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“会社法”等のポイント(78)

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行政書士津留信康の『身近な法務サポートマガジン』<第134号/2008/10/15>■
 1.はじめに
    ~「平成20年度版・ラストスパート行政書士直前予想問題集」のご案内
 2.「会社法務編/中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(78)」
 3.「市民法務編/ビジネスに役立つ“民法”の基礎(61)」
 4.編集後記
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 1.はじめに
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 こんにちは。行政書士の津留信康です。

 「平成20年度行政書士試験」の受験申込期間も終了し、
いよいよ本番まで1ヵ月足らずとなりました。
 2008/11/9(日)の本番に向けての総仕上げには、
私も執筆に参加した、
「平成20年度版・ラストスパート行政書士直前予想問題集(TAC出版)」
が最適ですので、どうぞご活用ください!!
 本試験型の模擬試験全3回から構成された同問題集は、
重要論点を網羅し、解説も充実しています。
※1)平成20年度行政書士試験の概要等
   http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/post_246a_1.html
※2)平成20年度版・ラストスパート行政書士直前予想問題集のご購入は、
   こちらが便利ですので、どうぞご利用ください。
   http://m-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/08/20_ad8d.html

 それでは、今回も、どうぞ最後までおつきあいください。

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 2.「会社法務編―中小企業・ベンチャー経営者&
             起業予定者のための“会社法”等のポイント(78)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 “会社法”等に関する理解を深めていただいておりますが、
 第4回は、「株式」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

■株式に関する次の記述のうち、正しいものはどれか(午前―第30問)。
1.会社が、全部の株式の内容として、
  当該株式について、当該会社が、一定の事由が生じたことを条件として
  これを取得することができることを定めた場合においては、
  一定の事由が生じた日に当該株式を会社に取得される株主は、
  その対価として、当該会社の他の株式の交付を受けることはできない。
 □正解: ○
 □解説
  本肢のような取得条項付株式の場合の取得対価は、
  株式以外の財産に限られ、
  当該会社の他の株式の交付をすることは
  できません(会社法第107条第1項第3号、同条第2項第3号ニ~ト)。
2.会社が取得条項付株式を取得する場合において、
  一定の事由が生じた日における分配可能額を超えて、
  当該株式の取得と引換えに財産の交付をしたときは、
  当該財産の交付に関する職務を行った取締役または執行役は、
  当該会社に対し、交付した財産の帳簿価額に相当する金銭を支払う義務を負う。
 □正解: ×
 □解説
  本肢前段のような場合には、
  取得条項付株式の取得自体が無効となり(会社法第170条第5項)、
  当該取締役または執行役は、
  本肢後段のような義務(同法第462条第1項)を負うことはありません。
3.会社が異なる2以上の種類の株式を発行する場合において、
  1の種類の株式の種類株主について剰余金配当を受ける権利を与えない旨
  の定款の定めを設けることはできない。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような定款の定めを設けることは可能です(会社法第108条第1項第1号、
  同条第2項第1号)。
4.会社法上の公開会社は、
  ある種類の株式の種類株主を構成員とする種類株主総会において
  取締役を選任することを内容とする種類株式を発行することができない。
 □正解: ○
 □解説
  会社法上の公開会社および委員会設置会社では、
  本肢のような内容(会社法第108条第1項第9号・第2項第9号)をすることは、
  できません(同法同条第1項但書)。
5.会社法上の公開会社でない株式会社が、
  株主総会議決権について株主ごとに異なる取扱いを行う旨
  を定款で定めた場合には、
  各株主が有している株式の内容を登記しなければならない。
 □正解: ×
 □解説
  本肢のような場合(会社法第109条第2項、第105条第1項第3号)には、
  種類株式とはみなされず、
  同法第7編雑則‐第4章登記(第907条~第938条)の規定
  は適用されなません(同法第109条第3項)。

★「種類株式」には様々な種類がありますが、
 最近注目されている「事業承継」の分野においては、
 後継者への事業用資産の集中の観点から、
 「議決権制限株式」などの活用も、有力な選択肢の1つといわれています。
<参考1>種類株式制度の活用(J-Net21)
     http://j-net21.smrj.go.jp/well/zeikin/005/20080731_06.html
<参考2>親族間の株式・財産の分配(同上)
     http://j-net21.smrj.go.jp/well/qa/2007/03/post_233.html
 なお、中小企業庁の展開する「事業承継円滑化支援事業」については、
 こちら(※)をご覧ください。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-9113.html

★次号(2008/11/1発行予定の第135号)では、
 「反対株主の株式買取請求」について、ご紹介する予定です。

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 3.「市民法務編―ビジネスに役立つ“民法”の基礎(61)」
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★本稿では、「平成20年度司法書士試験問題」の解説を通じて、
 民法各編についての理解を深めていただいておりますが、
 第4回目は「無権代理相続」に関する問題です。
  ※)便宜上、問題文・設問肢の内容を一部変更している場合がありますので、
    ご了承ください。

無権代理人Aが、父親Bを代理して、第三者Cに対し、
 B所有の不動産を売り渡したという事例に関する次の記述のうち、
 判例の趣旨に照らし、誤っているものはどれか(午前―第6問)。
1.Bが、追認も追認拒絶もしないまま死亡し、AがBを単独相続した場合、
  無権代理人Aが、本人Bの地位を単独相続し、
  本人と無権代理人の地位が同一に帰するに至っているため、
  BC間の売買契約は、当然と有効になる。
 □正解: ○
 □解説
  判例(※最判昭和40年6月18日)は、
  「無権代理人が本人を相続し、
  本人と代理人との資格が同一人に帰するに至った場合には、
  本人が自ら法律行為をしたのと同様な法律上の地位を生じたもの
  と解するのが相当である」と判示しています。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=28157&hanreiKbn=01
2.Bが、死亡する前に、
  Cに対してAの無権代理行為の追認を拒絶していた場合には、
  無権代理人Aの行為の効力は、本人Bに及ばないことが確定するため、
  その後に、無権代理人Aが、本人Bを相続したとしても、
  BC間の売買契約は、当然に有効となるものではない。
 □正解: ○
 □解説
  判例(※最判平成10年7月17日)は、
  「本人が無権代理行為の追認を拒絶した場合には、
  その後無権代理人が本人を相続したとしても、
  無権代理行為が有効になるものではない」と判示しています。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=25429&hanreiKbn=01
3.Bが、追認も追認拒絶もしないまま死亡し、
  Bの子A、DおよびEが共同相続した場合には、
  無権代理人Aが本人Bを共同相続した場合に該当するため、
  他の共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、
  無権代理人Aの相続分に相当する部分においても、
  BC間の売買契約は、当然に有効となるものではない。
 □正解: ○
 □解説
  判例(※最判平成5年1月21日)は、
  「無権代理人が本人を共同相続した場合には、
  共同相続人全員が共同して無権代理行為を追認しない限り、
  無権代理人の相続分に相当する部分においても、
  無権代理行為が当然に有効となるものではない」と判示しています。
※)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=25748&hanreiKbn=01
4.Aが死亡し、BがAを単独で相続した場合には、
  無権代理人Aの地位を相続した本人Bが、無権代理行為の追認を拒絶しても、
  何ら信義に反することは無いため、
  BC間の売買契約は、当然に有効となるものではない。
  また、Bが、Aの民法第177条による無権代理人の責任を相続することもない。
 □正解: ×
 □解説
  判例(※1最判昭和37年4月20日)は、
  「本人が無権代理人の家督を相続した場合、
  被相続人の無権代理行為は、
  右相続により当然には有効となるものではない」と判示しており、
  本肢前段は正しい記述ですが、
  判例(※2最判昭和48年7月3日)は、
  「無権代理人を相続した本人は、
  無権代理人が民法117条により相手方に債務を負担していたときには、
  無権代理行為について追認を拒絶できる地位にあつたことを理由として、
  右債務を免れることができない」と判示していることから、
  本肢後段の記述は、誤りとなります。
※1)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=28696&hanreiKbn=01
※2)http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=02&hanreiNo=26956&hanreiKbn=01
5.Aが死亡し、BおよびAの母親Fが共同相続をした後、
  Bが、追認も追認拒絶もしないまま死亡し、FがBを単独相続した場合には、
  母親Fは、自ら無権代理行為をしたわけではないため、
  無権代理行為の追認を拒絶しても、何ら信義に反することは無いため、
  BC間の売買契約は、当然に有効となるものではない。
 □正解: ×
 □解説
  判例(最判昭和63年3月1日)は、
  「無権代理人を本人と共に相続した者が、
  その後さらに本人を相続した場合は、
  当該相続人は、本人の資格で無権代理行為の追認を拒絶することはできない」
  と判示していることから、
  本肢後段の記述は、誤りとなります。

★10月は、「行政書士制度広報月間(※)」ということで、
 各都道府県行政書士会主催の各種相談会が実施されています。
 本問で取り上げた相続に関しては、広報月間に限らず、
 常設の相談会においても、極めて人気の高いテーマですので、
 お近くの相談会等で、どうぞお気軽にご相談ください。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-754b.html

★次号(2008/11/1発行予定の第135号)では、
 「婚姻における法律関係」について、ご紹介する予定です。

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 4.編集後記
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★平成21年度以降の行政書士試験(行政法の一般的な法理論または
 行政事件訴訟法)に影響を及ぼすと思われる最高裁の判例変更については、
 こちら(※)をご覧ください。
※)http://n-tsuru.cocolog-nifty.com/blog/2008/09/post-4dd8.html
■第134号は、いかがでしたか?
 次号(第135号)は、2008/11/1発行予定です。
■編集責任者:行政書士 津留信康
 □津留行政書士事務所 http://www.n-tsuru.com
 □当事務所へのご連絡は、
  上記Webサイト・トップページのメールリンクをご利用ください。
■当メルマガの発行は、「まぐまぐ(http://www.mag2.com/)」を利用しており、
 購読の解除は、「http://www.mag2.com/m/0000106995.html」からできます。
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