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ケップルグループさま

日本と世界のスタートアップの架け橋に!株式会社ケップルグループ代表取締役CEO 神先孝裕氏にインタビュー

2024.03.25

時代の先端をひた走る経営者に、経営の本質に関わる“5つの問い”を投げかけ、成功の秘訣を紐解くのが本連載「成功を掴んだターニングポイント」。

今回は、株式会社ケップルグループ代表取締役CEO 神先孝裕氏にお話を伺いました。

新産業の創出を担うスタートアップが数多く産まれていく世界を実現するため、『Create New Industries 世界に新たな産業を』というミッションのもとに、これまでにない価値を世界に産み出すスタートアップと、その彼らへ支援を行う投資家(ベンチャーキャピタル・事業会社)が抱える課題を解決するさまざまなサービスやプロダクトを展開。

今回は、株式会社ケップルグループの設立から現在までの転換期や組織づくりについて、経営の本質に直結する“5つの問い”を投げかけてみました。

株式会社ケップルグループ
代表取締役CEO
神先 孝裕

公認会計士として大手の監査法人に入所し、3年後に独立。神先会計事務所を立ち上げる。その後法人化し、スタートアップに特化した会計事務所である株式会社ケップルコンサルティングを設立。スタートアップの経理面のサポートに加え、資本政策や事業計画の策定等、シード期のスタートアップの管理業務全般をサポート。2015年には株式会社ケップルを創業。2018年にはアフリカ地域特化のベンチャーキャピタル、株式会社ケップルアフリカベンチャーズを立ち上げる。2023年には事業のさらなるグローバル化・多角化を見据え、株式会社ケップルグループを設立。グループ経営体制へ移行した。

Q1. 自社の歩みの中で印象に残っている“転換期”について教えてください

『KEPPLE CRM』という、投資活動を一元管理できる未上場株式管理ツールの初期版にあたる『FUNDBOARD』というプロダクトが完成し、日本経済新聞社との資本提携まで走り切れたことが一つの大きな転換期でした。

実は創業してからの数年間は失敗が続いていました。一度目の挑戦は、外注先に依頼をしたのですが、つくりたいプロダクトを完成させることもできませんでした。2度目の挑戦では、フリーランスエンジニアの力を借りてリリースはできましたが、クオリティ面で満足のできないプロダクトでした。

もちろんユーザーヒアリングは重ねていたのですが、実際のニーズは売ってみないと分かりません。つくって売ってみて売れなくて、反省を活かして、またつくって売ってみるというトライ&エラーを一人で繰り返していました。

3度目の挑戦では、自社でエンジニアを採用しながら、外注先やフリーランスエンジニアの人たちの力も借りて挑戦し、やっと一定の成果を出すことができ、大きな評価を得ることができました。

リスクはありますが、しっかりと自分たちの組織をつくってチャレンジしたことが、成功に導いてくれました。それ以降新しいチャレンジをする際には、自社で信頼ができるメンバーとともに、取り組むようにしています。

Q2. 自社のパーパス、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)についてお伺いします

目指す頂きという意味では、 “Create New Industries”の世界に新たな産業をつくるというミッションを何よりも重視しています。社会や人々の生活を豊かにするための貢献方法として、新しい産業をつくるというのが弊社の考え方です。

社会や時代の変化に合わせて、産業も生まれ変わっていく必要があります。そのための新陳代謝を促していくことが、生活を豊かにすることにつながっていきます。次のチャレンジを応援する会社になりたいという想いが詰まっています。

また、日本のアイデンティティを持ちながらも、世界と共に歩み、戦う意識を忘れてはいけません。ビジョンの“Be a Global Innovation Platform”には、グローバル化で日本と世界をつなぐ役割を、イノベーションで実現していくという想いを込めています。

MVVは、極論でいうと私自身のためにつくったものであり、メンバーのためにつくったものではありません。組織では、社長の意見や行動が間接的に広がっていきます。私自身の行動指針が揺るがなければ、メンバーがついてきてくれると考えているため、私自身が向くべき方向性を定めています。

Q3. 採用や組織づくりにおいて重視されている点について教えてください

採用時は、弊社のカルチャーや弊社で働いているメンバーと合うかどうかを重視しているので、一人の人間としてどのような人なのかを知るために「土日はどのように過ごしているのか?」という質問は必ず聞いています。

また、より多くの人にスタートアップという存在を知ってほしいですし、チャンスがあれば飛び込んできてほしいと思っているので、スタートアップ業界自体をさまざまな人に売り込んでいるつもりで採用に取り組んでいます。

組織づくりにおいては、感謝や称賛の気持ちを送り合えるピアボーナスツール『Unipos』を導入しています。チャットツールで“ありがとう”って簡単にいえませんよね。弊社では導入から継続して高い利用率を誇ります。

たとえば、他の社員にサポートをお願いしたいときに、実際に助けてもらうことは簡単なことではありません。それは、どの社員もそれぞれタスクを抱えているからです。細かい貢献度の積み上げによって信頼関係が築かれて、初めて支え合う環境が成立します。

社内風土は目先の施策では変わりません。よい関係が築かれると、より仕事にやりがいを持って働くことができます。

Q4. オフィス移転のきっかけや目的を教えてください

弊社は出社と在宅勤務を社員が主体的に選択できるハイブリッドワークを採用しています。リモートワーク率は8割以上となっているため、小規模なオフィスにしていたのですが、最近では出社率も上がってきており、手狭になったため移転しました。

コロナ禍以降は、働き方やオフィスの定義自体が変わってきています。社員たちが顔を合わせて活発なコミュニケーションを取れる場所となるよう設計しています。

社内にはできるだけ余白をもたせたり、動線も工夫するなどしてコミュニケーションが取りやすいカフェをイメージした空間にしました。

移転前は外部の会議室を借りて月に一度全社会議を行っていたのですが、移転後は私たちのオフィスが入るベンチャーキャピタルの集積拠点「Tokyo Venture Capital Hub」にある会議室を利用することができるようになり、会議後もオフィスに残って社員同士でコミュニケーションを取っている姿が多く見られるようになりました。

また、この麻布台ヒルズは周辺環境がよいので、喜んで出社してくれる社員が増えました。

在宅勤務か出社かに関しては、社員自身で選択が可能です。チームのパフォーマンスを最大化するためにはどのような働き方がよいのかという考え方なので、管理職メンバーが社員の勤務形態をどちらかに決定するのはゴールを見誤っていると思います。

Q5. 企業の成長についてお考えをお聞かせください

社会に対して“どれくらいのインパクトを残せたのか”ということを企業の成長として捉えています。

弊社で直接つくっている事業もありますが、たとえば支援しているファンドの出資先が新しい事業をつくりだし、それが世の中に普及すれば、間接的に弊社も貢献していることになります。つまり、日本や世界に必要な“モノ”を弊社の関係先でつくりだし、直接的、間接的に関わって、我々の存在意義が周りからの認知として高まっていくということです。そのため、「ケップルに助けられた」という声が世の中に増えていくことが最重要です。

スタートアップ企業は本当に多くの素晴らしい技術やサービスをつくりだしています。世界と日本の心の架け橋になっていくことが、我々が目指していく姿です。

***

これまで数々のスタートアップが新たな産業を生み出したエピソードを嬉しそうに語ってくださった神先氏。一人で会計事務所をしていたときから、“Create New Industries”というミッションは一切変わらずに追い続けているとのことです。

神先氏のブレない行動指針があるからこそ、社内の風土が醸成され社会にインパクトを与えているのだと感じました。

是非、参考にしてみてください。

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