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『 組織の問題 』 = 『 コミュニケーション不全 』 !?

総務の森』コラムをご覧のみなさま


こんにちは! 合同会社5W1Hの高野潤一郎と申します。

本コラムでは、弊社配信の無料ニューズレター第121号(2012年7月
22日配信)で公開した記事の一部をシェア差し上げます。
今回のタイトルに興味をお持ちいただけた方は、是非、お役立てく
ださい。

============================================================
(前略)

リマインド・シリーズ
( http://www.5w1h.co.jp/training/remind.html )では、第120号
「経験学習:『体験』を『経験』に変える『概念化』」の内容を踏
まえて、「組織が抱える問題の解決に向けた、コミュニケーション
に関する学習プログラム」を提案しています。

今回は、このリマインド・シリーズについて、ウェブサイトに書い
ていなかった側面から、少し補足しておこうと思います。


■「組織の問題」をどう捉えているか?

本稿では、あくまでも私の限られた経験(企業研修中に扱う、現場
で実際に起きている問題の事例;エグゼクティブ向けのコーチング
で扱った事例;企業に出向いて行ったファシリテーションで扱った
事例など)に基づいて、「組織の問題」をどう捉えているのかにつ
いて、現在の私が考えているところをざっくりとご紹介できればと
思います。


< 問題発見 ← 問題症状の把握 >

組織のヴィジョン・ミッション・価値観・ウェイ・戦略・事業計画
の実現を妨げる問題症状には、本当にさまざまなものがありますが、
繰り返し登場する問題症状として、例えば次のようなものが挙げら
れます。
------------------------------------------------------------
●「総論賛成、各論反対」「同床異夢」の人々が、「対症療法のつ
 ぎはぎ施策」を繰り返している

●安易な理解で「現場主義」という言葉を振りかざし、自分の仕事
 にしか関心を持たない…「全体最適」よりも「部分最適」を優先
 する仕事の姿勢(システム思考の欠如);ムダがないことは良い
 ことだと「効率」(生産性や能率)ばかりを追求し、「イノベー
 ション」を生み出す種となる試みを排除する姿勢;明確な意図や
 計画なくOJT (On the Job Training) に頼る姿勢

●個々人の能力(の平均値)は高いけれど、組織全体としての業績
 は低い…メンバーどうしあるいは部門・部署どうしの「つながり」
 を生み出し、仕事の「意義」を確認し「意欲」を持続させ、「化
 学反応」「相乗効果」の発現が見込める「仕組み」(場、プロセ
 スなど)の欠如
------------------------------------------------------------
など


< 問題設定 ← 問題構造の把握 >

フレームワーク質問力(R) のプロセスに従い、「問題発見」後、ど
のように「問題設定」を行なっていったかという詳細は省きますが、
上記のような問題症状を生み出す背景、すなわち、組織のヴィジョ
ン・ミッション・価値観・ウェイ・戦略・事業計画の実現を妨げて
いるさまざまな事情・障害・心理抵抗の背景には、主に次の3つが
ありそうだと考えています。
------------------------------------------------------------
A)目的・目標達成にとって、不適切な前提(暗黙の条件、業界の
 常識など)を採用していること…確認不足、目的・目標ごとの前
 提の調整不足(不適切な問題設定)

B)”目的・目標達成に有用な”コミュニケーションの「量」が不
 足していること…「話の量自体は多いけれど、組織の目標達成に
 関係の深い話の占める割合が少ない」「関係者間で認識のズレが
 ある」など

C)”目的・目標達成に有用な”コミュニケーションの「質」が不
 足していること…「『相手の人格』と『その人の意見』を分けて
 考えるのに慣れておらず、率直に、本音で語らない」「価値ある
 少数意見を吟味せず、安易に多数決で物事を決める」など
------------------------------------------------------------

A)は、「その目的・目標は組織にとって本当に有用か、同じ概念・
表現を同じ意味で共有できているか、現状認識は適切か、従来のや
り方にとらわれずに考えてもやはりその方法が効果的か」など、
「目的・目標が持つ意味、重要な前提や作業仮説の確認」を行わず
に、行き当たりばったりの「作業」だけをこなすことによって、望
ましくない結果を生じてしまったり、水面下で徐々に問題を悪化さ
せてしまったり、大幅なやり直しが生じたり、仕事への意欲が持続
しなかったりするなどして、組織が持つ力を効果的に発揮すること
が叶わないことを指しています。

例:HRM(Human Resource Management:人的資源管理)やHCM
 (Human Capital Management:人的資本マネジメント)(※1)
  といった言葉で表現される「人財マネジメント」分野の「前提」
  について採り上げてみましょう。

ある組織では、「人財マネジメント=人事労務分野における、制
度の管理」であると考え、また別の組織では、「人財マネジメント
=人財を経営戦略上の重要な資源と捉え、ジェネラル・マネジャー
(経営の専門職)の視点から行う、人財育成や組織開発など」であ
ると考えていたりします。では、こういった前提の差が生む、企業
研修についての判断の違いには、どんなものがあるのでしょうか?

大まかな傾向としては、「人財マネジメント=人事労務分野の制
度管理」であると考える組織では、短期間における経営の効率(ム
ダの排除)を優先して考え、例えば「不況だから、半期に1度の研
修を年に1度に変更しよう/今年は取りやめにしよう」などといっ
た判断が採択されやすくなります。

一方、「人財マネジメント=ジェネラル・マネジャーの視点から行
う、人財育成や組織開発など」であると考える組織では、「ウチの
会社は、○○をいう価値を生み出す組織だ。世の中の動向と弊社の
強みを検討した結果、今後△年は□□事業を主軸に据えることにし
た。その方針を踏まえて、◎年後の□□事業部には、▽が強い社員
が▽▽人、◇を任せられる社員が◇◇人必要となる見込みだ。この
組織編成が可能になるように、今から人財の獲得・育成に取り組ん
でいこう!」などという方針の下、

「経営戦略に適っている限り、不況であっても、決して研修は削ら
ない。戦略の実行を可能にする上で、現段階における研修への投資
は不可欠であり、研修には、『効率性』ではなく『効果性』を期待
する。」などといった判断が採択されやすくなります。

あなたは、こうした「前提の差が生む、企業研修についての判断の
違い」について、どのように感じられるでしょうか?

※1
組織において人財関連の話題が出ると、採用・昇進・報酬・教育・
退職などの「制度」の管理といったハード面に軸足を置くことの多
HRM(Human Resource Management:人的資源管理)という言葉と、
モチベーション・リーダーシップ・コミュニケーション・コンフリ
クト・組織文化など「人と組織の行動」マネジメントといったソフ
ト面に軸足を置くことの多いHCM(Human Capital Management:人
資本マネジメント)といった言葉が登場します。

(中略)

B)は、「コミュニケーションが増えれば、組織が活性化する」と
いう思い込みについて述べています。確かに、適度の「人間関係を
円滑にするような話」は重要な「組織活動の潤滑油」ですが、「あ
の後、カレシとどうなったの~?」などと「油」を売ってばかりで
は、組織が持つ力を効果的に発揮することはできません。

(中略)

C)は、立場や役割など視点の違いから生じる意見が、議論に有効
なもの(健全な意見の対立など)であっても、「意見の対立があっ
ては、人間関係に影響を及ぼす」と考えることに慣れ、率直な意見
交換ができていない状況について述べています。「納得はしていな
いけれど、反論せずに渋々従い、うまく行かないと、人の失敗をあ
ざける」というメンバーばかりだと、組織が持つ力を効果的に発揮
することはできません。

例:会議などの場で、「上司の “意見” 」(≠上司という “人
物” )に少しでも否定的な見解を示すと、仕事を進めていく上で、
困難が生じるに違いないといった考えを持つ思考パターンに慣れた
人は、目的・目標達成に有用そうな異見を言うよりも、自己保身を
優先し、面従腹背・面従後言といった対応を選択しがちになります。

A)、B)、C)と見てきた内容について改めて整理すると、「『組
織の問題』とは、(組織の存在理由に合致した、明確な目的・目標
の達成にとって適切な)『コミュニケーションの不全』である。」
と言ってもいいのではないかと思えてきます(※2)。

…「リーダーシップ」「マネジメント」「ファシリテーション
 「交渉」「仕組みづくり」「人財育成」など、その場面その場面
 で用いる表現が変わっても、結局、「組織の問題」を中長期に渡
 るスパンで本当に解決するためには、「組織におけるコミュニケ
 ーション」に真正面から向き合う必要があることには違いがない
 だろうと考えています(※3)。

※2
(省略)

※3
(省略)


■組織活動の成果を高める、組織の「体質改善」の提案

(中略)

HCMの観点から、組織活動の成果を高める(結果として、業績を上
げる)には、急進的な「組織改革」的アプローチもあれば、漸進的
な「組織開発」的アプローチもあります。

そんな中、「納得できるように、物事を主体的に変えていく力を持
った人・組織を増やすこと」を旨とし、A)~C)のような問題設定
を行う弊社は、「多くの組織が抱える問題 = コミュニケーション
不全」の解決に貢献するため、「経験学習の場の整備によって、組
織の体質改善を図る」というアプローチ(個人向けと、集団/組織
向け)を提案したいと考えています。

個人向けアプローチとしては、前出の「リーダーシップ開発コーチ
ング」、あるいは、合同会社5W1H流「コーチング学習プログラ
ム」などで、「メンタル・モデル」や「思考法」の確認をしつつ、
「個人としての継続的能力開発」に取り組まれることをお勧めした
いと思います。

(中略)

コーチングに関しては、多くの方がいろいろ情報発信しておられま
すし、私もこれまでいろいろ書いてきたので、今回は、次の有名な
話だけご紹介して終わりにします。

------------------------------------------------------------
「優れたコーチは、経営者に耳の痛いことも言ってくれる。経営者
は、会議の場を独占し、部下に恐れられている。部下は萎縮して経
営者に何も言えなくなっているため、客観的な立場でものを言って
くれる存在を社内に持つことは不可能だ。経営者は、コーチを活用
すべきだ。」

ジャック・ウェルチ氏 [ John Francis Jack Welch Jr.:世界最大
級のコングロマリット(複合企業)である、General Electric(略
称:GE)社の最高経営責任者(1981年から2001年)を務め、「伝説
の経営者」と呼ばれる ]
------------------------------------------------------------
(中略)

本稿で展開してきた「組織の問題とは、コミュニケーションの不全
である」という認識に立ち戻って、上記の「リマインド・シリーズ
の受講効果がもたらす価値」(…「やりっ放しで終わりの集合研修」
で得られる効果との比較)についてイメージしてみてください。こ
れまでとは異なる研修効果が期待できそうでしょうか?

さて今回は、「納得できるように、物事を主体的に変えていく力を
持った人・組織を増やすこと」を旨とする弊社が、「組織の問題」
を「コミュニケーション不全」であると捉え、その問題の中長期に
渡る本質的な解決を目指して、「経験学習の場の整備によって、組
織の体質改善を図る」というアプローチ(個人向けと、集団/組織
向け)を模索し続けており、今回新たに、「リマインド・シリーズ」
を弊社ラインナップに加えたのだという経緯についてご紹介して参
りました。

あなたが所属されている組織が、すぐに、今回ご紹介したようなさ
まざまなアプローチを採用・導入されるかどうかは別としても、
「個々人の能力(の平均値)は高いけれど、組織全体としての業績
は低い」という問題症状を抱える組織において、「組織力を発揮す
る方法」を考える際に、A)~C)といった仮説を「作業仮説」とし
て扱い、個々の組織のさまざまな活動において、作業仮説がが当て
はまるかどうかを検証することは有益ではないでしょうか?

流行のビジネス書などでは、「偶発的にうまく行った、例外的なベ
スト・プラクティス」を、あたかも、「誰にでも適用可能なアプロ
ーチ」であると誤解させるような内容の物語が好まれる傾向にある
ようですが、弊社としては、現代のように唯一最善解のない時代に
は、「観察」「質問力」「3種類の推論」などを武器に仮説を立て、
「仮説と検証のサイクル」を次々と回しながら、「受講者どうしの
相互啓発」を促し、「地に足の着いた経験学習」を進めるアプロー
チを重視する姿勢で、「納得できるように、物事を主体的に変えて
いく力を持った人・組織を増やすこと」に貢献していきたいと考え
ています。

(後略)
============================================================


冒頭でご案内差し上げましたように、本記事の『全文』は、下記
よりご覧いただけます。上記抜粋記事をご覧になった上で、詳細
についてお知りになりたい方は、是非ご活用くださいませ。


●ニューズレター第121号
「組織の問題」=「コミュニケーション不全」!?
 → http://5w1h.hatenablog.jp/entry/121(ブログ版)
 → http://www.5w1h.co.jp/newsletter/no121.pdf(PDF版)
===========================================================
出典を明記していただき、『著作権法』で認められる『引用』の
範囲を超えなければ、許可なしで部分引用可能です。
また、内容を改変せず、元のままの形(あるいは上記リンク先)
であれば、お知り合いなどに転送していただいて構いません。
===========================================================


以上、何か少しでも、『総務の森』コラムをご覧のみなさまの
お役に立てることがあれば幸いです。

お忙しいところ、目を通していただき、ありがとうございました!

               高野潤一郎@合同会社5W1H

P.S.1

記事に出ていた、「リマインド・シリーズ」の詳細は、
こちら↓からご確認いただけます。

●リマインド・シリーズ
 ~組織が抱える問題の解決に向けた、
  コミュニケーション学習プログラム~
 http://www.5w1h.co.jp/training/remind.html


P.S.2

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         代表 高野 潤一郎 [ 博士(先端科学技術) ]

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