• HOME
  • コラムの泉

コラムの泉

このエントリーをはてなブックマークに追加

専門家が発信する最新トピックスをご紹介(投稿ガイドはこちら

【第三者委員会報告書】テレビ局産業医対応まとめ

 こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
 弊社が、働く人の健康管理の事業を開始して、約10年が経過しました。
 その中で、身体的・精神的健康を優先するあまり、社会的健康がおろそかになっている事例を多数見ることになりました。
 身体的健康を優先するあまり、精神的・社会的に不健康になった社会的新型コロナウイルス禍という事例を、皆様も多く実感されたことでしょう。
 WHO憲章にあるように、健康とは、身体的・精神的・社会的に健康であることです。さらに、職域では企業と労働者の双方を健康にすることが必要です。
 『企業利益をわかりやすく向上させる新規サービス』を用意しています。
 是非、弊社を利用し、健康の向上を図ってください。
https://www.kenpomerit.com/
 さらに、文末のように「令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法」及び「産業保健ストラテジーシリーズ第3版 第1巻 産業医ストラテジー(分担執筆者)」を成しています。是非、ご覧ください。

 今回は、「【第三者委員会報告書】テレビ局産業医対応まとめ」について作成しました。
 企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
========================
【第三者委員会報告書】テレビ局産業医対応まとめ
========================
 令和7年3月31日付で、テレビ局に関して第三者委員会報告書が公表されました。
 今回は、第三者委員会報告書より、産業医の対応等についてまとめました。

●第三者委員会産業医対応まとめ
 2023年6月6日、アナウンサーが産業医に電話で相談を行ったことで、産業医は対応を開始することになる。産業医は心療内科医の診察を受けさせた。
 産業医と心療内科医は、アナウンサーの説明と状態から、性暴行を受けたものであると考え、弁護士への相談といったことをアナウンサーに話をして検討しようとしたが、アナウンサーは非常に精神的混乱の中にあり、そうした判断をすることが困難な状態であった。
 アナウンサーは、業務を継続したいと訴えていたが、状態や発言により、心療内科医が急性ストレス反応と診断し、処方がされた。
 2023年6月8日、産業医とアナウンサーの上司2人が、アナウンサーの相談内容と心身の状況について情報共有し対応方針を協議した。3人は、性暴力を受けたという共通認識に至った。
 また、上司2人は産業医から助言を受けて、アナウンス室としての対応方針を次のとおり決めた。
・本事案を誰かに共有する際には、アナウンサーに確認する。
・アナウンサーが非常に精神的に不安定なため、アナウンサーのケアを最優先にする。
・番組出演についてもアナウンス室の判断で、勝手に取りやめさせない。
・業務継続か休務かは必ず医師に相談し、医師の所見をもとに判断する。
 さらに、上司2人は、事案の内容とアナウンサーの心身の状態から自死の危険性を感じ、強く恐れた。
上司はアナウンサーと相談の上で、2023年6月10日頃まで番組に出演し、翌週の月曜日から 1週間休務して番組を休演することとし、対外説明の際の番組休演理由は「体調不良」と することに決めた。
アナウンサーは業務復帰に不安があったことから、同月20日に診療内科医に受診した。その後、 一旦業務に復帰した。
一方、他のアナウンサーから上司に対して、アナウンサーについて、手の震え、歩くのもふらつく様子であると報告されたものの、上司は産業医と相談しつつ、アナウンサーの業務を続けた いという意向を尊重することとした。
しかし、同月10日頃、アナウンサーは健康相談室を訪れて、産業医と心療内科医に食べられない、 ふらふらしている、仕事中も手が震える、力が入らない、眠れない、食べ物も臭いだけで いらない、6月2日のときの食材を見たくない、食べたくない、思い出したくない、身体 も痛いなどと訴えた。かなり痩せて食欲不振も激しい状態だったため、産業医及び心療内科医はアナウンサーが即入院が必要な状態であると判断して、「限界」である旨を伝え、直ぐに都内 某病院への入院調整を行った。
まずベッドに空きがあった消化器内科に入院して、体力を回復しながら精神科医師の併診とする治療体制とし、精神科のベッドに空きが出た時点で 転科することとした。
産業医は上司2人に連絡し、駆けつけた上司はアナウンサーに対して「少し休もう、仕事を 休むことを全く迷惑だと思う必要はないので、ずっと待っている」と話した。入院時の都 内某病院宛ての「紹介・診療情報提供書」には、傷病名を「うつ状態、食思不振」とし、 「仕事関係者からのハラスメントによる」と記載された。
アナウンサーは、都内某病院の消化器内科に入院した。入院中は産業医が週1回のペースで、面会を行い、上司と情報共有されていた。
精神科への入院期間中は、アナウンサーの治療は専ら主治医にゆだねられ、状況把握は上司と心療内科医による主治医とのコミュニケーションによることになった。
 その後、産業医はアナウンサーの上司から「本事案を上にあげたので、あとは僕たち上でやります、産業医と心療内科医にはメンタルを含めた心身のケアをお願いします」という話があった。産業医は、会社側が対応すると認識していた。
以後、テレビ局から産業医や心療内科医に対して、番組継続について意見を求められ たり、番組継続や番組終了がアナウンサーに与える影響などを確認されたりしたことはなかった。
また、産業医及び心療内科医は、番組継続の理由や情報共有範囲を限定した理由として「アナウンサーの刺激になる」「彼女の心身を考慮して」といった話をしたことはないし、コンプライ アンス推進室に報告するとアナウンサーを刺激することになるといった話をしたこともないと述 べた。
なお、アナウンサーが退職する前に、産業医は上司と連携して復職に向けたプランを準備していた。

産業医対応について
 産業医が行った専門医へのコンサルタント、治療への誘導、経過観察等の医学的側面の対応により、アナウンサーの自死が避けられた点は、不幸中の幸いであったと認められる。
 また、守秘義務を配慮しつつ、上司へ加工した健康情報を提供し、リスク予知と回避方法を提示していた。
 産業医対応については、特記異常はなく、十分な対応であったと考えられる。
 一点、リスク予知と回避方法の提示について、勧告権を行使したか否かが、報告書には示されていなかった。もし、勧告権が行使されていれば、より適切な対応であったと考えらえる。

●テレビ局の対応について
 2025年1月30日の時点で、
「【考察】医師の判断なら、健康管理上、テレビ局は悪くない」
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177477/
のコラムを示した。
 テレビ局が産業医へ対応を任していたなら、健康管理上、テレビ局は悪くない。しかし、第三者委員会報告書によると「本事案を上にあげたので、あとは僕たち上でやります、産業医と心療内科医にはメンタルを含めた心身のケアをお願いします」と会社側は発言しており、心身のケアがどういった内容を示すか具体的には不明であるが、産業医は会社側が主体的に動くと認識している。もし、会社が産業医から主体的責任を引き受けたのであれば、当然、テレビ局の責任となる。
 産業医守秘義務を配慮しつつ、上司へ加工した健康情報を提供し、リスク予知と回避方法の提示を行っていた。テレビ局としては、心身のケアだけと言わず、産業医業務について、このまま任せておけば良かったのではないかと考えられる。
 テレビ局は、引責辞任をした会長、副会長、社長をはじめ、多くの役員退職することになった。株主訴訟で、経営者責任が問われる可能性も出てきている。
 最高裁判例によると、経営者の責任は、適切に専門家を選び任せるまでとされている。
 経営者としては、健康管理については、適切に産業医の責任することが必要である。

========================
令和の働き方 部下がいる全ての人のための 働き方改革を資産形成につなげる方法
http://miraipub.jp/books/%E3%80%8C%E4%BB%A4%E5%92%8C%E3%80%8D%E3%81%AE%E5%83%8D%E3%81%8D%E6%96%B9-%E9%83%A8%E4%B8%8B%E3%81%8C%E3%81%84%E3%82%8B%E5%85%A8%E3%81%A6%E3%81%AE%E4%BA%BA%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE-%E5%83%8D/

産業保健ストラテジーシリーズ第3版 第1巻 産業医ストラテジー(分担執筆者)
https://www.e-bio.co.jp/publication/book01.html

絞り込み検索!

現在22,769コラム

カテゴリ

労務管理

税務経理

企業法務

その他

≪表示順≫

※ハイライトされているキーワードをクリックすると、絞込みが解除されます。
※リセットを押すと、すべての絞り込みが解除されます。

スポンサーリンク

経営ノウハウの泉より最新記事

スポンサーリンク

労働実務事例集

労働新聞社 監修提供

法解釈から実務処理までのQ&Aを分類収録

注目のコラム

注目の相談スレッド

スポンサーリンク

PAGE TOP