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電気代高騰が中小企業を直撃!オフィス省エネほか対応例を解説

近年、電気料金の上昇が続いており、多くの人々が悩まされています。政府や自治体が補助金などの緩和措置を実施していますが、それでも電気料金が高くて厳しい場合は自社での節電が必要になります。本記事では、電気料金が上がっている理由を解説、中小企業にもたらされる影響や行政が実施している補助金などの緩和措置、さらに企業が具体的に実施できる節電方法を紹介します。


なぜ電気料金は上がっているのか

電気料金が上がっている理由は「様々な要因により輸入される化石燃料の価格が高騰しているから」です。日本の電力は約70%を火力発電で賄っており、そのうちの約80%を海外から輸入した石炭と天然ガスに依存しています。2022年から石炭と天然ガスの値段が高騰しているのです。複数の原因が複雑に絡み合って発生していますが、主な原因を挙げると以下の3つです。

  • コロナ禍が落ち着いたことで世界的に経済が回復し燃料の需要が伸びているから
  • ロシアによるウクライナ侵攻の影響によってロシアからの燃料の輸出が制限されているから
  • 円安による影響

これらの要因が重なったため燃料費が高騰し、電気料金も上がっているのです。

【参考】国内の変動性自然エネルギーVREが10%超、急がれる化石燃料への依存度低減 / 環境エネルギー政策研究所

電気料金高騰が中小企業にもたらす影響

電気料金が高騰すると、中小企業に以下のような悪い影響をもたらします。

1)収益性の悪化

業態にもよりますが、電気料金は一般的には固定費に分類されます。固定費とは企業の経費のうち売上の増減と連動しにくいもののことです。季節ごとに変動はありますが、売上とは連動せずに企業が活動していれば必ず料金が発生するため固定費になるのです。固定費の増加は経営を圧迫します。何らかの理由で売上が減ってしまった場合にも固定費は発生するのです。電気料金の高騰が続けば中小企業の収益性に悪影響が及ぶ可能性が高くなります。

2)成長性の鈍化

上記の理由で収益性が悪化すれば、収益の多くを日々の運転資金に回さざる得ず、将来のための投資が遅れる可能性があります。そのぶん新規事業の展開やイノベーションの創出などが遅れ、中長期的にもマイナスの影響がでてしまうこともあるでしょう。

【こちらもおすすめ】固定費と変動費の違いは?経営を圧迫する固定費の削減方法

行政の電気料金緩和措置は?

資源エネルギー庁は、急激な電気代の高騰が経済に悪影響を及ぼすことのないように家庭や事業者の電気代負担を緩和する措置を打ち出しています。これは中小企業にも適用され、2023年1月の電気料金から以下の緩和措置が適用されています。

<電気料金>
【低圧契約(主に家庭)】値引き単価:7円/kWh
【高圧契約(主に企業)】値引き単価:3.5円/kWh
<都市ガス料金>
値引き単価:30円/㎥

この緩和措置は申請なしで自動適用され、2023年1月から電気を利用した家庭や事業者の電気代が自動的に値引きされています。また、各地方自治体でも独自に電気代緩和のための補助金・助成金の制度をつくっているところもあります。

【参考】電気・ガス価格激変緩和対策事業/経済産業省 資源エネルギー庁

企業内でできる対応策

政府の緩和措置により2023年1月以降の電気料金は値下げされています。しかし「それでも電気代が高く、厳しい」という企業もあるでしょう。その場合は自社内で電気代節約のための対応をする必要があります。企業ができる節電にはさまざまな方法がありますが、ここでは主なものを3つ紹介します。

①残業を減らす

オフィスの電気代は人の活動時間と相関するので、できるだけ残業を減らして定時までに仕事を終わらせることを徹底することで電気代の節約にもなります。ただし、残業時間の規制を行う際には従業員に十分な配慮をしましょう。なぜなら残業が減ると不満に思う従業員が一定数存在するため、離職やモチベーション低下の原因となる可能性があるからです。

業務量が減っていないのに就業時間だけを減らすと余計に忙しくなりますし、残業代がなくなることで収入も減ります。これらは従業員にとっては不利益になります。残業を規制する際には頭ごなしに禁止するのではなく、背景や目的を十分に説明して従業員の理解を得ることが重要です。

②オフィスを省エネ化する

これを機にオフィス改革を行い、省エネ構造のオフィスに変えてしまうのも1つの選択肢です。オフィス改革で有効な施策には以下のような例があります。

  • 空調機器や照明器具を最新のものに買い換える
  • シーリングファンや扇風機を設置する
  • スマートオフィスにする

古いタイプの空調機器や照明器具は電力消費が激しく電気代がかさんでいる可能性があります。このような場合は最新型の製品に買い換えることで日々の電気代を節約できます。スマートオフィスとは、IoTやAIを使ってDXを促進したオフィスのことです。たとえばセンサーによってオフィスにいる人数や外気温を認識し、空調の温度設定、カーテンのコントロール、照明のオンオフをAIが自動で行うなどの仕組みが考えられます。

③テレワークの実施

従業員を可能な限りテレワークにすることで、オフィスで活動する人数を減らし、電気代を節約できます。オフィスの在席率が減れば、オフィス自体を縮小できるため家賃なども合わせて低減できる可能性があります。ただし、その場合には従業員が個人で払う家庭の電気代が増えることになりますので、在宅手当の支給などが必要になるでしょう。

【オフィス縮小についてもっと詳しく】固定費を削減したい!オフィス縮小を検討するときのポイント

まとめ

電気料金の高騰問題は多くの企業や個人に影響を及ぼしており、その対策は喫緊の課題となっています。政府や自治体が緩和措置を実施していますが、自社でもオフィスのスマート化、残業の削減、テレワークの実施などの対策によりコスト削減ができます。今後も状況が変化することが予想されるため、最新情報に注意を払い、節電の方法を継続的に見直していきましょう。

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*emma, kakehashi, kabu, page, yu_photo / PIXTA(ピクスタ)

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