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ムービーをヒットさせた負け組み流マーケティング

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     シリーズ「マーケティング活動に威力を発揮するコンピテンシー!」

  <第266回>[(第29話)「ムービーをヒットさせた負け組み流マーケティング術!]

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今話題の「会社を救うコンピテンシー」とは何かとコンピテンシーの導入の必要
性について、分かりやすく解説します。今回のシリーズでは、「マーケティング
活動に威力を発揮するコンピテンシー!」と題して様々な角度から鋭く分析した
良質の記事を紹介していきます。きっとお役に立てると思います。中小企業の経
営者の方、管理者の方、人事担当者の方に是非ともお読みいただきたいと思いま
す。

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今回のメニュー
【1】心に刻んでおきたい言葉
【2】メルマガ本論「ムービーをヒットさせた負け組み流マーケティング術!」
1.日本ビクターとは!
2.主流の記録媒体はDVD!
3.あえてハードディスク記録型に挑んだわけ!
4.顧客の視点で不満を解消する!
5.アンチトレンドがいつの間にかトレンドになる!
【3】今日のポイント
【4】編集後記

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バブル期に「財テク」というキーワードがもてはやされました。「財テク」をや
らない経営者は「アホ」呼ばわりされたぐらいです。しかし「財テク」に手を染
めず地道に本業一筋だった企業はバブル崩壊後も耐え忍んで生き残りました。

一方、「財テク」というトレンドに流された企業は惨めな末路をたどったことは
記憶に新しいところです。

商品開発やマーケティングでは将来の「成長軸」を見つけ出すことが重要なので
はないでしょうか。



【1】心に刻んでおきたい言葉

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世の中には「トレンド軸」と「成長軸」という二つの方向性があります。

                           塚越 寛

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【2】メルマガ本論

[(第29話)ムービーをヒットさせた負け組み流マーケティング術!]

1.日本ビクターとは!

日本ビクターは横浜市神奈川区に本社のある老舗オーディオメーカーです。ラッ
パ形の大きなスピーカーに耳を傾けているかのような犬の姿がトレードマークで
した。

いつしか経営不振に陥り、松下電器の傘下に入りましたが松下がてこ入れするこ
ともなく、最後は松下電器のお荷物的存在になりました。

創立は1927年(昭和2年)で、資本金は341億円強、連結売上げ高は7,426億円強
で、連結の社員数は26,850人です。ケンウッドと資本提携し、将来は経営統合も
視野に入っています。

かつてはビデオ業界でVHS陣営の旗手としてベーター陣営を圧倒しました。夢
よ再び、ハードディスク内蔵型のムービーでシェアを伸ばしました。



2.主流の記録媒体はDVD!

ムービー市場のシェアは電機メーカー5社でほぼ100%を占めています。ソニー、
松下電器、キヤノン、日本ビクター、日立製作所です。

成熟市場のシェア獲得競争でソニーが断然強く、以下松下、日本ビクター、キヤ
ノン、そしてどん尻は日立でした。

2005年にはソニーのシェアは60%を占めていました。しかし2006年に異変が起こ
りました。ソニーと松下がシェアを落とし、日本ビクターと日立がシェアを伸ば
し、2位の松下は3位に落ち、日本ビクターが2位に躍り出たのです。

記録媒体のトレンドはDVDでした。そのトレンドに逆らったのが日本ビクター
と日立だったのです。

なぜトレンドに乗っていた会社がシェアを大幅に落としたのでしょうか。



3.あえてハードディスク記録型に挑んだわけ!

記録媒体をハードディスクにしたことに対して、日本ビクターの都築邦雄氏は
「暴走と言ってもいい。ありえない選択だった」と述懐しています。

DVDが登場するまでの記録媒体はもちろんビデオテープでした。ビデオテープ
時代の顧客の不満はどんなものだったのでしょうか。

頭だしやデータの削除、データの追加ができないことはないが難しかったのです。
確かにDVDはそれらの弱点をカバーし、デジタル化で画質も大幅に向上しまし
た。ソニーが記録媒体としてDVDを採用したことで業界のトレンドは一気にD
VDになったのです。

しかしDVDにも弱点がありました。記録時間が30分~1時間。長時間撮影と
なればスペアのDVDが必要で、しかもどのタイミングでスペアのDVDに切り
替えるか常に注視しなければならないのです。考えてみれば画質は向上したもの
のテープがDVDに置き換わっただけでしかないのです。

それに対してハードディスク型ならフルハイビジョン撮影でも60ギガバイトあ
れば7時間は録画できます。スペアのメディアが不要で精神的にもプレッシャー
なく撮影に専念できるのです。



4.顧客の視点で不満を解消する!

「ムービーは途中で記録媒体を交換するもの。だからスペアのメディアを携帯す
る」と諦めていたユーザーにとってハードディスク型は正に朗報でした。本体に
記録するという日本ビクターの提案に対してユーザーの不満は一気に解消するこ
とになったのです。

トレンドに逆らうことはリスクも多いことは確かです。しかし当たればヒット商
品にもなりえるのです。

松下から離縁状を突きつけられ、経営が苦しいときだからこそ思い切ってハード
ディスクに舵を切ることができたのかもしれません。「顧客志向」、「冒険志向」、
「挑戦志向」なるコンピテンシーを発揮した場面でした。

一方、日立もハードディスク型ですが、こちらはDVD併用のハイブリッド型に
活路を見出しました。ハードディスクに記録した映像を本来ならプレーヤーやパ
ソコンで再生すべきものをダイレクトにダビングできるという優れものです。



5.アンチトレンドがいつの間にかトレンドになる!

「トレンド軸」はたとえてみれば流れ星のようなものです。現れては消えていく、
そんな運命にあるわけです。

一方、「成長軸」は将来にわたって成長していく「軸」ですが「影法師」のよう
に見え隠れしていて発掘しにくい面があります。

例えば「成長軸」の代表は「健康志向」でしょう。健康になりたい、何時までも
健康でありたいと誰もが思うからです。「美」も「成長軸」。誰もが歳を取って
も美しくありたい、美しいままでいたいと願うからです。

顧客の不満の中に将来の「成長軸」があります。「成長軸」のテーマを掘り当て
るには「顧客志向」、「洞察力」、「自己否定」などのコンピテンシーを磨いて
おく必要性があるのです。

(今回の参考資料:日経ビジネス 2007年9月10日号、他)



【3】今日のまとめ

1.世の中には「トレンド軸」と「成長軸」という二つの方向性があるというこ
  と。

2.「トレンド軸」に乗るか「成長軸」を見つけてそれに乗るかがヒットを生む
  か生まないかの分かれ目であること。

3.「トレンド軸」は流れ星のようなもので現れては消えていく運命にあるが
  「成長軸」は持続性があること。

4.「成長軸」は顧客の諦めや不満を冷静に分析することから発見できる可能性
  が高まること。

コンピテンシーの導入について支援します。ご相談はこちらへ
⇒ 3223898301@jcom.home.ne.jp



【4】編集後記

日本ビクターは格下のケンウッドと経営統合を視野に入れた資本提携に踏み切り
ました。

オーディオやビデオの老舗である日本ビクターを心から応援したい気持ちです。
かつて、業界を二分したVHSとベーター戦争がありましたが、日本ビクターは
VHSで勝利しました。再び蘇ってほしいと思います。

=長文を最後までお読みいただきましてありがとうございます。=


次回に続く


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発行責任者:さいたま市中央区上落合5丁目19-29
        彩愛コンサルピア代表 下山明央
この記事に関するご感想、ご意見はこちらから 3223898301@jcom.home.ne.jp
彩愛コンサルピアのHPは、
こちらから http://members.jcom.home.ne.jp/3223898301/

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