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改正パートタイム労働法とは(6)~均衡待遇(3)

<通常の労働者と同視すべき短時間労働者と異動等があり得る短時間労働者



前に書いた通り、「職務内容同一短時間労働者」は次の3つに分かれます。

・通常の労働者と同視すべき短時間労働者
・一定期間職務などの変更があり得る短時間労働者
・それ以外

1番目の、「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」とは、「業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの」とされています。

つまり、正社員と同様に、いつでも異動や転勤があり得るパートタイマーということです。

2番目の「一定期間職務などの変更があり得る短時間労働者」とは、「事業主に雇用される期間のうちの少なくとも一定の期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの」とされています。

ここが実に分かりにくい点なのですが。

たとえば、社員、パートタイマーともに、同じ資格等級が適用されているとします。
仮に、1級~6級としましょう。
ただし、パートタイマーが昇格できるのは3等級まで。
4等級に上がるためには、正社員転換試験をパスし、正社員にならなくてはならないとします。

この場合、3等級まではパート正社員の間に違いはありません。
業務内容、責任などは同一。
そして、異動、職務内容の変更もあります。

こういう場合、3等級までは、「通常の労働者と同一の方法により賃金を決定するように努める」こととされているのです。


現行パートタイム労働指針に、「職務同一」や「人材活用の仕組みや運用」に関する説明がありますので引用します。



<職務同一について>

「職務が同じ」かどうかは、まず「職務の範囲」を比較し、その場合、通常従事する作業が同じかどうかについて、個々の作業の幅や組合せについても比較して判断します。作業後の清掃など臨時的・付随的な作業に違いがあっても、同じ職務と考えられます。

ただし、作業の幅や組合せが大きく異なる場合、例えば、正社員がパートタイム労働者の行う作業に加えて、生産計画の策定、顧客対応なども行うような場合には、職務そのものが違うと考えられます。

 個々の作業を比較するに当たっては、トラブル発生時や臨時・緊急時の対応、ノルマなどが同じように職務上の「責任」として含まれているか、与えられた権限の範囲についても考慮します。また、作業を行うに当たって必要最低限の能力や難易度、複雑度などの「職務レベル」、肉体的・精神的負担などの「労働の負荷」なども含めて判断します。

事例A・・・一部の職務内容が重なるが職務が違うと考えられる場合
パートタイム労働者の販売員Aと正社員の販売員Bでは、接客、レジ業務は同じように行っていますが、Bには在庫管理・発注の作業やクレーム処理対応がある場合、AとBで一部の職務が重なっていても、全体では職務が違うと考えられます。

事例B・・・同様の責任・権限をもち、職務が同じと考えられる場合
クレジット業X社では、カード会員申込者の審査業務において、パートタイム労働者に対しても職能資格制度を導入し、一定の資格等級に達したパートタイム労働者Aに関しては正社員と同様の責任・権限をもつ最終判断業務を任せています。Aについては、同資格の正社員と職務が同じと考えられます。



人事異動、転勤などについて>

人材活用の仕組みや運用などが実質的に異ならないかどうかは、人事異動の幅・頻度、役割の変化(責任・権限の重さの変化)など、労働者が時間的経過の中でどのような職務経験を積む仕組みがあるのかということと、その仕組みが実際に運用されているか実態をみて判断します。人事異動には転勤も入りますが、同じ事業所内の異動や異なる職種への異動も含まれ、その範囲を幅として比べます。頻度についても、回数だけを比べるのではなく、幅とも関連してみることが必要です。

このような人材育成のあり方は、時間的経過の中で、労働者にどのような職務経験を積ませていく仕組みがあるかについて、制度化または慣行化され客観的に把握できるものによって、みていくこととなります。

 以上のようなことを例示として、総合的に「人材活用の仕組みや運用など」を判断していきますが、制度の有無だけで違っていると判断するのではなく、運用も含めて判断します。単に労働時間が短いだけでは、「人材活用の仕組みや運用など」が異なることにはなりません。

事例C・・・人材活用の仕組みや運用などの実態が異なると考えられる場合
Y社の経理部に配置されている正社員は、営業部や総務部から異動してきた者、他の支店から異動してきた者等、定期的な異動の中で複数の部署での勤務経験をもつ者が多いのですが、中には、経理部以外の勤務経験のない者もいます。

経理部内のみの勤務経験の者についても、部内で異なるラインの仕事を経験しながら役割が変化し、社内横断的なプロジェクトのメンバーに入ったりしています。経理部のパートタイム労働者Aは、他の支店から経理部に初めて配属された正社員Bとほぼ同じ経理事務を担当していますが、Aの担当事務やラインが今まで変わることはありませんでした。

事例D・・・職務が同じで、人材活用の仕組みや運用などが異ならない状態と考えられる場合
電気機械メーカーZ工場で、溶接・組立・修理を行う現場の正社員は、生産体制の変化に伴って配置されるラインが変わる異動はありますが、他の工場への異動はありません。

パートタイム労働者の中には配置されるラインが変わらない人もいますが、パートタイム労働者Aは、10年間勤務し所定労働時間が6時間と短いだけで、正社員と同じラインに配置され、生産体制の変化に伴って正社員と同じように溶接・組立・修理のラインへの配置換えもされてきました。新人が同じラインに配属されたときは、正社員と同じように指導もしています。



つまり、「通常の労働者と同視すべき」かどうかは、「人事異動の幅・頻度、役割の変化」の実態がどうであるかによって判断するということです。

第8条、第9条関連のお話は、とりあえず終了とします。
ただ、最も重要な部分でもあり、今後指針等が明らかになってきたら、また取り上げます。


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