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労務協定と就業規則変更について

著者 あおこ さん

最終更新日:2025年04月08日 08:42

いつもお世話になっております。
就業規則の変更について質問があります。

来月より支給作業着の上限を超えた場合、半額を自己負担することを決めました。給与天引きを検討している為、労使協定を締結する予定です。
就業規則は2年前に労務協会にお願いし作成しました。
現在は、[賃金の支払と控除の条項]に次の記載があります。

「3.次に掲げるものは賃金から控除する。①源泉所得税~④労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした住宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費」

④に記載している住宅入居料や財形貯蓄等は、弊社には存在せず、今後もその予定はありません。そこで質問があります。

労使協定の締結だけではなく、就業規則の変更の必要があるか。
・必要な場合、④の「住宅入居料、財形貯蓄」を「支給上限を超える作業着の一部負担額」をという文言に変更するだけで良いか。(④は現在の条文そのままに、⑤で新規条文を追加するべきか)

以上です。
何卒よろしくお願いいたします。

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Re: 労務協定と就業規則変更について

著者Srspecialistさん

2025年04月08日 09:38

> いつもお世話になっております。
> 就業規則の変更について質問があります。
>
> 来月より支給作業着の上限を超えた場合、半額を自己負担することを決めました。給与天引きを検討している為、労使協定を締結する予定です。
> 就業規則は2年前に労務協会にお願いし作成しました。
> 現在は、[賃金の支払と控除の条項]に次の記載があります。
>
> 「3.次に掲げるものは賃金から控除する。①源泉所得税~④労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした住宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費」
>
> ④に記載している住宅入居料や財形貯蓄等は、弊社には存在せず、今後もその予定はありません。そこで質問があります。
>
> ・労使協定の締結だけではなく、就業規則の変更の必要があるか。
> ・必要な場合、④の「住宅入居料、財形貯蓄」を「支給上限を超える作業着の一部負担額」をという文言に変更するだけで良いか。(④は現在の条文そのままに、⑤で新規条文を追加するべきか)
>
> 以上です。
> 何卒よろしくお願いいたします。
>
>

1. 労使協定の締結だけではなく、就業規則の変更の必要があるか
  就業規則の変更が必要です。労働基準法第24条第1項では、賃金の全額支払いの原則が定められており、賃金から何らかの控除を行う場合には、以下のいずれかの条件を満たす必要があります
- 法律に定めがある場合(例:源泉所得税社会保険料など)
- 労働者代表との書面による協定(労使協定)がある場合
現在、貴社の就業規則の「賃金の支払と控除の条項」第④項において、「労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした住宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費」と記載されています。この条項があることで、労使協定を締結すれば賃金控除が可能と解釈できますが、控除対象として具体的に列挙されている項目(住宅入居料、財形貯蓄、組合費)に「作業着の一部負担額」が含まれていないため、就業規則にその旨を明記する必要があります。
労働基準法第89条では、賃金の控除に関する事項を就業規則に定めるべき事項としており、控除の対象や範囲が明確でない場合、労使協定のみでは不十分とされる可能性があります。したがって、作業着の自己負担分を給与から天引きするためには、労使協定の締結に加えて、就業規則の変更手続きを行うことが法的に安全です。
また、就業規則を変更する際には、労働基準法第90条に基づき、労働者代表の意見を聴取し、変更後の就業規則労働基準監督署に届け出る必要があります。
---
2. 「④の文言を変更するだけで良いか」または「⑤で新規条文を追加すべきか」
どちらの方法も可能ですが、以下のように考えると良いでしょう:
a. ④の文言を変更する場合
現在の④を以下のように改める例:
- 変更前: 「労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした住宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費」
- 変更後: 「労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした支給上限を超える作業着の一部負担額」
この場合、住宅入居料や財形貯蓄等が現時点で存在せず、今後も予定がないとのことですので、それらを削除し、作業着の負担額に特化する形で簡潔に記載できます。ただし、将来的に他の控除項目(例:新たな福利厚生費など)を追加する可能性がある場合、このように特定項目のみに限定すると柔軟性が失われる点に注意が必要です。
b. ⑤で新規条文を追加する場合
現在の④をそのまま残し、新たに⑤を追加する例:
- ④(現状維持): 「労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした住宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費」
- ⑤(追加): 「労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした支給上限を超える作業着の一部負担額」
この方法の利点は、既存の④を維持しつつ、新たな控除項目を独立して追加できる点です。将来的にさらに別の控除項目が発生した場合も、⑥、⑦と追加していく形で対応が可能です。また、④に記載されている項目が「存在しない」とはいえ、条文として残しておくことに問題はありません。
どちらが良いか
法的な観点からは、どちらも労働基準法に適合します。ただし、実務的な明確さと将来の柔軟性を考慮すると、⑤で新規条文を追加する方がおすすめです。理由は以下の通りです:
- ④の文言を変更すると、既存の条文を削除・修正する形になり、変更履歴の管理が煩雑になる可能性がある。
- 新規条文を追加する方が、作業着の自己負担に関するルールを明確に独立させ、労働者に分かりやすく伝えることができる。
- 将来的に別の控除項目を追加する際の拡張性が確保される。
---
補足:労使協定の内容
労使協定を締結する際には、以下の点を明確に記載してください:
- 控除の対象(支給上限を超える作業着の自己負担額)
- 控除額(半額負担であること)
- 控除の条件(上限を超えた場合に限るなど)
- 労働者代表の選出方法や同意の確認
この協定は労働者代表と締結後、労働者に周知し、必要に応じて労働基準監督署に提出する準備をしておくと良いでしょう。
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結論
1. 就業規則の変更は必要です。労使協定だけでは不十分であり、賃金控除の根拠を就業規則に明記する必要があります。
2. ④を変更するか⑤を追加するかはどちらも可能ですが、⑤で新規条文を追加する方が明確性と柔軟性の観点から望ましいです。具体的には、「労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした支給上限を超える作業着の一部負担額」と記載することを提案します。
法令遵守のため、変更手続きの際には労働者代表の意見聴取と労働基準監督署への届出を忘れずに行ってください。

Re: 労務協定と就業規則変更について

著者ぴぃちんさん

2025年04月08日 11:18

こんにちは。

記載の内容であれば労使協定の締結とともに就業規則の変更は必要です。

④について給与から天引きするものを変更したとしてもよいでしょう。

④は使用しないのであれば削除し、⑤項として新たに作業着についての内容を記載してもよいでしょう。

いずれでもよいかと思います。



> いつもお世話になっております。
> 就業規則の変更について質問があります。
>
> 来月より支給作業着の上限を超えた場合、半額を自己負担することを決めました。給与天引きを検討している為、労使協定を締結する予定です。
> 就業規則は2年前に労務協会にお願いし作成しました。
> 現在は、[賃金の支払と控除の条項]に次の記載があります。
>
> 「3.次に掲げるものは賃金から控除する。①源泉所得税~④労働者代表との書面による協定により賃金から控除することとした住宅入居料、財形貯蓄の積立金及び組合費」
>
> ④に記載している住宅入居料や財形貯蓄等は、弊社には存在せず、今後もその予定はありません。そこで質問があります。
>
> ・労使協定の締結だけではなく、就業規則の変更の必要があるか。
> ・必要な場合、④の「住宅入居料、財形貯蓄」を「支給上限を超える作業着の一部負担額」をという文言に変更するだけで良いか。(④は現在の条文そのままに、⑤で新規条文を追加するべきか)
>
> 以上です。
> 何卒よろしくお願いいたします。
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Re: 労務協定と就業規則変更について

著者あおこさん

2025年04月08日 16:20

Srspecialist 様

この度は私の拙い質問に対して、大変丁寧で分かりやすく、また実務面でも非常に参考になるご回答をいただき、心よりお礼申し上げます。
今回、初めて当サイトに投稿させていただいたのですが、 Srspecialist様のご回答を拝見し、「投稿して本当に良かった」と心から感じました。
まさかここまで丁寧かつ的確なご助言をいただけるとは思っておらず、感動しております。
特に、就業規則変更に関する手続きの具体的な流れについてまでご教示いただいた点は、実務に不慣れな私にとって大変ありがたく、安心して業務に取り掛かれそうです。

貴重なお時間を割いてご回答くださったことに、改めて感謝申し上げます。
これからも、もし機会がありましたら、ぜひご助言いただけますと幸いです。

Re: 労務協定と就業規則変更について

著者あおこさん

2025年04月08日 16:26

ぴぃちん様

こんにちは。
この度は私の拙い質問に対して、簡潔にわかりやすくご説明してくださりまして、誠にありがとうございます。
ぴぃちん様からのご回答を拝見し、安心いたしました。

貴重なお時間を割いてご回答くださったことに、改めて感謝申し上げます。
今後も機会がありましたら、ぜひご助言いただけますと幸いです。

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