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<第228回>ダメ社員が自主再建した社員参加型経営

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         シリーズ「人活経営でパワーは倍増できる!」

<第228回>[(第34話)ダメ社員が買収して自主再建した
                    ジャロックの社員参加型経営!]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「人活経営でパワ
ーは倍増できる!」と題して様々な角度から鋭く分析した良質の記事を紹介して
いきます。きっとお役に立てると思います。中小企業の経営者の方、管理者の方、
人事担当者の方に是非ともお読みいただきたいと思います。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「ダメ社員が買収して自主再建したジャロックの社員参加型経営!」
1.ジャロックとは?
2.倒産の淵に追い込まれて!
3.ダメ社員が立ち上がり、社長に就任!
4.目指すは全員参加型の経営!
5.メガネの技術を生かし起死回生!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

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先代の社長が他界、親族が経営を引き継ぎました。しかし不慣れな経営では業績
が悪化するばかりです。ここまではどこにでもよくある話でしょう。

しかし、先代にかわいがられていた自称“ダメ社員”が廃業寸前に追い込まれた
会社を借金までして買収し、見事再建を果たしたのです。

経営は全社員参加型の経営。そしてがんばる会社を取引先や銀行が支援するとい
う構図です。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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一生懸命とは「命を懸ける」と書く。しかし、懸けそうで懸けないのが人間であ
る。「進むも地獄、引くも地獄なら、最終的に進むしかない」。

         高橋禮二

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【2】メルマガ本論

[(第34話)ダメ社員が買収して自主再建したジャロックの社員参加型経営!]


1.ジャロックとは?

設立は1970年(昭和45年)7月。本社は福井市にあります。

資本金は2,000万円、直近の売上高は約5億円弱、経常利益は3,500万円、社員数
は36人です。

前身のジャパンロイヤル精機を買収して再建させたのが現社長の武澤清則氏です。

かつてはメガネ産業向け事業が売上げの9割でしたが、現在は自動車関連向けが
9割、そして最近は医療機器分野にも進出しています。


2.倒産の淵に追い込まれて!

1996年(平成8年)に廃業の危機に陥りました。当社の前身であるジャパンロイ
ヤル精機は山谷忠弘氏が70年前に設立した会社でした。金属製パイプを引っ張
りながら口径を縮めるスウェージングという技術を使い、メガネのフレームに使
う鉄やチタン製の部品を加工する装置を製造販売し、最盛期には60人近い社員
がいました。

山谷氏はガンに侵され、現武澤社長にだけそのことを明かしたのでした。しかし、
当時武澤氏は自他共に認める“ダメ社員”でした。

当時の武澤氏は、技術は素人。山谷氏が一生懸命指導しましたが一人前になった
と思い上がり出社するのはいつも10時、その上終業前だというのにお客さんの
接待があると言って早引けする始末でした。

1989年(平成元年)山谷氏が他界、親族が会社を引き継ぎましたが運悪くバブル
崩壊の時期。1995年(平成7年)にはジャパンロイヤル精機は7,000万円の債務
超過に陥りました。銀行の貸し剥がしが始まり、負債は2億円を突破していまし
た。風前の灯です。


3.ダメ社員が立ち上がり、社長に就任!

そのことを知った現武沢社長は自分を育ててくれた山谷氏への恩、そして山谷氏
の「スウェージング技術で世界一になる」という夢を思い浮かべたのです。

自らの預金を叩き、義父の保証により融資を引き出し、1996年(平成8年)ロイ
ヤル精機を買収、社員による自主再建に乗り出し、社名を現在のジャロックに変
更しました。ダメ社員の一大決心だったのです。

社員を3割削減しましたが、資金繰りは苦しく工場では油を拭く布も買えません。
社員が新聞紙や布を持ち寄りしのぎました。

武澤社長の奥さんも金融機関を辞め、金庫番として経営に加わりました。

当時取引を控えていた取引先もジャロックの社員の一生懸命な姿を見ていて、仕
事を持ち込むようになりました。


4.目指すは全員参加型の経営!

独立直後武澤社長は自らの給料を8万円に抑えました。そんな苦しい中でも社員
には数万円のボーナスを支給したのです。

それまではボーナスといえば食品やギフト券で、現場は意気消沈していました。
ジャロックになって初めてのボーナスを現金で受け取り、社員たちのモチベーシ
ョンは上がったと言います。

ジャロックが掲げるのは「全員参加型の経営」。会社の重要案件は全社員の意見
を問います。例えば部門ごとの売上目標やカイゼン提案件数などは全社員が参加
する会議で承認します。こうして決めたことは全員が達成しようとがんばるわけ
です。

取引先も「ジャロックでは、とにかく社員のやる気がみなぎっている。危機を一
緒に乗り越えた結果なのだろう」と評しています。

無謀と思える武澤社長の買収再建劇。しかし先代が築いたスウェージング技術に
は数々の優位性があることを武澤社長は熟知していました。うまく活用すればさ
まざまな分野に応用できるのです。


5.メガネの技術を生かし起死回生!

金属パイプを叩きながら伸ばし、口径を縮める技術がスウェージングの特徴です。
丸棒から切削すれば切粉が大量に発生し、材料費のムダ、加工工数の増大があり
ます。

しかもスウェージングの過程で金属の機械的特性が向上するという特徴を兼ね備
えています。

スウェージング加工機をNC(数値制御)マシンと融合させ、省スペースで多機
能の機械を開発して提供するようにしました。

めがね産業が中国にシフトし、衰退の今、自動車部品の加工技術として注目を集
めました。自動車部品メーカーがジャロックの装置を導入し始めました。

自動車業界は品質、納期、コスト面での厳しさでは定評があります。会社が生き
残るためジャロックは全社一丸となってがんばっています。

武澤社長の人格コンピテンシーが益々光ります。

(今回の参考文献:日経ビジネス2006年1月30日号、他)


【3】今日のまとめ

1.差別化した技術とそれを生かす経営、そして社員のモチベーションが三位一
  体になることが大事であること。その手段として「全員参加型の経営」は有
  効であること。

2.一生懸命とは「命を懸ける」と書くが、懸けそうで懸けないのが人間である
  こと。

3.がんばっている姿を見れば取引先や銀行も自然に支援する姿勢を持つように
  なる可能性が高くなること。そのためには日ごろから地域に強いネットワー
  クを築いておくこと。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp


【4】編集後記

すばらしい固有技術を持ちながら経営がうまく行かず、衰退する企業は多いです。

固有技術だけではなく、応用技術が絶対に必要です。そしていろいろな分野に固
有技術を応用することです。今回紹介したジャロックは最適のモデルになります。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=




次回に続く



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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
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