こんにちは、
産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
従業員の健康問題(
従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・
役員の辞任、売上減少、
株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、
従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、
従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。
※ホームページを、改訂しました。
https://www.kenpomerit.com/
今回は、連載の総括として、「【機密情報】⑩専門医業務の厳格な線引き」について作成しました。
企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【機密情報】⑩専門医業務の厳格な線引き
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○大企業が寡占する「専門医」の希少性
日本産業衛生学会が認定する「産業衛生専門医」の数をご存知でしょうか。2026年2月現在、日本全国でわずか692名(指導医525名、専門医167名)しか存在しません。
専門医となるためには、医師免許取得後、指導医の下で3年間の厳格なトレーニングを経て「社会医学系専門医」の受験資格を得ます。さらにそこから2年間の研鑽を積んで、ようやく産業衛生専門医の試験に臨めるという、非常にハードルの高い道のりがあります。
現在、この極めて希少な専門医は、いわゆる大企業によって寡占されている状態です。そのため、多くの企業にとって「本物の専門医」がどのような視点で業務を行っているのかを知る機会はほとんどありません。
そこで本連載では、専門医の業務の一端を知っていただくため、彼らが日常的に扱い、そして厳秘としている「企業の機密情報」について解説してきました。
最終回となる今回のテーマは、これらの機密を抱える専門医を、大企業がいかにして「代替不可能人材」として囲い込み、かつ「業務を厳格に線引きしているか」という組織防衛についてです。
○「歩く機密金庫」と化した専門医の代替不可能性
これまでの連載で解説した通り、専門医の頭の中には、事業の進捗、
役員の健康状態、水面下の危機管理、未発表の
人事、派閥の相関図、M&Aの予兆、労使交渉の裏側など、企業を吹き飛ばしかねないレベルのトップシークレットが蓄積されています。
このような極限の機密情報を共有し、なおかつ高い倫理観と医学的見地で組織を裏から支え続ける存在は、単なる「外部の医師」ではありません。企業の歴史と暗部をすべて知り尽くした「歩く機密庫」であり、経営陣にとって重要なキーマンになります。
万が一、この専門医が離職すれば、企業は膨大な文脈と安全網を失います。「条件の良い別の医師を
採用すればいい」という単純な話ではないため、大企業は最高の待遇と環境を用意し、この希少な専門医を自社から手放さないよう「囲い込み」を行うのです。
○囲い込みの絶対条件:業務の「厳格な線引き」
しかし、大企業が専門医を囲い込むために行っている最大の投資は、金銭的な待遇だけではありません。それは、専門医の立場を守るための「業務の明確な線引き」です。
専門医が様々な機密を知っているからといって、企業は彼らに「健康管理以上の何か」をやらせることは絶対にありません。
例えば、リストラ対象者に対して「君は会社を辞めるべきだ」と宣告するのは経営者や
人事の仕事であり、
産業医の仕事ではありません。
産業医はあくまで「この社員にこれ以上の負荷をかければ健康を害する」という意見を述べるにとどまります。
なぜ、ここまで厳格に線を引くのか。
それは、専門医が経営の実務(執行)に足を踏み入れた瞬間、
労働者からの「恨み」や「訴訟のターゲット」となり、絶対的な中立性が崩壊してしまうからです。
企業は最悪の場合には、経営者の代わりに医学的責任を負う者である「専門医という最後の防波堤」を失わないために、専門医を「医学的
アドバイザー」として扱います。
○経営者主体のガバナンスが専門医の価値を最大化する
機密情報の壁の中で、企業と専門医がそれぞれの役割(経営と医学)を明確に分け、背中合わせで
従業員と組織を守り抜く。これこそが、大企業が実践している質の高い健康管理体制です。
本連載が、
産業医の専門医の現実を把握し、皆様の企業における適切なガバナンス構築と投資への一助となれば幸いです。
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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針
JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025
JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf
【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/
リサーチマップ(朝長健太)
https://researchmap.jp/yobouigyou
こんにちは、産業医・労働衛生コンサルタントの朝長健太です。
従業員の健康問題(従業員主治医の診断書が起因)が企業の経営に直結し、時には社長・役員の辞任、売上減少、株主代表訴訟にまで発展するケースが顕在化しています。また、従業員の健康を第一に守るという目的により、企業ガバナンスの逆転現象が起き、結果的に健康を守りきれなかったという矛盾も生じています。
健康管理は、ケガからハラスメントまで、対策の範囲が広いです。そこで、企業ガバナンスを経営者主体という本来の形にすることで、会社と経営者を第一に守り、その結果、従業員の健康を守るという目的で、下記の日本規格協会規格(JSA 規格)「JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針」を開発しました。
また、認証機関も立ち上げております。
なお、日本規格協会は、経済産業省による認定産業標準作成機関であり、唯一のマネジメントシステム作成機関です。
企業主体の健康管理体制の構築について、ぜひJSA-S1025をご活用ください。
※ホームページを、改訂しました。
https://www.kenpomerit.com/
今回は、連載の総括として、「【機密情報】⑩専門医業務の厳格な線引き」について作成しました。
企業利益の向上という、精神的・社会的健康を向上させるために、弊社をご活用ください。
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【機密情報】⑩専門医業務の厳格な線引き
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○大企業が寡占する「専門医」の希少性
日本産業衛生学会が認定する「産業衛生専門医」の数をご存知でしょうか。2026年2月現在、日本全国でわずか692名(指導医525名、専門医167名)しか存在しません。
専門医となるためには、医師免許取得後、指導医の下で3年間の厳格なトレーニングを経て「社会医学系専門医」の受験資格を得ます。さらにそこから2年間の研鑽を積んで、ようやく産業衛生専門医の試験に臨めるという、非常にハードルの高い道のりがあります。
現在、この極めて希少な専門医は、いわゆる大企業によって寡占されている状態です。そのため、多くの企業にとって「本物の専門医」がどのような視点で業務を行っているのかを知る機会はほとんどありません。
そこで本連載では、専門医の業務の一端を知っていただくため、彼らが日常的に扱い、そして厳秘としている「企業の機密情報」について解説してきました。
最終回となる今回のテーマは、これらの機密を抱える専門医を、大企業がいかにして「代替不可能人材」として囲い込み、かつ「業務を厳格に線引きしているか」という組織防衛についてです。
○「歩く機密金庫」と化した専門医の代替不可能性
これまでの連載で解説した通り、専門医の頭の中には、事業の進捗、役員の健康状態、水面下の危機管理、未発表の人事、派閥の相関図、M&Aの予兆、労使交渉の裏側など、企業を吹き飛ばしかねないレベルのトップシークレットが蓄積されています。
このような極限の機密情報を共有し、なおかつ高い倫理観と医学的見地で組織を裏から支え続ける存在は、単なる「外部の医師」ではありません。企業の歴史と暗部をすべて知り尽くした「歩く機密庫」であり、経営陣にとって重要なキーマンになります。
万が一、この専門医が離職すれば、企業は膨大な文脈と安全網を失います。「条件の良い別の医師を採用すればいい」という単純な話ではないため、大企業は最高の待遇と環境を用意し、この希少な専門医を自社から手放さないよう「囲い込み」を行うのです。
○囲い込みの絶対条件:業務の「厳格な線引き」
しかし、大企業が専門医を囲い込むために行っている最大の投資は、金銭的な待遇だけではありません。それは、専門医の立場を守るための「業務の明確な線引き」です。
専門医が様々な機密を知っているからといって、企業は彼らに「健康管理以上の何か」をやらせることは絶対にありません。
例えば、リストラ対象者に対して「君は会社を辞めるべきだ」と宣告するのは経営者や人事の仕事であり、産業医の仕事ではありません。産業医はあくまで「この社員にこれ以上の負荷をかければ健康を害する」という意見を述べるにとどまります。
なぜ、ここまで厳格に線を引くのか。
それは、専門医が経営の実務(執行)に足を踏み入れた瞬間、労働者からの「恨み」や「訴訟のターゲット」となり、絶対的な中立性が崩壊してしまうからです。
企業は最悪の場合には、経営者の代わりに医学的責任を負う者である「専門医という最後の防波堤」を失わないために、専門医を「医学的アドバイザー」として扱います。
○経営者主体のガバナンスが専門医の価値を最大化する
機密情報の壁の中で、企業と専門医がそれぞれの役割(経営と医学)を明確に分け、背中合わせで従業員と組織を守り抜く。これこそが、大企業が実践している質の高い健康管理体制です。
本連載が、産業医の専門医の現実を把握し、皆様の企業における適切なガバナンス構築と投資への一助となれば幸いです。
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JSA-S1025 ヒューマンリソースマネジメント-組織(企業)が⾏う健康管理-職域健康専⾨家の活⽤の指針
JSA-S1025ページ
https://webdesk.jsa.or.jp/books/W11M0090/index/?bunsyo_id=JSA-S1025%3A2025
JSA-S1025紹介
https://webdesk.jsa.or.jp/pdf/jsa/pdf_jsa_372.pdf
【JSA-S1025】開発の解説
https://www.soumunomori.com/column/article/atc-177724/
リサーチマップ(朝長健太)
https://researchmap.jp/yobouigyou