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コラムの泉

株主代表訴訟の被告とならない者

■Vol.427(通算666)/2015-12-14号:毎週月曜日配信           
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■■■知って得する!
□□■  ~1分間で読める~ 税務・労務・法務の知恵袋  
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□□■   【株主代表訴訟の被告とならない者】 
■■■    
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       株主代表訴訟の被告とならない者
■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■

株主は、会社法の「責任追及等の訴え」(株主代表訴訟)に基
づいて、会社法が明示的に定めている者以外の者を被告とする
訴え(詐害行為取消しの訴え)を提起することはできるでしょ
うか。

これを否定した仙台高裁平成24年12月27日判決を紹介し
ます。

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● 事案
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会社の元取締役がその会社の株式を親族である第三者に贈与し
たところ、その会社の株主が、

【1】元取締役取締役であった当時、会社財産を横領したこ
とにより会社に対して損害賠償債務を負うところ

【2】会社株式を贈与すれば資力を失って損害賠償債務弁済
   することができなくなること

を知りながら親族である第三者に株式を贈与したとして、会社
法の「責任追及等の訴え」(株主代表訴訟)に関する規定に基
づいて、会社のために株式の贈与を受けた第三者を被告として
詐害行為取消の訴えを提起して、この贈与の取消しを求めた。

裁判所は、この訴えは不適法であるとして、訴えを却下し、控
訴も理由がないとして棄却しました。


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● 責任追及等の訴え(株主代表訴訟)の制度趣旨
=========================================================

会社法847条3項は、株主に責任追及等の訴えを提起するこ
とを認めています。

これは、役員等が会社に対して責任を負う場合においても、株
式会社の代表機関と役員等との間の同僚意識などの特殊な関係
から、会社自身が積極的に役員等の責任を追及することはあま
り期待できず、責任追及を怠る可能性があり、その結果、会社
の利益、ひいては株主の利益が害されることになるため、株主
に対して会社のために役員等の責任を追及する訴えを提起する
ことを認めることにより、会社ひいては株主の利益を保護する
趣旨に出たものと解されます。


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● 責任追及等の訴え(株主代表訴訟)は
                 例外的な制度であること
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ところで、株式会社の業務執行に関する会社法の基本構造を考
えると、責任追及等の訴え(株主代表訴訟)はあくまで例外的
な制度であるというべきものです。

すなわち、会社法は、株式会社の所有と経営とを分離し、株式
会社の業務執行については、原則として取締役代表取締役
の執行機関にこれを委ねています。しかし、株主については、
株主総会における議決権行使や議題の提案を通じて取締役の選
解任報酬の決定を行うことを基本的な権利として認め、更
に一定数等の株式保有要件を充たした株主には、株主総会招集
請求権、株主総会検査役の選任請求権や、業務の執行に関する
検査役の選任権、取締役の違法行為差止請求権及び取締役の解
任の訴えの提起権等を認めるにとどめています。

このような株式会社の業務執行に関する会社法の基本構造の下
で、会社法が、株主に対して責任追及等の訴え(株主代表訴訟
を提起することを特に認めていることからすると、それは、株
式会社が役員等に対して役員等の地位に基づく債務又は役員
株式会社との取引に基づく債務履行の請求を怠っている場
合などに、例外的に、株主に対し、株式会社のために、その役
員等を相手方とする訴訟を提起、追行することを認めたものと
いうべきであって、およそ役員等の責任追及等のために必要で
ありさえすれば、誰に対してでもどのような訴訟でも提起する
ことを認めたものと解することはできません。


=========================================================
● 責任追及等の訴え(株主代表訴訟)の被告は
                   限定列挙であること
=========================================================

さらに、会社法の関係条文の文理に照らすと、責任追及等の訴
え(株主代表訴訟)の被告とすべき者(被告適格を有する者)
は限定列挙であると解されます。

すなわち、まず、責任追及等の訴え(株主代表訴訟)について
会社法の規定をみると、会社法847条1項は、「責任追及
等の訴え」を、

【1】「発起人、設立時取締役、設立時監査役役員等(取締
   役・会計参与監査役執行役会計監査人)もしくは
   清算人の責任を追及する訴え

【2】違法な利益供与がなされた場合の利益供与を受けた者か
   らの利益の返還を求める訴え

【3】不公正価額での株式・新株予約権引受けの場合の出資者
   からの差額支払を求める訴え

と定義しています。

そして、会社法は、第7編「雑則」の第2章「訴訟」に規定す
る各種の訴訟については被告適格に関する具体的な規定を設け
ているのに対して、責任追及等の訴えについては被告適格に関
する規定を特に設けていませんが、これは、責任追及等の訴え
については、その文理上被告となるべき者が明らかであること
によるものと解されます。すなわち、会社法847条1項のう
ち前段の「役員等の責任を追及する訴え」は、その「責任を追
及する」との文理上、

【1】責任追及の対象となる役員等が被告となることを当然に
   予定しているもの

というべきであり、また、後段の訴えは、

【2】株主権の行使に関して利益の供与を受けた者

【3】著しく不公正な払込金額で株式を引き受けた者又は著し
   く不公正な条件で新株予約権を引き受けてこれを行使し
   た者

が被告となるもので、こうした訴えを限定的に列挙したものと
解されます。

こうした会社法の規定する各種の訴えに係る被告とすべき者に
関する規定の文言やその内容に照らすと、それらの被告とすべ
き者については、これを限定的に定めたものと解されます。
 

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● 結論─責任追及等の訴え(株主代表訴訟)の
                   被告適格を有する者
=========================================================

以上によれば、会社法847条3項が規定する責任追及等の訴
え(株主代表訴訟)において、その被告とすべき者(被告適格
を有する者)は、会社法847条が明示的に規定する者、すな
わち、

【1】責任追及の対象である役員

【2】株主権の行使に関して利益の供与を受けた者

【3】著しく不公正な払込金額で株式を引き受けた者又は著し
   く不公正な条件で新株予約権を引き受けてこれを行使し
   た者

のみに限られているものと解され、これを拡張して解釈するこ
とは許されないと解されます。

したがって、株主は、会社法847条3項所定の責任追及等の
訴えに関する規定に基づいて同条所定の者以外の者を被告とす
る詐害行為取消しの訴えを提起することはできません。


     (弁護士 緒方義行 http://www.fuso-godo.jp/



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