢のような場合であっても、
  当該婚姻届が一旦受理されてしまうと、その婚姻は有効に成立し、
  取り消すことはできなくます。
2.A男がB女に無断で婚姻届を提出した場合には、
  婚姻届の際に両者が事実上の内縁関係にあり、
  その後も夫婦としての生活を継続し、
  B女が婚姻の届出がされたことを容認したとしても、
  A男とB女の婚姻が有効になることはない。
 □正解: ×
 □解説
  判例(※最判昭和47年7月25日)は、
  「事実上の夫婦の一方が、
  他方の意思に基づかないで婚姻届を作成提出した場合において、
  当時右両名に夫婦としての実質的生活関係が存在しており、かつ、
  のちに他方の配偶者が届出の事実を知つてこれを追認したときは、
  右婚姻は追認によりその届出の当初に遡つて有効となると解すべきである」
  と判示しています。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=27054&hanreiKbn=01
3.B女とB女の前夫との間の17歳の嫡出子をA男が養子とする場合には、
  B女は、縁組をしなくともよい。
 □正解: ○
 □解説
  配偶者のある者が未成年者を養子とするには、
  配偶者とともにしなければなりません(民法795条本文)が、
  本肢のような場合には、B女は縁組をしなくともよく(同法同条但書)、
  A男は、単独で養子縁組をすることができます。
4.B女は、A男と離婚する前であっても、
  A男の母親に対しては扶養義務を負うことはない。
 □正解: ×
 □解説
  家庭裁判所は、特別の事情があるときは、
  3親等内の親族間においても、
  扶養の義務を負わせることができます(民法877条第2項)が、
  B女にとって、A男の母親は、1親等の姻族、
  つまり3親等内の親族にあたります(同法725条)ので、
  扶養義務を負うこともあり得ます。
5.A男は、B女に対し、不動産を贈与したが、
  その後、A男とB女の婚姻関係が実質的に破綻するに至った場合には、
  A男は、民法第754条の規定によって当該贈与契約を取り消すことができない。
 □正解: ○
 □解説
  判例(※最判昭和42年2月22日)は、
  「民法754条にいう“婚姻中”とは、単に形式的に婚姻が継続しているだけではなく、
  実質的にもそれが継続していることをいうものと解すべきである」とし、
  本肢のような場合における民法754条の規定(夫婦間の契約の取消権)の適用
  を否定しています。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=27907&hanreiKbn=01

★次号(2008/11/15発行予定の第136号)では、
 「詐害行為取消権」について、ご紹介する予定です。

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 4.編集後記
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★平成20年度司法書士試験・午前―第22問において、
 「男性の死亡後、保存精子を用いた人工生殖によって生まれた子の親子関係」
 に関する出題がなされました。
 本メルマガでは、詳しく取り上げませんが、極めて今日的な話題ですので、
 判例(※最判平成18年9月4日)等をご覧になると良いでしょう。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=33488&hanreiKbn=01
■第135号は、いかがでしたか?
 次号(第136号)は、2008/11/15発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
 □津留行政書士事務所 http://www.n-tsuru.com
 □当事務所へのご連絡は、
  上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(http://www.mag2.com/)」を利用しており、
 購読の解除は、「http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
■当メールマガジンの無断転載等を禁じます。

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