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アートトレーディング株式会社_藤井さま

顧客の課題解決力が成長に直結!アートトレーディング株式会社代表取締役社長・藤井玲氏にインタビュー

2023.11.07

時代の最先端をひた走る経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解くのが本連載「成功を掴んだターニングポイント」。今回は、アートトレーディング株式会社代表取締役社長の藤井 玲氏にお話を伺いました。

アートトレーディング株式会社は1996年に藤井氏の父親が創業。元々は小売業を経営していましたが、藤井氏が受け継いだタイミングでEC運営支援会社へと変更。のちに『世界一売れるバイブル企業に。』をビジョンとして掲げました。ECサイトの制作および運営支援、物流や受注などのバックヤード対応を主な事業としています。

今回は、代表取締役社長の藤井氏に、企業を成長させるうえで重要なこととは何か。経営の本質に直結する“5つの問い”を投げかけてみました。

<プロフィール>
アートトレーディング株式会社
代表取締役社長
藤井 玲

大学卒業後、家具屋としてイタリアから仕入れた家具の輸入・販売に従事する。その後、大手企業のEC事業の立ち上げを経て、自身のノウハウ(小売・卸売の経験)を活かして「売り続けるための一貫したサービス」を提供するべく、アートトレーディング株式会社の代表取締役となる。

Q1. 貴社の歩みで印象に残っている“転換期”について教えてください

私は大学生の頃に、父親の会社の手伝いがきっかけで小売に興味を持ちました。海外から仕入れた方が売れると思い、大学卒業後はすぐにイタリアへ飛び立ったんです。イタリアから仕入れた家具を輸入して卸売や小売を始めました。

当初は色々と試行錯誤しました。たくさんの在庫を抱えてしまい、販売方法に悩みました。そこで知り合いに相談したところ、創業して間もない『楽天市場®』を教えてくれたのです。私はすぐに行動に移し、ECサイトを1人で立ち上げます。それがアートトレーディングの楽天市場®第1号店です。

すぐに成果が出て、自社の売り上げが月商300万円を達成しました。そして、ECサイトを運営する1社から相談を受け、運用支援に業態を変更したのが大きな転換期ですね。

もう一つ印象に残っているのが、コロナの流行でした。在宅でのリモートワークが主流となり、世界的に非接触型ビジネスが出回りました。ITビジネスに参戦する人が増えたことで、弊社の問い合わせも殺到したのです。

問い合わせが殺到した理由として、世間でShopify®(ショッピファイ)の需要が急増したからです。当時、弊社がShopify®というプラットフォームに切り替えていたため運用支援サービスを探し、弊社への問い合わせが増えたのでしょう。

新規のお客様が増えていくのは嬉しかったのですが、当時は十数名の従業員で運営していました。さらに仕事を引き受けるには増員する必要があったのです。この増員が次の大きな転換期だったと考えています。

Q2. パーパス、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)について教えてください

家具屋からECサイトの運用支援に業態を転換したときの話です。たくさんの家具が倉庫に保管されていました。残しておくと高額な管理費がかかるため、手放す必要があったのです。これまで積み上げてきたものを捨てている感覚に等しく、心苦しい気持ちになりました。

だからこそ、商品に自信と愛着がある販売者の力になりたいと思ったのです。この体験が、企業理念でもあるミッションの『もっと、売れる体験を。』に集約されています。

我々のお客様はECサイトの事業者ですが、事業者だけが利益のある販売はすすめません。弊社はお客様からみたエンドクライアントのことも考え販売するサポートをしています。お客様の売り上げを一時的に上げるのが目的ではなく、”売れ続けるようにすること”が目的です。永続してお付き合いできるパートナーとしてお客様を支えていきたいです。

Q3. 組織づくりにおける苦労はありましたか?

新型コロナウイルス感染症の流行でIT化が進み、新規依頼が殺到したため技術者を増員しました。人数の増加やリモートワークが主流となり社員と関わる機会が減少、社員との距離が離れてしまったなかで、どのように組織を統一させるか悩みました。

私がMVVをホームページや動画で発信してもなかなか伝わらず……。その経験もあり、ロールプレイングと人事評価を組み合わせて、社員にMVVを知ってもらう体制をつくりました。リーダー職が中心となり、ロールプレイングやMVVに沿った目標設定を週報などにいれることで、少しずつ浸透させています。今思えば、会社の方向性を言語化した「ビジョンマップ」をもっと早く定義すべきだったと感じています。

また、規模拡大のために増員が必要となった場合も、ビジョンマップやMVV、行動指針に賛同できる方を採用しています。弊社は単なる制作会社ではなく、”売れる体験”ということをミッションにおき、実現するための制作や運営をしていると面接で伝えているのです。

Q4. オフィス移転のきっかけとその後の変化は?

現在の WeWork ®(シェアオフィス)へ移転したきっかけは、まさに新型コロナウイルス感染症の流行による働き方の変化でした。流行してすぐは社員が出社しなくなったので地元のオフィスを退去しました。コロナ禍が落ち着いたら渋谷を拠点に置くつもりでいましたが、長期化により見送りに。

そして、フルフィルメントセンター(※)を置くことが私の夢でしたので、埼玉県所沢市に拠点を移しました。一方、所沢市に拠点を置いたことで、問い合わせが所沢市ばかりに集中してしまい……。都内のお客様との関係性も考え、次は表参道にオフィスを構えました。しかしお客様とのコミュニケーションはオンラインがほとんどでした。小さなオフィスであったため、音が混じらないようにベランダでリモートする社員がいて、もはや出社しない方がよいのではと思ったことも……。

WeWork_01

出典: © WeWork

結果的に、接客や採用時の面接、リモートのスペースも確保できるなどの条件を満たすのがシェアオフィスでした。社員専用スペースもあるので、OJTなどの教育用としても使用できて好都合です。

WeWork_02

出典: © WeWork

また、 WeWork ®のシェアオフィスは立地がよく、開放感ある内装で申し分ありません。ちゃんとしたオフィスで接客するとお客様との信頼性も高まります。

今後は地方にいるメンバーのためにも仕事がしやすい環境を整え、各地に展開していけたらと考えています。「商品が売れない」「ECのやり方が分からない……」と悩んでいる方が各地に多くいるでしょう。そのような方にも”もっと、売れる体験を。”していただき、今後もお客様のサポートに励んでいきます。

(※)通信販売で注文を受けた商品の発送センターのこと

Q5. 成長していく企業の特徴はどのようなものだと考えていますか

エンドユーザーやお客様のお悩み解決を最優先に考えて貢献している企業だと考えます。そのためには、まず組織が統一されていなければよいサービスがお客様へ提供できません。

会社がどこを目指しているか明確に定義されていて、一体感ある会社が成長していくと感じます。経営者はもちろん担当者にもブレがないので、成果物の内容まで一貫しています。組織が統一されているからこそ、価値のあるサービスがお客様に提供できるのです。

***

藤井氏のインタビューは、いかがでしたか? 事業内容やMVVの浸透、オフィスづくりなど試行錯誤を繰り返す姿や、エンドユーザーを最優先で考えていることがアートトレーディング株式会社の成長の秘訣だと感じました。参考にしてみてはいかがでしょうか。

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Interview&Photo/Shota Ogawa
撮影場所: WeWork Hareza 池袋

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