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【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者 困っています さん

最終更新日:2007年11月25日 23:29

取締役人数に制限のつけていない株式会社代表取締役と私の2名で取締役会を設置しています。以前もう1人いましたが、一身上の都合で退任しました。株主は同じく代表と私の2名で、代表が8割以上保有しております。

実は方向性の相違から今回私も辞任したいと考えているのですが、こちらからの必要なプロセスは辞任届けを出す、ということだけでよいのでしょうか?
また、その際の提出先は代表宛なのか、株主宛なのかどちらなのでしょうか。また、代表かつこの場合は株主になりますが、受理しない、と言った場合には辞任できないのでしょうか。辞任の意思があるなら受理せずに会社を解散するという意見も聞かれ、更にその場合の責任に関しても懸念しております。ちなみに背任行為等は全くありません。

以上、まとめると4点の質問
取締役辞任にまず必要なプロセスは辞任届けのみか?
②誰宛に提出するか?
③受理されない場合は辞任できないのか?
取締役が辞任するなら解散すると言われた場合の取締役の解散に対する責任は?

個人的には何とか穏便にかつ迅速に辞任したいと思っております。恐れ入りますがご意見を至急お聞かせ頂ければ幸いです。

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Re: 【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者hiroshimakaraさん

2007年11月26日 08:28

> 取締役人数に制限のつけていない株式会社代表取締役と私の2名で取締役会を設置しています。以前もう1人いましたが、一身上の都合で退任しました。株主は同じく代表と私の2名で、代表が8割以上保有しております。
>
> 実は方向性の相違から今回私も辞任したいと考えているのですが、こちらからの必要なプロセスは辞任届けを出す、ということだけでよいのでしょうか?
> また、その際の提出先は代表宛なのか、株主宛なのかどちらなのでしょうか。また、代表かつこの場合は株主になりますが、受理しない、と言った場合には辞任できないのでしょうか。辞任の意思があるなら受理せずに会社を解散するという意見も聞かれ、更にその場合の責任に関しても懸念しております。ちなみに背任行為等は全くありません。
>
> 以上、まとめると4点の質問
> ①取締役辞任にまず必要なプロセスは辞任届けのみか?
> ②誰宛に提出するか?
> ③受理されない場合は辞任できないのか?
> ④取締役が辞任するなら解散すると言われた場合の取締役の解散に対する責任は?
>
> 個人的には何とか穏便にかつ迅速に辞任したいと思っております。恐れ入りますがご意見を至急お聞かせ頂ければ幸いです。

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 取締役は、株主総会や社員総会でいったん取締役に選任された以上、会社が消滅するまで絶対に辞任できないといったものではありません。“いつでも”辞めることができます。これは、名義上の取締役であろうと実質上の取締役であろうとまったく同一です(商法254条3項、有限会社法32条、民法651条)。
 ただ、その辞任が、会社のために不利な時期になされた場合は、その損害賠償の責任を負わねばなりませんが、それも取締役にとってやむを得ない事由があるときは損害賠償の責任はありません。

2 辞任の意思表示(通知)
(1) 辞任をするには、その意思表示をしなければならず、その辞任の意思表示(通知)は会社の代表者宛になされ、しかも、同人にその通知が到達しなければなりません。
したがって、会社の代表者に面談(口頭で通知)をしてもよいわけですが、あとで「言った。言わなかった」と争いになるおそれがありますので、書面ですることが望ましく、それも内容証明郵便で通知をしておくと安全です。
 なおこの辞任は、相手方たる会社代表者の承諾を得る必要がありませんので、たとえ、会社代表者が、取締役からする辞任の通知に対して拒絶の意思を表示しても、辞任通知が会社代表者に到達した以上、法律的には、辞任の効力は発生します。

(2) 会社代表者の所在が不明の場合があります。この場合の通知は、「公示の方法」という方法ですることができます。
 これは、会社代表者の最後の住所地の簡易裁判所に申し立てることによって開始され、「裁判所書記官が、取締役辞任通知書を保管し、いつでも会社代表者に交付する旨」を裁判所及び市役所・町村役場等の掲示場に掲示してなされるのが普通です。そして、市役所・町村役場の掲示場に掲示された日から2週間経過したときに、その辞任通知が、会社代表者に到達したものとみなされます。もっとも、会社代表者の所在不明ということに取締役側に過失があったときは、到達の効力は生じないものとなっていますから、会社代表者の所在をさがす努力は精一杯する必要があります。
 なお、公示の方法の申立てには、公示費用を裁判所に予納しなければなりません。

3 取締役退任の登記
(1) 会社の内部関係においては、取締役の会社の代表者宛の辞任通知の到達によって取締役辞任の効力は生じていますが、対第三者関係においては、取締役の選任自体が登記事項となっているので、辞任についても退任の登記をする必要があります。したがって、その登記をしなければ、辞任したことを知らない第三者に対して、「自分はすでに取締役を辞任している」ということを主張することができません(商法12条)。

(2) このため、退任の登記が早急になされることが必要ですが、通常、それは会社代表者が、証明書類を添付して法務局に申請することによりなされ、これを怠れば、過料の制裁を受けることになっています(商法188条3項、67条、498条1号)。
 しかし、それにもかかわらず、会社代表者が退任の登記手続きをしない場合には、裁判所に登記手続きをなすべき旨の訴訟を提起し、判決を得て変更の登記をするほかありません。この訴訟は、特別の事情のない限りすぐに結審されて判決が得られるものと見込まれますが、変更登記までの間に第三者関係で問題が生じる心配があるときには、あらかじめ、自分がすでに取締役を辞任している事実をその第三者に通知しておくことが賢明です。

Re: 【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者困っていますさん

2007年11月26日 11:01

hiroshimakara様、

早速非常にご丁寧なご回答誠に有難うございます。
重ねての質問をさせていただければと思いますが、

>  ただ、その辞任が、会社のために不利な時期になされた場合は、その損害賠償の責任を負わねばなりませんが、それも取締役にとってやむを得ない事由があるときは損害賠償の責任はありません。

この場合の不利な時期、というものはどういうものに当たりますでしょうか。例えば最初の質問時に④としてお伝えしましたが、取締役が辞任することにより代表はそれならば会社を解散する、という判断をちらつかせております。解散の理由としては社員が辞めかねない、取締役が辞任することにより顧客からの信頼を失う、というものです。ちなみに財務状況としては黒字化してきております。

こういった理由が「不利な時期」に当てはまるのでしょうか。

また、止むを得ない事由がある場合には問題ない、とのことですが、代表との戦略的方向性の違い、前職時の半額以下の給与が続くことによる金銭的理由が今回の辞任の大きな理由です。こちらも「止むを得ない事由」として当てはまるのか、是非ご意見お聞かせ頂ければ幸いです。

恐れ入りますが、hiroshimakara様及びどなたか是非よろしくお願い致します。

Re: 【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者トラきちさん

2007年11月26日 11:29

困っていますさん、こんにちは。

 取締役の辞任自体はいつでも自由に行うことができます。その手段としては、すでにhiroshiamakaraさんから詳しい回答が出てますので、それに従って進めていただければよいと思いますが、問題は第三者への損害賠償責任だと思います。会社法第429条第1項は、取締役はその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと規定しています。

 ただし、辞任届提出後も退任登記がなされるまでは、取締役は第三者に対して損害賠償責任を負うというのが通説ですので、現在の代表者が退任登記手続きを進めない場合は注意が必要かと思います。
 
 また、法律または定款に定めた定員を欠くことになる場合は、後任の取締役が就任するまで辞任取締役は権利義務を有するとされています。気になるのは、御社が取締役会設置会社だと書かれてますが、その場合、3名以上が法定人員ですので定員を欠くことになります。ただし、過去にもう1人が辞めたときに退任登記が受理されないはずなんですが・・・定款上、取締役会設置会社でなくなっているのか、取締役の退任手続きがされていないのか確認された方がよいと思います。

 また、会社の解散は株主総会特別決議によって承認されますので8割の株式を代表者が保有していれば通っていくと思われます。ただし、解散により取締役は自動的に退任となり清算人に処理は移りますので、損害賠償責任云々の問題を抜きにしたら不都合はないのではないですか?

Re: 【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者困っていますさん

2007年11月26日 11:48

トラきち様、
早速ご意見有難うございます。

弊社は取締役会設置会社ではなく、あくまで取締役の人数に制限はございません。なので、3名以上という縛りはございません。また、今まで取締役業務遂行に当たって、背任行為や悪意または重大な過失があったこともまずないと思われます。更に、現在辞任した後の体制も、組織的にも機能的にも十分会社として運営可能な体制にあると思われます。

問題は第三者への損害賠償、というところですが、代表兼筆頭株主が考えている可能性があるのが、取締役辞任 → 会社解散を代表が決定 → 辞任が理由で会社を解散に追い込んだと言うことで損害賠償をしてくる、というものです。解散に追い込んだとする理由は、先に書いた2点が考えられます。

こちらは全く争いたくは無いのですが、去られる者の感情として少し感情的な問題かとも思いますが、一応法律的側面からも防御しておきたいと思いました。

是非ご意見お聞かせいただけますよう、よろしくお願い致します。


> 困っていますさん、こんにちは。
>
>  取締役の辞任自体はいつでも自由に行うことができます。その手段としては、すでにhiroshiamakaraさんから詳しい回答が出てますので、それに従って進めていただければよいと思いますが、問題は第三者への損害賠償責任だと思います。会社法第429条第1項は、取締役はその職務を行うについて悪意または重大な過失があったときは、第三者に生じた損害を賠償する責任を負うと規定しています。
>
>  ただし、辞任届提出後も退任登記がなされるまでは、取締役は第三者に対して損害賠償責任を負うというのが通説ですので、現在の代表者が退任登記手続きを進めない場合は注意が必要かと思います。
>  
>  また、法律または定款に定めた定員を欠くことになる場合は、後任の取締役が就任するまで辞任取締役は権利義務を有するとされています。気になるのは、御社が取締役会設置会社だと書かれてますが、その場合、3名以上が法定人員ですので定員を欠くことになります。ただし、過去にもう1人が辞めたときに退任登記が受理されないはずなんですが・・・定款上、取締役会設置会社でなくなっているのか、取締役の退任手続きがされていないのか確認された方がよいと思います。
>
>  また、会社の解散は株主総会特別決議によって承認されますので8割の株式を代表者が保有していれば通っていくと思われます。ただし、解散により取締役は自動的に退任となり清算人に処理は移りますので、損害賠償責任云々の問題を抜きにしたら不都合はないのではないですか?

Re: 【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者トラきちさん

2007年11月26日 12:10

困っていますさん、こんにちは。

 取締役会設置会社ではないということ了解しました。定款上、1名以上という記載であるのなら代表一人で法的には問題ありません。

 困っていますさんが心配しておられるのは、第三者へのというより会社(代表)からの損害賠償でしょうか?取締役会で違法な決議に賛成していたとかいうんのなら取締役としての善管注意義務が問われるでしょうが、記載の内容からはそういうことはないようなので問題ないように思います。

 困っていますさんが抜けても会社が組織として充分機能するというのであれば、会社を解散するしないは残された代表の考え次第となるでしょう。

 ただし、言われておられるように感情論の問題になっているようにも思えますので、退任が受理されず登記手続きされない可能性も含め、お知り合いの弁護士等に相談されてはいかがですか?

Re: 【至急】取締役が辞任届けを出しても受理されない場合は?

著者困っていますさん

2007年11月26日 13:45

トラきち様、

有難うございます。
私も同じ考えなのですが、改めて詳しい方の見解を確認できて少し安心しました。

基本的にはもめたくないので、弁護士にも改めて相談してみるようにします。

貴重なご意見有難うございました。

他にもご意見ある方がいらっしゃれば是非お待ちしております。

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