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社外労組が攻めてくる

★社外労組が攻めてくる★

 興奮して前置き長くなったので軽めにいきます。
 相変わらずサービス残業のニュースがあとを絶ちません。バレて支払ったと
いう額は、先週だけでも郵政公社が32億、スタッフサービスが30億とか、途方
もない数字が並んでます。ついでに出た大手家電量販店の額なんてチッポケ。
それでも、そこらの会社の年間売上をはるかに超える額。よく払えるなと感心。

 サービス残業は、さすがの私もお勧めしません。法的な問題もそうですが、
これでこじれると色々面倒なことになります。特に注意したいのが外部にタレ
込まれること。普通は監督署ですが、もし調査を受けても未払い分を支払えば
とりあえずはチョン。だからと言って確信犯でやらないように。

 もっと面倒なのが外部労組。一般労組とかユニオンとか呼ばれ、一人で加入
できる労働組合です。労組のない会社はもちろん、企業内労組の組合員でも加
入は可能(ユニオンにより異なります)なので、とても厄介なことになります。
 
 なぜ厄介かというと、これらは労働運動でメシ食ってるプロ集団なので、企
業内労組のように懐柔策やバーター取引の手段が通用しません。しかも、華々
しい成果を宣伝することで新規組合員を勧誘するのが常であることから、当然
団体交渉も熾烈なものとなりがちです。企業との利害関係がなく、中には自分
の組合員を守れれば会社潰しても構わないと考える幹部もいるようです。

 ただ、昔の左派主導の労働運動とは異なり、表面上は非常に紳士的な態度で
接してきます。しかし、対応を誤ると、ありとあらゆる手段で迫ってくること
になります。集団で団交を要請してきたり、会社の近くでビラを撒かれたりと、
心理的な圧迫もかなりのものになります。また、団交中は言質を取るようあの
手この手で迫ってくるので、受け答えは極めて慎重にしなければなりません。

 普通の企業経営者や総務担当者の場合、この手の対応に不慣れなため、ぞん
ざいな対応をしたり、逆に恐れおののいてしまい、冷静な対応が出来なくなる
ことも想定されます。万一の場合は速やかに専門家の指導を仰ぐのがベストで
す。

 なお、従業員がユニオンに駆け込んだ場合、会社とのやり取りは概ね次のよ
うに進むようです。ユニオンも労働者向けに同様な進め方を説明しています。

1 労働者がユニオンに加入
  労働者が加入申込書をユニオンに提出、必要により成果の配分等に関し覚
 書を締結することもあります。
2 会社あてに要求書等の文書を送付
  本人が当該組合に加入した旨の通知書が送られてきます。場合によっては
 要求書を送付してくることも。これらは内容証明郵便による場合もあり同時
 に組合資格証明、勤務記録(タイムカードの写)等の残業代請求の証拠書類
 も送られてくることもあります。
3 団体交渉の申し入れ
  その後、進展状況により、当該労組から団交の申入書が送付されてきたり、
 直接手交のケースもあります。多くは会社内での団交を要求してきます。な
 お、団交は社外組合を理由に拒否はできません。
4 団交等による要求に対し会社が回答した場合
  労組と本人が相談し、納得できる回答内容であれば、妥結となります。
5 納得できない回答内容の場合、あるいは回答しない場合
  大挙して団交申し入れを繰り返すか、いわゆる社会的包囲活動へ移ります。
  一番困るのは社会的包囲行動です。特に内容証明郵便で送られてきた時は
 相手も気合入れてますので長期戦となります。
6 社会的包囲活動としては、次のような行動が見られます。
  企業名を機関紙、ホームページ、ビラ等に掲載する。
  関係先(親会社、銀行、取引先、監督官庁等)へ要請文を送る。
  会社やその親会社へ直接抗議行動を行う。(正門前でビラ配りしたり、拡
 声器で糾弾する等の行動)

 この社会的包囲活動は企業にとって致命的ダメージを受けることもあり、注
意が必要です。これらの活動や団交が長引けば、企業イメージは大幅にダウン
し、社内秩序にも悪しき影響が及びます。考えようによっては、ひっそりと訴
訟で解決した方が良かったとさえ思うようなケースも出てきます。

 これらの労組は、自組織で闘争し勝ち取ったかの実績が新規組合員の確保に
直結するため、最初から監督署へ駆け込むようなことはあまりしないようです。
それでも極端な事例の場合は監督署へ告発したり、団交拒否の場合は労働委員
会へ申し立てすることもあるので、うかつな対応は禁物です。

 なお、これらの手順は、組織や事例により異なりますので念のため。
 いずれにせよ、敵(不謹慎かな?)の戦術を知っておいて損はありません。
もっとも、こういう事態に陥らないようにするのが王道ですがね。


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